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ようこそ−このサイトの紹介

法と弁護士業務について紹介するWebサイト「弁護士村本道夫の山ある日々」のTOP PAGEへようこそ。

このサイトのうち,「弁護士の仕事を知る」は,弁護士に相談・依頼したいと思う人に基本となる知識を提供する「法律相談と弁護士への依頼」,「市民・企業の法律問題」,「分野別法律問題の手引」と,新しい法律問題や法制度の在り方について検討する「新しい法律問題」,「法を問題解決と創造に活かす」から構成されています。

これらをご覧になって私に相談,依頼しようと思う方は,私が執務している「カクイ法律事務所」に電話(03-5298-2031),FAX(03-5298-2032),または下記の「お問い合わせ」フォームを送信して,お問い合わせください(事務所(神田淡路町)の場所と地図はこちらです。)。

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更に私は,現在,将来の社会が抱える様々な問題を解決し,価値を創造するにはどうすべきなのか,その中で法やルールはどうあるべきなのか等について考察する「問題解決と創造に向けて」を作成,公開しています。

これらを構成する記事や,私の日常を綴った記事を投稿する「ブログ山ある日々」は,「 投稿 SITE MAP」や,メニュー,アーカイブ等を利用してご覧ください。なお最新の投稿は,この次(下)の記事からになります。

この頁のもう少し詳しい内容は,固定ページの「ようこそ」をご覧ください。

 

 

社会の行方を読む本

未読・半読・一読の本 3 (180607)

最近,コーポレートガバナンスについての本を読み,派生してドラッカーにいき,更にこのWebに手を入れたりで,なかなか購入済みの本を読めないが,たまたまこの2,3日で,Kindleストアを検索していて,今後の社会がどうなるかについて書かれた(のであろう)「面白そうな本」を4冊見つけた。未読の本がたまっているので全部は購入はしていないが,落ち着き次第,購入して目を通してみたい。したがって現状はほとんど未読の本なので,この投稿は備忘という趣旨でとなる。

いずれもIT化,テクノロジー,グローバリゼーションを軸に,世界経済,社会,人間のこれからを考察した本であり,サンプル部分を読み,目次を一覧するだけでも興味深い。いずれもそこそこの値段がするが,Thank You for Being LateのKindle本だけは,1000円ちょっとである。

4冊は,以下のとおりである。

遅刻してくれて、ありがとう

遅刻してくれて、ありがとう(上) (下)常識が通じない時代の生き方 

著者:トーマス・フリードマン

原書

Thank You for Being Late: An Optimist’s Guide to Thriving in the Age of Accelerations  By Thomas L. Friedman

目次

Part1 熟考

1 遅刻してくれて,ありがとう

Part2 加速

2 2007年にいったいなにが起きたのか /3 ムーアの法則 /4 スーパーノバ /5市場 /6母なる自然

Part3 イノベーティング

7 とにかく速すぎる /8 AIをIAに変える /9 制御対混沌 /10 政治のメンターとしての母なる自然 /11 サイバースペースに神はいるか? /12 いつの日もミネソタを探して /13 故郷にふたたび帰れる(それに帰るべきだ)

Part4 根をおろす

14 ミネソタから世界へ,そして帰ってくる /〈その後〉それでも楽観主義者でいられる

シャルマの未来予測

シャルマの未来予測 これから成長する国 沈む国

著者: ルチル・シャルマ

原書

The Rise and Fall of Nations: Ten Rules of Change in the Post-Crisis World By Ruchir Sharma

目次

プロローグ ジャングルの奥地へ

序章 有為転変――国家の盛衰を見抜く10の評価基準

第1章 【人口構成】 生産年齢人口が増えているか――ロボットは人口減少への救世主になる

第2章 【政治】 政治サイクル――改革者はいつ俗物に変わるのか

第3章 【格差】 良い億万長者、悪い億万長者――お金持ちを見ればその国の将来が分かる

第4章 【政府介入】 国家による災い――政府の干渉が増えているか、減っているか

第5章 【地政学】 地理的なスイートスポット――地の利を最大限に活かしているか

第6章 【産業政策】 製造業第一主義――投資の対GDP比率は増えているか、減っているか

第7章 【インフレ】 物価上昇を侮るな――住宅価格の上昇率が経済成長率を上回り続けていないか

第8章 【通貨】 通貨安は天使か、悪魔か――経常収支赤字の対GDP比が3%以上、5年連続なら要警戒

第9章 【過剰債務】 禁断の債務バブル――債務の伸び率は経済成長率より高いか、低いか

第10章 【メディア】 「過剰な報道」の裏に道あり――メディアから見放された時が絶好のチャンス

第11章 優秀、平均、そして劣等――注目国の将来展望を格付けする

拡張の世紀

拡張の世紀―テクノロジーによる破壊と創造

著者:ブレット・キング

原書

Augmented: Life in The Smart Lane By Brett King

目次

序章 スマート化された生活

第1部 ディスラプションの250年

第1章 テクノロジーによるディスラプションの歴史 /第2章 「拡張」の時代 /第3章 姿を消すコンピューター /第4章 ロボットの優位性

第2部 スマート・ワールドの進化の仕方

第5章 Human 2.0/第6章 人間の「拡張」/第7章 ライフストリーム、エージェント、アバター、アドバイザー

第3部 「拡張」の時代

第8章 鉄道、航空機、自動車、住宅 /第9章 スマートバンキング、決済およびマネー /第10章 「拡張」世界における信頼とプライバシー /第11章 「拡張」都市とスマート市民 /第12章 新時代のエンゲージメント

世界経済 大いなる収斂

世界経済 大いなる収斂 ITがもたらす新次元のグローバリゼーション

著者:リチャード・ボールドウィン

原書

The Great Convergence  By Richard Baldwin

目次

序章

第1部 グローバリゼーションの長い歴史をざっと振り返る

第1章 人類の拡散と第一のバンドリング /第2章 蒸気革命とグローバリゼーションの第一のアンバンドリング /第3章 ICTとグローバリゼーションの第二のアンバンドリング

第2部 グローバリゼーションのナラティブを拡張する

第4章 グローバリゼーションの三段階制約論 /第5章 何が本当に新しいのか

第3部 グローバリゼーションの変化を読み解く

第6章 グローバリゼーション経済学の基礎 /第7章 グローバリゼーションのインパクトその変化を解き明かす

第4部 なぜそれが重要なのか

第8章 G7のグローバリゼーション政策を見直す /第9章 開発政策を見直す

第5部 未来を見据える

第10章 グローバリゼーションの未来

 

考えるべきこと2題

 

こういう本は楽しいのだが,ともすれば彼岸の話として「へえ-」で終わってしまうか,商売ネタにしようとスケベ根性を出してしまう。しかしIT化,テクノロジー,グローバリゼーションは,今後,しかももうすぐ,間違いなく私たち一人一人の生活・仕事・文化を直撃し,この国の企業と政府,さらには環境も直撃する。漠然と,社会,経済の問題と捉えるのではなく,生活,仕事,企業,政府,環境と,多面的に捉えたい。

せっかくアメリカの俊才が4冊もよりどりみどりで書いてくれているのだから,私たち個人と私たちが属する組織の問題として,いかに問題解決と創造に結び付けるかという観点で読まないともったいない。

ところでアメリカと言えば,トランプ氏の政治論は横に置くとして,貿易論はどうなっているのか。我が国も含めて政治家の奇想天外な言動に歯止めが掛からない。貿易については,最近出た「実証から学ぶ国際経済」が良さそうだ。これも追って紹介しよう。

人の知能・思考がとらえる世界とは何か-方法論の基礎

「知ってるつもり」と「武器化する嘘」

人の知能は,世界を(実験によって)観察し,論理的に思考・分析して,表現・評価し,「問題解決と創造」につなげることができるが,その過程に様々な誤りが紛れ込む。

最近入手した二つの本(「知ってるつもり 無知の科学」(著者:スティーブン スローマン, フィリップ ファーンバック)と「武器化する嘘 情報に仕掛けられた罠」(著者:ダニエル・J・レヴィティン)は,人の知能・思考が世界をどのようにとらえるのか,世界をとらえる正しい方法論は何かについて,類似した視点と方法にたつ「総論」と「各論」ともいうべき本である。

両書とも非常に優れた内容を持つが,翻訳英書に共通する饒舌さや捩じれと翻訳の分かりにくさがあって,両書の構造,内容を正確にとらえるのが少しむつかしいようだ。

私としては両書を,「問題解決と創造の頁」の「方法論の基礎」の最初に位置づけたいと思っているので,その詳細な紹介をしたいと思っているが,今少し時間がとりにくい状態にあるので,ここでは備忘のために書名とさわりだけ紹介したい。

「知ってるつもり 無知の科学」を読む

「知ってるつもり 無知の科学」(著者:スティーブン スローマン, フィリップ ファーンバック)(Amazonにリンク)

この本のポイントは,「The Knowledge Illusion」であるが,これを「知能の錯覚」と訳されても,あまりピンとこない。

人の知能は,複雑な世界から行動(繁殖と生存だろう。)するために必要なもの,重要なものだけを取り出すように進化した。その知能のあり方が,「The Knowledge Illusion」である。そして行動するために重要なのは,原因と結果の因果的推論である。これには2種類(システム1とシステム2,あるいは直観と熟慮)ある。しかし人は,因果システムを自分が思っているほど理解していない(説明深度の錯覚)。直観は個人の頭にあり,熟慮は知識のコミュニティの力を借りている。後者がコミュニティの問題であるというのは,重要である。すなわち人は,体と世界,他者,テクノロジーを使って考える。

そして賢い人を育て,賢い判断をするための方法(ナッジ)がある。

後半は,行動経済学と重なっている。

この本の構成は英文の方がわかりやすそうなので,英書の目次を掲記しておく。

The Knowledge Illusion: Why We Never Think Alone

 

INTRODUCTION:Ignorance and the Community of Knowledge

 

ONE What We Know/TWO Why We Think /THREE How We Think /FOUR Why We Think What Isn’t So /

 

FIVE Thinking with Our Bodies and the World /SIX Thinking with Other People /SEVEN Thinking with Technology /

 

EIGHT Thinking About Science /NINE Thinking About Politics /

 

TEN The New Definition of Smart /ELEVEN Making People Smart /TWELVE Making Smarter Decisions

 

CONCLUSION:Appraising Ignorance and Illusions

 

「武器化する嘘 情報に仕掛けられた罠」を読む

「武器化する嘘 情報に仕掛けられた罠」(著者:ダニエル・J・レヴィティン)(Amazonにリンク)

「知ってるつもり」で分かるように,人の知能・思考は「The Knowledge Illusion」にあるから,これを悪意を持って利用しようとする人も多い。

それをどのように批判的に吟味するかという観点からまとめたのが「武器化する嘘」である。「数字を吟味する」,「言葉を吟味する」,「世の中を評価する」から構成されている。認知科学,論理学,自然科学等を踏まえている。ベイズ確率が重視されている,

ただ体系的にまとめたというより,事例集という面があるので,記述相互の関係が分かりにくい。これを参考にしながら,どのように正しく考えるのかを,まとめていく必要があるだろう。

これも内容は,英書の目次の方が分かりやすそうなので掲記しておく。

A field guide to lies and statistics: A Neuroscientist on How to Make Sense of a Complex World

 

Introduction: Thinking, Critically

 

PART ONE: EVALUATING NUMBERS

Plausibility /Fun with Averages /Axis Shenanigans /Hijinks with How Numbers Are Reported /How Numbers Are Collected /Probabilities

 

PART TWO: EVALUATING WORDS

How Do We Know? /Identifying Expertise /Overlooked, Undervalued Alternative Explanations /Counterknowledge

 

PART THREE: EVALUATING THE WORLD

How Science Works /Logical Fallacies /Knowing What You Don’t Know /Bayesian Thinking in Science and in Court /Four Case Studies

 

Conclusion: Discovering

これらの本の利用法

これらの本では,対象として検討している問題が政府の政策であったり,社会問題だったりすることが多い(科学の問題も多い。)。しかしそれらは,所詮,投票を通じてしか実現しない問題であるから,当面,悪意ある人たちに騙されないように,軽率に扇動されないようにという観点から,弁えれば十分だろう。

重要なのは,自分の生活,仕事にこれらを生かすことである。私としては,当面,自分の生活,仕事を充実させること,楽しむこと,社会との関係でいえば,あらゆる人の仕事の生産性を向上させるIT,AIの実際的な使用や企業統治の問題等の分析にこれらを生かしていきたいと考えている。

 

政府:力と公共政策

この投稿は,固定ページ「問題解決と創造の頁」「政府:力と公共政策」の記事を投稿したものです。固定ページは,その内容を,適宜,改定していますので,この投稿に対応する最新の記事は,固定ページ「政府:力と公共政策」をご覧ください。法を制定し(立法),適用する(行政,司法)ことも政府の役割ですから,この分野は,弁護士業務と密接な関係があります。

「政治」が注目される理由

私は,現代社会が抱える様々な「問題解決と創造の頁」,これを生活・仕事,政府・企業,環境の5つ要素から考えたいと思っている。

ところで,私たちは,普段,5要素の何が大切だと考えているだろうか。普通に考えれば,生活であり,それを支える仕事,更にはこれらの活動の場となる環境であろう。

しかし,私たちが一番興味を持つのは(あるいは持たされるというべきか),政府の支配者の選定,行動に係わる「政治問題」であろう。そうなるのは,ひとつは,政府を国家と同視することによるのだと思う(国家という用語は多義的であるが,5要素を含む構造である社会に比して,国家は5要素を含む歴史,地理的概念として使用されることがあり,その場合,すべての問題が,政府=国家に含まれることになる。)。

もう一つは,民主制を支える国民として,支配者の選定,行動についての正当な関心に基づくものであるが,支配者側の専門性,秘密性,権威性を盾にした権力の壁は厚く,国民はほとんどすべての面で情報操作されているという方が実態に近いだろう。更に,政府は,国民全体の代表として,外交の延長上に戦争を企て,実行する。戦争は,生活領域に近接ないし生活領域内で行なわれれば,生活,仕事,環境のすべてを破壊しかねない行為である。そんなことは分かっているはずだが,戦争が実行された後に,それに気が付くというのがお決まりの「歴史」である。政府の財政,社会福祉制度が破たんしようと,円が大暴落してハイパーインフレになろうと,立ち直る方法はあるが,戦争は立ち直り至難な問題である。だから私は,戦争だけには入り込まない「政府」を選定するのが,最低限の国民の「良識」だと思う。こんなことを考えなければならないこと自体,「政府」にはいい加減にしてもらいたいと思うが,どこの国の「政府」もレベルはあまり変わらない。

力と公共政策

政府の問題は,力と公共政策が基本的な問題である。これを,国内の支配・公共政策と,国際・戦争問題に分けて考察することができる。

支配の問題は,「行政学講義」(「行政学講義」を読む)を出発点にしたい。公共政策の問題は「入門 公共政策学」(「公共政策」という「窓」を通して社会の構造を理解する)で検討に着手した。

検討すべき本

今後検討すべき本を,紹介しておく。

支配・公共政策

  • 行政学講義
  • 入門 公共政策学
  • 自治体行政学
  • 自治体政策法務講義
  • 啓蒙思想2.0
  • ンプルな政府
  • 哲学と政治講義
  • 公共政策を学ぶための行政法入門

国際・戦争

  • 国際法
  • 国際法(大沼)
  • 国家興亡の方程式
  • 避けられたかもしれない戦争
  • 入門 国境学
  • 「教養」として身につけておきたい戦争と経済の本質
  • 戦略原論 軍事地平和のグランド・ストラテジー

 

 

企業:経営と統治

「問題解決と創造の頁」の「企業:経営と統治」の「固定ページ」を作ったので,投稿しておきます。ここらあたりこそ,私がいちばん力を入れなければならないところだと思っています。

株式会社と会計(複式簿記)

市場は,株式会社制度と複式簿記制度を見出したことから,現代企業への発展に結びついた。株式会社は,資本提供者(委託者)が,その財産の管理を,経営者(受託者)に委託する制度であり,その報告・説明が会計であり,その記録方法が複式簿記である。

更に企業会計が,国民経済計算に結びついている。

会計(複式簿記),更には,監査制度も,とても興味深い。これらは, コーポレートガバナンスの重要な要素である。

経営

経営者として一番大事なことは何か。お金になる匂いを嗅ぎ分ける能力と,人のお金を自分のお金と分別する自制心である。経営は,前者の問題である。

経営学

経営学については,「冬休みだから経営書を読もう」という記事を書いたことがある。更に「アイデア倉庫」の「経営編」にその時点で手元にあった本をまとめておいた。

我が国の企業が抱える経営問題

経営学の本を読むことは有意義だが,これを振り回したところで大して役に立つわけではない。

まず我が国の企業が抱える問題を,世界経済の中に位置づけて正確に理解する必要がある。また経営学は所詮,仮説の体系であって,現実の中でその妥当性を検証する必要がある。

その意味で,産業再生機構,経営共創基盤を率いてきた,冨山和彦さんが精力的に書いている本は参考になる。

「選択と捨象 「会社の寿命10年」時代の企業進化論」,「なぜローカル経済から日本は甦るのか」,「「決定版 これがガバナンス経営だ!―ストーリーで学ぶ企業統治のリアル」,「AI経営で会社は甦る」という流れで読み進むのがよいだろう。

更に,PHP新書に,「IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ 」,「IGPI流 ビジネスプランニングのリアル・ノウハウ」,「IGPI流 ローカル企業復活のリアル・ノウハウ」,「IGPI流 セルフマネジメントのリアル・ノウハウ」 がある。

現時点では,論評は差し控えるが,産業再生機構の経験は大きいだろう。

企業統治(コーポレートガバナンス)

これは,急遽,アベノミクスで言い出された,ルール化されたもので,出自はよろしくないが,その必要性はよくわかる。自身のビジネス体験を踏まえて記載されている「これならわかる コーポレートガバナンスの教科書」(著者:松田 千恵子)は,非常にピントの合った優れた本である。追って紹介したい。上記の冨山さんの「決定版 これがガバナンス経営だ!―ストーリーで学ぶ企業統治のリアル」もある。

 

問題解決と創造の頁

今まで「新しい社会とビジネスを創る」としていた項目を,「問題解決と創造の頁」に改めることにしました。それを説明した「固定ページ」を投稿しておきます。これに応じて,あちこち見直す必要があるので面倒くさそうです。

「問題」を生活・仕事,政府・企業,環境という観点から考える

このメニューはこれまで「新しい社会とビジネスを創る」としていたが,考えてみれば私が注力したいと思っていることは,このWebのキャッチフレーズとしている「法を問題解決と創造に活かす」ことなのであるから,その準備作業を志す本メニューのネーミングも,「問題解決と創造の頁」の方がより適切であることに気がついたので,変えることにした(いったん,「生活・仕事と組織」にしたが落ち着きが悪い。)。

私は何かに依拠して「新しい社会とビジネス」を創ろうと思っているのではない。私にとって最も重要な問題は,私の日々のあり方(生活・仕事)を充実させることであり,人から独立した存在として迷走する組織(政府や企業等)を適切に制御する企てに参加することである。更に生活・仕事,政府・企業の活動の環境,場となる「自然とテクノロジー」を理解し,利用,制御することである。

このように,現在,私あるいは現代社会が直面している多くの問題について,生活・仕事,政府・企業,環境の5つ要素から(更には,その複合する場合も含めて),分析,考察を巡らせ,当該問題を順次解決していくことができれば,「新しい社会とビジネスを創る」という価値創造に結実するであろうと考えているのである。

生活・仕事,政府・企業,環境について考える

現代社会は,人の基本的な活動である生活と仕事,及び人の集団である組織(支配し公共サービスを提供する「政府」及び,商品・サービスを提供する「企業」)の活動から構成されている。現代社会が抱える問題を,生活・仕事,政府・企業という観点からとらえ,解決策を考えることは,ひとつの仮説であるが,かなり有効だと思う。

農業革命以前,人の生活・仕事・組織は,分化していなかったと考えていいだろう。

しかし農業革命により人の生活・仕事・文化が分化し,その余剰生産物を収奪する「権力集団」(政府)が生じた(もっとも現在のほぼすべての政府は,民主制に基づく(支配者と被支配者が同一)と主張している。)。そして,分業の進展によって,更に「産業革命」によって決定的に,人の仕事の領域から分化した「企業」が大きな勢力となり,現在に至っているとまとめることができよう。

生活・仕事

人の生活・仕事は,いずれも進化論(繁殖,生存に有利な形質が自然選択される)を踏まえて考えるべきである。繁殖,生存の根底に性的な衝動があるとしても,ソフィストケートされたレベルでは,生活は,健康な活動を支える「食動考休」,仕事は,知識・能力の獲得と生産性の向上を目指す「アイデアをカタチに」であるとまとめていいだろう。

政府・企業

一方,組織のうち政府は,民主制のもとでは,政治参加(投票)による公共政策の実行,制御の問題である。ただし,政府を主導する政治家,官僚は,公共政策に失敗することのみならず(悲惨な被害が生じるのは戦争であろう。),その権力を冒用し私的利益を図ろうとする強いインセンティブがある。

利潤追求を目標とする企業の活動により,たとえ「見えざる手」によって資源の最適配分が図られるとしても,様々な立場の人々(消費者,取引先,株主,経営者,従業員,政府等々)に,様々な利害を与えるから,その活動が適切に制御されなければならない。

そして組織の行動については,複雑系の観点が欠かせない。

環境

人の生活・仕事や政府・企業の活動は,環境の中で(自然,及びテクノロジーを利用して)展開される。生活・仕事,政府・企業の問題解決のためには,自然とテクノロジーを理解し,利用,制御することが必須である。

まとめ

個人が,自らの意思で可能な(はずの)生活と仕事の改革・充実の問題と,独立した存在として独自のメカニズムで行動する「企業」,「政府」等(家族・地域共同体,宗教団体,学校等)の改革・制御の問題。更には自然とテクノロジーの開発・統御,保全は,それぞれ別の視角・方法によって,検討されなければならない。

このようにとらえて,現代社会(個人+組織)の「問題解決と創造にむけて」の準備作業をしよう。

メニューの構成

「問題解決と創造の頁」の暫定的なメニューは,次のとおりとする。ただし,順次手を入れていくので,当面,古い記事がそのままになっている項目も多い。

社会とビジネスの基礎

政府:力と公共政策

企業:経営と統治

問題解決と創造の方法と技術

生活:食動考休

環境:自然とテクノロジー

方法論の基礎

ITとAI

各メニューの説明

「社会と経済の基礎」には,全体の総論にあたる記事と「社会と経済の基礎となる8冊-試論」を掲載する。

これを踏まえ,「政府」について「力と公共政策」,「企業」について「経営と統治」,「仕事」について「アイデアをカタチに」,これらを支える個人の生活について「食動考休」にまとめる。更に,これらの活動の場となる「環境」について「自然とテクノロジー」にまとめる。

これに付加する「方法論の基礎」が異質だが,ここには私の基本的なスタンスである,人間と社会を,進化論,ファスト思考とスロー思考,複雑系ネットワークと分業等からとらえる基本的な考察と,数学,統計学,論理学,哲学等の方法のメモ(備忘録)を集めたいと思っている。現代の,多様な広がりのある経済学は,こちらで検討しよう。

さらに今後,「政府」,「企業」,「個人」を通じて生産性上昇をはじめ,あらゆる場面で活用されるであろう「ITとAI」についてこれまで細々と作成してきた記事を拡大して,いろいろなことを考察したい。

最後に

私が今,最もやりたいことは,弁護士として「法を問題解決と創造に活かす」活動であり,「問題解決と創造の頁」は,そのための,事実と論理を踏まえた準備作業となることを志している。このWebサイトも,やっとそういう情報発信ができるような準備が整いつつある気がする。ただITやAI,科学についての新しい知見・動向を知るには,英語文献の読解が必須なので,その意味での準備に今しばらく時間がかかりそうだ。

 

 

忙しいと太る

ここ2週間ほど,土日も含めて,朝から晩まで,大半の時間をある事件の準備(陳述書及び準備書面作成)のために費やしてきた。内容は主として経理的な問題ではあるが,その背景に複雑な事情があるので,確認のために逐一当事者や証拠にあたる必要があり,膨大な時間を要した。私は1年に数回そのような書面書きがある。その間,このWeb記事には手がつかなかった。

このような状態になると何が起こるかというと,夜まで仕事をして終わった後「いっぱい」食べ飲んで帰る,朝は5時くらいまでには起き,事務所へ行く,を繰り返す。

結果,太る。最近よくいうのだが,飲まないと機嫌が悪い,飲むと体調が悪い,ということになってしまう。

この間にも,「テクニウム」や技術,科学畑の本を買ったほか,ロバート・H・フランクの「幸せとお金の経済学」,「ダーウィン・エコノミー 自由、競争、公益」,石津朋之らの「戦略原論 軍事と平和のグランド・ストラテジー」を買っている。材料はたくさんある。手が空いたら,もう少し社会の問題を多様に考えていきたい。

その関係で,これまで「新しい社会とビズネスを創る」としていたメニューを「問題解決と創造の頁」に変えることにした。これだけでは何のことか分からないであろうから,その説明を参照していただきたい。

若者たちの政策提言を聞く

ジュニア・アカデメイアの政策提言発表会

3月19日,「ジュニア・アカデメイア」の学生が研究した内容を政策提言として発表する「第3回 政策提言発表会-私たち学生が実現したい日本の将来ビジョン―」を聞きにいった。「ジュニア・アカデメイア」は「日本アカデメイア」(「日本生産性本部」が設けている公共政策にかかる調査・提言機関)の首都圏の大学生,院生を対象とする教育研究機関という位置づけになるのだろう(「ジュニア・アカデメイア」,「日本アカデメイア」,「日本生産性本部」のそれぞれの紹介のため,HPにリンクします。)。私は,日本生産性本部の記念シンポジウム「2025年を見据えた生産性運動の進路」を聞きに行ったことがある。

政策提言の内容

「政策提言発表会」では,それぞれ10人程度の学生が8グループに分かれ,下記の政策提言及び質疑応答を行った。

➀働き方改革グループ-「これからの働き方改革~真の共働きの実現を目指して~」

②政治グループ-「循環する政治社会~参加・議論・評価の民主主義へ~」

③20万時間グループ-「福縁社会構想~あなたの20万時間が持つ無限の可能性~」

④社会全体で子育てグループ-「子育ての負担と喜びをわかちあえる日本~『おんぶ』から『おみこし』へ~」

⑤イノベーショングループ-「30年後も誇れる国づくり~日本発イノベーション再興戦略~」

⑥教育グループ-「頼れるのは自分“自信”!~不安な世界を生き抜く教育のチカラ~」

⑦社会保障グループ-「『私』が『社会保障』する、される。~安心して、挑戦に踏み出せる社会へ~」

⑧ワクワクグループ-「日本ワクワク化構想~もう一人の自分を見つけよう~」

これらについては,それぞれ当日配布された「サマリー」と「報告書」がここに掲載されているのでそれぞれの内容の説明はしない。当日の発表は10分強であったので,ほんのさわりという感じであったが,「報告書」は詳細であり,「参考・引用文献」やリンクも整っているので,じっくり検討するにはいいだろう。ときおり,「6か月の検討」という言葉が行きかっていたが,頭の柔軟な学生たちが,じっくり取り組んだというだけでも,貴重な「報告書」である。

分析と感想

これらの提言は,「就職」という「選択」を前に苦悩する学生たちが,我が国の抱える課題(問題)を設定し,その現状分析をして解決政策を提言するというもので,提言の内容如何に関わらず,その課題設定そのものが,学生たちの置かれた現状の表現として優に並みのアンケートを超えている。

人間の活動を,ⅰ政府,ⅱ企業,ⅲ地域・家・個人に分けて考えれば,②⑥⑦が政府,➀⑤が企業,③④⑧が地域・家・個人に属する問題と,一応分析することができるだろう。

私は,②の「循環する政治社会~参加・議論・評価の民主主義へ~」が興味深かった。今の代表性民主制と併存させて,【「①議題の設定:自分たちで話し合いたい議題を設定するために「輿論ボックス」の設置,②無作為抽出による「市民会議」への参加者の選出,③ネットを利用した議論の実施と政策決定:「市民議会」と国会/地方議会議員との協働 →「市民議会提出法案」の作成と、合議による報告書の作成,④政策の実行,⑤市民が評価を行い、より良い政策へ⇒再び①へ】というシステムを作ろうというのである。選挙は,公共政策を立案・実行する政府主導部の選出過程であるが,それだけではなかなか政府の活動がうまく行かない。人選より政策内容に,市民の目が届く方法を何とか作りたいというのは,私も共通の思いだ(パブリックコメントでOKというわけにはいかない。)。ただ公的なものを考えていてもどうにもならないので,まず私的なシステムを作り,その成果が否応なしに立法に取り込まれるという方向を考えるのがよさそうである。

⑥(教育,医療等は政府に属する問題と考えていいだろう。)と⑦は,問題に真正面から取り組むというより,少しずれたスタンスからの提言だ。⑥は教育内容に「演劇」を取り込もう,⑦は,困窮者を救済するアプリの[システムを作ろうというものだ。

これらから政府の抱える問題が如何に扱いにくいかということがよく分かる。

企業についての⑤は,まさに私がこれから考えようとする「本丸」だが,イノベーションを支える要素が,トップダウンであるという発想はいただけないと思った。ただこれは感想に止めよう。ところで「日本生産性本部」は,「生産性向上」や「イノベーション」を主眼として活動してきた団体だが,一時期はなんて古いのという感じだったが,今また最先頭に躍り出た感じだ。その「調査研究の頁」を見ると,(サービス産業の)生産性,ITと生産性,余暇などの研究が並んでいて,私が考えるようなことは,誰でも考えるのねという感じだ。最新の「質を調整した日米サービス産業の労働生産」という論文は特に興味深いから紹介しておこう。)。

地域・家・個人を何とかしたいという③④⑧の提言は,都会における孤独な「学生」という立場にあるだけに,深刻な思いがあるのだろう。ただこの問題は,個と共同性の加減がむつかしい。地域の再生は多くの人が望むところだが,その手掛かりはどこなのだろうか。③④⑧を聞いただけでは,答えが出なかった。

あと学生たちが発表の後の質疑応答で,主催者(学者,実務家等。2世代くらい上かな?)の突っ込み,評価に,堂々と反論,ないし「言い逃れ」をしているのは,とても頼もしかった。実際,これだけのやり取りでも,発表内容をずっと立体的にとらえることができた。

この「政策提言発表会」は,私にとって間違いなく新鮮でとても興味深かった。ただ学生たちが,なにかにつけて「国の資格」を持ち出すのはいかがなものかと思った(ただ,発表の枠組みが「公共政策」であるのであればやむを得ないか。)。

いま私たちが抱えている問題解決の鍵は,イノベーション,及び社会全体の情報流通にあるのだと,改めて思った次第である。

このサイトの構成を少し見直します

なぜWebの構成を変更するのか-技術的な理由

最近,ほぼコンスタントにこのWebの記事を作成することができるようになり,記事数も増えてきた。そこで,まず最低限の変更として,私も閲覧してくれる人も,混乱せず,かつ目的とする記事に到達しやすいように,構成を簡素化し,かつ,工夫してみることにした。本当はテーマも古くなったので変えたほうがいいのかもしれないが,私が撮影したクリックする度に変わる10枚ぐらいの山の写真は手放しがたい。

このWebは,Wordpress.comで作成しているが,記事は固定ページと投稿に分けて作成する仕組みだ。固定ページは,内容で項目分けされた上部メニューに配置し固定するために作成する記事群,投稿は,作成した時間順に表示される硬軟様々のブログ記事だ。両者の内容は交錯するが,投稿をうまく前者に入れ込むことが重要だ。今まではここが混乱していた。それとメニューの項目をあまり深くせず,文中からリンクさせる方がよさそうだ。

なぜWebの構成を変更するのか-実質的な理由

以上は技術的な理由だが,構成を変更しようとするより実質的な理由は,私が今,最もやりたい「法を問題解決と創造に活かす」弁護士としての活動について,このWebを情報発信の」主要なツールにしたいからである。今までの構成はいささか雑然とし過ぎていた。

そのために,今回,主要メニューを,「法と弁護士業務の頁」,「問題解決と創造の頁」,「ブログ山ある日々」に整理した。「ブログ山ある日々」は投稿(ブログ)であり,固定ページのメニューを,「法と弁護士業務の頁」と,それ以外の「問題解決と創造の頁」に分けたものである。

「法と弁護士業務の頁」の中心は「法を問題解決と創造に活かす」であり,「問題解決と創造の頁」は,そのための,事実と論理(学問)を踏まえた科学的な準備足らんことを志している。このWebも,やっとそういう情報発信ができるような準備が整いつつある気がする。ただITやAI,科学についてその新しい知見・動向を知るには,英語文献の読解が必須なので,その意味での準備に今しばらく時間がかかりそうだ。

現在,立法とその運用・適用を担当している中央政府(行政・司法)の人々は,法をトップダウン,かつ権威主義・事大主義に寄りかかり非科学的な運用をする姿勢が顕著だが,それではこれからの世界の変動に適応できない(でもこれは当事者だけの非ではなく,その状況にいたら多くの人はそういう対応をするのではないかということだろう。)。

だからこそ公共政策をめぐる事実と論理(学問)を把握し,これを踏まえた科学的な対応をすべく,立法も,その運用・適用も,ボトムアップかつ柔軟なものに変え,これからの世界に適応してみんなの問題を解決していきましょうというのが,私の今後のこのWebでのささやかな提案である。

これからのWebの構成

「法と弁護士業務の頁」は,今後,「法を問題解決と創造に活かす」を中心に記事を作成するが,「分野別法律問題の手引」も充実させたい。その他は,若干の手直しをする。

難しいのは,「問題解決と創造の頁」のメニューの項目と「ブログ山ある日々」の「投稿」との関係である。暫定的に次のようにしてみることにした。追ってこれに沿って各記事の配置を改めていくことにする。しばらくは,投稿のカテゴリー等は,無茶苦茶であろうが,ご容赦いただきたい。

問題解決と創造の頁

社会と経済の基礎

政府と公共政策

アイデアをカタチに

食動考休-健康になる

ITとAI

方法論の基礎

ブログ山ある日々

ブログ山ある日々総覧

法・社会・ビジネスの諸相

(法を問題解決と創造に活かす)

(社会と経済の基礎)

(政府と公共政策)

(アイデアをカタチに)

人間の思考と文化

(ITとAI)

(方法論の基礎)

山ある日々と自然

(食動考休-健康になる)

(孫娘の今日のひとこと)

本の森

「公共政策」という「窓」を通して社会の構造を理解する

入門 公共政策学」を読む ~社会問題を解決する「新しい知」 著者:秋吉貴雄

「入門 公共政策学」を読む

相当以前から「公共政策学」という,何をしているのか,中味を想定しづらい学問領域があることは知っていたが,中学社会科の「公民」というネーミングと似たようなうさん臭さを感じ,興味を持つことはなかった。しかし「アイデアをカタチにする」のひとつとして「「政府の政策」を読み,活用する」を取り上げたので,その入口として参考になるかもしれないと思い,表記の本(以下「本書」)に目を通してみた。

まず本書は,「公共政策学」の手法,現状,方向性等をコンパクトな新書の分量に収めた分かりやすい「概説書」,「要約書」として,高く評価できる。

本書のさわりを紹介しよう。本書は,政府の公共政策の立案・実行過程を,①問題-②設計-③決定-④実施-⑤評価に分けて分析する。本書によればこの過程は,社会の「望ましくない状態」が「政策問題」として認識・定義される(①問題),担当府省において解決案(政策案)が設計される(②設計),そして,政策案とともに関連する法案が担当府省で準備され,国会で決定される(③決定),決定された政策は行政機関を中心に実施される(④実施),最後に政策が評価される(⑤評価)と表現することができる。この過程の把握,及び改善策の提言が,「公共政策学」ということのようだ。

「公共政策」の分析手法は社会を把握,分析するツールとして有用だ

それとは別に,本書が対象とする「公共政策」の分析手法-「公共政策」という「窓」を通して社会をみること-は,複雑な現代社会の現状,構造を把握,分析するための極めて有用なツールであるということに気づいた。ただ,それを理解するには,いささか下準備がいる。

考えてみれば政府のするあらゆる行動は,それが例え「戦争」や「原発」,「天下り」であっても,公共政策の立案・実行過程の全部または一部とみることができ,当該立案・実行過程には,政府の役人,政治家のみならず,多様な人間が関与している。政府の行動を,権力者の閉ざされた権力行動や利益追求行動とみるだけでは問題が浮かび上がらない。政府のあらゆる行動を,公共政策の立案・実行過程のどこかの局面における行動として位置付けることで,問題を立体的に把握できる。もちろん「公共」政策だからといって,これに従うべきだとか,私益追及ではないというような意味合いはまったくない。

しかも現代国家においては,政府の行動が極めて大きな比重を占めている(たとえば「社会保障」は,GDPの20%が動き,国家予算の5割を超えるという指摘がある(「教養としての社会保障」)。政府の行動の最も基本と考えられる「秩序維持」のみならず,「経済・金融政策」,「社会保障」,「教育」,「外交・戦争(防衛)」等々,いずれも公共政策である。市民や企業の日常に,このような政府の公共政策が介入する場面は極めて大きく,これを離れて,日々の生活やビジネスは成り立ちがたいだろう。

したがって「公共政策」という「窓」を通すことによって,市民や企業の日常に大きく侵入することのある政府のまとまった行動と,これとは別に存在する市民や企業の独自の行動領域,及びこれらの関係が見えてくる。市民や企業にとって,多くの場合,公共政策はあくまで行動するためのフレームワーク,制約にすぎず,市民や企業の多くは,その中で自律的にそれぞれの目的追及のために行動している。

しかしそうであっても,どちらの行動も,上記の①問題-②設計-③決定-④実施-⑤評価という共通の手法,基盤で分析することができる。

このような意味で,「公共政策」の分析手法は,社会を把握,分析するツールとして有用であると考えられる。具体的な適用は,今後の「「政府の政策」を読み,活用する」の中で考えていこう。

本書の分析手法の応用性

このように,本書が公共政策を分析する際の,①問題-②設計-③決定-④実施-⑤評価という枠組みは,単に公共政策だけではなく,市民の日常生活から,企業の経済戦略を含んで,一般的に適用することができる。

例えば,①問題-②設計-④実施-⑤評価の過程は,社会における市民,企業の一般的な行動過程そのものである。公共政策では,ここで除いた③決定が独自の大きな意味を持つが,これは公共政策が,民主的な政治システムに従って決定され,市民,企業の権利制限,義務付けが,法令によってなされなければならないからである。そのため,学者を動員した検討(権威付け)がなされること,政策案を国家の法体系に整合的に適合した法令とするために膨大な労力が割かれること,政治家が登場して様々な思惑から駆け引きがなされること等々は,公共政策特有の問題である。

また③決定-④実施過程は,市民にとっての,政治,社会批判(⑤評価)である。したがって,私たちが今の社会に対して持つ様々な不満は,たいてい,政府及びこれに関与する政治家,官僚,財界,マスコミ等々が展開する「公共政策」の,③決定,④実施,及びこれらの報道と不即不離である。市民の批判が,③④について,単なる直観的,情緒的な批判ではなく,①問題-②設計-③決定-④実施の過程を踏まえた批判になれば大きな意味があろう。

なお④実施-⑤評価の過程の過程は,弁護士にとっては,違法な行政行為とその是正を求める訴訟過程でもある。

①問題-②設計-③決定-④実施-⑤評価の過程の概要

以下,①ないし⑤の過程について,本書の内容を概観する。なお本書は,本文中でも,適宜そこまでの説明を要約しており,その意味でもとても使いやすい。

①問題

これについて本書が挙げるツールは,ⅰ問題への注目,ⅱフレーミング,ⅲ問題構造の分析である。

ⅰ「問題への注目」につき,問題が注目される要因としては,①重大事件の発生,②社会指標の変化,③専門家による分析,④裁判所での判決がある。問題への注目には様々なパターンがあり,同じ状態が続いていても世間の関心が上昇・下降する場合もある 。

ⅱ「フレーミング」につき,政策問題をどのような枠組みで捉えるかというフレーミングによって,問題への認識や対応は異なる。フレーミングで重要な役割を果たすのが言説である。またフレーミング自体も時代によって変化するものである(リフレーミング)。

ⅲ「問題構造の分析」につき,分析されるべき問題構造とは,問題を形成する要因とその要因間の関連性である。要因探索手法としては,階層化分析(ロジックツリー。MECEの原則による。)と,ブレインストーミングとKJ法等がある。問題要因が探索されると,次にコーザリティ(因果関係)分析が行われ,要因間の関連性が示される。これによって判明した要因間の関連性をもとに問題構造図が作成される。その際重要なのがフィードバック・ループの存在である。

②設計

これについて本書が挙げるツールは,ⅰ社会状況の分析,ⅱ問題解決の手段,ⅲ費用便益分析,ⅳ法案の設計である。

ⅰ「社会状況の分析」につき,政策問題に対して担当部局によって解決案(政策案)が設定されるが,まず社会情報の調査が行われる。担当部局は独自に調査する場合もあれば,外部のシンクタンクに調査を委託したり,既存の調査結果を利用したりする。次に将来状況についての予測が行われるが,資源不足から行われない場合も少なくない,予測の基本手法としては,投影的予測,理論的予測,類推的予測があるり,使い分けられる。

ⅱ「問題解決の手段」につき,政策を,目的を達成するために政府が社会をコントロールする活動と捉えた場合,政策手段の区分として,①直接供給・直接規制,②誘引,③情報提供の三つがある。これらが単独で用いられることは稀であり,ポリシーミックスと称されるように様々な手段が組み合わされて用いられる,この際重要なのは相乗効果の発揮である。

ⅲ「費用便益分析」,ⅳ「法案の設計」につき,費用便益分析では,政策が社会にもたらす費用と便益が算出され,意思決定のための指標が計算される。これらの分析をもとに政策手段が選択され,ポリシーミックスとして組み合わされると,その政策を実施するための法律案(法案)が設定される

③決定

決定過程については,ⅰ専門家・業界の意見聴取,ⅱ市民の意見聴取,ⅲ官邸との調整,ⅳ与党・政治家との調整,ⅴ国会審議が検討されており,従前,政治学や行政学で論じられてきた問題である。

④実施

これについて本書が挙げるツールは,ⅰ実施のデザイン,ⅱ組織間の連携と調整,ⅲ第一線職員である。

ⅰ「実施のデザイン」につき,政策を実施していくために,法律の執行に伴って内閣は政令を定め,担当省は省令を定める。また実施の現場となる地方自治体に対しては担当省から通達・通知として,具体的な命令・指示が行われる。さらに現場の担当職員に対しては実施のための具体的なマニュアルとして「実施要領」が作成される。

ⅱ「組織間の連携と調整」につき,政策の実施には多くの機関が関与する。機関の間の関係は,法律等によって規定されているものの,実際に政策を実施してく上では様々な調整が必要になる。調整は担当者の連絡調整会議を主体に行われるが,中央府省から地方自治体への出向者を通じて行われる場合もある。

ⅲ「第一線職員」につき,政策実施の現場で職務を遂行する第一線職員には,一定の裁量があり,職員がどのように裁量を行使するかによって実際に住民に提供される政策の内容が異なってくる。また第一線職員は実際の職務を遂行していく過程では,業務量の方さや相対立する政策目的といった困難を抱えているのである。

⑤評価

これについて本書が挙げるツールは,ⅰセオリー評価,ⅱプロセス評価,ⅲ業績測定,ⅳインパクト評価である。

ⅰ「セオリー評価」は,政策のデザインの妥当性,政策のロジックが適切であったか否かについての検討,評価である。ロジックを構成する要素は,投入,活動,産出,成果(中間・最終)であり,この経路図が「ロジックモデル」といわれる。デザインが評価されると,評価の焦点は政策に実施状況に移る。これがⅱ「プロセス評価」である。

ⅱ「プロセス評価」は,当初の計画をもとに適切に政策が実施されたか,投入された資源は質量ともに適切であったかが,検討される。その中心になるのが実施状況のモニタリングであり,各種データの収集から実施現場の訪問まで行われる。次に政策の活動内容と成果(結果)が計測される。

政策がもたらした結果について検討するⅲ「業績測定」では,「算出」と「成果」の二つを「業績」として計測していく。そこでは政策の業績に関する指標(業績指標)が「目標値(業績目標)」とともに設定され,それを基に測定される。さらに目標値の達成度合いをもとに政策を見直していく「目標による管理」も行われる。評価の焦点は,「政策が最終的に当初の目的を達成できたか否か」に移る。

ⅳ「インパクト評価」では政策の実施による問題の改善度合いの観点から評価が行われる。実験法や準実験法では「政策を実施した集団」「政策を実施しなかった集団」の比較が行われる。また,全国単位で実施される政策では集団の比較が困難なため,実施前後の比較で効果が測定評価される。各評価手法で得られた評価結果をもとに政策を改善していくことが重要になる。

法令の位置付け,その他

①問題-②設計-③決定-④実施-⑤評価の過程を見ていくと,②③④に法令が出てくるが,その内容について,大した分析がされていない。法令の柵瀬,適用が,公共政策の立案・実行に一過程であるという理解は視野を広げるが,そのうえで法令がどうあるべきなのかを考える必要がある。

法令は,自然言語に基づく「ルール」であるが,法は歴史的に形成されてきた「文化」であること,国全体の法体系が矛盾なく存在すべきであること,国民の権利を制限し義務を負わせることからその内容が緻密であること等の負荷があり,その起案は,行政にとって大きな負担となっている。「公共政策」の一環として,法令が容易に理解できるように改善されるべきであるが,実際は,「責任逃れ」もあって,ますます長大化,複雑化し,理解しがたいものとなっている。「公共政策学」も法令の改善に取り組んでいただきたい。

その他,本書は公共政策の改善をする手法として,「inの知識」と「ofの知識」をあげる 。「inの知識」とは,「政策決定に利用される知識」であり,政策を分析評価する手法をに係わる。「ofの知識」とは「政策のプロセス」に関する知識であり,政策が決定,実施されるメカニズムに係わるとする。ただあまりピンとこない。

あと公共政策を上記の過程に分け分析をすることは優れた手法だと思うが,それぞれでする分析の内容が,論理的で科学的,あるいはデータを踏まえた誤りのない統計分析であることが必要だ。

一応本書の紹介はここまでとし,詳細目次を掲記しておく。なお,次に,この分野の最大の問題である「社会保障」についてだけは,考えておきたい。そのために次に上記の「教養としての社会保障」を紹介したい。

 

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