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ドラッカー あれこれ

「ドラッカー あれこれ」の種本

ドラッカーについて,備忘のために,あれこれまとめておく。参考にするのは「P.F.ドラッカー 完全ブックガイド」(上田惇生),「ドラッカー入門 新版」(上田惇生),「究極のドラッカー」(國貞克則)等である。

ドラッカーの略歴と「傍観者の時代」

ドラッカーは,1909年ウィーンに生まれ,ドイツ,イギリスを経て,1937年にアメリカに移住し,大学,大学院で教え,多くの本,論文を書き,2005年に死去した。

69歳の時に出版された半自伝の「傍観者の時代」には,1943年のGM調査の頃までに(1946年「企業とは何か」),ドラッカーと交流,関係のあった綺羅星のごとき人物の言動が挙げられている。ドラッカーがそのような人物と知り合うことのできる家に生まれ,その機会があったということでもあるが,ソ連と共産主義の迷走,第一次大戦,ナチスの台頭,殺戮,第二次大戦等の時代,社会の流れの中で生き抜いていく「真摯」な姿勢(ドラッカーの翻訳で多用される。)があったからこそ,その交流,関係を切り開くことができたのであろう。

まず「傍観者の時代」に挙げられた人名をあげてみよう。

おばあちゃん,シュワルツワルト家のヘムとゲーニア,エルザ先生とゾフィー先生,フロイト,トラウン伯爵と舞台女優マリア・ミュラー,ポランニー一家(マイケル,カール等),クレイマーとキッシンジャー,ヘンシュとシェイファー,ブレイルズフォード,フリードバーグ商会,ヘンリー・ルース,フラーとマクルーハン,アルフレッド・スローン,ジョン・ルイス等々が,生き生きと駆け抜けている。時代の激動の中で忘れられた人も多いが,フロイト,ポランニー,フラー,マクルーハン等々,びっくりする。ドラッカーの人生の重みが伝わってくる。また後述する「影響を受けた思想家」も多様である。

これらを基盤に,ドラッカーは,多くの単行本,論文を書いている。

次にドラッカーの著作をみてみよう。

著作

ドラッカーの著作は,三十数冊と言われるが,正確な数はカウントしがたい。と言うのは,抜粋集や名言集があったり,これらについて日本語版が先行し英語版が刊行されたりと複雑だ。英語版の著作は,下記の「BOOKS BY PETER F. DRUCKER」記載のとおりである。

日本語の抜粋集として,「はじめて読むドラッカー」3部作があり,「プロフェッショナルの条件」(自己実現編),「チェンジ・リーダーの条件」(マネジメント編),「イノベーターの条件」(社会編)で構成されていた。そのうち第2作を中心として「The Essential Drucker」が,第1作,第3作を受けて「A Functioning Society」が刊行されている。なお,その後「はじめて読むドラッカー」第4作として「テクノロジストの条件」が刊行されている。

その他,抜粋集として「ドラッカー365の金言」(The Daily Drucker)。名言集として「仕事の哲学」,「経営の哲学」,「変革の哲学」,「歴史の哲学」がある。

ドラッカーの著作として「経営学書」は2冊しかないというはなしがある。経営戦略の端緒を開いた「Managing for Results」(もともとは,「Managing Strategy」だった。),経営学としてイノベーションをはじめて考察した「Innovation and Entrepreneurship」である。その他は,多かれ少なかれ,社会,政治,歴史がらみであり,ドラッカーはジャーナリストであるという見方にも根拠がある。

BOOKS BY PETER F. DRUCKER

MANAGEMENT

The Daily Drucker /The Essential Drucker /Management Challenges for the 21st Century /Peter Drucker on the Profession of Management /Managing in a Time of Great Change /Managing for the Future /Managing the Non-Profit Organization /The Frontiers of Management /Innovation and Entrepreneurship /The Changing World of the Executive /Managing in Turbulent Times /Management Cases /Management: Tasks, Responsibilities, Practices /Technology, Management and Society /The Effective Executive /Managing for Results /The Practice of Management [Concept of the Corporation

ECONOMICS, POLITICS, SOCIETY

Post-Capitalist Society /Drucker on Asia /The Ecological Revolution /The New Realities /Toward the Next Economics /The Pension Fund Revolution /Men, Ideas, and Politics /The Age of Discontinuity /Landmarks of Tomorrow /America’s Next Twenty Years /The New Society /The Future of Industrial Man /The End of Economic Man

AUTOGRAPHY

Adventures of a Bystander

FICTION

The Temptation to Do Good /The Last of all Possible Worlds

ドラッカーに影響を与えた思想家

「P.F.ドラッカー 完全ブックガイド」に「ドラッカーに影響を与えた思想家」が紹介されている。参考になるので転載する。

社会生態学のルーツ─哲学、政治思想、経済、歴史、社会,そして小説すらも

 ウォルター・バジョット(1826ー1878)

アレクシ・ド・トクヴィル(1805ー1859)

ベルトラン・ド・ジュヴネル(1903ー1987)

フェルディナンド・テンニース(1855ー1936)

ゲオルグ・ジンメル(1858ー1916)

ジョン・R・コモンズ(1862ー1945)

ソースティン・ヴェブレン(1857ー1929)

継続と変革の相克を

ヴィルヘルム・フォン・フンボルト(1767ー1835)

ヨゼフ・フォン・ラドヴィッツ(1797ー1853)

フリードリッヒ・ユリウス・シュタール(1802ー1861)

技術の見方、社会における技術の位置づけ

アルフレッド・ラッセル・ウォレス(1823ー1913)

ジョゼフ・シュンペーター(1883ー1950)

言語に対する敬意

フリッツ・マウトナー(1849ー1923)

カール・クラウス(1874ー1936)

セーレン・キルケゴール(1813ー1855)

年表

1909…0歳。11月19日,オーストリア・ハいかくンガリー帝国の首都ウィーンに生まれる。父アドルフ(1876ー1967)は貿易省次官(のち退官して銀行頭取,ウィーン大学教授,アメリカに亡命してノースカロライナ大学,カリフォルニア大学ほか教授)。母キャロライン(1885ー1954)はイギリス人銀行家を父とする。ウィーン大学医学部を卒業後,チューリッヒの神経科クリニックで1年ほど助手をつとめた。開業することなく家庭に入ったが,当時としては珍しい女性神経科医。

1914…4歳。第1次世界大戦勃発。

1917…7歳。父親に精神分析学者フロイトを紹介され,強い印象を受ける。フロイト『精神分析入門』発表。

1918…8歳。11月11日,第1次世界大戦終結。ハプスブルク家は滅び,オーストリアは分割され共和国となる。

1919…9歳。ウィーンのギムナジウムに入学。授業は退屈でうんざりしていたという。

1927…17歳。飛び級で1年早くギムナジウムを卒業しウィーンを出る。ドイツに移住し,ハンブルグで事務見習いとして商社に就職。ハンブルグ大学法学部入学。大学入学審査論文は「パナマ運河の世界貿易への影響」。

1929…19歳。フランクフルト大学法学部へ編入。当時無名だった19世紀のデンマークの思想家キルケゴールを知り,読みふける。フランクフルトで米系証券会社に就職するも,世界大恐慌(暗黒の木曜日)で倒産。

1930…20歳。地元有力紙「フランクフルト・ゲネラル・アンツァイガー(フランクフルト日報)」の経済記者となる。

1931…21歳。入社2年後,副編集長に昇格。この頃から,ナチスの政権掌握を予測し,ナチス幹部に何度も直接インタビューする。国際法で博士号を取得。博士論文は「准政府の国際法上の地位」。この頃,後に生涯の伴侶となる下級生ドリス・シュミットと出会う。

1933…23歳。ヒトラーが政権掌握。初の著作『フリードリッヒ・ユリウス・シュタールー保守主義とその歴史的展開』を名門出版社モーア社より法律行政叢書第100号記念号として出版後,禁書とされて焚書処分。一度ウィーンに戻ってからロンドンに逃れる。地下鉄のエスカレーターでドリスとすれ違い再会を果たす。

1934…24歳。ロンドンのシティで,マーチャントバンクのフリードバーグ商会にアナリスト兼パートナー補佐として就職。ケンブリッジ大学で経済学名ケインズの講義を聴くも,肌に合わず。自分は経済学徒ではないことを確信する。雨宿りに入った画廊で日本画に遭遇。

1937…27歳。ドリスと結婚して,アメリカへ移住。『フィナンシャルータイムズ』他に寄稿。フリートバーク商会などにアメリカ経済短信を送付。

1938…28歳。『ワシントン・ポスト』他に欧州事情を寄稿。

1939…29歳。処女作『「経済人」の終わり』出版。『タイムズ』紙書評欄で,後のイギリス宰相チャーチルの激賞を受ける。ニューヨーク州のサラ・ローレンス大学で非常勤講師として経済と統計を教える。

1940…30歳。短期間,経済誌『フォーチュン』の編集に携わる。

1941…31歳。日米開戦直後(誕生日を迎え32歳)のワシントンで働く。フリーア美術館で日本美術に傾倒。

1942…32歳。バーモント州のベニントン大学で,教授として政治,経済,哲学を教える。アメリカ政府の特別顧問を務める。第2作『産業人の未来』出版。

1943…33歳。『産業人の未来』を読んだGM幹部に招かれ,世界最大のメーカーだったGMの組織とマネジメントを1年半調査する。アルフレッド・スローンから大きな影響を受ける。アメリカ国籍を取得。

1945…35歳。第2次世界大戦終結。

1946…36歳。GM調査をもとに,第3作『企業とは何か』を出版。「分権制」を提唱する。フォードが再建の教科書とし,GEが組織改革の手本とする。ここから世界中の大企業で組織改革ブームが始まる。

1947…37歳。欧州でのマーシャループラン実施を指導。

1949…39歳。ニューヨーク大学大学院経営学部教授に就任。大学院にマネジメント研究科を創設。

1953…43歳。ソニー,トヨタと関わりをもつ。

1954…44歳。『現代の経営』出版。マネジメントの発明者,父といわれるようになる。

1947…47歳。モダンからポストモダンへの移行を説いた『変貌する産業社会』出版。

1959…49歳。初来日。立石電機(現オムロン)などを訪問。日本画の収集を始める。

1964…54歳。世界初の経営戦略書『創造する経営者』出版

1966…56歳。日本の産業界への貢献により,勲三等瑞宝章を授与される。万人のための帝王学とされる『経営者の条件』出版。

1969…59歳。今日まで続く転換期を予告した『断絶の時代』出版。後年,サッチャー首相が本書をヒントに民営化政策を推進。世界の民営化ブームはここからはじまる。

1971…61歳。カリフォルニア州クレアモント大学院大学にマネジメント研究科を創設。同大学院教授に就任。

1973…63歳。マネジメントを集大成して『マネジメント』出版

1975…65歳。『ウォールーストリートージャーナル』紙への寄稿開始。以降20年にわたり執筆。

1976…66歳。高齢化社会の到来を予告して『見えざる革命』出版。

1979…69歳。半自伝『傍観名の時代』出版。クレアモントのポモナーカレツジで非常勤講師として5年間東洋美術を教える。

1980…70歳。いち早くバブル経済に警鐘を鳴らした『乱気流時代の経営』出版。

1981…71歳。GEのCEOに就任したシャッターウェルチと一位二位戦略を開発。『日本成功の代償』出版。

1982:72歳。初の小説『最後の四重奏』出版。『変貌する経営名の世界』出版。

1984…74歳。小説『善への誘惑』出版。

1985…75歳。イノベーションの体系化に取り組んだ『イノベーションと企業家精神』出版。

1986…76歳。雑誌への寄稿論文を集めた『マネジメントーフロンティア』出版。

1989…79歳。ソ連の崩壊やテロの脅威を予見した『新しい現実』出版。

1990…80歳。NPO関係者のバイブルとされる『非営利組織の経営』出版。東西冷戦終結。

1992…82歳。大転換期の指針を示す『未来企業』出版。

1993…83歳。知識社会の到来を指摘した『ポスト資本主義社会』,自らを「社会生態学者」と定義した『すでに起こった未来』出版。

1995:85歳。『未来への決断』出版。

1996…86歳。『挑戦の時』『創生の時』(英語版『ドラッカー・オンーアジア』)出版。

1998…88歳。『ハーバードービジネスーレビュー』誌の論文を集めた『P.F.ドラッカー経営論集』出版。

1999…89歳。ビジネスの前提が変わったことを示す『明日を支配するもの』出版。

2000…90歳。ドラッカーの世界を鳥瞰するための入門編として,日本発の企画「はじめて読むドラッカー・シリーズ」3部作『プロフェッショナルの条件』『チェンジーリーダーの条件』『イノペーターの条件』出版。

2002…92歳。雇用やマネジメントの変化を論じた『ネクストーソサエティ』出版。アメリカ大統領より最高の民間人勲章「自由のメダル」を授与される。

2003…93歳。「ドラッカー名言集」四部作,『仕事の哲学』『経営の哲学』『変革の哲学』『歴史の哲学』出版。

2004…94歳。『実践する経営名』出版。日めくリカレンダー風名言集『ドラッカー365の金言』出版。

2005…95歳。「日本経済新聞」にて「私の履歴書」連載,書籍化。「はじめて読むドラッカー・シリーズ」第4作『テクノロジストの条件』出版。11月11日,クレアモントの自宅で死去。96歳の誕生日になるはずだった1月19日,わが国にドラッカー学会が設立される。

2006…100歳の誕生日を祝う予定で生前に本人とともに企画した「ドラッカー名著集」12作品15冊,『経営名の条件』『現代の経営』より刊行開始。上田惇生著『ドラッカー入門』出版。

2007…名著集『非営利組織の経営』『イノベーションと企業家精神』『創造する経営者』『断絶の時代』『ポスト資本主義社会』『「経済人」の終わり』出版。生前ドラッカー本人より依頼を受けて取材執筆したエリザベス・ハース・イーダスハイム著『P・F・ドラッカー理想企業を求めて』出版。

2008…名著集『産業人の未来』『企業とは何か』『傍観名の時代』『マネジメント《上・中・下》』出版完了。『プロフェッショナルの原点』出版。

2009…『経営者に贈る5つの質問』『ドラッカー時代を超える言葉』山版。岩崎夏海著『もし高校野球の女子マアネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(もしドラ)発行。

2010…『【英和対訳】決定版ドラッカー名言集』『ドラッカー・ディフアレンズ』出版。上田惇生監修,佐藤等編著『実践するドラッカー【思考編】』出版。【行動編】

2011…ブルースーローゼンスティン著『ドラッカーに学ぶ自分の可能性を最大限に引き出す方法』出版,上田惇生著『100分de名著ドラッカーマネジメント』出版。上田惇生監修,佐藤等編著『実践するドラッカー【チーム編】』出版。「もしドラ」ブームを受け『マネジメント【エッセンシャル版】』100万部突破。

2012…上田惇生監修,佐藤等編著『実践するドラッカー【事業編】』山版。『マネジメント』(リバイスドエディション)出版予定。

 

 

「ドラッカーと会計の話をしよう」を読む

著者:林 總

ドラッカー経営学のケーススタディ第3弾だ

「もしドラ」,「もしドラ2」が,クリエーターが作った野球の物語によるドラッカー経営学のケーススタディだとすれば,本書は公認会計士さんが作った営利組織(イタリアンレストラン)と,非営利組織(病院)の物語によるドラッカー経営学のケーススタディである。著者の職業故というべきか,「もしドラ」より本書の方が地に足の着いた説明になっているし,ドラッカー経営学の内容も,はるかに理解しやすい。それに今だけかもしれないが,Kindle本が230円なので,「買い」である。

ドラッカー経営学のポイントは,「顧客の創造」であり,それを実現するためのマーケティング(顧客の現実,欲求,価値)とイノベーションである。これは営利組織,非営利組織に共通している。要するにドラッカーはこのことを状況に応じて変形させ,繰り返して述べているだけのような気がする。

これが頭に入っていれば,本書は簡単に通読できる。

営利組織について

売上-費用=利益と,儲けは同じか。利益は便宜上の期限で区切られ,いくらでも操作できる。存在しない。儲けとは,稼いだ現金,キャッシュフローだ。

新たな価値だけが新たなキャッシュフローを生む。経営で大切なのは将来にわたり価値を創造し続けることだ。

10対90の法則,商品にはライフサイクルがある。明日の主力商品にコストをかける。

企業の内部にあるのはコストセンターである。プロフィットセンターは顧客にある。コスト,お金は儲け利益を生むように使わなければならなコストは,ビジネスプロセス全体で考える。ABC原価計算(「レレバンス・ロスト」)を考える。コストを負担するのは,顧客である。

非営利組織について

ここでは,知識労働が問題とされる。

労働生産性の向上とは,それまで人がしてきた作業を機械に置き換えることにほかならない。 機械に置き換えられるのは肉体労働の生産性だけなんだ。 知識労働の生産性は逆に悪化してしまう。より賢く働くことしか方法はない。

知識労働者の生産性を高める第一歩は,仕事の目的を考え,仕事の内容を明らかにすることだ(条件一)。これができれば,自律性が高まり,生産性の向上を目指し,専門性を磨くようになる(条件二)。さらに,イノベーションを積極的に行い(条件三),学習意欲が高まる(条件四)。そして,生産性とは質の問題であることを知り(条件五),知識労働者は組織に価値をもたらす資本財であることを理解する(条件六)。

すでに起こってしまい,もはやもとに戻ることのできない変化,しかも重大な影響力をもつことになる変化でありながら,まだ一般には認識されていない変化を知覚し,かつ分析することである(傍観者の時代)。

ドラッカーにどの程度向き合おうか

ところで,入山章栄さんという経営学者の「世界の経営学者はいま何をかんがえているのか」という本の「「第1章 経営学についての三つの勘違い」の最初に,「アメリカの経営学者はドラッカーを読まない」と書いてあることは,かなり前から知っていた。そうですかというだけのことだが,入山さんはそれに引き続いてくどくどといろいろなことを書いていて,要するにドラッカーは「科学」ではないということなんだろうけれど,そもそも「経営学」は科学なのかという問いの方がよっぽどましな気がする。科学的に構築・検証されたものでないので「真理に近くない」可能性が大いにあるそうだが,入山さんは,科学とか,真理の概念分析から始めたほうがよさそうだ。

といっても,私はドラッカーのにわか読み手に過ぎないので,このような「神々の争い」に参戦する気はないが,確かに「ドラッカー365の金言」とか「名言集…の哲学」とかがたくさん出ているところを見ると,ドラッカーの世界全体を視座に入れた切れ味鋭い文章を読んで,ドラッカーはすべて正しいとする熱烈なファンがいるのだろう。「もしドラ2」に「ハーバート・サイモンに似たところがある」と書いたが,ドラッカーが分身と名指しする翻訳者がいたり,「知の巨人」などと言われているところを見ると,日本の吉本隆明の名をあげるほうがぴったりかもしれない。吉本隆明とドラッカーでは,「政府,政治」が「企業,経営」に置き換わっているだけだと考えると納得できる。

ただとにかく「経営」という現実を切り取り整理するのに便利な言葉が多いので,これからも折に触れてドラッカーを読もうと思うが,一種の自伝であろうが「傍観者の時代」だけは,すぐに読もうと思っている。入山さんもこれは読まれた方がいいだろう。支える文化,教養の違いが歴然としている。

それからいったんコーポレートガバナンスに戻り,法やITについて検討しよう。
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「あなたの生産性を上げる8つのアイディア」を読む

著者:チャールズ・デュヒッグ

興味深い「物語」で構成された生産性を上げるために役立つ(かもしれない)優れた本だ

原書は,「SMARTER FASTER BETTER」であるが,著者も,「本書は,生産性を高めるのに最も重要な8つのアイディアを提案し,探求する」といっているので,題名はこれでいいのだろう。

著者は,生産性を高めるのに必要なのは,もっと働もっと汗を流すことや,長時間デスクにしがみつき,仕事以外を犠牲にすることではなく,「いくつかの方法を用いて正しい選択をすることである」と述べ,その方法が8つの章にまとめられているわけだ。著者は「生活のすべての面において,より賢く,より早く,より良くなるためにはどうしたらいいのか,その答えを提供する」という。

8つの章は,「やる気を引き出す」「チームワークを築く」「集中力を上げる」「目標を設定する」「人を動かす」「決断力を磨く」「イノベーションを加速させる」「データを使えるようにする」と,一見すると代わり映えのしない通俗ビジネス書のごときタイトルだが,本書が優れているのは,平凡な章名の元に,非常に優れた「物語」が,序破急の構成で紹介されていること,そして,著者がこれらの「物語」から読み取った,生活,仕事の生産性を高める「教訓」を,「付録 本書で述べたアイディアを実践するためのガイド」にまとめていることである。そしてこのガイドは,抽象的とはいえ,十分に実用的で魅力的なガイドとなっている。


各章の「物語」

ガイドを紹介する前に,各章の「物語」に一言しよう。

各章の「物語」はとても興味深い。著者は多岐にわたる「物語」を収集し,そこに道筋をつける優れた才能を持っているようだ(著者は,これも評判高い「習慣の力」の著書もある。同書では「習慣がどのように働いているかがわかれば(きっかけ,ルーチン,報酬を特定できれば),習慣を支配する力を手に入れることができる」とする。)。

各章の「物語」は,詳細目次各省の副題を見てもらってもある程度わかる。

ブートキャンプ改革,老人ホームの反乱,グーグル社の心理的安全と「サタデー・ナイト・ライブ」,墜落したエールフランス機,と第4次中東戦争,リーン-アジャイル思考,GMを変えた「トヨタ生産方式」,ベイズの定理で未来を予測(して,ポーカーに勝つ方法),「アナと霊の女王」を救った創造的絶望,ウェスト・サイド物語,情報失明,エンジニアリンング・デザイン・プロセス等々,そのほかにもたくさんの「物語」が含まれている。

「本書で述べたアイディアを実践するためのガイド」の紹介

やる気

(やる気を引き出す方法)  
・自分は自分の意志で行動しているのだと思えるような選択をすること。メールの返事を書くときは,自分の意見あるいは決断を表明するような最初の一文を書くこと。厄介な問題について話し合わなくてはならないときは,それをいつにするかを決める。やる気を引き出すには,何を選択するか,よりも,選択することそれ自体のほうが重要だ。
・その課題が,自分が大事にしていることといかに深く結びついているかを理解すること。どうしてこの下らない仕事をすることで,意味ある目標に近づけるのか,自分に対して説明すること。どうしてこれが大事なのか,それを自分に説明できれば,仕事を始めるのがずっと容易になる。

目標設定

やる気だけではだめで,大きな野心に火をつけるようなストレッチゴールと,具体的な計画を立てるのに役立つようなスマートゴールが必要である。
両方を区別して含む,TO DO LISTが必要だ。なおスマートゴールのSMARTとは,Specific(具体的に),Measurable(測定可能な),Achievable(達成可能な),Related(経営目標に関連した),Time-bound(Time-Line)(時間制約がある)である。

(目標を設定するには)
・ストレッチゴール,すなわちあなたの大きな野心を反映しているような目標を設定する。
・次いでそれをサブゴールに分割し,スマートゴールを発展させる。

焦点

(主旨を見失わないために)
・自分が何を見たいのかについて,繰り返し自分に物語を聞かせることで,メンタルモデルを構築する。
・これから何が起きるかを思い描く。最初に何が起きるか。どんな邪魔が入る可能性があるか。いかにしてそれを阻止するか。何が起きてほしいかについての物語を自分に聞かせることで,計画が現実と衝突したときにどこに重きを置けばいいかという判断が,はるかに容易になる。

決断

ストレッチゴールもスマートゴールもちゃんと設定し,焦点を見失わないためのメンタルモデルも構築し,やる気を引き出す方法も見つけたが,それでも頻繁に邪魔が入り,入念に築き上げた私のモデルをぶちこわそうとする。

(よりよい決断をするためには)
・(確率論的アイディアを参照し)複数の未来を思い描き,どの未来が最も実現性が高いか,それはなぜかを考える。
・複数の未来を思い描く。無理してでもさまざまな可能性を想像することによって(そのいくつかはたがいに矛盾しているかもしれない),より賢い選択ができるようになる。
・さまざまな経験や視点や他の人びとの意見を集めることで,ベイズ理論的直感を研ぎ澄ますことができる。情報を集め,じっくりその情報を分析することで,選択はより明確になる。

ビッグ・アイディア

最後に,著者自身の日常生活において重要な意味をもついくつかのキー概念をざっと概観する。

(チームワークをより効果的にするには)
・誰がチームに加わるかではなく,どのようにチームを運営するかのほうが重要だ。全員がほとんど平等に話ができ,チーム全員が「私は他のメンバーがどう感じているかを気にしていますよ」と表明することができるときにはじめて,心理的な安心感が生まれる。
・もしあなたがチームのリーダーだとしたら,自分の選択がどのようなメッセージを発しているかを考えるべきだ。みんなが均等に話すことを推奨しているのか,それとも声の大きな人を優遇しているのか。誰かの発言を繰り返し,質問に答えることで,「私は聞いていますよ」ということを伝えているか。誰かが動揺していたり不満を抱いていたりするときに,すぐに反応することで,自分の感受性を証明しているか。他のメンバーたちが見習えるようなお手本を示しているか。

(まわりの人の生産性を高めるには)
・柔軟で機敏なマネジメント技術によれば,社員たちは,自分にはより大きな決定権が与えられているのだと感じ,かつ,同僚たちは自分の成功を支援してくれていると信じることができたとき,より効率よく,より速く,働く。
・問題のいちばん近くにいる人に決定を委ねることによって,経営側は,各社員の専門知識を活用することができ,改革を促進することができる。
・自分で自分をコントロールしているという意識がやる気を引き出す。だがその意識が洞察や解決策を生み出すためには,自分の提案が無視されないことや,失敗しても罰が与えられないことを知っている必要がある。

(改革を促進するためには)
・しばしば創造性は,古いアイディアを新しい形で組み合わせることから生まれる。そのとき,「イノベーション・ブローカー」の存在が重要になる。自分自身がブローカーになり,組織内の流動性を高めることだ。
・自分の経験に対して敏感になること。自分はどうしてこんなふうに考えるのか,感じるのかに対して敏感になると,月並みなアイディアと真の洞察とのちがいが見えてくる。自分の感情的反応を詳しく分析することだ。
・創造プロセスで生じるストレスは,すべてが悪い方向に向かっている兆候ではない。むしろ想像上の絶望的な状況は,驚くような結果を生むことがある。不安のせいで,古いアイディアに新しい光をあてられるようになることもある。
・最後に,創造的突破に伴う安堵感はたしかに快いが,他の可能性を見えなくすることもある。自分たちがすでに成し遂げたことを批判的に振り返り,別の視点から見て,まったく新しい人に新たな権限を与えることで,眼の曇りを防ぐことができる。

(データをより良く吸収するためには)
・新しい情報に出合ったら,無理にでもそれを使って何かをやってみることだ。自分が学んだことを説明するノートを作るとか,そのアイディアを検証する方法を考え出すとか,データを紙の上に図示してみるとか,友人にそのアイディアを説明してみるとか。私たちが人生においておこなうすべての選択は実験である。大事なのは,その決断の中に含まれているデータが何であるかを見極めることだ。それができれば,そこから何かを学ぶことができる。

これらすべてのうちで最も重要なのは,これらの教訓に共通している根本的な理念だ。それは「生産性が上がるかどうかは,他の人びとがしばしば見落としている選択を見抜けるかどうかによる」という発想である。アイディアに全身全霊を捧げることが世界を変えるという教訓は,私が説明したかった別の考え方に比べると,それほど普遍的でも重要でもない。

長い目で見てより賢く,より速く,より良くなるためには,他の人には見えないような選択を見抜くことである。

 

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企業:経営と統治

「問題解決と創造の頁」の「企業:経営と統治」の「固定ページ」を作ったので,投稿しておきます。ここらあたりこそ,私がいちばん力を入れなければならないところだと思っています。

株式会社と会計(複式簿記)

市場は,株式会社制度と複式簿記制度を見出したことから,現代企業への発展に結びついた。株式会社は,資本提供者(委託者)が,その財産の管理を,経営者(受託者)に委託する制度であり,その報告・説明が会計であり,その記録方法が複式簿記である。

更に企業会計が,国民経済計算に結びついている。

会計(複式簿記),更には,監査制度も,とても興味深い。これらは, コーポレートガバナンスの重要な要素である。

経営

経営者として一番大事なことは何か。お金になる匂いを嗅ぎ分ける能力と,人のお金を自分のお金と分別する自制心である。経営は,前者の問題である。

経営学

経営学については,「冬休みだから経営書を読もう」という記事を書いたことがある。更に「アイデア倉庫」の「経営編」にその時点で手元にあった本をまとめておいた。

我が国の企業が抱える経営問題

経営学の本を読むことは有意義だが,これを振り回したところで大して役に立つわけではない。

まず我が国の企業が抱える問題を,世界経済の中に位置づけて正確に理解する必要がある。また経営学は所詮,仮説の体系であって,現実の中でその妥当性を検証する必要がある。

その意味で,産業再生機構,経営共創基盤を率いてきた,冨山和彦さんが精力的に書いている本は参考になる。

「選択と捨象 「会社の寿命10年」時代の企業進化論」,「なぜローカル経済から日本は甦るのか」,「「決定版 これがガバナンス経営だ!―ストーリーで学ぶ企業統治のリアル」,「AI経営で会社は甦る」という流れで読み進むのがよいだろう。

更に,PHP新書に,「IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ 」,「IGPI流 ビジネスプランニングのリアル・ノウハウ」,「IGPI流 ローカル企業復活のリアル・ノウハウ」,「IGPI流 セルフマネジメントのリアル・ノウハウ」 がある。

現時点では,論評は差し控えるが,産業再生機構の経験は大きいだろう。

企業統治(コーポレートガバナンス)

これは,急遽,アベノミクスで言い出された,ルール化されたもので,出自はよろしくないが,その必要性はよくわかる。自身のビジネス体験を踏まえて記載されている「これならわかる コーポレートガバナンスの教科書」(著者:松田 千恵子)は,非常にピントの合った優れた本である。追って紹介したい。上記の冨山さんの「決定版 これがガバナンス経営だ!―ストーリーで学ぶ企業統治のリアル」もある。

 

問題解決と創造の頁

今まで「新しい社会とビジネスを創る」としていた項目を,「問題解決と創造の頁」に改めることにしました。それを説明した「固定ページ」を投稿しておきます。これに応じて,あちこち見直す必要があるので面倒くさそうです。

「問題」を生活・仕事,政府・企業,環境という観点から考える

このメニューはこれまで「新しい社会とビジネスを創る」としていたが,考えてみれば私が注力したいと思っていることは,このWebのキャッチフレーズとしている「法を問題解決と創造に活かす」ことなのであるから,その準備作業を志す本メニューのネーミングも,「問題解決と創造の頁」の方がより適切であることに気がついたので,変えることにした(いったん,「生活・仕事と組織」にしたが落ち着きが悪い。)。

私は何かに依拠して「新しい社会とビジネス」を創ろうと思っているのではない。私にとって最も重要な問題は,私の日々のあり方(生活・仕事)を充実させることであり,人から独立した存在として迷走する組織(政府や企業等)を適切に制御する企てに参加することである。更に生活・仕事,政府・企業の活動の環境,場となる「自然とテクノロジー」を理解し,利用,制御することである。

このように,現在,私あるいは現代社会が直面している多くの問題について,生活・仕事,政府・企業,環境の5つ要素から(更には,その複合する場合も含めて),分析,考察を巡らせ,当該問題を順次解決していくことができれば,「新しい社会とビジネスを創る」という価値創造に結実するであろうと考えているのである。

生活・仕事,政府・企業,環境について考える

現代社会は,人の基本的な活動である生活と仕事,及び人の集団である組織(支配し公共サービスを提供する「政府」及び,商品・サービスを提供する「企業」)の活動から構成されている。現代社会が抱える問題を,生活・仕事,政府・企業という観点からとらえ,解決策を考えることは,ひとつの仮説であるが,かなり有効だと思う。

農業革命以前,人の生活・仕事・組織は,分化していなかったと考えていいだろう。

しかし農業革命により人の生活・仕事・文化が分化し,その余剰生産物を収奪する「権力集団」(政府)が生じた(もっとも現在のほぼすべての政府は,民主制に基づく(支配者と被支配者が同一)と主張している。)。そして,分業の進展によって,更に「産業革命」によって決定的に,人の仕事の領域から分化した「企業」が大きな勢力となり,現在に至っているとまとめることができよう。

生活・仕事

人の生活・仕事は,いずれも進化論(繁殖,生存に有利な形質が自然選択される)を踏まえて考えるべきである。繁殖,生存の根底に性的な衝動があるとしても,ソフィストケートされたレベルでは,生活は,健康な活動を支える「食動考休」,仕事は,知識・能力の獲得と生産性の向上を目指す「アイデアをカタチに」であるとまとめていいだろう。

政府・企業

一方,組織のうち政府は,民主制のもとでは,政治参加(投票)による公共政策の実行,制御の問題である。ただし,政府を主導する政治家,官僚は,公共政策に失敗することのみならず(悲惨な被害が生じるのは戦争であろう。),その権力を冒用し私的利益を図ろうとする強いインセンティブがある。

利潤追求を目標とする企業の活動により,たとえ「見えざる手」によって資源の最適配分が図られるとしても,様々な立場の人々(消費者,取引先,株主,経営者,従業員,政府等々)に,様々な利害を与えるから,その活動が適切に制御されなければならない。

そして組織の行動については,複雑系の観点が欠かせない。

環境

人の生活・仕事や政府・企業の活動は,環境の中で(自然,及びテクノロジーを利用して)展開される。生活・仕事,政府・企業の問題解決のためには,自然とテクノロジーを理解し,利用,制御することが必須である。

まとめ

個人が,自らの意思で可能な(はずの)生活と仕事の改革・充実の問題と,独立した存在として独自のメカニズムで行動する「企業」,「政府」等(家族・地域共同体,宗教団体,学校等)の改革・制御の問題。更には自然とテクノロジーの開発・統御,保全は,それぞれ別の視角・方法によって,検討されなければならない。

このようにとらえて,現代社会(個人+組織)の「問題解決と創造にむけて」の準備作業をしよう。

メニューの構成

「問題解決と創造の頁」の暫定的なメニューは,次のとおりとする。ただし,順次手を入れていくので,当面,古い記事がそのままになっている項目も多い。

社会とビジネスの基礎

政府:力と公共政策

企業:経営と統治

問題解決と創造の方法と技術

生活:食動考休

環境:自然とテクノロジー

方法論の基礎

ITとAI

各メニューの説明

「社会と経済の基礎」には,全体の総論にあたる記事と「社会と経済の基礎となる8冊-試論」を掲載する。

これを踏まえ,「政府」について「力と公共政策」,「企業」について「経営と統治」,「仕事」について「アイデアをカタチに」,これらを支える個人の生活について「食動考休」にまとめる。更に,これらの活動の場となる「環境」について「自然とテクノロジー」にまとめる。

これに付加する「方法論の基礎」が異質だが,ここには私の基本的なスタンスである,人間と社会を,進化論,ファスト思考とスロー思考,複雑系ネットワークと分業等からとらえる基本的な考察と,数学,統計学,論理学,哲学等の方法のメモ(備忘録)を集めたいと思っている。現代の,多様な広がりのある経済学は,こちらで検討しよう。

さらに今後,「政府」,「企業」,「個人」を通じて生産性上昇をはじめ,あらゆる場面で活用されるであろう「ITとAI」についてこれまで細々と作成してきた記事を拡大して,いろいろなことを考察したい。

最後に

私が今,最もやりたいことは,弁護士として「法を問題解決と創造に活かす」活動であり,「問題解決と創造の頁」は,そのための,事実と論理を踏まえた準備作業となることを志している。このWebサイトも,やっとそういう情報発信ができるような準備が整いつつある気がする。ただITやAI,科学についての新しい知見・動向を知るには,英語文献の読解が必須なので,その意味での準備に今しばらく時間がかかりそうだ。

 

 

出張先でこんな本を読んだ

未読・半読・一読の本 2 (180412)

先週金,土と仕事で長崎に行き,その行き帰りと宿泊先で,3冊ばかりのKindle本に目を通した(おいしい魚のお店で一杯やることも忘れなかった。)。今見ると,1冊は前日,もう一冊は滞在中に購入している。

教養としてのテクノロジー

教養としてのテクノロジー AI,仮想通貨,ブロックチェーン」( 著者:伊藤 穰一, アンドレー・ウール)は,今作成中の「これからの社会と経済を理解するためのこの4冊」の準備として目を通してみた。

私は,今現在の社会と経済を理解するために,「社会と経済の基礎となる8冊―試論」という記事を作成したが(「社会と経済」という言い方は見直したいと思っているが,制裁付きのルールの下で展開される仕事と生活ということである。),これを土台として「これからの社会と経済を理解するためのこの4冊」を作成中である。過去,現在を踏まえ,未来を展望しようという試みだ。

まず出発点として,未来の動向に大きな影響のあるテクノロジー(中心は,AI,IT,IoTの動向だ。)を概観する「この1冊」を取り上げようと思っている。

そしてそれを基盤にして,「限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭」(著者:ジェレミー・リフキン)に進み,さらにビジネスについては「プラットフォーム革命――経済を支配するビジネスモデルはどう機能し、どう作られるのか」(著者:アレックス・モザド, ニコラス・L・ジョンソン)に,社会の仕組みについては「ポストキャピタリズム」 (著者:ポール・メイソン)で,さらに詳細に検討しようという運びだ。

最初テクノロジーは,「〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則」(ケヴィン・ケリー。原書:The Inevitable: Understanding the 12 Technological Forces That Will Shape Our Future)で決まりと思っていたのだが,読み返してみると,これは「テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?」( What Technology Wants」の応用編という位置づけで,出発点としてはおそらく「テクニウム」の方がよさそうだが,これは翻訳のKindle本が4500円もする。外れだとつらい支出なので,まだ購入していない。そこで伊藤穣一さんの「9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために」もよかったなと思いだしたが,もっと基本なら最新刊で「教養としてのテクノロジー」があることに気が付いたので,これを読むことになった。

内容は網羅的だが(目次は,はじめに/「AI」は「労働」をどう変えるのか?/「仮想通貨」は「国家」をどう変えるのか?/「ブロックチェーン」は「資本主義」をどう変えるのか?/「人間」はどう変わるか?/「教育」はどう変わるか?/「日本人」はどう変わるべきか?/「日本」はムーブメントを起こせるのか?),切り取り方が簡潔,単純に過ぎ,「この一冊」としては適当でなさそうだ。伊藤穣一さんは,しばらく前から名前を聞いていたが(MITのメディアラボの所長),その立場で自由自在に人をつなげて動かし,大活躍していることが分かる。私にとって今一番うらやましい人だ。この本の中でも盛んにメディアラボは営利目的ではない,自由にいろいろな試みができることが繰り返されている。我が国にもこのようなものがあればいいなと思うのだが。ただ官僚的とは正反対の組織のようだから,この国では難しいかな。この本の中で,仮想通貨について詐欺的に使われるとして警戒しているのは,冷静だなと思った。

マネーロンダリング入門

次に「マネーロンダリング入門 国際金融詐欺からテロ資金まで」(著者:橘玲)だ。しばらく国際取引とは関わりを持っていなかったが,私が関与していた頃はあまりマネーロンダリングということは言われていなかったので,普段からよく読む橘玲さんの本を読んでみた(目次は,山口組の指南役になった日/世にも奇妙な金融犯罪/プライベートバンクの憂鬱/北朝鮮はなぜ核兵器が必要なのか/ 世界でいちばん短いマネロンの歴史/誰でもできるマネロン)。

「犯罪収益移転防止法」制定前の2006年の本で,その頃の実情が書かれているが,要は資産家がころりと騙される話,資金受入れ側も騙しながら自転車営業している話,ドル決済はどのように行われているかという話,脱税というけれど国境に何の意味があるのだろうという話等々,みんな面白いけど,10年ふた昔という感じだ。プライベートバンクとして出てくる,クレディスイス,シティバンク,そして犯罪銀行BCCIの名前は忘れるわけにはいかない。

英会話不要論

英会話不要論」(著者:行方昭夫)は国際取引にかかわる前に,またぞろ英語を勉強しなくてはと思って手に取った本だ。,一口でいえば,文法を頭に入れた英文読みができれば,なれれば英会話はできるよという本だ。ごもっとも。

 

 

海外との仕事をする準備(備忘)

依頼者が海外との仕事をする際,その仕事に弁護士として参加,支援するために必要となる準備事項・前提事項をまとめておく。なおこの項目については,日弁連が実務研修をしている事項が多いので,適宜それを引用する(日弁連「…」とする。)。内容について疑問があれば問い合わせていただきたい。

国際法と異文化理解

海外との仕事をするということは,日本国に属する私たちと,X国に属するY企業が向き合う関係だから,国と国との慣習,マナーである最低限の国際法を踏まえる必要がある。そうでないと思わぬ対立を招く。手頃な入門書として「国際法第3版」を紹介しておく。

また,人間対人間だからわかるだろうという前に,「異文化を理解する」姿勢を持つことが重要だ。これについては,まず「異文化理解 相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養」という本を読んでみることだ。個別事案への対応はそれからだろう

国際貿易

日本企業が輸出入に関与することはそれこそ日常茶飯時だから,弁護士がその実務に関与することは少ないが,対象商品に問題が生じた場合に,その対応を依頼されることが多い。多いのは輸入商品であるが,交渉レベルで解決すればともかく,裁判,執行の問題になることも多いが,海外で回収できる場合は少ない。日弁連「中小企業の海外展開業務に関わる実務上の諸問題 第1回 海外取引に関する法的留意点」及び「貿易実務~中小企業の海外展開を支援するために必要な知識を中心に~」が参考になる。

国際私法と国際裁判管轄,及び国際租税

国際私法と国際裁判管轄は,海外との取引に紛争が生じた場合に,どこの裁判所に管轄があり,どこの法律が適用になるかという問題である。法律学の一分野であり,論理適用の問題であるが,その実効性が問題である。日弁連「中小企業の海外展開業務に関わる実務上の諸問題 第2回 海外進出に関する法的留意点」及び「国際取引分野における国際私法の基本体系と動向」が参考になる。

海外との取引に関する税務問題も重要である。日弁連「税務面を考慮した中小企業海外取引の法的構造」は得難い情報である。

国際契約

海外との仕事の出発点は契約だ。さすがにすべて口頭でというケースはないが,重要なことの検討が不十分な契約書が多い。国際契約については,英文契約書がモデルになるメースが圧倒的に多い。日本での契約書にもその影響がある。

英文契約書を学ぶには,まず「はじめての英文契約書の読み方」(著者:寺村淳)をじっくり読みこむのがいい。そのうえで,「米国人弁護士が教える英文契約書作成の作法」(著者:チャールズ・M・フォックス(原書:Working with Contracts: What Law School Doesn’t Teach You by Charles M. Fox)がよさそうだ。

日弁連の研修には,「中小企業の海外展開業務に関わる実務上の諸問題 第3回 英文契約の基礎知識(総論)及び国際取引契約の基礎(各論)」,及び「英文契約書作成の実務」の「第1回 英文ライセンス契約書作成の留意点」「第2回 英文製造委託契約書作成の留意点」「第3回 国際販売店契約の基礎」がある。復習用にいい。

海外進出実務

アメリカ,EU,中国,韓国についてはすでに十分な蓄積があるし,割と身近に実例も多くて,見当もつけやすいだろう(EUは,分かりにくいところもあるが,まずJETROで情報収集すべきであろう。)。アジアについては,「海外進出支援実務必携」に網羅的な情報が記載されている。

ここではASEANを考える。

ASEANに企業進出する際の基本的な問題点は,日弁連「海外子会社管理の実務~ケーススタディに基づくポイント整理~」,及び「中小企業の海外展開サポートにおける法律実務~失敗事例から学ぶ成功ノウハウ~」に貴重な情報がある。

そのうえで各国別の情報を丹念に検討すればいい。日弁連の研修には,「中小企業の海外展開業務に関わる実務上の諸問題」「第4回 現地法の基礎知識-中国法・ベトナム法」「第5回 現地法の基礎知識-発展途上国との取引の注意点」,「現地法の基礎知識-タイ法」,「現地法の基礎知識-インドネシア法」がある。

注意すべき点

金銭移動が伴う海外案件で注意すべき点だが,昔は外為法がとても大きな意味を持ったが今は基本的には事務的なことと理解していいだろう(日銀Web)。それに変わって今大きな意味を持つのが,マネーロンダリングである。これについて実務家は,今,細心の注意を払う必要がある(外務省Web)。そうではあるが,マネーロンダリングは,①犯罪収益,②テロ資金,③脱税資金の監視ということであり,①はさほど大きな拡がりを持つものではないし,②はかなり限定された時期,地域の「政治的な問題」である。③は国によって考え方が違う。また仮装通貨が多用されるとこれはどうなるのかという疑問もある。

 

 

世界史の中の経済史

歴史と経済

経済史」(著者:小野塚知二)は,必ずしも経済活動だけに焦点が当てられているわけではないが,文明,文化,思想,宗教等についての扱いが二次的になるのはやむを得ない。

ところで,つい最近まで,私たちの関心や知的エネルギーの多くは,文化とか思想や政治とかに割かれていたと思うのだが,今はそのほとんどが経済に割かれている。何か,情けない思いもするが,ただ経済といっても,誰もがお金儲けのことだけを考えているということではなく,文明,文化,政治,思想等を,人間の存続基盤である経済活動を通して整理して考えているというのが,実情に近いのかもしれない。

経済史はもちろん世界史の一部であるのだが,多様に変化する世界史の枠組みから経済史を見ると,問題が立体的にみえてくる。

経済と世界史

教養としての「世界史」の読み方」(著者:本村 凌二)は,ローマ史を専門とする本村さんが,世界史を,横断的に眺めた「歴史総論」とでもいうべきもので,とても面白い。特に「文明はなぜ大河の畔から発祥したのか」,「ローマはなぜ興隆し,そして滅びたのか」,「なぜ人は大移動するのか」,「宗教を抜きに歴史は語れない」を,特にお勧めしたい。

さわりを紹介すると,「文明はなぜ大河の畔から発祥したのか」の大きな要素は,大規模な乾燥化だそうだ。「アフリカや中東の乾燥化が進んでいったことで,そこに住んでいた人々が水を求め,大きな川や水の 畔 に集まっていきました。それがアフリカの場合はナイル川の畔であり,中東の場合はティグリス・ユーフラテス川の畔であり,インドの場合はインダス川の畔であり,中国では黄河や揚子江といった大きな川の畔だったのです。」「少ない水資源をどのようにして活用するかと,ということに知恵を絞る」(文字の使用等)ことが文明につながる。「日本は水に恵まれていたがゆえに,なかなか「文明」に至りませんでした」ということになる。

さらに著者は,「文明発展」の大きな要素の一つに馬の使用があるという。武力,馬力,情報の迅速な移動のいずれにおいても,馬は大きな意味を有している。馬がいなければ,人間はいまだ「古代世界」にとどまっていたかもしれないという。著者の競馬好きを差し引いても,なるほどと思わせる。

あと面白いのは,ローマ人と日本人の類似性の指摘だ(もちろんこういう指摘は,任意の2民族でいかようにも可能ともいえるが,しばし著者の言を聞こう。)。

「文明は,一度発達し始めると,なかなか一定段階にとどまっていられない性質があります。今あるものを工夫して,どんどん新しいものが生み出されていくわけですが,そのときより創意工夫をして,いいものを作り出した者が最終的に勝利することになります。このソフィスティケートしていくことが得意なのが,実はローマ人と日本人です」,「ここでとても大切なことは,ソフィスティケートする能力の真髄は,「ごまかさない」能力,つまり,正直さとか誠実さに根ざした能力だということです…日本がこの「ごまかさない」という一番大切なことを忘れた」結果,今の日本があるというロジックだ。このあたりになると「文明批評」だが,数ある「文明批評」のなかでは,本質をついているような気がする。これがイノベーションを支える基本的な資質だとすれば,我が国もまだ間に合う。

その他,この本は「アイデアをカタチに」する「創意工夫」が満載なので,そういう意味でも,お薦めしたい。

経済と日本史

日本史における市場を中心とする「経済史」を丹念にたどっているのが,「マーケット進化論 経済が解き明かす日本の歴史」(著者:横山 和輝)である。そのような日本史を世界史の中で捉えようとするのが,「世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史」(著者:茂木 誠)である。いささかスケールが小さくなるが,今の私たちを理解するためには,いずれも必要な視点である。ただまだ十分に消化できていないので,とにかく書名と詳細目次をあげておきたい。

3冊の詳細目次を掲載しておく。

 

続きを読む “世界史の中の経済史”

このサイトの構成を少し見直します

なぜWebの構成を変更するのか-技術的な理由

最近,ほぼコンスタントにこのWebの記事を作成することができるようになり,記事数も増えてきた。そこで,まず最低限の変更として,私も閲覧してくれる人も,混乱せず,かつ目的とする記事に到達しやすいように,構成を簡素化し,かつ,工夫してみることにした。本当はテーマも古くなったので変えたほうがいいのかもしれないが,私が撮影したクリックする度に変わる10枚ぐらいの山の写真は手放しがたい。

このWebは,Wordpress.comで作成しているが,記事は固定ページと投稿に分けて作成する仕組みだ。固定ページは,内容で項目分けされた上部メニューに配置し固定するために作成する記事群,投稿は,作成した時間順に表示される硬軟様々のブログ記事だ。両者の内容は交錯するが,投稿をうまく前者に入れ込むことが重要だ。今まではここが混乱していた。それとメニューの項目をあまり深くせず,文中からリンクさせる方がよさそうだ。

なぜWebの構成を変更するのか-実質的な理由

以上は技術的な理由だが,構成を変更しようとするより実質的な理由は,私が今,最もやりたい「法を問題解決と創造に活かす」弁護士としての活動について,このWebを情報発信の」主要なツールにしたいからである。今までの構成はいささか雑然とし過ぎていた。

そのために,今回,主要メニューを,「法と弁護士業務の頁」,「問題解決と創造の頁」,「ブログ山ある日々」に整理した。「ブログ山ある日々」は投稿(ブログ)であり,固定ページのメニューを,「法と弁護士業務の頁」と,それ以外の「問題解決と創造の頁」に分けたものである。

「法と弁護士業務の頁」の中心は「法を問題解決と創造に活かす」であり,「問題解決と創造の頁」は,そのための,事実と論理(学問)を踏まえた科学的な準備足らんことを志している。このWebも,やっとそういう情報発信ができるような準備が整いつつある気がする。ただITやAI,科学についてその新しい知見・動向を知るには,英語文献の読解が必須なので,その意味での準備に今しばらく時間がかかりそうだ。

現在,立法とその運用・適用を担当している中央政府(行政・司法)の人々は,法をトップダウン,かつ権威主義・事大主義に寄りかかり非科学的な運用をする姿勢が顕著だが,それではこれからの世界の変動に適応できない(でもこれは当事者だけの非ではなく,その状況にいたら多くの人はそういう対応をするのではないかということだろう。)。

だからこそ公共政策をめぐる事実と論理(学問)を把握し,これを踏まえた科学的な対応をすべく,立法も,その運用・適用も,ボトムアップかつ柔軟なものに変え,これからの世界に適応してみんなの問題を解決していきましょうというのが,私の今後のこのWebでのささやかな提案である。

これからのWebの構成

「法と弁護士業務の頁」は,今後,「法を問題解決と創造に活かす」を中心に記事を作成するが,「分野別法律問題の手引」も充実させたい。その他は,若干の手直しをする。

難しいのは,「問題解決と創造の頁」のメニューの項目と「ブログ山ある日々」の「投稿」との関係である。暫定的に次のようにしてみることにした。追ってこれに沿って各記事の配置を改めていくことにする。しばらくは,投稿のカテゴリー等は,無茶苦茶であろうが,ご容赦いただきたい。

問題解決と創造の頁

社会と経済の基礎

政府と公共政策

アイデアをカタチに

食動考休-健康になる

ITとAI

方法論の基礎

ブログ山ある日々

ブログ山ある日々総覧

法・社会・ビジネスの諸相

(法を問題解決と創造に活かす)

(社会と経済の基礎)

(政府と公共政策)

(アイデアをカタチに)

人間の思考と文化

(ITとAI)

(方法論の基礎)

山ある日々と自然

(食動考休-健康になる)

(孫娘の今日のひとこと)

本の森