行政法務

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行政法務は,市民,企業にとって,通常の民事法務より重要なことが多い。罰則を伴う行政法による「規制」をされ,市民生活や事業の大きな足かせになることもあれば,行政の支援が必要な時に放置されることもある。不適切な行政の行為によって貴重な自然が破壊されたり,税金が湯水のごとく濫用されたりすることもある。影響が甚大だ。そしてこのような不適切な行政の行為には,「政治家」が絡むことも多く,通常の手段では「是正」が困難だ。そこで,行政不服審査,行政訴訟の出番だが,これが我が国を息苦しくしている何番目かの大問題だ。

行政訴訟の問題は,行政の行為が,法令に照らして,適法なのか,違法なのかということを,裁判所に判断してもらうことに尽きる。そしてそれについてある裁判官の判断が,「行政寄り」でけしからんというのであれば,上訴して別の裁判官が判断すれば,判断が覆ることもあるであろう。民事裁判であれば,通常はそういう流れだ。

ところが,今の行政訴訟は,そうではない。裁判所は,大部分の訴訟において行政機関のある行為が違法で取消しの対象となるか否かについて,「理論上」取消しの対象となる「行為ではない」という判断を詳細な理由をあげて延々と判示するだけだ。要するに「却下」という門前払いだ。「行為」かどうかではなく,ある状態が「違法か」否かの確認さえができれば,用は足りるし,行政訴訟法の改正によってその道が開かれたはずなのに,現実はそうなっていない。裁判官は,「却下」することで,何をしているつもりなんだろう。

私たちの生活にとって身近なのは,「地方政府」の問題が多いが,それは「地方自治法務」(作成中)として別に取り上げることにする。

行政法務の背後になるのは,立法だ。「立法と法解釈を考える」も参考になる。

行政法務実務書・体系書

一覧

①「基本行政法(第2版)」(著者:中原茂樹)

②「行政訴訟の実務と理論」(著者:齋藤浩)

③「行政法解釈学1・2」(著者:阿部泰隆)

④「対行政の企業法務戦略」(著者:阿部泰隆)

⑤「行政法講義Ⅰ・Ⅱ」(著者:大浜啓吉)

⑥「環境訴訟法」(著者:越智敏裕)

⑦「自然保護法講義第2版」(著者:畠山武道)

簡単なコメント

そういうことで行政法務の本は読む気力が失せてしまうが,最初に「大家」の体系書を読むとそれだけで嫌になってしまうので,まず行政法全般について,一応,市民目線で分析してあると思える①「基本行政法(第2版)」(著者:中原茂樹)を紹介したい。今は第3版がでたが,こちらななぜかKindle本がでない。売れないんでしょうね。次に,行政訴訟法の改正に弁護士の立場で向きあっている②「行政訴訟の実務と理論」(著者:齋藤浩)は,困り切ったときの参考になる。

これまでの行政訴訟の現状を詳細に分析している③「行政法解釈学1・2」(著者:阿部泰隆)は,読んでいると,現代の「文明批評」とさえ思えてくる。企業の対応について,同じ著者の④「対行政の企業法務戦略」を紹介したい。

あと行政法の体系全般については,「行政法講義Ⅰ・Ⅱ」(著者:大浜啓吉)を紹介しておく。

行政法務の各論は多岐にわたるが,ここでは環境法を取り上げておこう。⑥「環境訴訟法」(著者:越智敏裕」,⑦「自然保護法講義第2版」(著者:畠山武道)を紹介しておく。おって,必要な分野を紹介する。

最近,行政法務の分野は,改正が多いから最新の法令を入手しよう。

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