AI時代の弁護士業務(試論)

2019年10月21日,今進めているDX Projectの会合で,「AI時代の弁護士業務(試論)」について話をします。普段,口にしないことなので,少し詳細なレジュメを用意しました。それをそのまま掲載します。なおこれがこのWeb「弁護士村本道夫の山ある日々」への最後の投稿です。今後は,これまでのこのWebの記事全部を移動している「未来の法律事務所」をご覧ください。

「DXの世界に,知ら無くていい知識は無い! 関係しない業界は無い!」に励まされて

1.私とIT,AIとの関わり

(1)弁護士になりたての頃,マッキントッシュ,ハイパーカードにはまる。裁判所が一太郎を採用したこと等から,Windowsに転向。

(2)「ITが弁護士業務にもたらす影響」執筆(「いま弁護士は,そして明日は?」(日弁連弁護士業務委員会編 2004年12月 第一法規))→別添資料

(3)ゲーム制作受託会社の監査役をし,開発契約,運用契約等のレビューもしている→後掲「ゲームAI技術入門」(著者:三宅陽一郎)

(4)「AI時代の弁護士業務(試論)」執筆中(「法と支配」(日本法律家協会)2020年4月号掲載予定)

(5)別添資料を読み返してみると,そこに指摘した弁護士業務に関わる状況はほとんど変わっていないことが分かる。

2.「ITが弁護士業務にもたらす影響」における弁護士業務の分析

(1) 前提…弁護士業務の紹介とDX

ⅰ DXの対象を「a顧客体験,b業務プロセス,cビジネスモデル」とする(「一流ビジネススクールで教えるデジタル・シフト戦略-テクノロジーを武器にするために必要な変革」(著者:ジョージ・ウェスタ―マン等))

ⅱ 弁護士業務は,①法律問題(生じた事実への法とルールの適用)の検討と,助言・文書作成,及び②「裁判」(法的手続)への代理人・弁護人としての参加,に大別できる。②には①がその要素として含まれ,②は①の総合的な応用型といえる。弁護士業務の改革は,a顧客体験を踏まえたb業務プロセスの改革の問題といえよう。しかし, a顧客体験を良好化することは,弁護士のb業務プロセス固有の問題ではなく簡単ではない。

ⅲ 「裁判」(法的手続)は,権利を発生させる根拠となる「法とルール」(主張)を提示し,主張に該当する事実が存在するとして証拠を提出(立証)することによって判断権者を説得し当該主張・立証を認めさせて権利を認定させるという過程である。相手方から見れば反論し,反証し,権利を認めさせないという過程である。このような制度,経験は日常的にも,社会的にも類例が乏しい特殊なものである。

また「法とルール」の設定,「裁判」(法的手続)は,それぞれ歴史的に形成された現代社会の重要な政治「制度」(三権分立)であり,当該「制度」を主催し,担当・運用し(改革を拒む)組織があるし,その目的は,適切な「法とルール」の設定・解釈と「正しい」事実認定に基づき,適切な権利者の適切な権利を認定することである。

自分の主張・立証が認められなかったことに不満を持つ顧客が発生することは当然であるが,顧客は,より早く,より安く,より便利に,より分かりやすくというようなことはいえても,その本質的な部分,法とルール(の設定・解釈)のあり方はそれでいいのか,事実認定の方法は正しいのかという部分については,批判が及びにくい。また「裁判」に顧客を代理して参加するのが弁護士であるが,弁護士は「制度」内で業務を行うだけで,「制度」そのものを改善できるわけではない。これは基本的には別ルートの問題である。

それでも法とルール(の設定・解釈)は,憲法論,政治的価値という限られた範囲ではあるものの問題にされるが,事実認定はほとんど批判されない。当事者以外には,個別事件の事実認定の問題は把握しがたいのだが,現在の裁判所の事実認定の情緒性(非科学性)は,問題が多い(とりあえず,要件事実と主観的に争点設定した判決様式の事実摘示の分裂の影響も大きい。)。

ⅳ 以下「ITが弁護士業務にもたらす影響」の要旨を紹介するが。「ⅱ 弁護士に求められるもの」が,「AI時代の弁護士業務」改革論である。

 

(2) ITが弁護士業務にもたらす影響」の要旨

ⅰ 弁護士がITに求めるもの

「➀裁判所は,全ての判例を電子データベースとして公開すべきだ。②裁判所や検察庁における書面の授受を,Eメールを利用し電子情報で行いたい(注:市民からいえば,電子申請)。③裁判所や検察庁の尋問調書,供述調書等を電子情報で交付すべきだ。さらに,④証人尋問を含む法廷でのやりとりや被疑者,被告人との接見を,インターネットを利用したテレビ会議システムを利用して行うようにすることが大切である」等の指摘がなされ,費用と熱意の問題であるが,私は早晩,実現するとしたが,現在も概ね課題にとどまっている(後記5(2)ⅰ)。メディアで(外国の動向として)報じられ,求められのも,このレベル+αである。これは便利ではあるのだが,「裁判」でのやり取りは,センシティブで秘密性の高いものが多く,オンラインはセキュリティの面から,どうだろうか。

ⅱ 弁護士に求められるもの

➀弁護士業務の中核は大きな意味での情報処理であり,その過程は,情報の収集(インプット)一情報の処理(記憶一演算)一情報の表現(アウトプット)から構成されている。

②「情報の収集(インプット)」を,I.生の情報(事情聴取,尋問,契約書やその他の文書,その他生のデータから得られる情報)の収集に関わるスキル(以下「I生情報スキル」と呼ぶ。),Ⅱ.法関連情報(法令,判例,文献,その他)の収集に関わるスキル(以下「Ⅱ法情報スキル」という。)に分け

③「情報の処理(記憶一演算)一情報の表現(アウトプット)」をひとまとめにして,Ⅲ.収集した情報に基づく判断,表現(以下「Ⅲ判断スキル」という。)と分類してみる。このように分類したとき,今後弁護士に求められる「知」は何であろうか。

④「Ⅱ法情報スキル」は広く行き渡っている。「I生情報スキル」と「Ⅲ判断スキル」が専門性の成立根拠であると次のように一応はいえる。

「問題は,収集,整理した生情報と法情報を,頭(主記憶装置+演算装置)に入れ,筋道立てて思考,判断し(プログラムの実行),その結論を表現(アウトプット)することである。これが判断スキルである。弁護士の頭の中で実行される「プログラム」は,入力された生情報,法情報を,法実務経験のエッセンスを踏まえ筋道立てて思考,判断し,結論を得て表現する過程を実行するものである。このように考えれば,実は弁護士の「専門性」が,この判断スキルにあるのは,明らかである。そして一人の弁護士が情報収集に割ける時間も,運用できるプログラムの種類(法分野)も頭の容量も限られているから,他の弁護士と区別される「専門性」成立の根拠がある。さらに生情報スキルは,弁護士の一般的な人間的としての実力が問われているといってよいであろう。人間に対する興味と洞察,そして経済や経営,社会の動き,歴史,自然科学等々に対する充分な知見があってはじめて有効な生情報の収集ができるのである。」。

⑤「しかし,これは,ITは知らないが,判断スキルにも生情報スキルにも長けていると自己評価し,かつ「有能」と自負している弁護士にとっては何らインパクトはないであろう。法情報スキルに代替性があるということは,その能力を備えた者を雇用し指揮命令すればいいのだから。

しかし,実は,生情報スキルも,判断スキルも,今後激しいIT化の波にさらされると予想されるのであり,特にIT化された判断スキルについては,代替はむつかしく,さらにIT化された全ての過程を代替させるような弁護士は,そもそも手間がかかりすぎて,実務的にはつかいものにならないといえよう。

生情報スキルについては当面,音声情報,活字,筆記の文字情報のデジタル化が実用化されるであろう。なお,生情報に分類した個別事件を離れた一般分野の情報については,法情報スキルと同じ問題状況になる(注:現在のレクシスネクシスの「Lexis Advance」(https://www.lexisnexis.jp/global-solutions/lexis-advance)等)。

そして,デジタル化して収集した生情報,法情報を,弁護士の頭の替わりに(ないしこれに加えて)パソコンで稼働させるプログラムによって整理,思考,判断し,結論を表現することを可能とするIT技法の開発が急務である。

例えば,弁護士が全ての証拠を踏まえて論証する書面(弁論要旨や最終準備書面)を作成するとき,必要な証拠部分を探して引用するのには膨大な時間がかかり,しかもなお不十分だと感じることはよくあるのではないだろうか。あるいは供述の変遷を辿ったり,証拠相互の矛盾を網羅的に指摘したりしたいこともある。このような作業(の一部)は,パソコンの得意な分野である。また少なくても,当方と相手方の主張,証拠,関連する判例,文献等をデジタル情報として集約し,これらを常時参照し,コピー&ベイストしながら,書面を作成することは有益であるし,快感さえ伴う。…目指すIT技法は,当面は進化したワードプロセッサー,データプロセッサーのイメージであるが,データ処理自体に対する考え方の「革命的変化」(注:AI)があることも充分にあり得る。」。

⑥「デジタル化して収集した生情報,法情報を,パソコンで稼働させるプログラムによって整理,思考,判断し,結論を表現することを可能とするIT技法の開発」が重要であるとの指摘は,その後15年が経過してますます意味を持つ現実的な課題である。

ただ法とルール,裁判制度の捉え方は国により,また社会の進展具合により異なり,IT分野における日本語市場の狭さ,その中での弁護士市場の狭さにより,やるなら弁護士がやるしかないという状況だ。ただイギリスやアメリカで開発された技法が移植される可能性はある。

3.AI論…AIをどう眺めながら問題に向かうのか

(1)私は,日本で法律分野のエキスパートシステムを開拓するとの動きがあったことも何となく記憶しているし,ITについては強い興味を持った。以降,パソコン,ネット,周辺機器の性能は飛躍的に向上し,「ITが弁護士業務にもたらす影響」起案後15年たった今のAIブームを支える基盤となっている。ITは自分が使いこなすというイメージだったが,AIは勝手に何かをするというイメージもあるが,AIとどう向き合うべきなのか。

私の現状は座学にとどまっているので,ここでは最近目にした3冊のAI本を紹介して私の考えに代えたい。結論をいえば,Aiは楽しい,AIを考えいじっていると人間の認知,思考,行動の優れた点,劣った点,不可解さが浮かび上がってくる。汎用型AIが実現するかどうかの予想は,「わからない」。

 (2)「人類の歴史とAIの未来」(著者:バイロン・リース)「The Fourth Age」(by Byron Reese)

これを基に考えると落ち着く。1 第一の時代:言語と火(10万年前),2 第二の時代:農業と都市(1万年前),3 第三の時代:文字と車輪(五千年前),4 第四の時代:ロボットとAIと分ける。3を細かく(印刷,産業革命等)分けないところが面白い

5 3つの大きな問い ➀宇宙は何からできているのか 一つの物質原子(一元論),二元論(物理的なモノ+スピリチュアル,or+精神的なモノ),②私たちは結局何なのだろう 機械,動物,人間(私たちの中に機械,動物とは違う何かがある),③「自己」とは何だろう 脳の巧妙なトリック,創発する心,魂。強いAI論は,これらの問いにどう答えるかに密接に関連しており,これに答えられるまで強いAI論(汎用型AI論)は横に置く。ただし,テクノロジーの指数関数的進化は,現実だ。

(3)「スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運」(著者:ニック・ボストロム)

真正面から人工知能に向き合いたいときに,お薦め。Amazonでの紹介「・AIについての最も重要な命題=人類はAIを制御できるか、という「AIコントロール問題」と真正面から格闘した本命本。・近未来においてスーパーインテリジェンスは実現する可能性はあるのか? どのようなプロセスで実現されるのか?スーパーインテリジェンスはどのような種類の能力をもち、人類に対してどのような戦略的優位性をもつのか? その能力が獲得される要因は何か? 人類が滅亡する危機に直面するリスク、人類との共存の可能性についてどう考えるべきか? これらAIをめぐる真に根源的な問題について著者は、類書をはるかに超えた科学的、論理的な考察を徹底して慎重に積み重ね、検証する。」。

法とルール論として,次の記述は参考になる。

「超絶知能AIエージェントが社会全体で行う行動の作為や不作為は、ルールとして定めることができるのであろうか。おそらく、それにもっとも近いのは、われわれ人間が社会で生活を送る上での行動基準を定めた法律制度ということになるかもしれない。しかし、既存の法律制度は、人類の長年の試行錯誤の末に実現されたものである。なおかつ、変化の速度が比較的ゆっくりした人間社会を対象としている。しかも、法律というものは、内容が現実に合わなければ、必要に応じて個別規定を改めることもできる。そして、もっとも大事な点は、法律制度には、裁判官や陪審員といった人たちが法の番人として存在していて、しかも、彼らは、論理的に可能な解釈であっても、人間の一般常識や普遍的良識という尺度に照らして、法文の解釈が立法者の意思に反することが分明である場合は、その解釈を強いて適用するようなことはしない、ということだ。つまり、詳細なルールからなる非常に複雑なシステム(制度)を綿密に構築し、しかも、完全完璧なシステムを最初の試みで成功裏に完成させて、非常に多様な状況に適切に対応可能なシステムとして誕生させるような所業はおそらく人間の力を超えている」

(4)「ゲームAI技術入門」(著者:三宅陽一郎)

ゲーム開発を通じ,人間の人間の認知,思考,行動とゲームAIを対比する。取り急ぎ次のインタビュー記事を見ると見通しがつく。

・「「シンギュラリティの理論は崩れている」三宅陽一郎が語るAIの社会実装」(https://ainow.ai/2019/07/02/170473/#i-7

「問い:ゲームの人工知能は現実に応用できますか?

三宅氏:難しいと思います。仮想空間ではAIの研究が、かなり加速的にできます。そこでわかってきたことは、仮想空間というのは、ノイズがないということです。センサーで完全に情報が取れ、完全に行為を実現できます。それは現実世界の知能に似ているかというと実はあまり似ていません。本物の知能は常にノイズとか不確定性の中で動いているので、そこが知能の本質だったりするんですね。つまり、人間の感覚や行動は100パーセント信用できません。現実世界でAIを動かすときは、ゲーム空間の純粋なロジック空間で培った人工知能はあまり役に立たないんです。」

「AIのみが加速的に進化して、人間の知能を超えた力を持つとされるシンギュラリティ。しかし、実際は特化型AIを人間がまとうことにより、人間の知能も拡張されていくのだ。AIの発展と人間の知能の拡張が同時に起きることにより、人間とAIの関係性もより進化していくと考えられる。AIの社会実装に向けて、単体のAIの発達だけでなく、人間の1つの機能としてのAIの発達が進むことを期待したい。」。

4.15年間の「空白」を踏まえた弁護士業務の分析-DX論とプロフェッショナル論

(1)DXからみた弁護士業務の分析視角

ⅰ DXの対象は「a顧客体験,b業務プロセス,cビジネスモデル」とする(「一流ビジネススクールで教えるデジタル・シフト戦略」(著者:ジョージ・ウェスタ―マン等))。DXの意義は,「ヒトではなく,電子を走らせろ。電子は疲れない」(「Why Digital Matters?-“なぜ”デジタルなのか」(プレジデント社 企画編集部「経営企画研究会,SAP」)。

分析手法として,顧客体験はデザイン思考,全体を通じてシステム思考(「システム思考がモノ・コトづくりを変える」(著者:稗方 和夫)。が有効である。同書に「DXが注目されるこの時代、時には「AIを使えば問題は解決できる。とにかくAIを入れろ」という乱暴な話を聞くことがあるかもしれない。しかし、AIは魔法の杖ではない。現実には限りある予算や資源を用いて、AIやその他の新技術を活用して目標を達成するには、「どこに(どの業務に)」「何の目的で(どんな効果のために)」導入すればよいのかを見極めなければならない。そのためには、当事者の「人」まで含んだ大きなシステムとして検討対象を認識し、問題設定することが必要である。このような問題設定を本書で紹介したシステム思考に基づいて行い、さまざまな施策・シナリオについてシステム・ダイナミクスを用いて比較検討をすることで、ステークホルダーは主体的に、自信を持って、認識の共有を維持しながら、施策の選択と実行のリードができるだろう。」。

ⅱ 検討

弁護士業務のDXについては上記した「デジタル化して収集した生情報,法情報を,パソコンで稼働させるプログラムによって整理,思考,判断し,結論を表現することを可能とするIT技法の開発」が核心部分だが,百年河清を待っていても仕方がないので,とりあえず身近なIT技法を習得しよう。次の2書がある。

「法律家のためのスマートフォン活用術」(平成25年)

「法律家のためのITマニュアル新訂版」(平成27年)

「法とルール」のあり方については,上記した「スーパーインテリジェンス」での指摘を踏まえて考えていこう。もう少し分析的に考えれば,法律が自然言語によるルール設定であることから,①文脈依存性が強く適用範囲(解釈)が不明確なことや,②適用範囲(解釈)についての法的推論について,これまでほとんど科学的な検討がなされてこなかったことを指摘しておこう。さらに行為規範と評価規範の区別,複雑性への理解の欠如も看過できない。

事実認定については「要件事実と主観的に争点設定した新様式判決書の事実摘示の分裂の影響も大きい」と指摘したが,要は,新様式判決書は,権利の発生,消滅に係わる要件事実を論理的の構成するのではなく,主観的な争点を挙げて,それに沿って一気に(「経験則」によって)「事実認定」をして結論を出すという,情緒的,主観的かつ非科学的な手法になっている。これが「役人根性」と結び付くと何が起こるかは容易に想定できる。

(2) プロフェッショナル論

ⅰ 「プロフェッショナルの未来 AI、IoT時代に専門家が生き残る方法 」(The future of the profession)(著者:リチャード・サスカインド, ダニエル・サスカインド)を検討する。

「これまでの専門職は、社会において知識の管理・活用を任された「門番」のような存在であったと位置付けられている。人間が一人であらゆる知識を頭に詰め込み、活用するなどということはできない。そこで私たちは、専門家に個々の専門領域における知識の管理を任せ、その役割に見合う特権的な地位を与えた。しかしいま、社会は「印刷を基盤とした産業社会」から、「テクノロジーを基盤としたインターネット社会」へと変貌を遂げつつある。変化はまだ完了しておらず、移行期特有のさまざまな弊害が表れているものの、「テクノロジーを基盤としたインターネット社会」においては、知識の生産・流通のあり方が大きく変わる。専門家の役割もきく変わる。その仕事は細かなタスクに分解され、他の人々に任せることができるものは委託され、一部は高度に進化した機械によって置き換えられるだろう。こうして知識を生産・流通する新たなモデルが生まれ、専門職に携わる人々も、その中で新たな役割(それは従来の「専門家」とはかけ離れたものになるかもしれない) を見出すようになると考えている。」。

これについては一度Webで論じたことがある。

「専門知識を提供する仕事の明日はどうなるか そのような仕事に携わるすべての人に一読をお勧めする…この本の著者のサスカインド親(リチャード・サスカインド)は,イギリスの法律家で,かねて「The End of Lawyers?: Rethinking the nature of legal services 」や「Tomorrow’s Lawyers: An Introduction to Your Future」を書いて,ITが法律業務をどう変えるのかということに論陣を張っていたが,この本は,子のダニエル・サスカインドとの共著で,視野を専門職一般に広げ,ITとAIがこれらの専門職のありかたをどう変えるかを,詳細,緻密に論じている。しかし問題は専門職に止まらず,必要としている者にまともな「知識」を提供することを生業とする仕事は,明日はどうなるかと捉え返すことができる。専門職として取り上げられ(第2章)当該業務へのIT・AIの浸透状況が検討されているのは,医療,教育 ,宗教,法律,ジャーナリズム,経営コンサルティング,税務と監査,建築である。この章だけでも,IT・AIについて,まっとうな観点からの新しい情報として一読に値する。特に医療は,今後完全にIT・AIに制覇されるし,それが必要不可欠なことがよくわかる。その他の業務については,内容も方法も,凸凹がある。

もともとサスカインド親は,80年代に法律のエキスパートシステムの開発を志し,上記の2著作もまさに法律業務をターゲットにしている。したがってこの本が順を追って専門職の業務内容を分析し,いかにその業務の多くがIT・AIによって置き換えられるかを懇切丁寧に論じているのは,主として頑として動かない法律家を対象にしていることは明らかである。

ところで,専門職で使う分析手法を,定性的,定量的と分ければ,定量的な部分が大きいものは,文句なしに,IT・AIになじむし,そちらの方が効率的だから,その仕事の一部がIT・AIに置き換えられていくのは当然だろう。実際上記であげられた専門職の中でこれまでの仕事のありかたを変えることに抵抗があるのは,法律と教育ぐらいではなかろうか。しかも教育は予算が付けば 柔軟に変わるだろうし(宗教,,ジャーナリズムは,その業務内容もIT・AIの利用方法も意味合いが違うだろう。)。したがって,著者の論述の限りで,専門職や,それに止まらず「専門知識」を提供するすべての仕事にとって,この本の分析が核心を突き,大いに参考になるのは間違いない。」。

ⅱ 弁護士業務でのAIの利用についての諸外国の実情

5の第2,2 弁護士業務での利用について,及び同第3,5 ABA TECHSHOW

「Artificial Intelligence and Legal Analytics」(by Ashley, Kevin)

「The End of Lawyers?: Rethinking the nature of legal services 」

「Tomorrow’s Lawyers: An Introduction to Your Future」

5 2019年9月7日 弁護士業務改革シンポ 第2分科会「やっときた!もうすぐ実現,e裁判。次はAI考えよう。

(1)目次

第1 裁判のIT化について   1 諸外国の現状について 2 日本の現状について

第2 AIについて   1 AIの現状 2 弁護士業務での利用について

第3 シカゴ調査報告   1 イリノイ州上訴裁判所 2 シカゴ弁護士会  3 カークランド&エリス法律事務所での意見交換  4 本人訴訟団体との意見交換  5 ABA TECHSHOW6 終わりに

(2)裁判のIT化について

ⅰ 日本の現状について…「未来投資戦略2018」

司法府による自律的判断を尊重しつつ,民事訴訟に関する裁判手続等の全面IT 化の実現を目指すこととし,以下の取組を段階的に行う。

・ まずは,現行法の下で,来年度から,司法府には,ウェブ会議等を積極的に活用する争点整理等の試行・運用を開始し,関係者の利便性向上とともに争点整理等の充実を図ることを期待する。

・ 次に,所要の法整備を行い,関係者の出頭を要しない口頭弁論期日等を実現することとし,平成34 年度頃からの新たな制度の開始を目指し,法務省は,来年度中の法制審議会への諮問を視野に入れて速やかに検討・準備を行う。司法府には新たな制度の実現を目指した迅速な取組を期待し,行政府は必要な措置を講ずる。

・ さらに,所要の法整備及びシステム構築などの環境整備を行い,オンラインでの申立て等を実現することとし,法務省は,必要な法整備の実現に向け,来年度中の法制審議会への諮問を視野に入れて速やかに検討・準備を行う。

・ また,法務省は,オンラインでの申立て等の実現に向けたスケジュールについて,司法府の環境整備に向けた検討・取組を踏まえた上で,来年度中に検討を行う。

ⅱ 裁判のIT化について  諸外国の現状について

6 AI・IT法務

・「ロボット・AIと法」(宍戸常寿編)

・アジャイル開発と契約

・持続可能性を組み込む

サイト移行記 中間報告Ⅱ Terrible!

軽率さを噛みしめる

2週間前の前回の「中間報告」(2019年8月18日)で,今後の課題は,「データの移転,閲覧者のRedirection,誘導,これまでの利用システム等の縮小,解約等の技術的な問題が残っている。もちろんコンテンツの内容のブラシュアップ,デザインの改善等々,ずっと続く課題である」と記載した。

データの移転は,ひとつずつ手作業のコピペでやることを,いっぺんに移転できれば便利だねというレベルの問題なので,ついつい気が緩んでしまった。サイトの記事の移転というネット記事に何個か目を通し,そんなもんねと,どう移転されるのかという「結果」の確認を怠ったまま,サイト全部の移転のプラグインを利用し「実行」してしまった。結果,作成中の「未来の法律事務所」の多くの個所が「弁護士村本道夫の山ある日々」で上書きされてしまい,しかも文字コードもおかしかったようで,手の施しようがない状態になってしまった。Give Up!

最初から(すなわち,サーバーにWordPressをインストールところから)やり直しをした!

復習と思えばいいのだが,あれあれというところもあったし,一番堪えたのは,新しく何個か作った固定記事について,途中からWordPressのエディターで仕上げていったので,それが消えてしまったことである。一度完成させた原稿をほぼ最初から作り直すのは疲れる。

そうこうしているうちに,仕事の起案に手が取られるようになり,渋滞気味である。

でも再現しつつあれこれ考えていると,違うアイディアもでてきて,それはそれなりに楽しい。でもこれは「趣味」の世界だ。

現状報告

現状であるが,やり直しの地点は大分過ぎたし,「弁護士村本道夫の山ある日々」の投稿記事は,あれこれ手を加えなければならないが,別のプラグインを利用し,一応,一括移転ができた。

あとは固定記事であるが,これは全体のメニュー構成との関係もあるので,必ずしも一括移転する必要はないかもしれない。

今日は8月の最終日。「この夏の課題-「未来の法律事務所」へ」と華々しく宣言をしたが,今日は公開できなかった。ただcom.の「ビジネスコース」が10月何日かで終了するので,公開は9月半ばをめどとしよう。

「持続可能な世界」,「DX,AI,IT」と新しく作ろうと思っている項目の内容を考えるのは楽しい。「老後の楽しみ」ではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイト移行記 中間報告

現状

前回の投稿「この夏の課題-「未来の法律事務所」へ」に記したように,2019年のお盆休みを利用して,Wordpress.orgに「未来の法律事務所」を作成し,Wordpress.comからこのWebを移行する作業に取り組んでいる。

サイト全体の単なる引っ越しではなくて,構成,内容も見直しつつなので,始める前は,深淵に引きずり込まれるような「徒労感」があったが,やり始めると,あれこれつまずきながらであるが,現状,ほぼ目的地が見えてきた。備忘をかねて,中間報告をしよう。

備忘-様々な問題

今回の作業は,「弁護士村本道夫の山ある日々」がいつまでたっても仕事のサイトと見てもらえないので(原因は,ひとえに作成者にあるわけだが),内容を見直そうと思ったのが動機なので,最初からOrgに移行すると決めていたわけではないが,やり始めてみると何とかなりそうなのでOrgに移行することにした(レンタルサーバーは,Comのビジネスプランより安価でMS Officeが5セット利用できるサービスがあったので,早晩移行しようと思い2年前に加入していたが,そのままになっていた。)。

今の   WordPressの最大の問題は,エディターをGutenbergにするか否かであるが,所詮エディターの問題なので,移行後の課題とした。WordPressを利用し始めた最初の頃,エディターの自動整形機能には凝りていたし,英語圏でも評判が悪すぎる。

WordPressのテーマは,和製のLightning Proとその機能を拡張するプラグインであるLightning Fortの組み合わせとした。7000円弱である。

ところがLightning Proが共用サーバーにインストールできない。あれこれ調べると,インストールできるデータ容量の上限の問題であることがわかり,おまじないのようなiniファイルを作成して FTPでサーバーにインストールした。これだけでも結構ストレスだ,同じく容量の問題が,このWebのデータ全体の移行でも生じている。

テーマのLightning Pro+Lightning Fortのカスタマイズ画面は,今までのComのビジネスプラン+Lovecraftのものと全く違っていてかなり戸惑った。というより,インストールした時点でサンプルがあるのだが,それがトップページ(フロントページ),固定画面,投稿画面,ウィジットとどういう関係があり,どこをどうやって自前のWebを作っていけというのか,根本的なナビゲーションが欠けている。私は,一応,Comでのテーマの入れ替えの経験があるので,あれこれ触っているうちに大体理解できたが,細かい部分に手を入れるのは,これからだ。大雑把にいえば,トップページ(ホームページの表示)は「最新の投稿」にし(「固定ページ」にするとどうなるのかよく分からない。Lovecraftではそれが簡単だったのだが),ヘッダーとトップページ・スライドショー,PRエリアを作成し(pixabayやfont awesomeの使用法も試行錯誤だ。),あとはウィジットで調整すればいいのだろう。

私がComで使用していたウィジットに「人気の投稿とページ」や「翻訳」があるが,これはComのプラグイン「JETPACK」の機能のようだが,Orgではどうか。Orgでも「JETPACK」は無料で利用できと聞いていたが,インストールしようとすると有料画面が出てくる。頑張って有料を押さないで先に行くと,無事無料版がインストールできた。しかし,上記のウィジットが見当たらない。無料版ではだめなのかとググってみると,デバック画面から設定できるらしい。無事設定完了。

新しいコンテンツとして「持続可能性」と「DX・AI・IT」を始めることにしたが,トップページ・スライドショー,PRエリアでの表示内容を考えながら,今までどおりの固定ページの内容を考えているうちに大分かんがえがまとまってきた,今まで,「問題解決と創造」であれこれ考えていたからだが,2015年のSDGs,足下のAIブームを考えると時宜にかなっているし,私の残された人生を託すに値する重要な問題である。

本の森は,書評ではなく,私が設定した問題(法とルール,持続可能性,DX,問題解決のヒント)に関連する情報として,大げさでなく取り上げていこう。

残された問題

SSLの設定(その後完了。適切な説明がないが,とにかくサーバーサイドで無料SSLの設定をし,WordPress側の一般設定で,ドメインをhttpsに書き換えてなんとかなった。慎重にやらないととにかくお金を取られる方に誘導されてしまう。),データの移転,閲覧者のRedirection,誘導,これまでの利用システム等の縮小,解約等の技術的な問題が残っている。

もちろんコンテンツの内容のブラシュアップ,デザインの改善等々,ずっと続く課題である。

Amazon雑感…複雑すぎるシステム

英字新聞の配信が途絶えたこと

最近はネットで英文の情報があふれているので,英字新聞を読む人も減ったのではないかと思う。日本のAmazon(Kindle)では,英字新聞の配信サービスはなさそうだ。

私は,まだ日本でAmazonのサービスが始まる前にアメリカのAmazon.comに加入し,Kindle機も「輸入」し,Kindle本(英語の本しかないが)を購入していた。そのとき,英字新聞(Mainichi)も自動継続で購入し(月額10ドル程度だったと思う。),毎日,配信されていた。やがて日本のサービスであるAmazon.co.jpが始まり,「アカウント結合」をすると,アメリカのAmazon.comで購入した本も読め,英字新聞(Mainichi)の配信も継続していた。ただし「アカウント結合」には問題が多く,その後いろいろと悩まされたが。

それが,1年くらい前に何かの通知が来て英字新聞(Mainichi)が配信されなくなったので,継続の手続だったのかと思い,あれこれやってみたが,配信を再開できなかった。基本的に,Amazon.co.jpからは,Amazon.comのサービスは購入できないということのようだが,同時に購入を始めたNewsweekの配信は継続されているのでよくわからない。「アカウント結合」や「居住国」の設定(これは何が起こるか分からないので,私は触らない)も関係ありそうだ。結論は,「どうすればいいかわからない」である。Amazonに聞いてみればいいだろうと思われるだろう。しかし経験者はわかるだろうが,Amazon.co.jpは,Amazon.com,あるいはアメリカのAudibleに関わる問題は「うちではわからないので,そちら聞いてくれ」と,必ず対応する。おかしいと思うが,それぞれのサービスの関係,Kindle機,Fire機のハード,ソフトの進展,「アカウント結合」,それに電子書籍以外の膨大な業務等を考えると,正確に回答できる者を探す方がむつかしいのだろうと考えることにしている。

英字新聞の配信を受けたい

英字新聞(Mainichi)の配信を受けているときは,時折目を通すぐらいたったのだが,全くなくなると妙に気になる。何とか安価な英字新聞(Mainichi)の配信を再開させたいと,ときどき思うようになった。

ところで先週,プライムデーという,プライム会員用のバーゲンがあった。特に何かを買おうとは思っていなかったのだが,タイムセールで最新のFire 7の32Gが5000円台であるのを見かけ,これで新しいAmazon.comのアカウントを作成すれば,英字新聞(Mainichi)の配信を受けられるのではないかと思い付き,購入して実行してみた。

「出来た!」。2019年7月19日号から配信されている。今は無料期間だが,多分,月額10ドルくらい(5ドルという表示も見かけたような…)。

様々な問題とImmersion Reading

Fire 7でAmazon.comに加入するために,言語を英語にして,居住国をアメリカにし,カード情報を記入する。それでAmazon.comが利用できるようになり,英字新聞(Mainichi)が購入できた。

そうすると,Fire 7の上部のメニューに,「Books」等に加え,Amazon.co.jpにはない「Audible」,「Newsstand」が表示される。英字新聞(Mainichi)は,「Newsstand」で管理することになる。

興味深いのは「Audible」だ。私は,最初にAmazon.comに加入したときにアメリカの「Audible」(英書の朗読データの販売)の会員となり,それはAmazon.co.jpで購入したFireでは聞けたのだが,Amazon.co.jpが日本の「Audible」を始めたときから,その後,Amazon.co.jpで購入したFireでは聞けなくなってしまった。スマホでは聞けるのだが。もうその状態が何年も続いており,Amazon.co.jpは変える気はないようだ。

それともう一つの問題は,アメリカの「Audible」ではKindle英書とその朗読データを購入すると,Immersion Reading(読み上げている個所をKindle英書にハイライトする機能)が利用できるとあるのだが,日本ではそれが不可能だった(今回の方法をとればできたのかもしれない。)。

それで「Audible」という表示を見たときに,Amazon.comでKindle英書を,「Audible」でその本の朗読データを購入すると,Immersion Readingが利用できるのではと思い付き,Kindle英書とそれに対応する朗読データを購入してみた。

「出来た!」。それにこのように購入すると,「Audible」で朗読データが安くなることも多い。

今回購入したFire 7を「英語学習機」と考えれば,このような機能に加え,Kindleでは多くの辞書や無料本が利用できるし,使い出がある。

なお,不思議なことも多い。居住国をアメリカに設定し,アドレスに日本の住所を記入したが,これはカード情報だけの問題なのだろうか。今回購入したFire 7だけかどうかわからないが,英語表示を日本語表示に変えるとそのまま「オーディブル」とか「ニューススタンド」と表示される。アカウントをAmazon.co.jpのものに切り替えれば,この表示はされないのだろう。アメリカで購入するFire 7はどうなっているのだろうか。「Video」には,日本のプライムが表示されているが,なぜだろう。

1か月の間が空いた!!

この記事は前回の投稿から1ヶ月間が空いてしまった。大した理由もなくて,最初の2週間ぐらいは,「生産性」の本を読みつつ,このWebも焦点を絞ろう等と考えているうちに,長い書面書きが3本重なってしまい,こちらに手が付けられなくなった。一応終了したので,これから焦点を絞ってWeb記事を作成しよう。

 

 

 

 

日本文化論への助走

深層日本論-ヤマト少数民族という視座

「深層日本論 ヤマト少数民族という視座」(著者:工藤 隆)(Amazonにリンク)の著者の工藤さんは旧知の人で,若いころは古代に舞台をとった「黄泉帰り」等の演劇の上演活動をしていたが,その後,上代口承文芸の研究をして大東文化大学の先生をしていたようだ,Wikipediaを見ると,古事記,古代歌謡,神話,大嘗祭等に関する本を多く書いており,この本はそれらの集大成ということかもしれない。

この本は,日本文化の基層を「アニミズム・シャーマニズム・神話世界性とムラ社会性・島国文化性」とし,その世界が文字で確認できる歌垣としての記紀歌謡・万葉歌と,工藤さんが辛くも実地調査できた中国雲南省の少数民族らの歌垣との共通性を紹介する。そして中国漢民族との対比でのヤマト(少数民)族が(一方で,アイヌ民族,沖縄民族を吸収し),「国家」を形成し,白村江の敗戦,明治維新,敗戦の3つの文明開化において基層と表層の2重構造を乗り切ってきたとする。

神話,神道等の世界を嫌う人も多いから,工藤さんは,慎重に概念規定をした上で,上述した観点等を踏まえ,政治,社会を含む,日本文化論を展開する。記紀歌謡,万葉集で挑む文化論だから,「敗戦と原発事故」を論じ,「日本文化のなにを誇り,なにを制御するか」は,いささか背伸びした議論にも感じるが,しかし不快さは感じない。ただし,「伊勢神宮論」や「大嘗祭論」は,私にはあまり興味がわかない。特に,後者の「サカツコの復活が望まれる」はどうなんだろう。

このように,話を現代に持ってくるのはどうかということの他に,文字で確認できる記紀歌謡・万葉集が出発点とし,それはどのように形成されたのというそれ以前の話がなくていささか気持ちが悪い。これについては,「「問題解決と創造」を予習する」であげた「日本文化」の項目の,「ヒト 異端のサルの1億年」(著者:島泰三)(Amazonにリンク)が3万年前以降繰り返されたホモサピエンスの日本列島への流入,諸地域に分散する,人種と言語の近親性を挙げている。それと本書の間,縄文時代,弥生時代,古墳時代を埋めることが必要だろう。とりあえずKindle本で,次のような本がある。ゆっくり目を通していこう(その後は,「漢文の素養~誰が日本文化をつくったのか?~」(著者:加藤徹)(Amazonにリンク)に続く)。

  1. 「日本人の起源 人類誕生から縄文・弥生へ (講談社学術文庫) 」(著者:中橋孝博)
  2. 「海の向こうから見た倭国 (講談社現代新書)」(著者:高田貫太)
  3. 「弥生時代の歴史 (講談社現代新書) 」(著者:藤尾慎一郎)
  4. 「縄文時代の歴史 (講談社現代新書) 」(著者:山田康弘)

ⅰを少し読んだが,そういえば日本の考古学会は大変だたなあということを思い出した。

文化論とは

ところで工藤さんは「日本人は日本人論,日本文化論がとても好きだ。その多くは,日本人あるいは日本文化は世界でも特殊な存在だという認識が前提として置かれている。実のところ,私もそう思っている。ではいつ,どのような理由でそのような特殊性を得たのか。その特殊性が現在もあるとすればなぜなのか。本書はこうした疑問に対して「ヤマト少数民族」という視点を導入することで、大きな回答を示そうという試みである」とするのだが,文化論は,何を論じているのか,そのような対象が実在するのかという,反省的観点が必須である。そうしないと単なる酒場の与太話になってしまう。

ただ私は「文化」を,「ある集団の,ある場での,環境(地理)と歴史によって形成された言動のパターンや特徴」と定義するので,集団,場の抽象度や限定された具体的な内容がしかkりしていれば,ある種の議論は可能だと思っている。ただ「日本人は…だ」というような抽象度が高い無限定な言説はがほとんど意味がない。

仏教には何の意味があるのか

ところで日本文化論というとき,私は記紀,万葉より,仏教論に親しみを感じてきた。ただ,空,中観,密教,唯識と,面白いといえば面白いが,最近は,一体,何の意味があるのだろうという思いが強く遠ざかっていた(そういえば,「仏教は本当に意味があるのか」(著者:竹村牧男)という本があったことを思い出したが,これは事務所移動時に「寄贈」している)。

ただそれでも仏教書には時おり目を通していたが,最近,「別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教 こうしてブッダの教えは変容した」(著者:佐々木 閑)(Amazonにリンク)を読んで,改めて,仏教はせいぜいこんなもんだが,それはそれですごいなあと思い返している(佐々木さんは,2年前の年賀状で,「我が国には,視点は大分違いますが「真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話」という本があります。超弦物理学の大栗さんと仏教学の佐々木さんの対談で,題名を見ると?ですが,科学対科学を侵犯しない仏教との対話とでもいうべきもので、内容は意外にまっとうで面白い」として紹介していた)。

その佐々木さんに,昨日,「ネットカルマ 邪悪なバーチャル世界からの脱出 (角川新書) 」(著者:佐々木 閑) (Amazonにリンク)という本があることを発見したので早速購入した。私もネットが「邪悪なバーチャル世界」であると思っているので,佐々木さんはここで本当に仏教を活かせているか,少し読み込んで紹介しよう。

 

気になっていたこと

「哲学入門」と「The Roots of Reason」

気になっていたこと

誰でも,どうでもいいことが気になり,忘れられないことがある(大事なことで忘れることは無数にあるが)。

私の場合,そのひとつに,戸田山さんが「哲学入門」で,David Papineauが挙げる認知デザインは6段階あるとしながら,4,5段階(6段階目は人間)については重要でないとして,まったく触れておらず,それが何か気になって仕方なかった(ググっても見つけられなかった)。それで2018年9月にそれが書いてあるはずの「The Roots of Reason: Philosophical Essays on Rationality, Evolution, And Probability」(Amazonにリンク)を買おうと思ったが,一口では言えない手際の悪さで,間違って,高額なKindle本の「Thinking about Consciousness」を買ってしまった(「「哲学入門」を読む 2」)。

それでめすっかりげていたのだが,半年余りが経過し,なにがあったのか,上記の経緯もすっかり忘れてしまったので,改めて古本で「The Roots of Reason」を買ったのである。

認知デザインの6段階は何か,その他

戸田山さんは第1段階からはじめるが,David Papineauは,Lebel 0からだ(第3章の「The Evolution of Means-End Reasoning」にある)。人間に至る5段階は,以下のとおりである。

  • Lebel 0 Monotoma-Do R
  • Lebel 1 Opportunists-If C,do R
  • Lebel 2 Needers-If C and D,do R
  • Lebel 3 Choosers-If Ci and Di,do Ri, when Di is the dominant need
  • Lebel 4 Learners-after experience shows that Ci,Di and R lead to reward,then(as before):If Ci and Di,do Ri, when Di is the dominant need

分かったからなんということはないが,とりあえず一安心。せっかくだから,「The Roots of Reason」(論文集だが)を読もうと思ったが,どうも最近(年をとってきたからという意味だが),古本のほこり(ダニ)に弱く,かゆくなってきてたまらない。まずは,アルコール噴射,そして虫干しだ。

ところで「哲学入門」を読む 2」には,目的手段推論は英語で何というか気になるので確かめたいとも書いているが,そのことはすっかり忘れていた。これは多分,章題の「Means-End Reasoning」だろう。ついでに,この記事の末尾に「「啓蒙思想2.0」を手にしたところ,「直感」と「理性」の正確な分析とその使い途を踏まえ,「政治・経済・生活を正気に戻すために」どうすればいいのかについて詳細な検討がされていることに気がつき,興味津々,今の「情況」を切り拓く手掛かりになりそうだ,次はこれを紹介しよう」とあるが,これも忘れていた(というより,これは試みていたが,そのままになってしまった。細目次がない本は本当にやりにくい)。

自立

分業と自立,若者の自立

ところで年をとってきて古本のほこり(ダニ)に弱くなった関連で話は飛ぶが,最近よく「自立」ということを考える。

もともとは,「この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた」(著者:ルイス ダートネル )(Amazonにリンク)や,そこでも引かれている「ゼロからトースターを作ってみた結果 」著者:トーマス トウェイツ)(Amazonにリンク)(この本は「現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論」(著者:瀧澤弘和)(Amazonにリンク)で「われわれの文明がいかに分業と交換の複雑なシステムで構成されているのかがわかる。しかも、この複雑な依存関係は、比較的簡単な人工物自作できないほどのものなのだ」として紹介されている)で,われわれはある日,文明(分業と交換)がなくなると,何ができるのだろう,われわれは,他者(文明・分業)に依存せず世界から何を引き出せるのだろうという文脈で考えていたことである。

さらに古くは,「自立」は,「自立の思想的拠点」(著者:吉本隆明)で,私の気に入っていた観念であったが,久しく忘れていた。これも忘れていたが,高橋和巳にも「自立の思想」という本もあった。政治的文脈はともかく,昔の若者(であった私)にとって「自立」は,いかにも魅力的な観念であった。

中高年の自立

でも今「自立」は,中高年こそ考えるべきことであろう。

高齢者にとって,その生活と行動の「自立」は切実な問題である。私が今準備している「高齢者の法律問題」の項目に,私にとっても切実な,生活と行動の「自立」を加えて考えていこう。

更に中年(壮年)にとっては,自分は社会の「分業と交換」においてある重要な役割を担っていると自負していても,ある日そこから引きはがされたときに,形は変わっても同レベルのことができるのかという問いかけこそ,「自立」の問題であろう。特に「PC・IT・AI」の時代に,何によって「自立」できるのか,若者は,とりあえず「起業」というスタイルを用意している(「THE END OF JOBS 僕たちの20年戦略 」(著者:テイラー・ピアソン)(Amazonにリンク)。

ビジネスでよく見かける中年(壮年)のフレーズは,「培った人脈を生かす」であるが,問題はその人脈を生かして何ができるかということであろう。人脈そのものは,依存でしかない。

「自立」とは何か

少し話を急ぎすぎた。「自立」は,人の生活と行動(あるいは組織)全体を貫く問題であるが,「自立」という観念はどう捉えたらいいのだろうか。。

とりあえず私の「自立」とは何かについての仮説(概念整理)は,「世界と距離を保ち飲み込まれずに見る(理解する)ことができるということ」である。私はこのWebで「問題解決と創造」を」サブテーマにしているが,問題解決は,世界から降りかかってくることに対応することであり,(価値)創造は,世界に参加することであると位置づけられるだろう。そうすると私と世界の関係について,対応する,参加するほかに(前提としてというべきか),距離を保ち飲み込まれずに見る(理解する)ことがあるということである。問題解決,創造,自立という観念を回しながら,世界と関わるのは楽しそうである

これからはこのWebの「問題解決と創造」に「自立」という観点も含めて考えていこうと思う。そしてこれは多分,人間は,目的手段推論付きオシツオサレツ動物ということと重なっている。

 

手入れしよう

このWebについて大分手入れしたのでその報告をし,併せて身の回りの手入れすべき何点かのことを検討しておこう。

このWeb(ワードプレス)の手入れ

Webの作成は,とにかく記事の作成を優先することになるが,なんせ今の私は,「法と弁護士業務」と「問題解決と創造」の両方に足をのせ,万巻の書を読み、万里の道を行って記事を作成しようとしているので,なかなか体裁まで頭が回らない。

そうこうしている間に,体裁問題が山積みしてきたので,この数日で何とか手入れをした。

次のような問題があった。

①見出しの体裁5段階を(文字の大きさ,色,冒頭からの空け幅等)を,追加CSSでカスタマイズする。

②テーマでカスタマイズされていたリンクの下線を復活させる。

③投稿だけにあった次ページで「続きを読むという」機能を,固定ページも含めて「<!–nextpage–>というタグ」を使って,両方で1,2ページの表示とする。これに伴い,「分野別法律問題」の記事(本文と詳細目次)を一つの固定ページとし,詳細目次を2ページ目に掲載する(「契約法務」だけ試行してみた。)。投稿も,詳細目次は,2ページ目に掲載する。

④上部のメニューの「ブログ山ある日々」は固定ページなので,ここでワンクリックで,すべての投稿記事を見られるようにする。

⑤各記事について,ある部分を修正するたびに,不整合な点が生じていた。

これについては,大体手入れができたと思う。

ただもう一つ,いつの間にか,

⑥(多分,ワードプレスの仕様変更で)PDFが読めない

という問題が生じていた。私が資料として引用しているPDFに目を通すことはめったにないので,今まで気が付かなかった。早急に対応しよう。

ワードプレスの手入れについては,次のような記事を作成している。

改めて思うのだが,この類の問題の最大の難点は,手を入れようと思うと,必要な知識は雲散霧消し,いつもほぼスタート時点に立ち返ってしまうということである。今後の,デジタル時代でこれはかなり本質的な問題である。

「エコー」と「Kindle Fire 10」を手入れしよう

大分前に「エコー」を買ったが,孫と一緒に「アレクサ モアナの曲をかけて」と呼びかけるぐらいにしか使っていない。最近,「Kindle Fire 10」のOSがアップデートされて「「Alexa」の呼びかけで使えるハンズフリーモードのほか、Fire HD 10をEcho Showのように使える「Show Mode」にも対応」するようになったとのことなのだが,私の近くにある,「エコー」と「Kindle Fire 10」は,私の「アレクサ」の呼びかけにどちらがどう対応しているのか,と「Kindle Fire 10」にでる表示は何なのか,今は混乱していて見極め難いので,この連休にでも整理しよう。そのほかに,ブルーt-ス利用の,キーボード,イヤホン,超廉価版スマートウオッチ,Kindle Paper Whiteを英語使用にして,何とかモードを使うという課題もある。

R本の手入れ

どこかで書いたように,私は事務所移転の際に,R本の大半は寄付したので,現在自宅にあるのは,千数百冊の積読本だ。これを「私本管理」で整理し,「問題解決と創造」に使えるようにしよう。これも連休だ。

家庭菜園の手入れ

庭の家庭菜園に野菜の種をまいて収穫し,花を植えて愛で,毎日,水を撒くのはとても楽しい。しかし,いつまでも孫と一緒に,はなさかじいさんのように種を撒くのはいかがなものか。もう少し進歩したい。

カラダとアタマの手入れ

絶えず少しでも体を動かし,手入れすることがもっとも重要だ。何とか朝RUNを定着させたいのと,ほんの少しでいいから,折に触れてストレッチ系の動きをすることを定着させることが大切なようだ。

アタマの手入れは,散歩し,山に行き,自然を愛でて,情動を整えることに尽きる。いろいろやることがあってストレスになるのはよくないかなあ。そういえば先週の日曜日(2019/4/14)は,孫を引き連れ,山下公園(チューリップ),大桟橋(大型客船の入港),山下公園(フラワーフェスティバル?),人形の家と回り,リフレッシュした。山男の影いずこ。

一番大事な手入れ

あれこれ手入れすべきことを思い浮かべたが,一番大事なことが抜けていた。

一番大事なことは,「法を問題解決と創造に活かす」ための,私自身の仕事についての手入れだし,このWebでいえば,「新しい法律問題」と「法を問題解決と創造に活かす」及び「分野別法律問題」の作成・充実である。後者はこのWebの体裁に大分手を入れることができたので,そろそろ真正面から取り組まなくては…。永遠の助走では困るなあ。

前回の投稿から1か月も間が空いてしまった

この頭は動作していません??

前回,「このページは動作していません」という記事を投稿してから1か月が経過してしまった。この間必ずしも「この頭は動作していません」という状態にあったわけではなく,2週間は次の投稿記事を考えていたが,その後は,ある事件の「控訴理由書」の作成に追われ,数日前にやっと完了して,息をついたところだ。

前回の投稿時から考えたこと

著作権法判例百選第5版事件はどうなったか

前々回の投稿が2月22日の「最近の知財法改正を一覧する」だから,その頃,一生懸命に,知財,著作権について考えていた。

「こうして知財は炎上する-ビジネスに役立つ13の基礎知識」(著者:稲穂健市)の中に,次のような紹介があった。

「『判例百選(第4版)』の編者のひとりとされた大渕哲也・東京大学教授は,改定版である『判例百選(第5版)』の編者から自らを除外されたことにより著作権と著作者人格権を侵害されたとして,第5版の出版差し止めの仮処分を東京地裁に申し立て,東京地裁は出版を差し止める仮処分決定を出したが,知財高裁は仮処分の決定を取り消した。これにより,約1年遅れて第5版は無事に出版された(筆者の「なぜこんなことになったのか筆者にはよくわからないが,「著作権村」のパワーバランスが関係しているのかもしれない」とのコメントがある。)。

この「著作権判例百選事件」,果たして『著作権判例百選(第6版)』に掲載されることになるのだろうか?」

これを読んで私は出版を楽しみにし,出版直後の3月14日に購入した(その時は気が付かなかったが,Kindleのプリント・レプリカ形式でも出ている。)。

なんと,出ていた(18事件)が報告が遅くなった。あまり知性を感じない事件ではある(著作権紛争にはそういう事件が多い。)。

働き方改革をめぐって

そういえばこの4月から「働き方改革」に関する法令の多くが施行されるのできっちりまとめておく必要があるだろう。

厚労省は「働き方改革」の実現に向けて」の冒頭に「我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。」とする。支離滅裂でひどい書きぶりだと思うが,できたものは労基が罰則付きで強制するように跋扈するだろうから,関係する会社がこれで足をすくわれないよう,しっかり対応できるように目配りしていくしかない。

法とルールの基礎理論をめぐって

政府が進める知財法,情報法,会社法,労働法,行政法等(その他すべて)についての理念,手法なき法令の複雑化がこのまま進めば社会は窒息するので,使いやすくわかりやすいルールを策定し,施行するにはどうすればいいかの検討は必須であるとずっと言い続けているが,どう取り組むべきかは極めてむつかしい。

知財法は,とりあえずレッシグをよく読んでみよう。

基本は,進化→行動→法とルール←システムという構造の中で,使いやすくわかりやすく機能する法とルールは,どうあるべきかということであるが,この構図のままでは抽象度が高すぎて,「理念,手法」の提示まではまだ遠い。もう少し時間が必要だ。

ITと進化をめぐって

ITが社会や政治にもたらす影響について,様々に論じられているが,ネット上の言説は何でもありで攻撃的だし,それが押えられないことは所与の前提とするしかない。

ところで最近,これって「万人は万人に対して狼」,「万人の万人に対する闘争」というホッブスの世界ではないかということにふと気が付いたのである。ホッブスは近代国家論の端緒を開いたといわれるが,ホッブスの死後およそ350年が経過して,社会は闘争状態に回帰した。

しかし,「万人の万人に対する闘争」についてのホッブスの具体的な認識は,人間を進化論的に見たときどうなんだろうか(「リバイアサン」の翻訳本に少し目を通してみたが,全然古臭くないが,ダーウィン200年前の人である。)。多少なりとも,ダーウィンがもたらした知見と重なっているだろうか。更には現代の進化論を踏まえる,行動分析学,オートポイエーシス,アフォーダンスから見てどうなんだろうか。ITを突破口にする 法とルールの基礎理論へのルートもありそうだ。

このところKindleのIT本が安くなっていたので,何点かの「PC・IT・AI技法」の本も買った。

いろいろと乗りかかった船を進めよう。

 

このページは動作していません!!

何が起こったのか

すこし前になるが,このWebをいじっていて,あるページに移動しようとしてクリックすると,下記の表示が出て移動できないことがあった。

「このページは動作していません。××でリダイレクトが繰り返し行われました。クッキーを消去してみてください。ERR_TOO_MANY_REDIRECTS」。

何てことだ。そこでクッキーを消去してみたが事態は変わらない。そのときはそのページはあまり利用しないので放っておき,その後削除したかもしれない。

ところがこの土日に「法と弁護士業務」に関する記事を「弁護士の仕事を知る」にまとめようと思い,あれこれメニューをいじり,記事を移動しているうちに,ふと気が付くと(移動した(これも後で気がついたが))「分野別法律問題の手引」「新しい法律問題」「法を問題解決と創造に活かす」に上記の問題が発生してしまった。これらはハブになるページだから放っておくわけにもいかない。すこし,ググってみたが,それらの記事をみても何をどうすればいいかわからない(もちろんクッキーは消去してみた。ほとんどは,WordPress.orgの問題のようだ。)。

パーマネントリンク

ところでググったある記事に,設定の「パーマリンク設定」の「変更を保存」をクリックしてみればいいとあったので,クリックしてみたが,もちろん何も起こらない。私の「パーマリンク設定」は日本語にしたままなので,URLになると長い記号となり,見たくもない領域なので,くわばらくわばら。

だがしばらくして,ふと,私がしたことは記事の移動である,そうするとそれによってリンクがおかしくなり,リダイレクト(無限ループ)がおこった可能性があるなあという思いがしてきた。そこでこわごわと,問題となる記事のパーマリンクの編集で,その記事の題名を書き換えてみた。

これなんだ。うまくいった。下位メニューもちゃんと書き換えられている。さすがコンピューターだ。これで問題解決。つかれるなあー。

ところで,Wordpress.comは,決して安くない有料サービスなのに,英語でしか問い合わせできないとはどういうことだ。このままでは仕方がないので,うまくいかなかった場合は,英語で問い合わせるしかないと,更に暗くなっていた私であった。

デジタル・トランスフォーメーションをめぐって

デジタル?トランスフォーメーション?

一昨日(2019年2月11日),たまたまボストン・コンサルティング・グループの「BCGが読む 経営の論点2019」(Amazonにリンク)に目を通したが,その「はじめに」の冒頭に「デジタルを中核に据え、経営を変える。バリューチェーンを再構築し、新たな成長機会を創る。デジタルによって既存事業を変革し、新規事業でイノベーションを生み出す。2019年は、そんな流れがますます加速する1年となるはずだ」とあり,「デジタル化がもたらす変化には,大きく3つの領域があると考えている。1つ目は,デジタル・トランスフォーメーション。顧客との新たな関係性を重視しながら,ものづくり,サプライチェーン,顧客接点,エコシステムなど,デジタルをテコとしてすべてを見直し,バリューチェーンを変革すること」(あとの二つは,「デジタル ベンチャー」と「組織における働き方の改革」)と続く。

私は,そのときまで「デジタル・トランスフォーメーション」という言葉を見たことはあったかもしれないが,意識したことはなく,古臭い「デジタル」という言葉も「こんなふうに使われるんだ,出世したなあ」と思ったのである。

ところで,1月末の高校の同窓会でたまたま横に座った友人に「最近,ITやAIについて,何かやってみたいと思っている」と話したところ,その友人に「Project DS DXの最新状況と近未来 これからの日本の進むべき方向」というイベントに誘われたので,昨日,出席してみた。

そこでは,最初から最後まで,「デジタル・トランスフォーメーション」という言葉が乱舞した。昨日の今日だからびっくりした。確かに「ITやAI」では少しピントがずれている。「デジタル」の方が,簡単でよさそうだ。

ところで,このイベントは,出席者は20数人という小さな会合で,ある損保グループでCDOを務める人の講演と質疑応答という内容だった。そのグループでは,これまでの「損保」では将来が見えないので,長年,シリコンバレーで,スタートアップを手掛けてきたその人がCDOに抜擢され,グループ全体を引っ張っているということだった。

具体的な内容は公開すべきではないと思うので,興味深かったことだけを二つ挙げよう。

興味深いこと

ひとつ目

ひとつ目は,デジタルのビジネスを行う上で重要なツールは,ひとつは,「デザイン思考」,もう一つは「アジャイル」だという指摘である。

「デザイン思考」は,私の視野に入っていたが,抽象的で本当に使えるかどうか分かりにくいねということで,1月に若いデザイナーの友人と「デザイン思考」の本を読んでみようと約束したので,早晩,読書会兼飲み会をしようと思っている。対象は,「クリエイティブ・マインドセット-想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法」(著者:デイヴィッド ケリー,トム ケリー)(Amazonにリンク)と,「デザイン思考が世界を変える」(著者:ティム・ブラウン)(Amazonにリンク)だ。「センスメイキング―本当に重要なものを見極める力」(著者:クリスチャン・マスビアウ)(Amazonにリンク)が「デザイン思考」を切り捨てているので,どんなもんだかと思っていた。実際に大学で試している「エンジニアのためのデザイン思考入門」(著者:東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト)(Amazonにリンク)が肝になるか?

もう一つの「アジャイル」は,ソフト開発の手法だということで言葉だけ頭にあったが,「そうでない手法は?」と聞かれても「ウォーターフォール」は,言葉としては出てこなかった。

ふたつ目

興味深いことのふたつ目は,その損保グループでは,新しいデジタルのビジネスを行うために,数人ずつ,エンジニアとデザイナーを自前で雇用し,Googleの無償のAIを利用し,スピーディーな試行錯誤を繰り返して,短期間に欲しい「機能」を実装しているというのである。なるほど。

ただ,後ででてきた話であるが,経営陣のすべてがこのような試みを理解してくれるわけではないそうである(これは内緒)。

私は三つのことを考えた

余計なことだが,私が考えた三つのことを書いておこう。

ひとつ目

一つは,このようなデジタル・トランスフォーメーションの集いだとイケイケどんどんということになるのだが,ユーザーの立場からして,本当にそのようなものが必要なのだろうかと考えてしまう。知的好奇心は無限に膨れ上がるが,例えば健康についてどこまでデジタルが必要なのかは疑問である。これについては,上記書の「6 健康・予防領域で「稼ぐ」ために-成長領域なのに黒字化できない本当の理由」での指摘が参考になる。

ふたつ目

ふたつ目は,生活の「便利さ」なんてこれ以上どうでもいいのではないだろうかということである。特にIoTはサーバー攻撃の対象となって当面「便利」どころではないという気がするし,新しいAIの個々の様々な機能は目新しくて「便利」だとしても,総体として複雑なユーザーインターフェイスをもたらし,結局,ユーザーにストレスを与えるだけではないのか。

少し話はずれるが「ウォーターフォール」における「システム開発」が,発注者にも開発者にもトラブルをもたらすことが多かったが,「アジャイル」もその解消策にはならないようだ(上記書の「5 アジャイルの可能性と罠-組織のスピード、適応力、生産性向上にどう活用するか」参照)。

みっつ目

みっつ目は,上記したように,確かに私もデジタル・トランスフォーメーションについての「知的好奇心は無限に膨れ上がる」が,それは人の理性・推論が機能している部分である。人は,まちがいなく動物としての進化の過程にある「目的手段推論というちょっとした拡張機能つきのオシツオサレツ動物」であるから(「「こころ」と行動の基礎」参照),そのような動物としてデジタルをどう取り入れ利用するのかという観点がないと,複雑性の中で迷走しますよというのが私の「余計な」意見である。

デジタル・トランスフォーメーションの道遠く

ところで,「「BCGが読む 経営の論点2019」(Amazonにリンク)から上記の2点を指摘したが,この本はそのほかの内容も優れてる。コンサルというのは,うっとおしいと思っていたが,「デジタル・トランスフォーメーション」は,彼らの思考法とピントが合っているようだ。

ついでに「BCG デジタル経営改革 Digital Transformation」(Amazonにリンク)というムック仕様のkindle本も買ってみたが,これはどうだろうか。

むしろ今後勉強しなければならないのは,「デジタル・ビジネスモデル-次世代企業になるための6つの問い」(著者:ピーター・ウェイル)(Amazonにリンク)だろうか。

ところで,デジタル・トランスフォーメーションは,DXと略されることが多いようだが,DSとは何だろうか?略語も訳が分かりませんなあ。最後の疑問である。