民事法は頼りない?
民事法が問題となる法律紛争は,だれにとっても一番身近で,理解しやすいものでしょう。
この場合の相談方法や,裁判所やADRにおける手続等については「一般的なこと」を参照してそのイメージを作ってみてください。
ただし,民事法に関する法律問題について,当事者が一番不満に思うことは,裁判に勝ったけど,相手方にお金がなくて,結局,自分の「権利」が実現されないことがあるということではないかと思います。この場合はまだ相手自体の問題ですが,裁判所が相手方に「味方」して,破産とか民事再生とかの手続を進めてしまい,結局全部が徒労に終わったというケースもあるでしょう。
前者の場合,裁判所の命令が出たのにそれに従わない相手方が,どうしてのうのうとできるのだという気持ちは,偽らざる所でしょう。
世界のある時期のある国では,裁判所から支払を命じられたのにこれを履行しないことを「犯罪」とする場合もありました。でもそうすると,世の中が「犯罪者」だらけになってしまいますし,経済的な浮沈は世の常という方が常識的だという判断もあるでしょう。
そうであれば民事法に関する法的手続に「高い」弁護士費用を支払って着手する前に,相手方の資力とか今後予想される行動とかを,予め十分に検討して手続を進めるのがいいのでしょうね。
次に民事法が問題となる法律紛争の主要な類型をまとめてみました。あなたの相談がどれか分かりますか。「分野別法律問題の手引」には,もっと詳しい内容もあります。
法律紛争の主要な類型
主として民法が関連する訴訟
- 不動産や動産についての売買契約の履行,取消し(詐欺や強迫),無効等についての訴訟
- 不動産登記についての訴訟
- 金銭債権の支払請求訴訟
- 賃貸借に関する訴訟・非訟
- 請負についての訴訟
- その他の契約,事務管理,不当利得についての訴訟
- 交通事故訴訟
- 医療過誤訴訟
- 人格権に関する訴訟
- 国家賠償訴訟
- 境界,農地,マンションについての訴訟
商事に関連する訴訟
- 取締役・取締役会に関する訴訟
- 取締役等の責任追及訴訟
- 会社の組織に関する訴訟
- 保険法に関する訴訟
- 手形・小切手訴訟
民事執行・破産再生
金融関係訴訟法
知的財産権に関する訴訟
- 工業所有権に関する訴訟
- 著作権に関する訴訟
- 不正競争行為に関する訴訟
- パブリシティ権に関する訴訟
消費者保護に関する訴訟
過払金返還請求訴訟
労働訴訟
- 労働者の地位に関する訴訟
- 賃金に関する訴訟
- 労災訴訟
- 公務員に関する訴訟
- 不当労働行為に関する訴訟
家事・人事訴訟・DV
- 夫婦に関する調停・審判事件
- 親子,親族に関する調停・審判事件
- 相続に関する調停・審判事件
- 遺産分割調停・審判事件
- 遺言及び遺留分に関する調停・審判事件
- 婚姻に関する訴訟
- 親子に関する訴訟
- 養親子に関する訴訟
- DV保護命令事件