健康に生きるためのお薦め3書プラスα

健康本はいろいろあるけれど

健康本は,ダイエット本を中心に山ほどある。どれも似たりよったりで,とにかくその「教え」を実行しさえすれば,何かの役に立つだろうともいえるが,ただ下手に非科学的なカルト本にはまると,かえって健康を害することもあるだろう。またあれこれ読み漁り,どれも中途半端だが,全体では過剰というのも困りものだ(特に「食」はそうだ。)。

私も人のことはいえず,次々と健康本を買い漁った結果,だんだん収拾がつかなくなってきた。

ここらで中心になる本を見定めて,そこで足りない分は補充するというスタンスを取りたいと思う。

私は科学的な素養は不十分だが,読んだ限りで十分に科学的で,かつ健康に生きるための核心をついていると思う本を3書紹介したい。

ダイエット,運動,病気への対応という順番になった。ただいずれの書の内容もそれに限られているわけではない。

健康に生きるための3書

果糖中毒

1書目は,「果糖中毒-19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか? 」(著者:ロバート・H・ラスティグ)だ。この本は,簡単に紹介したが,肥満の原因を果糖と見定め,その「解毒剤」として,「食物繊維」と「一日15分の運動」を挙げる。こう書くと何の変哲もないようだが,その論述は肥満をめぐって対象を広く検討し,科学的で鋭い。今一押しである。

一流の頭脳

2書目は「一流の頭脳 」(著者;アンダース・ハンセン)だ。この本が面白いのは,「身体を動かすことほど、脳に影響をおよぼすものはない。 これが本書のテーマであり、とりわけ効果の高い身体の動かし方とそのメカニズムをお伝えする」,「運動をすると気分が爽快になるだけでなく、集中力や記憶力、創造性、ストレスに対する抵抗力も高まる。そして情報をすばやく処理できるように-つまり思考の速度が上がり、記憶のなかから必要な知識を効率的に引き出せるようになる。また特別な「脳内ギア」を入れることで、混乱した状況下で意識を集中させ、心が乱れていても平常心を取り戻すことができる。運動によってIQ(知能指数)が高くなるという説さえあるのだ」と,「運動」が脳をよくするということで貫かれている。つまり,「一日15分の運動」は対肥満,能力向上の決め手というわけだ。これで運動の十分なモチベーションになると思う。

老婆心ながら,私が運動でいいと思うのは,スロージョギングと,「ずぼらヨガ」(著者:崎田ミナ)または自重トレーニング(著者:比嘉一雄)によるストレッチや筋トレかなあ。運動を継続する(習慣化する)には,行動分析学の本に目を通してみることをお薦めするが,行動分析学は概して「言葉遣い」が創始者のスキナーに捕らわれていて,論争的で難解すぎることはいっておこう(一番整理されているのは「「結果が出る習慣術―行動科学で人生がみるみる変わる」(著者:石田淳)だろうか。)。まあこれらはプラスアルファだ。

最強の健康法

3書目は,「最強の健康法【ベスト・パフォーマンス編】/【病気にならない最先端科学編】」の2冊だ。これも簡単に紹介したことがあるが,要は,運動して痩せて脳が活性化しても,癌をはじめとする病気にはなるのだから,それにも注意しようねということだ(スロージョギングを引っ張っていた田中さんは,確か膵臓癌で亡くなられたようだ。)。癌検診は欠かせない。

というようなことを考え,少しずつ実行しているうちに,どんどん年老いていくだろうが,最後まで元気に生活していたいものだ。

目標達成の技術

これらとは毛色が違うが,もう少し元気な人には,「ペンタゴン式 目標達成の技術 一生へこたれない自分をつくる」(著者:カイゾン・コーテ)をお薦めしたい。

 

やり残したことども

大晦日に書きかけたこと

大晦日にこの記事を書きかけたが,やり残したままあっという間に今日になってしまった。「今年もあっという間に大晦日だ。今年は去年より比べて,だいぶ充実したときを過ごせたような気がする。更に来年は踏ん張ろう」で始まり,今後作成する記事の「目論見」を書く段取りだった。

松岡正剛さんの初期の本に本は10冊くらい並べて,最近の本には30冊くらい並べて読み進むと書いてあった。ここ1ヶ月くらいの私がそれに近い状態だった。松岡さんはR本(現実本)だろうが,私はKindle本だ。でも,30冊のR本をとっかえひっかえするのは大変だろうが,Kindle本なら,同時には見られないが,30冊でも,100冊でも読み替える操作は簡単だ。

「教養」の逆襲

ひと時,教養は卑しめられ,人文・社会科学は,大学から追放されそうになった。「役に立たない」ということだろうが,教養のない人の言いそうなことだ。だが,最近,教養陣営の逆襲が目立つ。

通常イメージされるいわゆる教養(歴史,哲学,文学等々…)は,過去の事象に学ぶ,視野を広げ,フレームを切り替え,問題を俯瞰する,新しいアイデアを得る等々の意味で,間違いなく役に立つ。教養は役に立たないという人たちが考える「役に立つ」知は(主に自然科学を念頭に置くのだろうが),科学としても。射程が短く,一時的で,脆弱だ。科学のほとんどは仮説であり,教養は科学を準備する助走であるというぐらいの捉え方が正しいのだろう。あるいは,教養は,助走+科学の全体というのがいいかもしれない。

ただ教養陣営にも問題はある。得てして教養に立てこもりそれだけで自足して,問題解決に役立てようという意識に乏しいことがある。

「教養」を論じた本は多いが,ビジネス,経済を視野に入れた異色の本が,「センスメイキング―本当に重要なものを見極める力」(著者:クリスチャン・マスビアウ)である。「デザイン思考」を切り捨てながら,批判的的思考によるセンスメイキングを持ち出し,その五原則として「1「個人」ではなく「文化」を,2単なる「薄いデータ」ではなく「厚いデータ」を,3「動物園」ではなく「サバンナ」を,4「生産」ではなく「創造性」を,5「GPS」ではなく「北極星」」をあげる。ただ,批判的的思考とアルゴリズムを対置し,後者を退けるのはいかがなものか。

わが国にもいわゆる教養を論じた本は多い。最近のKindle本の書名だけをあげておこう。「本物の知性を磨く 社会人のリベラルアーツ」(著者: 麻生川静男),「人生を面白くする 本物の教養 (幻冬舎新書)」(著者:出口治明),「リベラルアーツとは何か」(著者:瀬木比呂志),「これからの教養 激変する世界を生き抜くための知の11講」(著者:菅付雅信),「教養の力 東大駒場で学ぶこと (集英社新書)」(著者:斎藤兆史)等々。

読むべき本のリストをあげる読書論も,要は,教養リストだ。立花隆,松岡正剛,佐藤優,その他大学の先生等とリストは多い。私としては吉本隆明の「読書の方法~なにを、どう読むか~ (光文社文庫)」に一番心が惹かれる。これらはいずれまとめて紹介しよう。

ビッグヒストリー,システム理論プラスアルファ

去年出会った,私にとっては新しい分野が,ビッグヒストリーやシステム理論だ。システム理論の中身をより緻密化するものとして「制度とは何か」(著者:フランチェスコ・グァラ)は極めて興味深い。一方,世界の今現在の全体像を的確に把握するためには,「FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」(著者:ハンス・ロスリング等)がお薦めだ。基本的に頭に叩き込むべきことは,世界を4つの所得レベル(1日当たり,①~2ドル,②~8ドル,③~32ドル,④オーバー32ドル)に分けると,現在,①が10億人,②が30億人,③が20億人,④が10億人だが,「いまから200年ほど前までは,世界の85%がレベル①、すなわち極度の貧困の中に暮らしていた。現在、世界の大部分は真ん中のレベル,つまりレベル②とレベル③に暮らしている。これは1950年代の西ヨーロッパや北アメリカと同程度の生活水準だ」。「70億人の人口は,10億人単位で見て,アメリカ大陸 ,ヨーロッパ大陸,アフリカ大陸,アジア大陸にどのような割合で暮らしているか。現在は,「1・1・1・4」であるが,2100 年 には「1・1・4・5」で, 世界の人口の8割以上が,アフリカとアジアに暮らすことになり,おそらく次の20年間で,世界市場の中心は大西洋周辺からインド洋周辺に移るだろう」。

この本は,現在の世界の現状の様々な数字について多くの人に質問をし,その回答が専門家を含めほとんどでたらめであるとし,その原因として「10の思い込み」を挙げているが,おそらく上記した数字が頭に入れば,質問への回答も落ち着くだろう。要は,多くの人の頭には,せいぜい初等教育を受けたときの数字しか刷り込まれておらず,それを基本にイメージするからほとんどでたらめになるのではないか。

続情報をめぐって

「宇宙はエネルギー・物質・情報でできている。だが,宇宙を興味深いものにしているのは情報だ」という説明が「情報と秩序」(著者:セザー・ヒダルゴ)にある。

ビッグヒストリー,システム理論の中心にあるのは,「情報」であるが,これをデジタル情報論ではなく,宇宙,地球,生命の中に位置付けようとするのは,「基礎情報学」である。アフォーダンス,オートポイエーシス,ルーマン,ラディカル構成主義等々,なぜ情報学にこんなことが書いてあるのという気もするが,ビッグヒストリー,システム理論に位置付けようとする場合,とても役に立つ。

既に「情報をめぐって」という記事を作成したが,「続情報をめぐって」を考えている。

ここでは「サイバー空間の病理」を検討するが,その前提として,サイバー空間を利用することがどういう力を持つのか,「NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ」(著者:ジェレミー・ハイマンズ, ヘンリー・ティムズ)を一読したい。著者らが「僕たちは,初期のインターネット先駆者たちが思い描いた自由な楽園とはほど遠い,、集団農場のような世界で暮らしている感じがしてならない」,「もっとオープンな、民主的かつ多元的な社会を実現しようと奮闘している人たち」によって「正しく用いられた場合には、すばらしい効果を発揮している等々には,共感もするし,励まされもする。

しかし,そのサイバー空間の「新しい力」は,病理ももたらす。便宜,サイバー攻撃と,サイバー煽動と呼ぼう。前者は,破壊や経済的利益を目的とし,サイバーセキュリティが問題となる事象である。後者は,フェイクニュースを流したり,その他の方法により,世論操作を行おうとする手法である。これらに関する本は多いが,全体を概観する本として,「サイバー空間を支配する者 21世紀の国家・組織・個人の戦略」(著者:持永大)を,前者は多くの本があるのでここでは省略し,後者として私が衝撃を受けた「フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器」(著者:一田和樹)を挙げておこう。この本ではロシアが目立つが,「池上彰の世界の見方 ロシア~新帝国主義への野望~」(著者:池上彰)を一読するとなるほどと思える。

これらはいずれも世界,社会の価値を著しく毀損するものであるから,適切な対応をすることが今後の大きな課題である。サーバー空間には大きな「「NEW POWER」があるからこそ,これを利用して,不当な経済的利益を得たり,政治支配をしたりしようとする輩は多い。我が国でもいずれも大きな問題だ。

生命と進化をめぐって

この分野では,「人体はこうしてつくられる-ひとつの細胞から始まったわたしたち」(著者:ジェイミー・A・デイヴィス)と,「タコの心身問題-頭足類から考える意識の起源」(著者:ピーター・ゴドフリー=スミス)を挙げたい。いずれも極めて良質なポピュラーサイエンス本といえるが,論述にしっかりついていくには多少力がいる。ただ今,生命と進化の世界が大きく広がりつつあることがうかがわれて,読んで損はない。追ってじっくりと紹介したい。後者は題名を見るだけで読みたくなるのでは?

人間の健康ということでは,「果糖中毒 19億人が太り過ぎの世界はどのように生まれたのか?」(著者:ロバート・H・ラスティグ)が,肥満に由来する病気や,ダイエット問題の核心について,丁寧に,科学的に検討する最高レベルの本だ。これまでの肥満,ダイエット本が幼稚に見える。ただ「果糖中毒」(Fat Chance: The bitter truth about sugar)という題名の翻訳がこの本の論述の広がりを誤解させるが,内容は健康全般にわたる優れた本だ。健康本としては一押しである。

その他にもまだまだあるが,私が消化しきれなくなるので,当面これらの本の内容を紹介する記事を作成していこう。

着地点

ところで,これからどこに着地するの?というのはもっとも疑問だ。私としては,システムとしての社会の要素である法制度の機能を踏まえた今後の情報のありようを問題にしたい。弁護士としては情報法の問題だが,もう少し視野を広げて,ビジネスや政治にも働きかけたい。

 

138億年!!

138億年とは

138億年とは,138億年前に宇宙が誕生したといわれるその年数である。もっともテレビでも放映されたクリストファー・ロイドの「137億年の物語―宇宙が始まってから今日までの全歴史」もあるし,140億年前ともいわれるが,1,2億年くらい大した問題ではない(のかなあ?)。

惑星科学者である松井孝典さんの「138億年の人生論」(Amazonへリンク)というKindle本を見つけたので,読めばきっと雄大な気持ちになるだろうと思って早速購入したのだが,その結果は!

「138億年の人生論」の中で松井さんは,宇宙,地球,生命,文明について何十年も考え続けてきたとするので,それがまとまっているであろう「宇宙誌」を購入しようと思ったのだが,「138億年の人生論」にも出てくる恐竜絶滅の原因を隕石の衝突だと特定した地質学者のウォルター・アルヴァレズが「宇宙,地球,生命,人間」を「ビッグヒストリー(ストーリー)」という観点から書いた「ありえない138億年史~宇宙誕生と私たちを結ぶビッグヒストリー~」(Amazonへリンク)(「A Most Improbable Journey: A Big History of Our Planet and Ourselves by Walter Alvarez)がKindle本にあることを見つけ,こちらの方が大分内容が新しそうなので急遽乗り換えて目を通してみた。

私は常々,人間や社会の問題を考えるときは,進化論をふまえなければだめだと思ってはいたが,それを更に生命,地球,宇宙(物質とエネルギー)にまで広げて考えようとする「ビッグヒストリー」の試みがあることはこれまで知らなかったが,今回,「ありえない138億年史」を読んで,いたく感銘を受けた。「ビッグヒストリー」は決して「大風呂敷」を広げようとする試みではなく,物事の核心にある物質的な問題の連続(方向性と周期性)と偶然から「人間」をあぶりだそうとするもので,今までの「史観」がいかに狭苦しいものであったかがよくわかる。

取り急ぎこの2冊を紹介しよう。

 

 「138億年の人生論」を読む(Amazonへリンク

著者:松井孝典

出版社等による紹介

“宇宙スケール”で考えると,人生はほんとうにスッキリするのです-。人生の目的とは?教養とは?仕事とは?人間関係とは?宇宙の誕生から文明のゆくえまで,138億年の時空スケールで追究しつくす世界的惑星学者がはじめて綴る,「知的興奮に満ちた100年人生」を送るための25講

私のコメント

松井さんが自分の一貫した努力,現在の立ち位置が誇らしいのは分かるが,若い人をターゲットにした「人生論」だとしても,いささか汎用性に欠けると思う。

人生とは,頭のなかに内部モデルをつくりあげることだという全体を貫く立論は興味深いし,記述のうち,「4 「正しい問い」を立てる」,「10 「ひらめき」は普段から考えている人にのみ訪れる」,「18 過去をふりかえる暇があれば新しいチャレンジを」,「23 英語以前に「日本語で伝えるべき内容」をもつ」,「24 インターネットは歴史に逆行している」等は大いに参考になる。

その他は,お弟子さん,後輩に対する指導,意見,愚痴というところではないか。少なくても私は,雄大な気持ちにはならなかった。

 

「ありえない138億年史」を読む(Amazonへリンク)

~宇宙誕生と私たちを結ぶビッグヒストリー~ 
著者:ウォルター・アルバレス
A Most Improbable Journey: A Big History of Our Planet and Ourselves by Walter Alvareb (Amazonへリンク

出版社等による紹介

われわれ人間は、なぜここにいるのか? それは人類の歴史だけを見てもわからない。宇宙誕生から現在までの通史-「ビッグヒストリー」の考え方が必要だ。自然科学と人文・社会科学を横断する驚きに満ちた歴史を、恐竜絶滅の謎(隕石衝突)を解明した地球科学者が明らかにする。

歴史は必然ではない。偶然が重大な役割を担っている。宇宙、地球、生命、人間の各領域において、この世界が実際にたどった道とは異なる道をたどる可能性は無数にあった。その結果、今日のものとは異なる人間世界が生まれる可能性もあれば、人間世界がまったく生まれない可能性もあったのだ。そのため、今あるこの世界を理解するには、物理学や化学を超えて、地質学や古生物学、生物学、考古学、天文学、宇宙学などの歴史科学の領域から人間の歴史へと目を向けるべきだろう。これらの歴史科学や歴史学が、今あるこの世界の歴史について学びつつあることを知る必要があるのだ。

私のコメント

これはとても優れた本だ。京大の火山学の先生の鎌田さんが長々と「本書に寄せて」を書いているのも頷ける(なんとなく,松井さんと張り合っている気がする。)。本の内容は網羅的ではなくて,ポイントを点描するという手法だが,それが核心をついている。著者は,「138億年の人生論」でも紹介されているように,親子で恐竜絶滅の原因が隕石衝突であることを解明した子の方だ。

翻訳本の目次だとわかりにくいが,PROLOGUEがIntroduction と1章,COSMOSが2章,EARTHが3~6章, LIFEが7章 ,HUMANITYが8,9章,EPILOGUEが10章という構成だ。

第1章に,隕石衝突の証拠発見のことと著者がビッグヒストリーに取り組んだことが書かれ,第2章に宇宙の誕生から地球の誕生までがまとめられる。

著者は地質学者ということで,地球がどのように人間が利用できる資源(特に砂)生んだのか,(第3章),そして人間の活動を踏まえ,地球の大陸+海(第4章),山(第5章),川(第6章)が語られる。ここで重要なのは,プレート・テクニクスだ。

そして第7章に,人間の体に生命の歴史が刻まれているという観点から,生命の誕生から歴史が語られる。

第8章では人類の移動が語られ,第9章では,言語,火,道具の使用のうち,火の利用と青銅器の製造について詳細に語られる。

そしてエピローグで,歴史の展開について,連続(方向性と周期性)と偶然による2分法を提案する。そして偶然とは,「まれ」であること,「予測不能」であること,「重大」な意味を持つことだとする。

この本は一流の科学者が,哲学をもって,宇宙,地球,生命のみならず人類の歴史にも挑んだもので,その記述には本当に感心させられる。本来,真正面から問題にぶつかるべきであるが,私は「ビッグヒストリー」というのは今回初めて出会った手法であるので,今回は,「ありえない138億年史」のほんの上っ面だけを紹介し,現在ぞくぞくと購入して読解に努めつつある「ビッグヒストリー」関係の本によってその大要をつかみ,改めて全体像について検討したい。

私は,「ビッグヒストリー」によって,偶然と激動の自然の中に,人間をシステムの要素として位置づけることができ,システム思考と突合せできそうだそうだという予感がある。最もそんなことはとっくにやられているかも知れないが。

著者が展開している「ビッグヒストリー」のWebとして,ChronoZoomがある。

なおビッグヒストリーのうち,人間の歴史は,デヴィッド・クリスチャンという人が,ビル・ゲイツさんの協力を得て展開しつつあるようだ。ビッグヒストリーの本の多くに,デヴィッドさんが絡んでいる。

詳細目次

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「最強の健康法」を読む

~世界レベルの名医の「本音」を全部まとめてみた~

著者:ムーギー・キム

ベスト・パフォーマンス編 (Amazonにリンク) 

病気にならない最先端科学編 (Amazonにリンク
 

レイアウトに難あり

「最強の健康法」は,「ベスト・パフォーマンス編」と「病気にならない最先端科学編」の2冊の単行本で構成されている。しかしそのこともすぐには分からないし,本の表紙にも,表紙から目次の間までにも,ごちゃごちゃといろいろなことが書いてあり,しかも,目次も色付きで,ごちゃごちゃといろいろなことがいろいろなレイアウトで書いてあり,率直にいってそれで嫌になる。こんなことで投げ出したくなる本も珍しい。作成サイドは工夫を凝らしたつもりだろうが,度が過ぎている。目次の医師や「専門家」の,氏名のみならず所属の紹介も煩わしい。

後記の詳細目次は,余計な記述を除いて分かりやすくしてみた。項目だけをあげると,「ベスト・パフォーマンス編」が,「消化,食事,食べ方,歯磨き,禁煙,目,歩行,生産性向上,マインドフルネス,うつ病(心理療法),うつ病(食事療法),疲労,疲労回復,水虫,睡眠,不眠」,「病気にならない最先端科学編」「①健康を護る最先端科学」が,「健康診断,糖尿病・高血圧,心臓病,がん,ウイルス」,「 ②若さを保つ最強の健康習慣」が,「アンチエイジング,男性ホルモン(意欲減退、頻尿、ED),薄毛,不妊治療,骨粗しょう症,認知症,人生の終わり方」である。これだけだと,覗いてみたくなるだろう。

内容は悪くない

本書は著者が,医者や健康についての「専門家」約50名から取材した最新の科学的な健康・医療情報を,更に2人の医者・研究者がダブルチェックして上記の項目にまとめたというのが「売り」である。内容もかなり網羅的であるし,個々の記述も平易で参考になるものが多く,「内容は悪くはない」。しかしレイアウトが…。

中でも,誰でも「健康診断,糖尿病・高血圧,心臓病,がん」は気になるところであり,基本的な知識を持つのはいいことだ。

実践的な項目は,特に目新しいことはなく,基本は,減量,運動,食事である。運動として本書の項目にはないが,私はスロージョギングを勧める。

「生産性向上」の「1時間に一度は立ち上がって、体を動かそう─「座りっぱなし」で寿命が縮む」という指摘は,身に染みる。「薄毛」はもうだめなようだ。高齢男性なら「頻尿」はチェックしたい。

ただ,本書以外にも,良書はあるので,追って紹介しよう。

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情報をめぐって

勉強法から情報へ

最近私は,お酒を飲むと翌日の体調が悪くなるので,できるだけお酒をひかえるようにしている。「お酒をひかえる」という道は何度も来て引き返した道ではあるが,今回は朝のスロージョギングとペアで実行しており,劇的なリバウンドもなく,なかなか快調だ。問題はこの時期,朝,外は寒く暗いということだが,朝風呂に入ってから走り出すので,なんとか乗り切れるだろう。ジョギングはスローなので,辛くはない。

そうするとある程度まとまった時間ができる。これまでは,時間ができても,その場限りの思い付きの読書をすることがほとんどだったが,今回は,少し系統的に勉強してみようと思い立った。そこでまずいろいろな「勉強法」の本に目を通してみた。結果,「勉強法」は大きく「目標・やる気」,「計画とプロセス」,「具体的方法」に大別できるだろうか。その中で,アメリカのAmazon 2017年ベスト・サイエンス書に選ばれた「Learn Better」(著者:アーリック・ボーザー )(Amazonへリンク)あたりは読みやすいのだが,各章(章題は,Value,Target,Develop,Extend,Relate,Rethink)に書かれていることが必ずしも体系的でないのと,内容も高低精粗ばらばらという面もあって,??という感想も持つのだが,とにかくこの本が取材を積み重ねていることには好感が持てるので,導入にはよいだろう。ちなみに,この本が推奨する「具体的方法」は様々な観点,方法の自問自答を繰り返すことであって,私にいわせれば中高年にぴったりの「ぶつぶつ勉強法」である。

「勉強法」はおって紹介することとするが,「勉強法」の本の中で私が気になったのは,「リファクタリング・ウェットウェア ―達人プログラマーの思考法と学習法」(著者:Andy Hunt)(Amazonへリンク)や,「エンジニアの知的生産術」(著者:西尾泰和)(Amazonへリンク)という,デジタル社会における真偽をかっちりさせなければならない領域の「勉強法」である。そこからにわかに興味が「情報」に移り,何点かの「情報」の本に目を通してみた。この記事はその最初の導入である。デジタル情報を流通させるためには,論理的で正確な手続が必要だが,一方,今現在流通している大量の情報には内容がでたらめなものが多いということが出発点である。

情報をめぐる問題①…情報の基礎

そもそも情報とは何で,どうして上記のようなことが起きるのかを原理的に説明できるのか。

それについて真正面から説明しようとする試みに,西垣通さんの「基礎情報学」がある(例えば「生命と機械をつなぐ知-基礎情報学入門」(Amazonへリンク))。基礎情報学は,情報を,生命情報,社会情報,機械情報に分類して考察する。そして各情報を,システム,メディア,コミュニケーションとプロパゲーションに位置付け,関係付けて考察しており,情報の基礎と問題点を学ぶには十分の本だ(ただ「情報科学」の本とは違い,哲学的な考察を導入して議論の広がりがあり,全体を把握するのは大変だ。)。因みに,生命情報の最初はアフォーダンスのようなことから説明されているので,どうして物的世界の情報の流れが生命情報になるのかというところは,「哲学入門」(著者:戸田山和久)(Amazonへリンク・本の森へリンク)が参考になる。

その他,「情報と秩序-原子から経済までを動かす根本原理を求めて」(セザー・ヒダルゴ)(Amazonへリンク)(冒頭は,「宇宙はエネルギー,物質,情報からできている。だが,宇宙を興味深いものにしているのは情報だ」から始まる。)や,「インフォーメーション-情報技術の人類史」(ジェイムズ・グリック)(Amazonへリンク)も,情報の基礎を別の観点から明らかにするものとして参考になるだろう。

冒頭に述べた,現在流通する多くの情報の内容がでたらめなものであるという事態はどこから生じるのか,どう対応すべきかは,すぐに答えの出る問題ではないが,カッカせずに,情報の基礎に立ち返って考察を重ねるべきであろう。

情報をめぐる問題②…CS(IT・AI)

情報をめぐる次の問題として,Computer Scienceを利用した情報の創造,流通,処理等(ITやAI)が,今どこに到達し,今後何を成し遂げるかという問題から目を離すわけにはいかない。これについて私は「ウキウキ派」ではあるが,一方,西垣さんがいう生命情報と機械情報の差異,またIT・AIが生み出す機械情報は,数学ができることしかできないという「コンピュータが仕事を奪う」(Amazonへリンク)等における新井紀子さんの指摘は,肝に銘じる必要がある。IT・AIについては,このWebでは「AIと法」,「IT・AI法務」,「IT・AI」等に分散して記載しているが,いずれ再整理する必要があるだろう。いずれにせよIT・AIは,情報の基礎に立ち返って考察することが大切である。

これとは別に,今現在,IT・AI環境の利用について多くの人が多大なストレスを感じておりそれをどう解消できるのかというのが目の前の大問題であり(「ウェルビーイングの設計論-人がよりよく生きるための情報技術」(著者:ラファエル A. カルヴォ & ドリアン・ピーターズ )(Amazonへリンク)),それをAIで成し遂げようというのは,やりたくはなるが,おそらく問題を複雑にするだけだろう。

情報をめぐる問題③…規制とGDPR

政府による規制

次に企業や政府が取得,利用等する情報の問題であるが,これはもっぱら政府が法によって企業の情報利用を規制するという局面が問題となる。通常の「情報法務」である。実務書はたくさんあるが,「データ戦略と法律 攻めのビジネスQ&A」(Amazonへリンク)あたりが利用しやすい。

これとは別に,政府は,みずから情報をどう扱っているか,企業の情報利用を規制する能力があるかということが,最近,深刻である。

前者についていえば,世界でも,わが国でも,政府(政治家+官僚)が行政情報を隠匿しようという動きが顕著である(例えば,「武器としての情報公開」(著者:春日部聡),(Amazonへリンク),「公文書問題 日本の「闇」の核心」(著者:瀬畑源)(Amazonへリンク))。その時いくらうまく立ち回り,もてはやされても,情報を隠匿すれば,後代から激しく弾劾されるというのが政治の常なのだが,ジャンク情報の氾濫の中でそれが見えなくなっているようだ。

後者の規制する能力があるかということは,要は政府が,多面的な情報の性格を的確にとらえて,必要不可欠情報規制に係る政策を立案,実行しているかということである。まず無理だろう。おかしければ批判し改善を促していかなければならない。その一番手は弁護士のはずだが,弁護士はどうも立法論,裁判所に弱く(これは個別事件の処理にあたっては,当たり前かもしれないが。),心もとない。自戒しなければならない。

GDPR

政府の規制する能力とも関係するが,2018年5月からGDPRが施行されたことを踏まえ,「黒船来る」みたいな議論がされているが,GDPRの目的は何であろうか,本当にプライバシー保護の徹底だろうか。もちろんそういう体裁はとっているが,実際の問題は,ヨーロッパにおけるビズネス権益だろう。

Googleにせよ,Face bookにせよ,始まりはまさに「電脳」の理念だったろうが,それを維持拡大するために頭を絞って始めた広告に個人のデータが結びつき,いまやその手法がビジネスの主流になってしまった。それはヨーロッパでは許さないよというのがGDPRではないか。「さよならインターネット-GDPRはネットとデータをどう変えるのか」(著者:武邑 光裕)(Amazonへリンク)を読んでそんなことを感じた。

情報をめぐる問題④…知財

最後の問題として,インターネットで流通する情報を,知財(特に著作権)との関係で検討すべき局面がある。知財とは何か,知財はどう保護されるか(あるいは利用が促進されるか)は,相当程度,流動的であり,インターネットで流通する大量の情報について,いちいちその権利侵害性を問題にしてもあまり意味はないと思うが,許容できない侵害行為もあるだろう。一方,インターネットで流通している情報に対して,いったい何権なのかよくわからない「権利」(あるいは複合体)が主張され,これをめぐって紛争になることも多い。流通する情報量に比べれば,多いというより僅少というほうが正しいか。ただしっかりした見識を持って対応しないと,つまらない「炎上」騒動に巻き込まれる可能性がある。これはある表現に対して,根拠もないでたらめな情報をぶつける(流通させる)という冒頭に指摘した問題と同じ構造である。

これらについて知財の概要を把握するために,「楽しく学べる「知財」入門」(著者: 稲穂 健市)(Amazonへリンク),「こうして知財は炎上する ビジネスに役立つ13の基礎知識 」(著者: 稲穂 健市)(Amazonへリンク)等が参考になる。あと「著作権」の概説書に目を通すのがよいだろう。

情報をめぐるその他の問題

ところで,西垣通さんが,基礎情報学に取り組む前に「こころの情報学」()という新書がある。その中で西垣さんは,情報が関連する分野として(1)コンピュータ科学分野 ,(2)遺伝情報を扱う分子生物学や、動物コミュニケーションを研究する動物行動学など、生物学の関連分野,(3)言語情報をはじめ諸記号の作用を研究する、記号学・哲学・言語学などの関連分野 ,(4)マスコミをはじめ多様なメディア情報と社会・文化・歴史との関係を研究する、社会学・メディア論・メディア史などの分野,(5)認知科学など、情報処理に関連した心理学の分野 ,(6)図書館情報学など、事物や概念の分類法を研究する関連分野 ,(7)情報経済や経営情報など、情報をめぐる経済学・経営学の分野 ,(8)著作権など、情報に関する法学の分野を挙げている。学者から見た当時の俯瞰図としてもっともであるが,私としては,現在,解決すべき問題はないかという観点から「情報をめぐる問題」を取り⑨挙げたということである。

西垣さんは,第2次人口知能ブームの時代に,アメリカでそれを実見したという立場にあり,その経験を踏まえ,「ネットとリアルのあいだ-生きるための情報学 (ちくまプリマー新書)」,「ネット社会の「正義」とは何か 集合知と新しい民主主義 (選書)」,「集合知とは何か-ネット時代の「知」のゆくえ (中公新書),「ビッグデータと人工知能 – 可能性と罠を見極める (中公新書)」,「AI原論 神の支配と人間の自由 (講談社選書メチエ)」」等の著作があり,参考になる。IT,AIの問題は,若い人のイケイケどんどんだけでは,なかなか「正解」には達しない。

以上は一応の整理である。私の主たる関心は,情報そのものというより,情報の一機能であるルールにある。そこまでうまくつながるだろうか,朝のスロージョギングを継続しよう。

 

今後このWebをどのように展開していくのか

ここ両日の本の紹介の目的は?

自分の行動改革

昨日,今日と3冊の本を紹介しているが,これは特に重要な本というわけではない。ここしばらくの間,「問題解決と創造を学ぶ」と,その下位メニューである「問題解決と創造の方法」,「個人:生活・仕事・文化」に手を入れており,今後どのような本を読み,どのような記事を作成していくのかが,おおよそ,固まってきたので,その方向に沿っている,手軽な本を紹介したまでだ。

今一番読み込んでいるのは,まず自分の行動改革を果たすべく,「習慣」に関わる何冊かの本だ。これらは,本や,その考え方の紹介と言うよりも,まず,私自身が悪い習慣を止め,良い習慣を身につけるという実践の問題である。ただあまり自分を前面に出すと,相当格好悪い事態も予想されるので,ほどほどにしよう。「「やり抜く人の9つの習慣 」を読む」は,分かりやすいその手掛かりというところだ。

「スロージョギングで人生が変わる」を読む」は,自分の行動改革の運動面の手引書だ,もちろん,継続が問題だ。

「ルールを守る心」を読む

「ルールを守る心」を読む」は,しばらく手をつけていない「法とルールの基礎理論」に落とし込む気で購入し,気になっていたのでざっと目を通してみたが,このままでは使えないなと思い,備忘のために紹介だけしておいた。

今後の展開

今後,自分の行動改革論がまとまれば,次は,複雑な問題の「問題解決」の手法であるシステム思考を押さえ,何より40年後の世界を予測,記述する「2052」(著者:ヨルゲン ランダース)と,「学習する組織」(著者:ピーター・センゲ)をマスターしたい。前者は,最も私が興味を引かれる分野の本であるのに,これまで気にもとめなかったのが「不思議」だ。

そして自分の行動改革の問題,複雑な世界の問題,企業の問題から目を転じ,法の基礎理論や,実務的な法律問題に取り組んで行くことにする。

なお1週間ほど仕事の書面の起案に追われるので,記事作成はその後になろう。

 

「ルールを守る心」を読む

ルールを守る心~ 逸脱と迷惑の社会心理学 ~(Amazonにリンク

著者:北折充隆

出版社等による内容の紹介の要約

私たちは,生まれてから死ぬまで,ずっとルールに従って生きています。しかしながら,ルールを守る,破るとはどういうことなのか,社会規範から逸脱するとはどういうことなのか,迷惑行為を抑止するためにはどうしたらよいのか……といったことについては突き詰めるとよく分かっていないのが実情ではないでしょうか。本書では,そのような問題について社会心理学の立場から長年研究を重ねてきた著者が,概念の混乱を整理しながら,これまでに行われてきた研究を分かりやすく紹介します。さらに,それらの知見を踏まえて,「考える」ことの大切さも強調しています。

私のコメント

社会心理学の立場から,「ルール」について概念の混乱を整理しながら検討するということで期待して読んだのだが,私の期待とは違う本であった。

「私たちは,生まれてから死ぬまで,ずっとルールに従って生きています」という記述は,人の行動が,特に言語の獲得以降,すぐには気が付かないものも含め多くの「ルール」に従っており,そこが人工知能のアポリアになっているという意味で,きわめて重要な指摘であるが,著者はそういう見方はしないようだ。

その上で,ルール,規則,法,社会規範,道徳,マナー等を適切に概念整理し,それぞれの機能と異同,及びそれらに従う人の行動の特質,遵守させる方法等を,実験に基づいて記述することができれば,ルールについて,心理学,哲学・倫理学,法学の架橋ができる素晴らしい本になったでだろう。

実は私が高く評価する「啓蒙思想2.0―政治・経済・生活を正気に戻すために」の著者であるジョセフ・ヒース には,「ルールに従う―社会科学の規範理論序説」という浩瀚な著書があり,「社会科学においてもっとも基礎的な問題である規範問題について、哲学、社会心理学的実験、進化理論、社会学や経済学の知見を用いて基礎理論を構築する。社会科学を統合するまったく新しい試み」と紹介されるのだが,訳者による「概要」の記述さえ膨大で頭に入りにくく,読み始めるのを躊躇している。その「先払い」にでもなればと思ったのだが,そうはいかなかった。

副題の「 逸脱と迷惑の」という意味もよくわからないし,社会的迷惑行為に「こころ」を対置するのでは,単なる道徳おじさんになってしまう。社会心理学は,哲学・倫理学,法学にはない,科学的手法でルールの解明に挑めるのだから,ぜひそちらを伸ばしてもらいたい。

なお,命令的規範と記述的規範,6つの道徳発達段階,視点が変われば正しいも変わる,返報性(互恵性),社会的公正の4分類,BIS(行動抑制システム)とBAS(行動接近システム)等々,個々の記述には参考になる記述も多い。

再読する機会があれば,このあたりを補足したい。

詳細目次

1 社会的迷惑とは何か
  社会的迷惑とは  言い訳の類型  社会考慮について  バカッター騒動
  迷惑とは考えないこと

2 逸脱行為とは何か
  社会規範とは  社会規範の所在について  すべての規範は集団規範
  当為について  社会心理学の切り口から見た二つの社会規範  社会規範の周辺概念  道徳性と社会規範  同調行動と社会規範  本章のまとめ

3 正しいを考える
  正しいを疑ってみる  時が経てば正しいも変わる  視点が変われば正しいも変わる  返報性について(時代や国境を越えたルール) 社会的公正と迷惑行為  正しいの概念整理

4 迷惑行為・ルール違反の抑止策
  抑止策の理論的背景  危ないからルールが必要なのか、ルールで決められたから危ないことなのか?  自制のメカニズム  BISに基づく迷惑行為の抑止
  恥の喚起とルール違反の抑止  BASに基づく迷惑行為の抑止
  相手が見えるとルールを守る?  親切に応えてルールを守る?
  教育側面からのアプローチについて  共感性の涵養に基づくルール違反・社会的迷惑の抑止  囚人のジレンマゲームに基づくルール違反・社会的迷惑の抑止
  考えることの大切さ  厳罰化の懸念

5 ルール研究の今後
  調査手法の課題と可能性  調査の信頼性と妥当性  社会的望ましさのハードル  倫理的な問題  フィールドに飛びだそう  バーチャル・リアリティの可能性  社会に関心を持ちましょう

6 ルールを突き詰める
  行き着くところは“考える”こと  “正しくない”を再考する  “自由は正しい”を疑う  ルールも迷惑も繰り返す  どう立ち回るべきか  まとめ

おわりに
引用文献

「スロージョギングで人生が変わる」を読む

スロージョギングで人生が変わる(Amazonにリンク)

著者:田中宏暁

出版社等による内容の紹介の要約

ランニングブームの今、歩くペースで走るスロージョギングなら、中高年や高齢者でも楽しめる。ウォーキングの3倍の効果があり、内蔵機能・筋力はもちろんのこと、脳の機能も向上することが実証されている。歩くスピードなら70歳、80歳からでも走れる。本書は、スロージョギングのメソッドをわかりやすく解説し、すぐにも実践できるよう具体的なアドバイスも充実。

著者は,1947年生まれで,福岡大学スポーツ科学部教授等を歴任。専門は運動生理学で、特に肥満・動脈硬化性疾患などの生活習慣病の治療と予防、健康増進・競技力向上に有効な運動処方に関する研究が主なテーマ。2018年4月に,膵臓がんで亡くなられたとの由,ご冥福をお祈り申し上げます。

なお本書は,2011年発行だが,著者による最新の本に「ランニングする前に読む本 最短で結果を出す科学的トレーニング 」(Amazonにリンク)がある。

私のコメント

朝のジョギングを始める

今日現在(2018年10月31日),私は3週間ほど,朝のジョギング(歩くより少し速いくらいのスローペースです。)をしている。この夏は暑かったせいか,運動がまるでできず,今までにないほど太って体調も悪くなったので(実は,原因を夏の暑さのせいにするのは「間違い」。食べ過ぎ,飲み過ぎ,何よりも代謝が年齢相応に落ちていることが原因だ。),3週間前から朝のスローなジョギングを始めた。去年も,10月に朝のジョギングをしたが,早く起きて走るのは寒いし辛いし,時間の確保も難しいので,1ヶ月でやめたが,それなりの成果は出た。今年は,朝多少ゆっくり事務所に行ってもあまり問題がないことが分かったので,朝起きてまずお風呂に行って体調を整え,それから50分ほどジョギングすることにした。そうするとあまり無理なくジョギングできることが分かった。

そこで1ヶ月でやめずにもう少し続ける気になって「スロージョギング」について調べるため「本書」を購入した。

ポイント

著者は,運動生理学者なので,運動,肥満を巡る議論はとてもしっかりしているが,それは別の機会に「勉強」すればよい(「詳細目次を参照されたい。)。私が知りたかったのは,次のことだ。

①走り方は,かかと着地ではなくて,フォアフット着地(土踏まずより前部分)にし,地面は蹴らずに,重力を利用して前に進む。

②背筋はまっすぐし,顎はやや出して前の方を見る。

③走るスピードは7キロ(歩くより少し速いくらいのスローペース)で十分,前後の体操も気にせず,筋トレにもこだわらない。少しで汗をかかなければ,普通の服装でも大丈夫。

こんなところだろうか。

①は,私も大好きな「BORN TO RUN」(著者:クリストファー・マクドゥーガル)にも紹介されていることだが,これは追って紹介することとし,ここでは触れないことにする。フォアフット着地は,昨日の帰宅時のウオーキング,今日の朝のジョギングでも試してみたが,とてもお腹に効く気がする。ただなれるまで少し筋肉痛になりそうだ。

どうやって継続するのか

今のやり方だとあまり負担を感じないので,多少は継続できるような気がする。あとは,「自分の行動改革」の問題だ。

詳細目次

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「やり抜く人の9つの習慣 」を読む

「やり抜く人の9つの習慣  コロンビア大学の成功の科学」(Amazonにリンク

著者:ハイディ・グラント・ハルバーソン

9 THINGS SUCCESSFUL PEOPLE DO DIFFERENYLY by Heidi Grant Halvorson

出版社等による内容の紹介の要約

◎話題沸騰! Harvard Business Reviewで最多閲覧数を記録

◎モチベーション科学の第一人者が教える「心理学的に正しい目標達成の方法」とは?

コロンビア大学でモチベーション理論を教える社会心理学者の著者が,多くの心理学者たちの数々の実験と,著者自身の研究成果によって証明ずみの「心理学的に正しい目標達成の方法」によって,「成功とは生まれつきの才能で決まるものではありません」,「「成功する人には共通の思考や行動のパターンがあります」として,「心理学的に正しい目標達成の方法」を展開する。

◎本書で紹介する「目標達成に最も寄与する習慣」

  • 目標に具体性を与える・目標達成への行動計画をつくる
  • 目標までの距離を意識する
  • 現実的楽観主義者になる
  • 「成長すること」に集中する……etc.

◎本書で手に入る「目標達成ツール」

  • 目標達成の切り札「if-thenプランニング」
  • 目標までの距離に目を向ける「これから思考」
  • ネガティブな側面にも目を向ける「現実的楽観主義」
  • 失敗を味方にする「成長ゴール」
  • 〝やり抜く力〟を支える「拡張的知能観」……etc.

「今日からすぐ実行できる考え方がコンパクトなページ数(120ページ)の中で豊富に紹介されています。」,「仕事からダイエットまで「達成したい目標」があるなら,ぜひ本書を参照してみてください」,「これまでより,もっと早く,もっと上手に,目標を達成できるようになるはずです。」。

私のコメント

全体の感想

読んでいて余り異論のない目標達成のための行動論と言える。内容もシンプルに纏まっていてよいが(元がブログ記事だという紹介がある。),抽象的で説明不足とか,物足りないという感想もありうるだろう。ただ,ある程度「習慣」を巡る本を読んでいれば,著者が,何を問題にしているのかだいたいピンとくるし,参考文献も掲載されているので(ただし,翻訳されていないものが多そうだ。),十分だと思う。第6章で「グリット」や「マインドセット」にも触れられている。私としては,頭がこの方面に向いている人にはおすすめだ。そうでない人の興味は惹かないだろう。

表題にある「9つの習慣」とは?

「9つの習慣」が,9章にわたって展開され,各章には,その内容を端的に表す表題が付されているほか,各章の最後に,何個かのポイントから構成された「まとめ」が付されている。

さらに最後に,著者によって,「9つの習慣」次の様のまとめられている。ここでは,その著者の最後のまとめと,それに対応していると思われる各章の表題(翻訳と英語)を紹介しておく。各章の最後にある何個かのポイントから構成された「まとめ」は,追って紹介しよう。

  • 1.明確な目標を持っている。●目標に具体性を与える Get Specific 
  • 2.if-thenプランの形で「いついつになったらやる」と計画している。●目標達成への行動計画をつくる Seize the Moment to Act on Your Goals
  • 3.現状と目標までの距離に目を向けて「目標に近づくために何をすべきか」に焦点を当て,モチベーションを維持している。●目標までの距離を意識する Know Exactly How Far You Have Left to Go
  • 4.成功できると信じている。同時に,成功は簡単には手に入らないと考えて,努力をおこたらない。●現実的楽観主義者になる Be a Realistic Optimist
  • 5.最初から完璧を目指さない。失敗を恐れることなく,少しずつでも進歩することを考えている。●「成長すること」に集中する Focus on Getting Better, Rather than Being Good
  • 6.どんな能力でも努力で身につけられると信じている。どんな困難でも「やり抜く力」を持って当たることができる。●「やり抜く力」を持つ Have Grit
  • 7.意志力も鍛えれば強くなることを知っていて,習慣的に鍛えている。筋力と同じように,意志力も使いすぎれば消耗することを知っている。●筋肉を鍛えるように意志力を鍛える Build Your Willpower Muscle
  • 8.誘惑をできるだけ近づけないようにしている。意志力で誘惑に打ち勝とうとはしない。●自分を追い込まない Don’t Tempt Fate
  • 9.「やらないこと」でなく「やること」に焦点を置く。●「やめるべきこと」より「やるべきこと」に集中する Focus on What You Will Do, Not What You Won’t Do 

「9つの習慣」を簡単に検討する

1,2は,目標と計画の重要性である。計画をif-thenプランという形にすることを推奨している。

3,4,5は,行動によって目標に到達するまでには,時間と距離の隔たりがある。そこでの「行動論」である。

6は「マインドセット」を,「固定的知能観」と「格納的知能観」にわけ,後者の「能力は経験や努力を重ねることによって高めることができる」を正しいとするが,そのためには「グリット(やり抜く力)」が不可欠だとする。

7,8は意志力を問題にしているが,意志力は消耗することもあり,要は,あまり意志力に頼らない「行動」とすべきだとする。

9は,行動分析学が指摘するように「~をしない」は問題にせず,「~をする」ことにどのような行動随伴性を設定するかが重要だとする。

本書をどう活用するか

私は今,「個人:生活・仕事・文化」の「前提の2」として「自分の行動改革」を,「習慣」という観点から検討している。

そこでは「良い習慣、悪い習慣―世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法」(著者:ジェレミー・ディーン),「習慣の力」(著者:チャールズ・デュヒッグ)「ぼくたちは習慣で,できている。」(著者:佐々木 典士)等を参考にしているが,本書も加えて検討することになろう。

その他に,「自分を変える1つの習慣」(著者:ロリー・バーデン)という「階段マインンドセット ちょっときついが正しい行動をとる思考」を推奨するビジネス本があるが,なかなかノウハウに満ちていて,これをうまく活用したいと思っている。

いずれにせよ,①前状況-②行動-③状況の変化という枠組みの中で,①,②,③の中に何を入れ込んで,目標の達成論を考えるべきか,できるだけ速やかに試論を作りたい。

なお,本書には,詳細な目次はないので,詳細目次は掲載しない。

 

「図解 老人の取扱説明書」を読む

著者:平松 類

どこから「老人」を見るか

「老人」というと,「頭がぼけ(認知症),体を支えられなくなり,心もゆがむ」(いわば「全滅論」といえよう。)という固定イメージがある。誰だって,自分がそんな「老人」になるなんて思いもよらないはずだが,街中には,少なくてもそういうふうに見える「老人」があふれている。私もそろそろ60台半ばを迎えて,「老人」と見られる場面も出てくるはずだが,あまり「老人」の自覚はない。でもこれから一体,どうなるんだろう。そういう中でたまたま本書を手に取った。

本書(図解 老人の取扱説明書)は,老人の困った行動を16取り上げている。ここでは最初の8個をあげてみよう。

①都合の悪いことは聞こえないふりをする。②突然,「うるさい!」と怒鳴る,でも,本人たちは大声で話す。③同じ話を何度もする。過去を美化して話すことも多い。④「私なんて,いても邪魔でしょ?」など,ネガティブな発言ばかりする。⑤せっかく作ってあげた料理に醤油やソースをドボドボとかける。⑥無口で不愛想。こちらが真剣に話を聞こうとすると,かえって口を閉ざす。⑦「あれ」「これ」「それ」が異様に多くて,説明がわかりにくい。⑧赤信号でも平気で渡る。

すべて「頭がぼけ(認知症),体を支えられなくなり,心もゆがむ」全滅論に起因するように思えてくる。

しかし,著者は,その前に,年を取ると五感がどうなるかを問題にし,五感の変化について次のように説明する。

五感の変化

Ⅰ視覚 老眼が40代中盤からはじまり,60代になると老眼鏡を使わないと辛くなります。また,白内障が50代から半数以上の人に発症し,80代を超えると99%が白内障になります。白内障になると,暗い所と明るい所が見にくくなります。

Ⅱ聴覚 難聴は50代後半からはじまり,60代後半で急速に進み出し,80代以上では7~8割を占めます。まずは高い音が聞き取りにくくなり,電子音などを聞き逃します。次第に,複数の音声の聞き分けができなくなります。後ろから迫っている車の音にも気づかなくて,轢かれそうになります。

Ⅲ嗅覚 50~60代までは年齢とともに機能が高くなりますが,それ以降はやがて低下します。70代からの機能低下が大きいです。嗅覚と味覚は関連しているので,味も感じにくくなります。普段の生活では自分の体臭・口臭に気づかず,相手を不快にさせます。

Ⅳ味覚 60代から衰えてきます。味覚障害により,醬油やソースをたくさんかけたくなります。味がわかりにくくなることで食べる楽しみが減るため,食欲もなくなります。

Ⅴ触覚(温痛覚) 50代から衰えはじめ,70代から顕著になります。手に持っているものの感覚が弱まるため,物を落としやすくなります。温度感覚も鈍るので,やけどをしやすくなります。若い人と同じ空間にいても空調の設定が違うため,嫌な顔をされます。

困った行動のかなりの部分は五感の変化が原因だ

上記した8つの困った行動のうち,①②⑤⑥は,五感の変化が原因の可能性が大きく,③⑦は記憶の問題,⑧は歩く速度の問題であり,五感以外の心身機能の一部が衰えてくるということだ。④は,役割の問題である。残りの8個の困った行動の多くも,五感の変化と心身機能の一部の衰退が原因だ。

五感の変化や心身機能の一部の衰退については,それぞれ「老人」自身で,それ相応の対応ができるし,家族や第三者もそのことが理解できると対応の仕方が大きく変わるだろう。「老人」の行動を「全滅論」で理解し,対応することはお互いにとって不幸だということだ。

全滅論につながる機能の衰退は阻止できる

五感の変化はそれを理解し,適切に対応すれば,さほど問題ではない。一方,心身機能の一部の衰退が,徐々に大きな衰退につながると,その影響は甚大である。これを防ぐのは,食動考休,特に動考である。本書でも簡単に触れられているが,見過ごしてしまいそうだ。間に合ううちに始めなければ…

本書について

「老人の取扱説明書」という題名には,多くの人が顔をしかめそうだが,本書は,老人を「取扱う」主体として,施設,病院等の第三者だけではなく,家族,そして自分自身を想定している。しかも著者は,多くの「老人」と接している「眼科医」ということのようだから,上記のとおり,問題とされる困った行動事例も,あまり深刻でない事例だ。そうなると,「取扱説明書」という機能的な観点がかえって好ましい。

なお,本書には,図解でない,新書版があるが,図解版をおすすめしたい。新書の方は記述が煩わしい。図解版はタブレットがなくてもパソコンにkindleソフトをインストールすれば読むことが出来る。

詳細目次

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