企業:経営と統治

問題の所在-「企業の経営と統治」の問題を解決する

企業の出現

農業革命以前,人の生活と仕事や文化は,ほとんど分化していなかったと考えていいだろう。人は,家族,あるいはもう少し規模の大きい共同体に属し, その中で生活・仕事をして子孫を設け,死んでいった。

しかし農業革命により人の生活・仕事・文化が分化し,余剰生産物を収奪する「権力集団」(政府)が生じた。一方,徐々に分業が進展し,更に「産業革命」によって決定的に,個人から分化した「企業」が出現し大きな存在となって現在に至ったとまとめることができよう。政府と企業は「組織」として,個人とは別のレベルの要素として存在する。特に「組織」という複雑系ネットワークシステムを背景として,その迷走が止まらないという観点は,重要である。

経営と統治

企業活動の目的は,投資をし,雇用者の賃金を含む様々な経費を支出して営業活動を実行した上での,利潤追求である。これを破綻なく実行する企業の「経営」はそれ自体,簡単なことではない。

そして企業活動によって,たとえ「見えざる手」によって資源の最適配分が図られるとしても(しかし長期的には,天然資源の枯渇や気候変動をもたらす負の影響も大きい。),様々な立場の人々(消費者,雇用者,経営者,取引先,株主,政府等々)に,様々な利害得失を与えるから,その活動は適切に制御されなければならない。これが「統治」である。その中には,GRC(ガバナンス,リスクマネジメント,コンプライアンス),内部監査等々を含めて考えるべきであろう。

「企業:経営と統治」各論

「企業:経営と統治」は,「経営」について「企業活動の起点・展開・展望」,「経営」,「経営書」,及び「統治」に分けて考察しよう。

企業活動の起点・展開・展望

企業活動の起点…株式会社と会計(複式簿記)

<コメント>

企業の起点は,株式会社制度と会計(複式簿記)である。

市場は,株式会社制度と複式簿記制度を見出したことから,現代企業への発展に結びついた。株式会社は,資本提供者(委託者)が,その財産の管理を,経営者(受託者)に委託する制度であり,その報告・説明が会計であり,その記録方法が複式簿記である。

更に企業会計が,国民経済計算に結びついている。

会計(複式簿記),更には,監査制度も,とても興味深い。これらは, コーポレートガバナンスの重要な要素である。

ここでは次の3冊だけ紹介しておこう。

<検討すべき何冊かの本>

  • 「帳簿の世界史」(著者;ジェイコブ・ソール)(Amazonにリンク
  • 「会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ-500年の物語」(著者;田中靖浩)(Amazonにリンク
  • 「会計の時代だ-会計と会計士との歴史」(著者;友岡賛)(Amazonにリンク

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企業活動の展開と展望

<コメント>

企業活動の展開は,経済史・経済制度の問題であり,「世界;経済」で検討する問題であるが,ここでは今後の企業活動の展望の理解につなげるため,「経済史-いまを知り,未来を生きるために」(著者;小野塚 知二)だけ紹介する。

今後の企業活動の展望は,現在の状況を考えるとどうしてもIT・AIが中心になるが,企業で取り上げる場合は,悲観的な内容が含まれていても,うまくやればプラスの価値をもたらすという内容になる。次の4冊を紹介するが,それぞれ視点,方法は違うものの,どれも充実した内容で読み応えがある。ここは今後じっくりと議論していきたい部分だが,ボヤボヤしていると,あっというまに置いていかれる部分でもある。

<検討すべき何冊かの本>

  • 「経済史-いまを知り,未来を生きるために」(著者;小野塚 知二)(Amazonにリンク
  • 「世界経済 大いなる収斂-ITがもたらす新次元のグローバリゼーション」(著者;リチャード・ボールドウィン)(Amazonにリンク
  • 「プラットフォーム革命-経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか」(著者;アレックス・モザド)(Amazonにリンク
  • 「NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ」(著者;ジェレミー・ハイマンズ,ヘンリー・ティムズ)(Amazonにリンク)
  • 「限界費用ゼロ社会 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭」(著者;ジェレミー・リフキン)(Amazonにリンク

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経営

様々な経営(学)書について

経営者として一番大事なことは何か。お金になる匂いを嗅ぎ分ける能力と,人のお金を自分のお金と分別する自制心である。「経営」は,前者の問題である。後者を促すのが「統治」だ。

経営を学問として体系的に考察するのが,「経営学」である。経営学の本を読むことは有意義だと思うが,その数も「ビジネス書」を入れると膨大だ。なにがしかのよさそうな「経営理論」を見つけたとしても,経営学は所詮,仮説の体系であって,現実の中でその妥当性を検証する必要がある。あるいは「成功した理論」もすぐに古くなってしまう。経営者がもたもた「検証」していると企業は破綻してしまうだろう。

また実際の経営にあたっては,まず我が国の個別企業が抱える問題を,世界経済の動き中に位置づけて正確に理解する必要がある。その意味で上記の「企業活動の起点・展開・展望」に掲載した本は有益だ。そこで「経営(学)書」の網羅的な検討は追って「「企業;経営と統治の続き」で行うこととし(2019年2月時点では,簡単に書名をあげているだけである。),ここでは3種類の実践的な本を掲記しよう。

一つは本質に密着しているから時代がどうであろうとその記述はその世界では正しいと思われるドラッガーの本,ふたつ目は,低空飛行を続ける日本経済の中で産業再生機構,経営共創基盤を率いてきた冨山和彦さんの本,みっつ目は,時代がどうなろうとへこたれない外資系コンサルの本である。

なお,経営学については,「冬休みだから経営書を読もう」という記事を書いたことがある。次の本が掲記されている。

  • 「経済的価値と社会的価値を同時実現する 共通価値の戦略」(著者:マイケル」.E.ポーター)(Amazonにリンク
  • 「世界の経営学者はいま何を考えているのか」(著者:入山章栄)(Amazonにリンク
  • 「経営戦略全史」(著者:三谷宏治)(Amazonにリンク
  • 「ビジネスモデル全史」(著者:三谷宏治)(Amazonにリンク
  • 「プラットフォームビジネス最前線」(著者:根来龍之)(Amazonにリンク
  • 「新しい市場のつくりかた」(著者:三宅 秀道 )(Amazonにリンク
  • 「全史×成功事例で読む 「マーケティング」大全」(著者:酒井 光雄)(Amazonにリンク

ドラッガーの本

<検討すべき何冊かの本>

「ドラッカー全教え -自分の頭で考える技術」(著者:ウィリアム・コーエン)(Amazonにリンク

「究極のドラッカー」(著者:國貞 克則)(Amazonにリンク

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ドラッガーについては,何回か記事にしたことがある。

冨山和彦さん

<検討すべき何冊かの本>

  • 「選択と捨象 「会社の寿命10年」時代の企業進化論」(Amazonにリンク
  • 「なぜローカル経済から日本は甦るのか」(Amazonにリンク
  • 「決定版 これがガバナンス経営だ!―ストーリーで学ぶ企業統治のリアル」(Amazonにリンク
  • 「AI経営で会社は甦る」(Amazonにリンク

という流れで読み進むのがよいだろう。更に,PHP新書に,

  • 「IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ 」(Amazonにリンク
  • 「IGPI流 ビジネスプランニングのリアル・ノウハウ」(Amazonにリンク
  • 「IGPI流 ローカル企業復活のリアル・ノウハウ」(Amazonにリンク
  • 「IGPI流 セルフマネジメントのリアル・ノウハウ」(Amazonにリンク

がある。

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コンサルの本

コンサルの本もたくさんあるようだが,次の本を掲記しておく。4冊目からは,比較的新しく,若い著者が初級者向けに書いた本だが,サンプルを見てよさそうだくらいだ。

<検討すべき何冊かの本>

  • 「コンサルを超える問題解決と価値創造の全技法」(著者:名和高司)(Amazonにリンク
  • 「センスメイキング―本当に重要なものを見極める力」(著者:クリスチャン・マスビアウ(Amazonにリンク
  • 「BCGが読む 経営の論点2019」(著者:ボストンコンサルティンググループ(Amazonにリンク
  • 「数字で考える力 21世紀スキル」(著者:佐々木裕子)(Amazonにリンク
  • 「はじめての事業計画のつくり方 21世紀スキル」(著者:吉本貴志)(Amazonにリンク
  • 「ここからはじめる実践マーケティング入門 21世紀スキル」(著者:グロービス)(Amazonにリンク
  • 「課題解決のための情報収集術 21世紀スキル」(著者:河村有希絵)(Amazonにリンク
  • 「実践型クリティカルシンキング 21世紀スキル」(著者:佐々木裕子)(Amazonにリンク

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経営書

「経営書」(経営(学(書・ビジネス書の一覧)は,独立した固定ページとし,便宜,下位項目(下位メニュー)の「企業の続き:経営書」に掲載します。

統治

企業統治(コーポレートガバナンス)これ一冊

<コメント>

企業統治については,ガバナンス,リスクマネジメント,コンプライアンス,内部統制,内部通報,内部監査等々の言葉が,会社法,金商法,上場規則,任意ルール等々で入り乱れ,関係者みんなで足を引っ張り合って,経営の邪魔をしているような感がある。実に不愉快な領域だ。

しかしある頭の使い方をすると,なるほどと得心が行く。それは海外子会社の経営を想定することだ。

英語しか通じない海外子会社について,まず第一に株主である親会社が子会社経営陣をコントロールするガバナンスの確立が大前提ですね,リスクマネジメント,コンプライアンスも違う領域の話で,それぞれ重要ですね。そのためには,内部統制システムの確立が重要だし,内部通報制度も必要ですね。それらをしっかり内部監査しましょう。必要は発明の母だということがよくわかる。これらについて丁寧に説明しているのが,「図解 海外子会社マネジメント入門」であり,これ一冊だ。これで不愉快さを乗り切れば,あとは,小さな話しだ。

<検討すべき何冊かの本>

  • 「図解 海外子会社マネジメント入門―ガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンスから内部監査まで」(著者:毛利 正人)(Amazonにリンク
  • 「これならわかる コーポレートガバナンスの教科書」(著者:松田 千恵子)(Amazonにリンク
  • 「現代コーポレートガバナンスー戦略・制度・市場」(著者:江川雅子)(Amazonにリンク)

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