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ようこそ−このサイトの紹介

このサイトは移転します

このサイトは,2019年10月20日,「未来の法律事務所」(https://murachanlaw.com/)に移転しました。しばらくこのWebは残しますが,記事も全部移転していますので,「未来の法律事務所」をご利用ください。

ようこそ−このサイトの紹介

法と弁護士業務について紹介するWebサイト「弁護士村本道夫の山ある日々」のTOP PAGEへようこそ。

このサイトのうち,「弁護士の仕事を知る」は,弁護士に相談・依頼したいと思う人に基本となる知識を提供する「法律相談と弁護士への依頼」,「市民・企業の法律問題」,「分野別法律問題の手引」と,新しい法律問題や法制度の在り方について検討する「新しい法律問題」,「法を問題解決と創造に活かす」から構成されています。

これらをご覧になって私に相談,依頼しようと思う方は,私が執務している「カクイ法律事務所」に電話(03-5298-2031),FAX(03-5298-2032),または下記の「お問い合わせ」フォームを送信して,お問い合わせください(事務所(神田淡路町)の場所と地図はこちらです。)。

「お問い合わせ」フォーム(ここをクリックして移動してください

更に私は,現在,将来の社会が抱える様々な問題を解決し,価値を創造するにはどうすべきなのか,その中で法やルールはどうあるべきなのか等について考察する「問題解決と創造に向けて」を作成,公開しています。

これらを構成する記事や,私の日常を綴った記事を投稿する「ブログ山ある日々」は,「 投稿 SITE MAP」や,メニュー,アーカイブ等を利用してご覧ください。なお最新の投稿は,この次(下)の記事からになります。

この頁のもう少し詳しい内容は,固定ページの「ようこそ」をご覧ください。

 

 

ドラッカー あれこれ

「ドラッカー あれこれ」の種本

ドラッカーについて,備忘のために,あれこれまとめておく。参考にするのは「P.F.ドラッカー 完全ブックガイド」(上田惇生),「ドラッカー入門 新版」(上田惇生),「究極のドラッカー」(國貞克則)等である。

ドラッカーの略歴と「傍観者の時代」

ドラッカーは,1909年ウィーンに生まれ,ドイツ,イギリスを経て,1937年にアメリカに移住し,大学,大学院で教え,多くの本,論文を書き,2005年に死去した。

69歳の時に出版された半自伝の「傍観者の時代」には,1943年のGM調査の頃までに(1946年「企業とは何か」),ドラッカーと交流,関係のあった綺羅星のごとき人物の言動が挙げられている。ドラッカーがそのような人物と知り合うことのできる家に生まれ,その機会があったということでもあるが,ソ連と共産主義の迷走,第一次大戦,ナチスの台頭,殺戮,第二次大戦等の時代,社会の流れの中で生き抜いていく「真摯」な姿勢(ドラッカーの翻訳で多用される。)があったからこそ,その交流,関係を切り開くことができたのであろう。

まず「傍観者の時代」に挙げられた人名をあげてみよう。

おばあちゃん,シュワルツワルト家のヘムとゲーニア,エルザ先生とゾフィー先生,フロイト,トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラー,ポランニー一家(マイケル,カール等),クレイマーとキッシンジャー,ヘンシュとシェイファー,ブレイルズフォード,フリードバーグ商会,ヘンリー・ルース,フラーとマクルーハン,アルフレッド・スローン,ジョン・ルイス等々が,生き生きと駆け抜けている。時代の激動の中で忘れられた人も多いが,フロイト,ポランニー,フラー,マクルーハン等々,びっくりする。ドラッカーの人生の重みが伝わってくる。また後述する「影響を受けた思想家」も多様である。

これらを基盤に,ドラッカーは,多くの単行本,論文を書いている。

次にドラッカーの著作をみてみよう。

著作

ドラッカーの著作は,三十数冊と言われるが,正確な数はカウントしがたい。と言うのは,抜粋集や名言集があったり,これらについて日本語版が先行し英語版が刊行されたりと複雑だ。英語版の著作は,下記の「BOOKS BY PETER F. DRUCKER」記載のとおりである。

日本語の抜粋集として,「はじめて読むドラッカー」3部作があり,「プロフェッショナルの条件」(自己実現編),「チェンジ・リーダーの条件」(マネジメント編),「イノベーターの条件」(社会編)で構成されていた。そのうち第2作を中心として「The Essential Drucker」が,第1作,第3作を受けて「A Functioning Society」が刊行されている。なお,その後「はじめて読むドラッカー」第4作として「テクノロジストの条件」が刊行されている。

その他,抜粋集として「ドラッカー365の金言」(The Daily Drucker)。名言集として「仕事の哲学」,「経営の哲学」,「変革の哲学」,「歴史の哲学」がある。

ドラッカーの著作として「経営学書」は2冊しかないというはなしがある。経営戦略の端緒を開いた「Managing for Results」(もともとは,「Managing Strategy」だった。),経営学としてイノベーションをはじめて考察した「Innovation and Entrepreneurship」である。その他は,多かれ少なかれ,社会,政治,歴史がらみであり,ドラッカーはジャーナリストであるという見方にも根拠がある。

BOOKS BY PETER F. DRUCKER

MANAGEMENT

The Daily Drucker /The Essential Drucker /Management Challenges for the 21st Century /Peter Drucker on the Profession of Management /Managing in a Time of Great Change /Managing for the Future /Managing the Non-Profit Organization /The Frontiers of Management /Innovation and Entrepreneurship /The Changing World of the Executive /Managing in Turbulent Times /Management Cases /Management: Tasks, Responsibilities, Practices /Technology, Management and Society /The Effective Executive /Managing for Results /The Practice of Management [Concept of the Corporation

ECONOMICS, POLITICS, SOCIETY

Post-Capitalist Society /Drucker on Asia /The Ecological Revolution /The New Realities /Toward the Next Economics /The Pension Fund Revolution /Men, Ideas, and Politics /The Age of Discontinuity /Landmarks of Tomorrow /America’s Next Twenty Years /The New Society /The Future of Industrial Man /The End of Economic Man

AUTOGRAPHY

Adventures of a Bystander

FICTION

The Temptation to Do Good /The Last of all Possible Worlds

ドラッカーに影響を与えた思想家

「P.F.ドラッカー 完全ブックガイド」に「ドラッカーに影響を与えた思想家」が紹介されている。参考になるので転載する。

社会生態学のルーツ─哲学、政治思想、経済、歴史、社会,そして小説すらも

 ウォルター・バジョット(1826ー1878)

アレクシ・ド・トクヴィル(1805ー1859)

ベルトラン・ド・ジュヴネル(1903ー1987)

フェルディナンド・テンニース(1855ー1936)

ゲオルグ・ジンメル(1858ー1916)

ジョン・R・コモンズ(1862ー1945)

ソースティン・ヴェブレン(1857ー1929)

継続と変革の相克を

ヴィルヘルム・フォン・フンボルト(1767ー1835)

ヨゼフ・フォン・ラドヴィッツ(1797ー1853)

フリードリッヒ・ユリウス・シュタール(1802ー1861)

技術の見方、社会における技術の位置づけ

アルフレッド・ラッセル・ウォレス(1823ー1913)

ジョゼフ・シュンペーター(1883ー1950)

言語に対する敬意

フリッツ・マウトナー(1849ー1923)

カール・クラウス(1874ー1936)

セーレン・キルケゴール(1813ー1855)

年表

1909…0歳。11月19日,オーストリア・ハいかくンガリー帝国の首都ウィーンに生まれる。父アドルフ(1876ー1967)は貿易省次官(のち退官して銀行頭取,ウィーン大学教授,アメリカに亡命してノースカロライナ大学,カリフォルニア大学ほか教授)。母キャロライン(1885ー1954)はイギリス人銀行家を父とする。ウィーン大学医学部を卒業後,チューリッヒの神経科クリニックで1年ほど助手をつとめた。開業することなく家庭に入ったが,当時としては珍しい女性神経科医。

1914…4歳。第1次世界大戦勃発。

1917…7歳。父親に精神分析学者フロイトを紹介され,強い印象を受ける。フロイト『精神分析入門』発表。

1918…8歳。11月11日,第1次世界大戦終結。ハプスブルク家は滅び,オーストリアは分割され共和国となる。

1919…9歳。ウィーンのギムナジウムに入学。授業は退屈でうんざりしていたという。

1927…17歳。飛び級で1年早くギムナジウムを卒業しウィーンを出る。ドイツに移住し,ハンブルグで事務見習いとして商社に就職。ハンブルグ大学法学部入学。大学入学審査論文は「パナマ運河の世界貿易への影響」。

1929…19歳。フランクフルト大学法学部へ編入。当時無名だった19世紀のデンマークの思想家キルケゴールを知り,読みふける。フランクフルトで米系証券会社に就職するも,世界大恐慌(暗黒の木曜日)で倒産。

1930…20歳。地元有力紙「フランクフルト・ゲネラル・アンツァイガー(フランクフルト日報)」の経済記者となる。

1931…21歳。入社2年後,副編集長に昇格。この頃から,ナチスの政権掌握を予測し,ナチス幹部に何度も直接インタビューする。国際法で博士号を取得。博士論文は「准政府の国際法上の地位」。この頃,後に生涯の伴侶となる下級生ドリス・シュミットと出会う。

1933…23歳。ヒトラーが政権掌握。初の著作『フリードリッヒ・ユリウス・シュタールー保守主義とその歴史的展開』を名門出版社モーア社より法律行政叢書第100号記念号として出版後,禁書とされて焚書処分。一度ウィーンに戻ってからロンドンに逃れる。地下鉄のエスカレーターでドリスとすれ違い再会を果たす。

1934…24歳。ロンドンのシティで,マーチャントバンクのフリードバーグ商会にアナリスト兼パートナー補佐として就職。ケンブリッジ大学で経済学名ケインズの講義を聴くも,肌に合わず。自分は経済学徒ではないことを確信する。雨宿りに入った画廊で日本画に遭遇。

1937…27歳。ドリスと結婚して,アメリカへ移住。『フィナンシャルータイムズ』他に寄稿。フリートバーク商会などにアメリカ経済短信を送付。

1938…28歳。『ワシントン・ポスト』他に欧州事情を寄稿。

1939…29歳。処女作『「経済人」の終わり』出版。『タイムズ』紙書評欄で,後のイギリス宰相チャーチルの激賞を受ける。ニューヨーク州のサラ・ローレンス大学で非常勤講師として経済と統計を教える。

1940…30歳。短期間,経済誌『フォーチュン』の編集に携わる。

1941…31歳。日米開戦直後(誕生日を迎え32歳)のワシントンで働く。フリーア美術館で日本美術に傾倒。

1942…32歳。バーモント州のベニントン大学で,教授として政治,経済,哲学を教える。アメリカ政府の特別顧問を務める。第2作『産業人の未来』出版。

1943…33歳。『産業人の未来』を読んだGM幹部に招かれ,世界最大のメーカーだったGMの組織とマネジメントを1年半調査する。アルフレッド・スローンから大きな影響を受ける。アメリカ国籍を取得。

1945…35歳。第2次世界大戦終結。

1946…36歳。GM調査をもとに,第3作『企業とは何か』を出版。「分権制」を提唱する。フォードが再建の教科書とし,GEが組織改革の手本とする。ここから世界中の大企業で組織改革ブームが始まる。

1947…37歳。欧州でのマーシャループラン実施を指導。

1949…39歳。ニューヨーク大学大学院経営学部教授に就任。大学院にマネジメント研究科を創設。

1953…43歳。ソニー,トヨタと関わりをもつ。

1954…44歳。『現代の経営』出版。マネジメントの発明者,父といわれるようになる。

1947…47歳。モダンからポストモダンへの移行を説いた『変貌する産業社会』出版。

1959…49歳。初来日。立石電機(現オムロン)などを訪問。日本画の収集を始める。

1964…54歳。世界初の経営戦略書『創造する経営者』出版

1966…56歳。日本の産業界への貢献により,勲三等瑞宝章を授与される。万人のための帝王学とされる『経営者の条件』出版。

1969…59歳。今日まで続く転換期を予告した『断絶の時代』出版。後年,サッチャー首相が本書をヒントに民営化政策を推進。世界の民営化ブームはここからはじまる。

1971…61歳。カリフォルニア州クレアモント大学院大学にマネジメント研究科を創設。同大学院教授に就任。

1973…63歳。マネジメントを集大成して『マネジメント』出版

1975…65歳。『ウォールーストリートージャーナル』紙への寄稿開始。以降20年にわたり執筆。

1976…66歳。高齢化社会の到来を予告して『見えざる革命』出版。

1979…69歳。半自伝『傍観名の時代』出版。クレアモントのポモナーカレツジで非常勤講師として5年間東洋美術を教える。

1980…70歳。いち早くバブル経済に警鐘を鳴らした『乱気流時代の経営』出版。

1981…71歳。GEのCEOに就任したシャッターウェルチと一位二位戦略を開発。『日本成功の代償』出版。

1982:72歳。初の小説『最後の四重奏』出版。『変貌する経営名の世界』出版。

1984…74歳。小説『善への誘惑』出版。

1985…75歳。イノベーションの体系化に取り組んだ『イノベーションと企業家精神』出版。

1986…76歳。雑誌への寄稿論文を集めた『マネジメントーフロンティア』出版。

1989…79歳。ソ連の崩壊やテロの脅威を予見した『新しい現実』出版。

1990…80歳。NPO関係者のバイブルとされる『非営利組織の経営』出版。東西冷戦終結。

1992…82歳。大転換期の指針を示す『未来企業』出版。

1993…83歳。知識社会の到来を指摘した『ポスト資本主義社会』,自らを「社会生態学者」と定義した『すでに起こった未来』出版。

1995:85歳。『未来への決断』出版。

1996…86歳。『挑戦の時』『創生の時』(英語版『ドラッカー・オンーアジア』)出版。

1998…88歳。『ハーバードービジネスーレビュー』誌の論文を集めた『P.F.ドラッカー経営論集』出版。

1999…89歳。ビジネスの前提が変わったことを示す『明日を支配するもの』出版。

2000…90歳。ドラッカーの世界を鳥瞰するための入門編として,日本発の企画「はじめて読むドラッカー・シリーズ」3部作『プロフェッショナルの条件』『チェンジーリーダーの条件』『イノペーターの条件』出版。

2002…92歳。雇用やマネジメントの変化を論じた『ネクストーソサエティ』出版。アメリカ大統領より最高の民間人勲章「自由のメダル」を授与される。

2003…93歳。「ドラッカー名言集」四部作,『仕事の哲学』『経営の哲学』『変革の哲学』『歴史の哲学』出版。

2004…94歳。『実践する経営名』出版。日めくリカレンダー風名言集『ドラッカー365の金言』出版。

2005…95歳。「日本経済新聞」にて「私の履歴書」連載,書籍化。「はじめて読むドラッカー・シリーズ」第4作『テクノロジストの条件』出版。11月11日,クレアモントの自宅で死去。96歳の誕生日になるはずだった1月19日,わが国にドラッカー学会が設立される。

2006…100歳の誕生日を祝う予定で生前に本人とともに企画した「ドラッカー名著集」12作品15冊,『経営名の条件』『現代の経営』より刊行開始。上田惇生著『ドラッカー入門』出版。

2007…名著集『非営利組織の経営』『イノベーションと企業家精神』『創造する経営者』『断絶の時代』『ポスト資本主義社会』『「経済人」の終わり』出版。生前ドラッカー本人より依頼を受けて取材執筆したエリザベス・ハース・イーダスハイム著『P・F・ドラッカー理想企業を求めて』出版。

2008…名著集『産業人の未来』『企業とは何か』『傍観名の時代』『マネジメント《上・中・下》』出版完了。『プロフェッショナルの原点』出版。

2009…『経営者に贈る5つの質問』『ドラッカー時代を超える言葉』山版。岩崎夏海著『もし高校野球の女子マアネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(もしドラ)発行。

2010…『【英和対訳】決定版ドラッカー名言集』『ドラッカー・ディフアレンズ』出版。上田惇生監修,佐藤等編著『実践するドラッカー【思考編】』出版。【行動編】

2011…ブルースーローゼンスティン著『ドラッカーに学ぶ自分の可能性を最大限に引き出す方法』出版,上田惇生著『100分de名著ドラッカーマネジメント』出版。上田惇生監修,佐藤等編著『実践するドラッカー【チーム編】』出版。「もしドラ」ブームを受け『マネジメント【エッセンシャル版】』100万部突破。

2012…上田惇生監修,佐藤等編著『実践するドラッカー【事業編】』山版。『マネジメント』(リバイスドエディション)出版予定。

 

 

海外との仕事をする準備(備忘)

依頼者が海外との仕事をする際,その仕事に弁護士として参加,支援するために必要となる準備事項・前提事項をまとめておく。なおこの項目については,日弁連が実務研修をしている事項が多いので,適宜それを引用する(日弁連「…」とする。)。内容について疑問があれば問い合わせていただきたい。

国際法と異文化理解

海外との仕事をするということは,日本国に属する私たちと,X国に属するY企業が向き合う関係だから,国と国との慣習,マナーである最低限の国際法を踏まえる必要がある。そうでないと思わぬ対立を招く。手頃な入門書として「国際法第3版」を紹介しておく。

また,人間対人間だからわかるだろうという前に,「異文化を理解する」姿勢を持つことが重要だ。これについては,まず「異文化理解 相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養」という本を読んでみることだ。個別事案への対応はそれからだろう

国際貿易

日本企業が輸出入に関与することはそれこそ日常茶飯時だから,弁護士がその実務に関与することは少ないが,対象商品に問題が生じた場合に,その対応を依頼されることが多い。多いのは輸入商品であるが,交渉レベルで解決すればともかく,裁判,執行の問題になることも多いが,海外で回収できる場合は少ない。日弁連「中小企業の海外展開業務に関わる実務上の諸問題 第1回 海外取引に関する法的留意点」及び「貿易実務~中小企業の海外展開を支援するために必要な知識を中心に~」が参考になる。

国際私法と国際裁判管轄,及び国際租税

国際私法と国際裁判管轄は,海外との取引に紛争が生じた場合に,どこの裁判所に管轄があり,どこの法律が適用になるかという問題である。法律学の一分野であり,論理適用の問題であるが,その実効性が問題である。日弁連「中小企業の海外展開業務に関わる実務上の諸問題 第2回 海外進出に関する法的留意点」及び「国際取引分野における国際私法の基本体系と動向」が参考になる。

海外との取引に関する税務問題も重要である。日弁連「税務面を考慮した中小企業海外取引の法的構造」は得難い情報である。

国際契約

海外との仕事の出発点は契約だ。さすがにすべて口頭でというケースはないが,重要なことの検討が不十分な契約書が多い。国際契約については,英文契約書がモデルになるメースが圧倒的に多い。日本での契約書にもその影響がある。

英文契約書を学ぶには,まず「はじめての英文契約書の読み方」(著者:寺村淳)をじっくり読みこむのがいい。そのうえで,「米国人弁護士が教える英文契約書作成の作法」(著者:チャールズ・M・フォックス(原書:Working with Contracts: What Law School Doesn’t Teach You by Charles M. Fox)がよさそうだ。

日弁連の研修には,「中小企業の海外展開業務に関わる実務上の諸問題 第3回 英文契約の基礎知識(総論)及び国際取引契約の基礎(各論)」,及び「英文契約書作成の実務」の「第1回 英文ライセンス契約書作成の留意点」「第2回 英文製造委託契約書作成の留意点」「第3回 国際販売店契約の基礎」がある。復習用にいい。

海外進出実務

アメリカ,EU,中国,韓国についてはすでに十分な蓄積があるし,割と身近に実例も多くて,見当もつけやすいだろう(EUは,分かりにくいところもあるが,まずJETROで情報収集すべきであろう。)。アジアについては,「海外進出支援実務必携」に網羅的な情報が記載されている。

ここではASEANを考える。

ASEANに企業進出する際の基本的な問題点は,日弁連「海外子会社管理の実務~ケーススタディに基づくポイント整理~」,及び「中小企業の海外展開サポートにおける法律実務~失敗事例から学ぶ成功ノウハウ~」に貴重な情報がある。

そのうえで各国別の情報を丹念に検討すればいい。日弁連の研修には,「中小企業の海外展開業務に関わる実務上の諸問題」「第4回 現地法の基礎知識-中国法・ベトナム法」「第5回 現地法の基礎知識-発展途上国との取引の注意点」,「現地法の基礎知識-タイ法」,「現地法の基礎知識-インドネシア法」がある。

注意すべき点

金銭移動が伴う海外案件で注意すべき点だが,昔は外為法がとても大きな意味を持ったが今は基本的には事務的なことと理解していいだろう(日銀Web)。それに変わって今大きな意味を持つのが,マネーロンダリングである。これについて実務家は,今,細心の注意を払う必要がある(外務省Web)。そうではあるが,マネーロンダリングは,①犯罪収益,②テロ資金,③脱税資金の監視ということであり,①はさほど大きな拡がりを持つものではないし,②はかなり限定された時期,地域の「政治的な問題」である。③は国によって考え方が違う。また仮装通貨が多用されるとこれはどうなるのかという疑問もある。

 

 

AIと法

この投稿記事は,「弁護士業務案内」,「AIと法」の固定記事として作成したものです。内容は逐次改定しますので,最新の内容は,こちらを見てください。

AIに期待すること

「私は,現時点で,(少なくても我が国の)法律家がする業務には大きな二つの問題があると考えている。ひとつは,法律が自然言語によるルール設定であることから,①文脈依存性が強く適用範囲(解釈)が不明確なことや,②適用範囲(解釈)についての法的推論について,これまでほとんど科学的な検討がなされてこなかったこと。ふたつめは,証拠から合理的に事実を推論する事実認定においても,ベイズ確率や統等計の科学的手法がとられていなかったことである。」と指摘し,これを変える「方向性を支えるのがIT・AIだとは思うが,まだ具体的なテクノロジーというより,IT・AIで用いられる論理,言語,数学(統計)を検討する段階にとどまっているようだ。前に行こう。」と書いた(「プロフェッショナルの未来」を読む。)。「そしてこれが実現できれば,「法律の「本来的性質」が命令であろうと合意であろうと,また「国家」(立法,行政,司法)がどのような振舞いをしようと,上記の観点からクリアな分析をして適切に対応できれば,依頼者の役に立つ「専門知識」の提供ができると思う。」」とも考えている。

イギリスでの議論

「プロフェッショナルの未来」の著者:リチャード・サスカインドには,「Tomorrow’s Lawyers: An Introduction to Your Future 」(by Richard Susskind)があり,これは,上述書の対象を法曹に絞り,さらに詳細に論じているようだ。

これに関連するKindle本を検索していて関連図書として「Artificial Intelligence and Legal Analytics: New Tools for Law Practice in the Digital Age」(by Kevin D. Ashley)を見つけた。でたばかりの新しい本である。そしてその中に(1.5),内容の紹介として次のような記述があった。なお二人ともイギリスの人である。

Readers will find answers to those questions(How can text analytic tools and techniques extract the semantic information necessary for AR and how can that information be applied to achieve cognitive computing?) in the three parts of this book.

Part Ⅰ introduces more CMLRs developed in the AI&Law field. lt illustrates research programs that model various legal processes:reasoning with legal statutes and with legal cases,predicting outcomes of legal disputes,integrating reasoning with legal rules cases,and underlying values,and making legal arguments.These CMLRs did not deal directly with legal texts,but text analytics could change that in the near future.

Part Ⅱ examines recently developed techniques for extracting conceptual information automatically from legal texts. It explains selected tools for processing some aspects of the semantics or meanings of legal texts,induding: representing legal concepts in ontologies and type systems,helping legal information retrieval systems take meanings into account,applying ML to legal texts,and extracting semantic information automatically from statutes and legal decisions.

Part Ⅲ explores how the new text processing tools can connect the CMLRs,and their techniques for representing legal knowledge,directly to legal texts and create a new generation of legal applications. lt presents means for achieving more robust conceptual legal information retrieval that takes into account argument-related information extracted from legal texts. These techniques whihe enable some of the CMLRs Part Ⅰ to deal directly with legal digital document technologies and to reason directly from legal texts in order to assist humans in predicting and justifying legal outcomes.

Taken together, the three parts of this book are effectively a handbook on the science of integrating the AI&Law domain’s top-down focus on representing and using semantic legal knowledge and the bottom-up,data-driven and often domainagnostic evolution of computer technology and IT.

 

このように紹介されたこの本の内容と,私が「AIに期待すること」がどこまで重なっているのか,しばらく,この本を読み込んでみようと思う。

AIに期待しないこと

実をいうと,「人工知能が法務を変える?」という質問に答えれば,今後,我が国の法律実務の現状を踏まえ,これに対応するために画期的なAI技法が開発される可能性はほとんどないだろう。我が国の法律ビジネスの市場は狭いし,そもそも世界の中で日本語の市場は狭い。開発のインセンティブもないし,開発主体も存在しない。ただ,英語圏で画期的な自然言語処理,事実推論についての技法が開発されることがあれば,それはまさに私が上記したような,法律分野におけるクリアな分析と対応に応用できるのではないかと夢想している。

したがって当面我が国の弁護士がなすべきことは,AIに期待し,怯えることではなく,「仕事に役立つIT技法」の習得,すなわち業務の生産性と効率性に力を注ぐことではないだろうか。それをしないと,弁護士の仕事をAIに奪われるのではなく,他の国際レベルで不採算の業種もろとも自壊していくのではないかと,私には危惧されるのである。

今後,「AIと法」について,新しい情報,新しい考え方を集積していきたい。

 

 

「プロフェッショナルの未来」を読む

「専門知識」を提供する仕事の明日はどうなるか,そのような仕事に携わるすべての人に一読をお勧めする

この本「プロフェッショナルの未来  AI,IoT時代に専門家が生き残る方法」(The future of the profession)の著者のサスカインド親(リチャード・サスカインド)は,イギリスの法律家で,かねて「The End of Lawyers?: Rethinking the nature of legal services 」や「Tomorrow’s Lawyers: An Introduction to Your Future」を書いて,ITが法律業務をどう変えるのかということに論陣を張っていたが,この本は,子のダニエル・サスカインドとの共著で,視野を専門職一般に広げ,ITとAIがこれらの専門職のありかたをどう変えるかを,詳細,緻密に論じている。

しかし問題は専門職に止まらず,必要としている者にまともな「知識」を提供することを生業とする仕事は,明日はどうなるかと捉え返すことができる。

専門職として取り上げられ(第2章)当該業務へのIT・AIの浸透状況が検討されているのは,医療,教育 ,宗教,法律,ジャーナリズム,経営コンサルティング,税務と監査,建築である。この章だけでも,IT・AIについて,まっとうな観点からの新しい情報として一読に値する。特に医療は,今後完全にIT・AIに制覇されるし,それが必要不可欠なことがよくわかる。その他の業務については,内容も方法も,凸凹がある。

専門職を軸にしていること

もともとサスカインド親は,80年代に法律のエキスパートシステムの開発を志し,上記の2著作もまさに法律業務をターゲットにしている。したがってこの本が順を追って専門職の業務内容を分析し,いかにその業務の多くがIT・AIによって置き換えられるかを懇切丁寧に論じているのは,主として頑として動かない法律家をを対象にしていることは明らかである。

ところで,専門職で使う分析手法を,定性的,定量的と分ければ,定量的な部分が大きいものは,文句なしに,IT・AIになじむし,そちらの方が効率的だから,その仕事の一部がIT・AIに置き換えらていくのは当然だろう。実際上記であげられた専門職の中でこれまでの仕事のありかたを変えることに抵抗があるのは,法律と教育ぐらいではなかろうか。しかも教育は予算が付けば 柔軟に変わるだろうし(宗教,,ジャーナリズムは,その業務内容もIT・AIの利用方法も意味合いが違うだろう。)。

したがって,著者の論述の限りで,専門職や,それに止まらず「専門知識」を提供するすべての仕事にとって,この本の分析が核心を突き,大いに参考になるのは間違いない。過日,私は,「人工知能の哲学」の著者のAIの今後の分析(第5章)は冷静であると指摘したが,この著者は,多少うちわであおいでいるところがある。しかし前者はバブリーな環境で「冷静」にふるまったものであり,この本は,頑なに動かない法律家を,あおいだものであり,言葉遣いに関わらず,ほぼ同じ分析に思える。

この本の,「専門知識」を提供する仕事とテクノロジーの関係についての分析は,ゆっくりと紹介したいのだが,今は先を急ぐので後日を期したい。

著者の法律家(専門職)についての分析には賛成したうえで,私は,少なくても我が国における法律業務のあり方については,IT・AI以前に,前提的に検討すべきことがあると思う(イギリスの法律家もこういうブレーキをかけそうだ。)。

法律業務の基本的な問題

私は,現時点で,(少なくても我が国の)法律家がする業務には大きな二つの問題があると考えている。ひとつは,法律が自然言語によるルール設定であることから,①文脈依存性が強く適用範囲(解釈)が不明確なことや,②適用範囲(解釈)についての法的推論について,これまでほとんど科学的な検討がなされてこなかったこと。ふたつめは,証拠から合理的に事実を推論する事実認定においても,ベイズ確率や統計の科学的手法がとられていなかったことである。

法律の「本来的性質」が命令であろうと合意であろうと,また「国家」(立法,行政,司法)がどのような振舞いをしようと,上記の観点からクリアな分析をして適切に対応できれば,依頼者の役に立つ「専門知識」の提供ができると思う。

私はこのような方向性を支えるのがIT・AIだとは思うが,まだ具体的なテクノロジーというより,IT・AIで用いられる論理,言語,数学(統計)を検討する段階にとどまっているようだ。前に行こう。

感想

ふたつほど感想を述べたい。

やはり,法律業務については,自然言語と権威が絡むから,少しIT・AI化が遅れるかな。誰が旗を振るインセンティブを持つかという問題もある。

それと,IT・AIを支える物質的な基盤は明日にでも世界に大惨事が起こって崩壊するかもしれない。そういうとき,どうやって生き延びるか,「この文明が消えたあとの科学文明のつくりかた」でも読んだ方がいいかな。それにしても,最近のイギリスの本は,なかなか素敵だ。もう少しして「ポストキャピタリズム」も紹介したい。

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太陽光発電設備を規制する条例を作る

某市の条例案作成をお手伝いしたこと

私は,南アルプスや八ヶ岳に囲まれた自然豊かな某市の市議会議員の方々から,同市内で今後も増え続けることが見込まれる太陽光発電設備について,FIT法(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)の改正を契機に,これを適切に規制する条例を作成したいので,アドバイスをしてもらいたいという依頼を受けた。某市はこれについて,景観条例を改正して太陽光発電設備も対象にしたが,その内容では不十分という声が市民から寄せられているということだった。私はそれまでにも,某市の景観条例や,まちづくり条例の解釈,運用について,議員サイドから相談を受けたことがあり,某市当局のこれらの条例及び関連法令の解釈,運用はおかしな点が多く,これらの条例の改正による規制は難しいと思われたので,新しい条例案を起案することにした。

といっても,私はそれまでFIT法については何も知らなかったし,条例の起案をしたこともなかった。すべて一からの勉強であった(しかも,別の私の投稿からわかるように,この時期極めて体調が悪く,作業が遅延して,市議会議員の方には大変なご迷惑をかけてしまった。)。

しかし6月議会の提出期限には何とか間に合い,市議会の特別委員会で審理に付されたが,残念ながら今回は,審議未了となってしまったということである。ひとつはまったく新しい条例だということもあったのだろうが,私にはよくわからない某市市議会内特有の「事情」もあったようだ。太陽光発電設備の規制をするかしないかの対立なら,議論は深化するが,どうもそうではないらしい。今回の規制ができないことで,みなし認定組が何の歯止めもなく,どっと施工を開始し,某市は,大変な混乱に巻き込まれる可能性がある。次の機会で間に合えばよいのだが。

太陽光発電設備が持つ問題点

最初に言っておくが,私も市議会議員の方も,アプリオリに太陽光発電設備の設置に反対しているのではない。再生可能エネルギーの持つ意義もわかるし(「中規模・大規模太陽光発電システム」(オーム社)を読むと,研究者,技術者のこれにかける意気込みを感じる。),光→電気という自然の有り様は大変興味深い。ただ,現在の太陽光発電設備の作られ方や作られる場所,及びこれに対するお金の使われ方には問題が多い。何よりそれまで快適な生活を営んでいた住民にとって,いきなり回りの空地に太陽光発電設備を設置されることが耐えがたいことは間違いない。

太陽光発電設備は,街中であろうと,貴重な自然環境の中であろうと,建築基準法等の規制なしに設置可能であるし,その形状や拡がり及び人が生活・管理していないことから,その存在は住環境や自然環境とは両立しがたい,これまでにない異様な工作物である。甚だしく「景観」を害するのだが,これまで保護の対象とされてきた「景観」とは大分異なるので,景観法-景観条例での定性的な規制でも不十分である。

このような太陽光発電設備が持つ問題点は,「太陽光発電事業の環境保全対策に関する自治体の取組事例集(環境省)」(私がまとめた別添の「太陽光発電に係る条例制定についての諸問題」の資料1)を見るとよくわかるし,FIT法改正と共に策定された「事業計画策定ガイドライン」は,まさにその対応集と言える。

また設置者が,太陽光発電事業の持つ意義(化石燃料や原子力の消費を減少させる面はあるだろう。)について意気に感じ,採算度外視でやっているというのなら我慢のしようもあるが,国が,設置者にばらまく資金(電力の買取料金)を国民の電気料金に含めて徴収するという仕組みを作り,設置者は,どこかの誰かが考え出した高利回りの収益が得られる投資先として太陽光発電事業に飛びつくという構図も耐えがたい。太陽光発電には現時点で国が描いた予定をはるかに超えて「投資家」が群がっており,これをそのままこれ以上増やすことは,止める時期だ。

今回のFIT法改正が,太陽光発電備事業について,単なる設備認定から事業認定へと舵を取り,事業遂行の適正化を求めたのは,このような状況を踏まえたものであって,十分な理由がある。

改正FIT法,施行規則及びガイドラインの要点

改正FIT法は,発電設備設置の認定申請があった場合「事業計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは,その認定をするものとする」とし,「再生可能エネルギー発電事業の内容が…経済産業省令で定める基準に適合するものであること」,「再生可能エネルギー発電事業が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること」,「再生可能エネルギー発電設備が,安定的かつ効率的に再生可能エネルギー電気を発電することが可能であると見込まれるものとして経済産業省令で定める基準に適合すること」を求めている。

そして施行規則でこれらの要件について,「当該認定の申請に係る再生可能エネルギー発電事業を営むに当たって,関係法令(条例を含む。)の規定を遵守するものであること」,「当該認定の申請に係る再生可能エネルギー発電設備について,当該設備に関する法令(条例を含む。)の規定を遵守していること」,「当該認定の申請に係る再生可能エネルギー発電事業を円滑かつ確実に実施するために必要な関係法令(条例を含む。)の規定を遵守するものであること」として,法令遵守の中に条例が含まれることを明記している。

次にFIT法改正と共に策定された「事業計画策定ガイドライン」(2019年4月にも一部改訂)は,文中でその位置づけについて,「事業計画ガイドライン(太陽光発電)は,再生可能エネルギー発電事業者がFIT法及び施行規則に基づき遵守が求められる事項,及び法目的に沿った適切な事業実施のために推奨される事項について,それぞれの考え方を記載したものである。本ガイドラインで遵守を求めている事項に違反した場合には,認定基準に適合しないとみなされ,FIT法第12条(指導・助言),第13条(改善命令),第15条(認定の取消し)に規定する措置が講じられることがあることに注意されたい。なお,努力義務として記載されているものについても,それを怠っていると認められる場合にはFIT法第12条(指導・助言)等の対象となる可能性がある。なお,事業計画ガイドラインはFIT法及び施行規則に基づいて再生可能エネルギー発電事業者に求める事項について記載したものであるため,再生可能エネルギー発電事業者の責任において,各法令及び条例の規定を確認すること」とある。

これらの関係を簡単にまとめれば,①太陽光発電事業が法令や条例に違反した場合は,認定基準に適合しないとみなされ,指導・助言,改善命令,認定取消しの対象となること(この限りで,事業者に強制力がある。),②ガイドラインで「~すること」と記載されている事項は,FIT法及び施行規則による遵守事項なので,これに違反した場合には,①に該当すること,③ガイドラインで「努めること」と記載されている事項は,推奨事項であること(ガイドラインは「それを実施せずに特に悪質な事業を行っていることが認められる場合には,指導・助言等の対象となる可能性がある」とするが実効性はないだろう。),④ガイドラインには,FIT法及び施行規則を除く他法令及び条例については,記載されていないこと。

私が見るところ,ガイドラインの推奨事項(「努めること」)は,もっぱら制度設計の法令であるFIT法及び施行規則には規定されていないが,太陽光発電設備の安全性,その設置により侵害される生活環境,自然環境の保全及び景観の保全について,現時点での重要事項を網羅している。しかし,残念ながらそのままでは推奨事項に止まるので,目先の利益を追求する事業者はこれを遵守しないだろう。

推奨事項の条例化を目指す

ではどうすればよいのか。自治体が条例を制定してこれを遵守事項とするなら,上記①の,条例に違反した場合は,認定基準に適合しないとみなされ,指導・助言,改善命令,認定取消しの対象となることになり,実効的な規制が可能となる。

今回の条例案はまさにその方向で起案されている。ガイドラインの推奨事項の重要事項を条例化すること,事業者は,認定前,設備施工後,通常時(毎年1回),緊急時に,それぞれ,条例及びガイドラインの遵守事項(市で把握,審査可能なものに限った。)の履行状況について市に届出をし,市は,その適合の有無を審査すること,住民は,これについて住民意見書を提出できること,通常時,緊急時の審査は,市の労力を考え住民意見書が提出された場合に限ること,届出書,審査結果は,WEBで公開すること,条例(法令)不遵守の場合は経産大臣に通知し認定取り消しを促すこと等を規定した。また,既に認定済みのものも含めて周辺住民に説明会の開催をすること,住民との「協定」を締結したときは,協定事項については審査をしないこと等を規定した。

法(条例)の不遡及とみなし認定について

一般に,条例が制定された場合,条例の規制は制定後の事案に適用され,遡及させないのが法の原則である。遡及させることも可能ではあるが,それによって損害が生じれば,損害賠償や損失補償の対象となるであろう(本件の場合は,まだ着工していない事業者に,予定事業地を改めろとか,計画済みのパネルの配置を条例に適合させろとかの規制が問題になるが,これによって生じる損害は市が「補填」することになるだろう。)。

実は某市では,既に旧認定(設備認定)を得たが未施工である案件が3000件程度あると言われ,市民はそれらの事案についてもこれから制定する条例の規制対象にしたいという強い希望を持っていたが,私は,市が多額の損害賠償や損失補償を負担する可能性のある条例の制定は不適切と考え,認定済みの事案についての条例の適用は,原則として施工後とするように経過措置を規定している。そうであっても,その運用・管理には目が届くし,早期に住民への説明会を開催させ,任意に計画を変更させる可能性は残っている(なお,現時点(2019年5月)では,計画済みのパネルの配置等については,多額の損害が生じる等の事情がなければ,設置時までにこれを変更させることが可能な場合があると考えている(「太陽光発電の規制をめぐる法律問題」)。

ところで,改正FIT法では,旧認定取得者もある要件のもとに新認定制度による認定を受けたものと見なされ(みなし認定),ガイドラインに基づく「事業計画書」の提出が求められている。またみなし認定制度のQ&Aで,国は「認定申請時に関係するすべての法令・条例の許可等を取得していなければならないのか?」「関係するすべての法令・条例の許可等を取得していない場合でも認定は取得できます。認定取得後に関係法令・条例の許可等を取得できなかったことが判明した場合は,認定取り消しの対象となります」とあることから,私もみなし認定制度は,みなし認定の時点で新たな認定とされ,その時点の法令・条例への適合を求めているのではないかとも考えてみたが,みなし認定の文言を見てもどうもそういうことではないらしい。

条例策定を支援します

私が用意した条例案策定前のレジュメ「太陽光発電に係る条例制定についての諸問題」,条例案策定に当たって作成した「新ガイドライン・条例対比表」(ガイドライン本文,その「奨励事項」の条例文言案を対比したもの。「届出事項」も付加されているのだが,3段組みのWordはうまく読めないようなので,「届出事項」は削除して掲載する。),及び条例案を参考資料として掲載しておく。。

太陽光発電設備をめぐっては,各自治体で様々な条例の策定が検討されているであろうが,私は国が太陽光発電設備の問題点を洗い出し,その対応策をまとめた「ガイドライン」の「「奨励事項」の条例化が,もっとも問題の解決に適していると考える。

残念ながら某市での条例化は見送られたが,他の自治体でこの方向で条例化を考えたいというのであれば,喜んでその自治体に出かけてお手伝いをするので,お声をかけて頂きたい。可能な限り支援いたします。

参考資料

太陽光発電に係る条例制定についての諸問題

新ガイドライン・条例対比表

太陽光発電設備に関する条例案

 

「かくも長き不在」のご挨拶

 

羽田空港から淡路町への移転の中での「かくも長き不在」

羽田空港の法律事務所を後にしたのが2月末。3月いっぱいは,移転したカクイ法律事務所での片付けと仕事の態勢づくりに追われ,さて4月になったので,これから新しいことに取り組もうと思っていたその第1日目である4月1日,中高時代の友人とイタリアンでこれからの人生について気炎をあげたその帰りの電車で,久しぶりに痛風の発作,しかも今までにない大発作に襲われてしまった。大きな痛みは3週間くらいで収まったものの,足や膝の小さな痛み,違和感は,2ヶ月くらい続いた。そこへ,膨大な時間を要する,某訴訟及び某市の議員サイドから依頼された条例作りの仕事が重なり,動きたくても動けない中での,実に悲惨な4月,5月となってしまった。

それでも少しずつ回復し,スポーツクラブのジャグジー(元は子供用プール)を歩くことから始め,土・日に散発的にしていた超超スロージョギングが再開できたのがつい10日前,でもまだ初心者コースであっても山歩きをする「勇気」はない(途中で,万が一歩けなくなると思うと…)。しかも痛みが取れてからも,思いどおりに動けない日が続いたので,体力そのものが落ちてしまい,筋トレもウォーキングもやる気がしない結果,直近の健康診断で,史上最高の,体重,腹囲を記録してしまった。早くもとの普通のメタボに戻りたい!

しかし徐々に事態は好転しつつある(に違いない。)。仕事は,もう大丈夫だ。山歩きも,もう少ししたらできるだろう。しかも,4歳になったばかりの最愛の孫娘から,最近「じいじは,すごい山に,どんどん登るんだって。」と言われたのだから,「山男大復活」しかない(こういう気負いが,よく「遭難」の原因となる。)。

これが今回のかくも長き不在の理由だ。でもよく考えると,WEB投稿の不在の理由にはならないような気がする

弁護士の仕事をしよう

3年前,羽田空港に法律事務所を設けたときは,以後は,ビジネスジェット機を利用した国際医療搬送事業の立ち上げに注力し,基本的にその範囲内で弁護士業務をしようと思っていたのだが,諸事情により「出発は遂に訪れず」。淡路町への事務所移転を契機に,新しい気持ちで弁護士業務に取り組む意気込みがわいてきたが,痛風で2ヶ月丸々頓挫したのは,上記のとおりである。

さて私が基本として取り組む仕事の分野は,会社法と行政法であり,応用分野として,知財法,IT・AI法,医事法,労働法,税法,環境法(含都市計画,廃棄物処理,FIT等),航空法等を視野に入れている(もちろん,普通の市民が遭遇する民事事件も,やります。)。

ここで正直に言うと,私はこれまで余り「法律」が好きでなかったので,国際医療搬送事業の立ち上げに関与しようと思ったのだが,この点は,淡路町に来て,大きく「転向」した。

その原因は,ひとつは,「法律」を「命令」というより承認による「ルール」だと考えると,法律自体の改革も視野に入れて,これを有効に利用,活用できるし,すべきだと今さらながら気がついたこと,もう一つは,某市の議員サイドから依頼された条例を一から書いて見て,法令の作成(立法)作業はなかなか面白いし,その適用を考えることは「ゲーム」だなと思ったことである。何と私は,深夜,スマホやタブレットの法令集で,今まで見たことも触ったこともない法令を読んで,その位置づけや意味を解析するのが誠に面白いと思うようになったのである。

要するに「法律」は,「ルール」に基づく「ゲーム」なのだ。

そうすると,今までできが悪くて見るのも嫌だと思っていた「会社法」や,どこに何が書いてあるのだか,膨大な法令の関係に途方に暮れていた「行政法」も,楽しくなってきた。その他の個別法も,解読するのが苦痛でなくなった。

ただ急いで言うと,今現在我が国で起案されつつある法令は,複雑で,非常に分かりにくいという傾向がどんどん加速されている。その原因であるが,ひとつは,「()書きの多用」によって,解読するのが極めて難解になっていること(起案する側からすると,勝手な指示ができる()書きは極めて便利である。),ふつめは,いくら長文(あるいは長文と短文の羅列)になろうと,「並びに,及び」,「又は,若しくは」を,法令執務に従って正確に表現しようとして日本語として見苦しくなっていること(これは慣れると,係り受け関係が分かりやすくなるが,文章を短くすればいいのである。),みっつめはもともとスッキリしていた法令に増改築を繰り返した結果,もとも構造が分からなくなってきていること等を指摘できる。

現在の複雑怪奇な法令の作成作業は,パソコンがあるからこそできるのであって,紙に鉛筆で書くのでは,到底できない。しかし,ヒトの「ルール」としては,紙に鉛筆で書いて作成できるぐらいの内容が,ちょうどよい。それ以上複雑になると,「評価」の基準にはなっても,日常生活で「履行」することは難しい。

私は,「ルール」に基づく「ゲーム」を,少しでも市民サイドに押し返すため,法律の平易化の方法を考え,提言していきたい。

これから

ヒトは,「生命」の進化の過程で生まれ,その「認知システム」を作り出したのも進化であり,さらにこれに乗っかっているヒトの特質ともいえる「言語」も同様である。「ルール」に基づく「ゲーム」を,演じているのはそういう(AIと対比される知能=認知システム,言語を有する)ヒトである。

私が4月1日からやろうとしていたのは,まさにそういう位置づけを持つヒトの「社会」の解析作業であったが,最近,「決断科学のすすめ」という本を入手した。これはまさに私がやろうとしていた作業の基礎的な部分のまとめを実に要領よくやってくれていて,びっくりだ。その内容の紹介は,別途するが,とにかく書名を上げておく。

もうひとつ,このようにかくも長き不在の後に言うのも何であるが,このWEBの「抜本的改革」をすることにした。要するに,Wordpress,comをWordpress,orgに移転しようと思うのだ。今後は多分,サーバーから始まって,愚痴の集積をお目にかけることになろう。できるかなあ。

 

プロジェクト・マネジメントとは何か

「世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント第3版」を紹介する

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はじめに

ある仕事をする中で,プロジェクト・マネジメントについて報告したことがあるので転載しておく。作成は2014年4月頃である。「続きを読む」以降の後半は,目次に若干のコメントを付けただけだが,レジュメとして利用していただきたい。

 

原題は「The Complete Idiot’s Guide To Project Management」で?と思うかも知れないが,非常に評価の高い本である。なお「ゴール」の著者ゴールドラットが「制約条件」の理論をプロジェクト・マネジメントに適用したのが「クリティカル・チェーン」という本であり,本書の中でもプロジェクトの継続的な改善手法として評価介されている(P187,188。それを日本人著者が紹介した「最短で達成する全体最適のプロジェクトマネジメント」がある。)。

また最近入手したものだで,新たなビジネスを立ち上げるという観点からその方法を検討したものに,「リーンスタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす」(「The Lean Startup」by Eric Rise),「 スタートアップマニュアル ベンチャー創業から大企業の新事業立ち上げまで」(「The Startuo ownaer’s Manyal」 by Steve Blank and Bob Dorf)があり、これらも我々にとって非常に参考になると思われるので,今後引き続き紹介したい。

また創造的な発想を取り上げた書籍はたくさんあるだろうが、スタフォード大学集中講座1「20歳のときに知っておきたかったこと」、同2「未来を発明するためにいまできること」(ティナ・シーリグ)が斬新である。

プロジェクトマネジメントについては、アメリカのプロジェクトマネジメント協会が「プロジェクト・マネジメント知識体系ガイド」(PMBOK)を刊行している。なお本書とPMBOK(日本語版)以外は,すべてKindle本で入手できる。

読解の前提となる必須語句の説明

・スコープ

プロジェクト完成に要する作業量の規模。

・マイルストーン
「里程標」。プロジェクト実施上の重要な節目,通過点。重要な作業の完了時点に置くことが多い。

・クリティカル・パス
プロジェクトの作業をつなぐ複数の経路の中で,最長の所要時間の経路。クリティカル・パス上にある作業のどれかひとつが遅れると,プロジェクト全体の遅れに直結する。
・SOW(作業範囲記述書) Statement Of Work
プロジェクトのマスタープラン策定の中から明らかになった,プロジェクト目標や作業記述書,リスク,前提条件などをひとまとめに統合した書類。

・WBS(作業分解図) Work Breakdown Structure
プロジェクトをまず大きな単位(マイルストーンということもある。)に分解し,それを更に小さく分解して,最下位の単位であるワーク・パッケージを洗い出す。プロジェクト完成に必要な作業を組織化し,要約した文書。ただし依存関係は,表示できない。

・ネットワーク図  Network Diagram
プロジェクト作業を実施順序に従って論理的に並べた図。左から右に時間の流れをとり,各作業の依存関係を線で結ぶ。大規模プロジェクトでは,ネットワークを階層化し,第1階層にマイルストーンをすべて盛り込み,第2階層で各マイルストーンの完了に至るサブプロジェクトを示す・・などとすることもある。

・プロジェクト計画書 Project Plan

全体の流れ

・作業の過程(フェーズ)は,定義,計画,実行,コントロール,終結に分けることができるが,当面,定義,計画フェーズが重要であり,何が何でも計画フェーズの最終目標であるしっかりした「プロジェクト計画書」を作成しなければならない。それができれば,実行,コントロールフェーズも乗り切ることができ,終結(完成)を迎えることができる。

定義フェーズ

・定義フェーズにおいては,利害関係者(ステークホルダー)を明確にし(プロジェクトメンバー,取締役会,法務監査部,プロジェクトに参加する消防,医師,ジェット機関係者,役所,業者等等),プロジェクトの目標,成果物の外,事業の範囲(スコープ),コストとスケジュールの見込み,指揮命令系統,各人の役割とリスクと制約条件等を検討して,SOW(作業範囲記述書)を作成する。

・目標には,SMART(Specific=具体的,Measurable=測定可能,Agreed-upon=合意されている,Realistic=現実的,Time-limited=期限が明確)+C(clear responsibility=責任が明確)の基準がある。

計画フェーズ

・計画フェーズにおいては,作業を分解して本当ににやるべきことをWBS(作業分解図)にし,これを実施順序に従って論理的に並べたネットワーク図を作成する。更に所要期間を見積もり,予算を作り,強力なチームを作り,資源を確保し,そのすべてをまとめて,プロジェクト計画書を作り,取締役会(運営委員会)の承認を得る。
・ネットワーク図(P153)が参考になる。

その後のフェーズ

・ 実行フェーズにおいて重要なのは,プロジェクトを正しく起動させ,プロジェクト・マネジャーがリーダーシップを発揮してチームを活性化し,コミュニケーションをとること等である。

・ コントロールフェーズにおいて重要なのは,スケジュールとコストを監視・コントロールし,計画の変更管理プロセスを確立し,プロジェクト成果物を通常業務に移管すること等である。

・ 終結フェーズにおいては,プロジェクトを振り返り,最終報告書を作成する。 続きを読む “プロジェクト・マネジメントとは何か”

Kindle Fire HDの混乱と予想される栄光

入手

12月18日,日本で始めてKindle Fire HDが出荷され,私のところにも送られてきた。これを夜な夜な(そして昼間も)いじっているが,最近,少し忙しくて使い込みは不十分だが,現時点での報告をしておこう。

Kindle Fireとは一体何者か

Kindle Fire HDは,基本的にはKindle本(Kindle Book)を読むためのリーダーであるが,本機のためののゲーム,アプリの利用,Amazonで購入した音楽の再生,ネットやメール,FACE BOOK等の利用等ができる7インチタブレットである。独自OSというが,基本はAndroidであろう。旧型Kindle Fireはアメリカで既に2年くらい(多分)の実績があるので,ゲーム,アプリもそこそこ使えるだろう。画面や音質の綺麗さは申し分がない。基本はリーダーだが,タブレットPCとしても十分価値がある。

アカウントの結合

アメリカのAmazonでKindleを買い,Kindle Book(電子ブック)を買っていた人は,アメリカのアカウントを日本のアカウントに統合することができる。要するに日本で買ったKindle Fire HDで,アメリカで買ったKindle Bookを読むことができるということだ。ただ両方のアカウントで既に購入した実績のある人の場合,アカウントの結合はAmazonに依頼して行うことになる(メールで依頼できる。)。

混乱

現時点でアカウントの結合,その他について,相当の混乱,システムのバグがある。考えただけでもこれは相当複雑な話なので,今の時点ではやむを得ないのかも知れない。

まずよく分からないのが,アカウントを結合しても「居住国の変更」という手続を日本のアカウントですると,アメリカのAmazonの商品をドル建て買えるということなのだが,そんなことをしなくても今までどおりアメリカのAmazonのアカウントでKindle Bookを購入しても,Kindle Fire HD本体のシステムで読めるようである(これは既にアメリカのAmazonでKindleを購入していたからかも知れない。日本のAmazonでは,Kindleを購入しなくても,アップルやAndoroidの機器でKindle本が読めるが,アメリカのAmazonでは,少なくても以前はそれはできなかった。)。ただ,アメリカで購入しているKindle版の雑誌,新聞は,Kindle Fire HD本体のシステムに送信されるのだが,メニューにはその表示が出てこない。

特に訳が分からないのが,Amazonが買収したAmazonの一部となっているAudibleという朗読音(オーディオブック)の扱いである。これについてもKindle Fire HD本体のシステムに送信されていてそれを聞くことができるが,メニューには出てこない。一方,Andoroid用と思われるAudibleアプリでも聞くことができる。それぞれから日本の購入サイト?やアメリカの購入サイトにも接続できるのだが,そこで購入できない場合もあり混乱がある。アカウントの結合後,アメリカで購入したオーディオブックはKindle Fire HD本体のシステムでは聞くことができないようである。またオーディオブックとKindle Bookが連動するはずのImmersion Readingという機能も,まだ利用できないようである。

その他Kindle本の購入にも小さなバグは沢山あって,今暫く混乱は続くだろう。ただ,利用上どうしようもないという自体は今のところ経験していない。別のルートを辿れば何とかなる。ただAudibleで3ドル程度の購入をするのに,現金の選択肢が出てこず,クレジット(十数ドル相当)が使われてしまったことには憮然としてしまった。

KIndle本の世界

Kindle本はまだ数万冊だが,今後爆発的に増大するだろう。実際にもあっという間に増えている印象であり「ファスト&スロー」,「新しい市場のつくりかた」,「読書の技法」,多くの文庫本,新書がKindle本になっている。

Kindle本は,デジタルブックだからKindle Fire HDを利用して通読するのが容易であること,語句について国語辞典,英和辞典で検索できること,ページや語句にデジタルで印をつけたりメモを記入したりすることができる等の特徴がある。ただせっかくデジタル情報なのだから,目次を利用して全体の要旨を作ったり,自由に感想を記入することができるような仕様にできないものかと思う(できるのかも知れないが今のところ分からない。)。そういう意味で今日購入した講談社現代新書が画像データであったのは,いかがかと思う,写真や図表の多い書籍をそうすることはやむを得ないと思うが,画像データでは,データの利用ができないし,量も大きくなりすぎる。他のリーダー用に提供されている商品を転用し,販売する書籍を増大させる戦略かも知れないが,これでは今後の活用を削ぐ。

いずれにせよ,Kindle Fire HDとKindle本の動向からは,目が離せない。