問題解決と創造の方法を改稿しました

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問題の所在-問題解決と創造の方法を考える

問題解決(下述するように,創造は,問題解決の一場面と位置づけることができる。)の方法は,以下のとおり,「解決すべき問題の基本的な構造-考察1」,「問題解決の領域(対象)とその方法-考察2 4要素5領域と行動分析学・システム思考」,「問題解決を支える思考法とアイデア-考察3」に分けて考察することが適切であると考えている。

まず,「解決すべき問題の基本的な構造-考察1」で,基本となる3書を紹介する。

解決すべき問題の基本的な構造(考察1) 基本3書

「図解 問題解決入門」 基本書1

まず「解決すべき問題の基本的な構造」(問題構造図式と呼ばれることがある。)については,「「新版[図解]問題解決入門~問題の見つけ方と手の打ち方」(著者:佐藤 允一)(Amazonにリンク・本の森の紹介)の分析が,簡便でわかりやすい。

同書は「問題」を「目標と現状のギャップ」ととらえ(後記「問題解決大全」によると,これは,ハーバート・A. サイモンが,言い出したらしい。),原因となる「入力」,「制約条件」や「外乱(不可抗力)」が影響する「プロセス」を経て,結果となる「出力(現状)」が生じるという「問題構造図式」を提示する。この図式をふまえ,「入力」や「制約条件」をコントロールすることで,「出力(現状)」を変え,問題解決を考えようというのである(「佐藤問題構造図式」という。)。これだけでは単なる枠組みの整理に過ぎないが,それだけに様々な問題解決の手法を整理して位置づけるのに便利である。

次に同書は,「問題」を,発生型(既に起きている問題),探索型(今より良くしたい問題),設定型(この先どうするか)に分類しており(この分類は「時間型分類」といえよう。),これも有用である。

さらにこれは私見ではあるが,「問題」を,個人型,人工物型,システム型に大別することも有用である(この分類は「対象型分類」といえよう。)。「世界」の大部分の問題は,「システム思考」が対象とすべき複雑な「システム型」の問題であるが,個人の問題の多くは,個人型として個人の意思決定と行動改善の方法として捉えることが適切であるし,人工物(多くは商品であろう。)の問題は,人より物の振る舞いが前面に出る設定型,探索型の問題であるから,別に検討したほうが良さそうだ。ただし,それぞれの方法を他に応用することは有益である。なお企業に関わる「問題」は,個人型,人工物型,システム型のいずれの要素も含んでおり,併せて経営分析,経営戦略等として検討されているから,別途,検討すべきである。

「創造はシステムである」 基本書2

「創造」は,佐藤問題構造図式の時間型分類の,設定型(この先どうする)ないし探索型(今より良くしたい問題)として,問題解決の一場面と位置づけることができる。

「創造はシステムである~「失敗学」から「創造学」へ」(著者:中尾政之)(Amazonにリンク本の森の紹介)は,「創造」(自分で目的を設定して,自分にとって新しい作品や作業を,新たに造ることと定義する。)の過程を,「思い」(願望)→「言葉」(目的)→「形」(手段)→「モノ」(アクションプラン)ととらえ,まず「目的」を言葉として設定することが重要だとする(これが「出力」となる「結果」である。)。そしてその「原因」となる「入力」「制約条件」等を<「形」(手段)+「モノ」(アクションプラン)>と捉え,その具体的な内容に「思考演算子」(これは,TRIZ(トゥリーズ)のことである。)を適用して,検討,選択し,「目的」を実現していく。システムである人工物の設計,創作を念頭に置いた問題構造図式の変化型であるが,システムについての問題解決は複雑,難解なものが多いので,まず人工物の創造でこれに習熟することには意味がある(ただし同書には,「システム思考」の話は出てこない。)。

「問題解決大全」 基本書3

なおこの2つの方法に止まらず,「問題解決と創造」を実現する観点から考え出された様々な技法がある。それらの主要なものが「問題解決大全」(Amazonにリンク・本の森の紹介)で,丁寧に検討されている。「問題解決大全」では,問題解決の手法をリニア(直線的) な問題解決とサーキュラー(円環的) な問題解決の2つに大別して取り上げた上,問題解決の過程を,大きくは4段階,詳細には14段階に整理し,それぞれに該当する技法を紹介している。①問題の認知(目標設定,問題察知,問題定義,問題理解),②解決策の探求(情報収集,解の探求,解決策の改良,解決策の選択),③解決策の実行(結果予測,実行計画,進行管理),④結果の吟味(結果の検証,反省分析,学習・知識化)である。基本書1,2を十二分に補完する内容となっている。

基本書1,2にこれを加えた3書を基本となる方法となる「基本3書」としたい。そのためまず3書の詳細目次(「問題解決と創造の方法」基本3書の詳細目次)を作成した。これを見ているだけでも頭の整理になる。

問題解決の領域(対象)とその方法-考察2 4要素5領域と行動分析学・システム思考

世界を4要素5領域(個人・企業・政府・環境の4要素+世界:社会・経済・歴史の5領域)に区分することを,「問題解決と創造を学ぶ」で提唱した。そして,それぞれの要素・領域の問題をその相互の関係や時間を視野に入れて解決する方法として,個人は主として「行動分析学」,企業・政府・環境・世界の複雑な問題には「システム思考」が有用である。

「行動分析学」と「システム思考」については,「「行動分析学」と「システム思考」で世界を見る」を作成しているので当面この記事で紹介に変えたい。

個人の問題解決 補足

個人の問題解決の方法については,当然,様々な提案がなされ,流行り廃りがある。私は「行動分析学」をメインにしたが,違った捉え方を基本とする考えもありうる。以下紹介する本はそれぞれ優れた面もあるが,どうしても基本的な部分が曖昧な気がして,そのままでは私の好みにはぴったりこない。それぞれについて,二重過程理論や行動分析学に位置づけて理解するとスッキリする。なお,あれこれ面倒くさいことを言われなくても実行しますよと言える人には,「ペンタゴン式目標達成の技術 一生へこたれない自分をつくる」(著者:カイゾン・コーテ) (Amazonにリンク・本の森の紹介)を既にお勧めした。呼吸,瞑想,認知,知識,健康,自律,時間についの,無理でない実践法が紹介されている。

  • 「スマート・シンキング 記憶の質を高め、必要なときにとり出す思考の技術」(著者:アート・マークマン)(Amazonにリンク・本の森の紹介)
  • 「幸せな選択,不幸な選択~行動科学で最高の人生をデザインする」(著者:ポール・ドーラン)(Amazonにリンク・本の森の紹介)
  • 「習慣の力」(The Power of Habit)(著者:チャールズ・デュヒッグ)(Amazonにリンク・本の森の紹介)
  • 「あなたの生産性を上げる8つのアイディア」(SMARTER FASTER BETTER)(著者:チャールズ・デュヒッグ)(Amazonにリンク本の森の紹介
  • 「スマート・チェンジ 悪い習慣を良い習慣に作り変える5つの戦略」(著者:アート・マークマン)(Amazonにリンク・本の森の紹介)
  • 「仕事・お金・依存症・ダイエット・人間関係 自分を見違えるほど変える技術 チェンジ・エニシング」(著者:ケリー・パターソン外)(Amazonにリンク・本の森の紹介)
  • 「マインドセット:「やればできる!」の研究」(著者:キャロル・S・ドゥエック)(Amazonにリンク・本の森の紹介)
  • 「クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法」(著者:デイヴィッド ケリー, トム ケリー)(Amazonにリンク・本の森の紹介)

問題解決策を支える思考法とアイデア-考察3

上記の考察1,2による問題解決策(入力)が適切(論理的,科学的)であるためには,これを支える適切な「思考法とアイデア」が必要である。

ここでは,「問題解決策を支える思考法とアイデア」を獲得するために,「思考の基礎」,「危機的な現代の思考」,「アイデア」に分けて何冊かの本を紹介しておく。

思考の基礎

人の思考の基礎である早い思考,遅い思考(「二重過程理論)について,「意思決定の心理学 脳とこころの傾向と対策」(著者:阿部 修士 )(Amazonにリンク・本の森の紹介)を挙げておこう。もちろん,「ファスト&スロー」を読み込めばいいのだが,批判的に検討しやすい本としてあげておく(カーネマンについて,アレコレ言うのは,多少しんどい。)。

これを踏まえ,早い思考について,1992年時点で検討している「不合理~誰もがまぬがれない思考の罠100」(著者:スチュアート・ サザーランド)と,主として遅い思考の内容を緻密に検討している「思考と推論: 理性・判断・意思決定の心理学」(著者:ケン マンクテロウ)を紹介しておく。この2冊については内容を簡単に紹介しよう。

「不合理~誰もがまぬがれない思考の罠100」(著者:スチュアート・ サザーランド)

「不合理~誰もがまぬがれない思考の罠100」(著者:スチュアート・ サザーランド)(Amazonにリンク・本の森の紹介)は, ヒトと組織(の中のヒト)の思考の特質(不合理性)について,丁寧にきちんと整理して論じている。著者は,サセックス大学の心理学教授であったが1998年に亡くなっており,本書の刊行は1992年で30年近い前である(しかしKindle本の刊行,翻訳等は最近行われているようだ。)。しかし内容は非常にしっかりしており,かつ著者の表現は機知に満ちていて,読んでいて楽しい。本書刊行後,ネットの普及等でヒトと組織(の中のヒト)の思考の不合理性は強まっているが,ネット普及前の「原型」はどうだったのかという観点から捉え,現状をその「変容」と見ればいいだろう。本書は近々「本の森」で紹介したいが,著者が「序章」で本書の構成について述べている部分だけも紹介しておきたい。

「こうした本では,序章の締め括りで,各章の要約を述べるのが約束事になっている。読者が本書を読まないでもすむように,ここで内容を要約するほど私は親切ではないが,全体の構成だけ簡単に説明しておこう。2章(誤った印象)では,人が判断ミスをおかす最もありふれた原因を述べる。その後に詳しく見ていく不合理な思考の多くにこの原因が絡んでいる。続く七つの章(服従,同調,内集団と外集団,組織の不合理性,間違った首尾一貫性,効果のない「アメとムチ」,衝動と情動)では,不合理な判断や行動をもたらす社会的要因と感情的要因を見ていく。10章から19章まで(証拠の無視,証拠の歪曲,相関関係の誤り,医療における錯誤相関,因果関係の誤り,証拠の誤った解釈,一貫性のない決断・勝ち目のない賭け,過信,リスク,誤った推理)は,事実をねじ曲げてしまうために陥る誤りを扱い,それに続く二つの章(直感の誤り,効用)では,手元にある情報の範囲内で,少なくとも理論上は最善の結論を出せるような方法を述べ,そうした方法で出した結論と直感的な選択とを比較して,直感がいかに当てにならないかを示す。22章(超常現象)では,それまでに述べてきた誤りのいくつかを振り返り,超常現象やオカルト,迷信がなぜ広く信じられているかを考える。最終章(合理的な思考は必要か)では,ヒトの進化の歴史と脳の特徴から,不合理な思考をもたらす根源的な素地を考え,併せて合理的な判断や行動を促すことが果たして可能かどうかを考える。そして最後(合理的な思考は必要か)に,「合理性は本当に必要なのか,さらには,合理性は望ましいのか」を考えてみたい。」。

なお著者は合理性について次のように言っている。

「合理性は、合理的な思考と合理的な選択という二つの形をとる。手持ちの情報が間違っていないかぎり、正しい結論を導き出すのが、合理的な思考だと言えるだろう。合理的な選択のほうはもう少し複雑だ。目的がわからなければ、合理的な選択かどうか評価できない。手持ちの情報をもとにして、目的を達成できる確率が最も高い選択が合理的な選択と言えるだろう。」。

「思考と推論: 理性・判断・意思決定の心理学」(著者:ケン マンクテロウ)

「思考と推論: 理性・判断・意思決定の心理学」(著者:ケン マンクテロウ)(Amazonにリンク・本の森の紹介) は,人間の実際の思考を踏まえて,合理的な推論と意思決定について検討した本である。著者は,イギリスの心理学者である。少し前に入手していたが,古典的三段論法,「ならば」,因果推論,確率的説明,メンタルモデル理論,二重過程理論,帰納と検証,プロスペクト理論等,感情,合理性,個人差や文化の影響がもたらす複雑さ等,幅広く検討していて,「思考と推論」を考える上では必須の本であると思っていた。ただ問題はここに入り込むと,出てこられなくなることである。ほどほどが大事だ。

危機的な現代の思考

前項の本がいわば原則を論じているのに対し,現代の思考の危機について論じた本は多いが,ここでは「人の知能・思考がとらえる世界とは何か-方法論の基礎」として紹介した,「知ってるつもり 無知の科学」(著者:スティーブン スローマン, フィリップ ファーンバック)(Amazonにリンク・本の森の紹介)と,「武器化する嘘 情報に仕掛けられた罠」(著者:ダニエル・J・レヴィティン)(Amazonにリンク・本の森の紹介)を挙げておく。

以上の5冊に目を通せば,「思考」の重要事項については,ほぼ把握できよう。

アイデア

早い思考に親近性があるが,思考以前とも言える,アイデアや発想を生み出す方法は,なかなか楽しい。

まず「問題解決大全」(著者:読書猿)に著者による「アイデア大全」(Amazonにリンク・本の森の紹介)は,多くのアイデアや発想を生み出す豊富を取り上げており,必読書だろう。ただともすると,いろいろ知っておしまいということになりかねない。そこで,アイデア書として名のしれた何冊かを紹介しておく。

「IDEA FACTORY 頭をアイデア工場にする20のステップ」(著者:アンドリー・セドニエフ)(Amazonにリンク・本の森の紹介)

「アイデアのつくり方」(著者:ジェームス W.ヤング)(Amazonにリンク・本の森の紹介)

「アイデア・バイブル」(著者:マイケル・マハルコ)(Amazonにリンク・本の森の紹介)

「アイデアのちから」(著者:チップ・ハース、ダン・ハース)(Amazonにリンク・本の森の紹介)

方法論の基礎

ところでこれまで紹介した本は,どちらかといえば,経験の集積という本が多く,(「行動分析学」と「システム思考」は科学的方法であるが,これも含めて)「方法論の基礎」を踏まえて,論理的,科学的に捉え返す必要がある。

具体的には,問題解決基礎論,思考とアイデア,行動分析学,システム思考,哲学,言語・論証,論理学・数学(確率・統計),CS・IT・AI,進化論・脳科学・認知科学・心理学,ゲーム理論・経済学,複雑系科学,その他(失敗学,選択の科学等)を検討する。ここで重要なのは,「問題解決と創造」につながる事件の経過による変動を踏まえた事象の記述とモデル化である。

問題解決と創造の対象となる「人:生活・仕事・文化」「企業」「政府」「環境」「世界:社会・経済・歴史」の4要素,5領域では,それぞれ少しずつ異なった科学的な方法(あるいは経験論に科学的手法を組み込んだもの)が活用されている。「環境」では自然科学的な方法が,「世界:社会・経済・歴史」や「政府」(公共政策)では,社会科学的な方法が用いられてきたが(当面,「創造の方法学」,「原因を推論する」,「原因と結果の経済学」,「計量経済学の第一歩」,「社会科学の考え方」,「ゲーム理論による社会科学の統合」等の書名だけを挙げておく。),進化論,行動経済学,ゲーム理論,複雑系科学,複雑系ネットワーク等が新しい分析を試みている。

投稿記事の紹介

下位メニューの「問題解決と創造(投稿)」には,「問題解決と創造の方法」に関連する投稿が時系列順に掲載される。大切なのは,森羅万象について次々に起こりつつある自然科学,社会科学の知見を,美的感覚を研ぎすましてアイデアや「問題解決と創造」に結びつけることであろう。以上を踏まえて考察を深化させていきたいが,ここではこれまで作成した「問題解決と創造の方法」に関係する投稿記事を紹介しておこう。

参考 書庫

ところで,思考,アイデアの湧出を活性化するツールちなるを集めた本を整理した「書庫」を作成している(内容によって「アイデア・デザイン編」,「IT・AI編」,「経営編」,「心身の向上技法編」,「世界の構造と論理編」,及び「冷水編」に分けている。)。分類は古いものだが,当面,このままにしておく。

 

 

 

 

「行動分析学」と「システム思考」で世界を見る

問題解決と創造の「入力」について考える

問題解決と創造(創造は問題解決の一場面と考えられるので,以下「問題解決」とする。)について考えていく場合,その全体の構造については,佐藤の問題構造図式(入力→プロセス→出力,及び制約条件と外乱)で整理するとして,「プロセス」に「入力する」(働きかける)具体的な内容は,どのように考え,実行すればいいのか。

まず解決すべき問題領域は,大きくは,個人の問題と,組織,環境,世界の社会・経済等の複雑なシステムの問題に分けて考えることが出来るから,問題解決のための「入力」の内容,及びそれを立案,実行する方法は,両者で大きく異なっているだろう(もちろん共通する部分もある。)。

個人の問題解決 行動分析学

行動分析学へのアクセス

個人には他者も含むとして,個人が問題解決すべき対象は,専らその「行動の改善」である。これについては,自己啓発書,ビジネス書が,洋書,和書を問わず,世に溢れており,私が保有するKindle本,R本も,汗牛充棟であるが,なかなか出発点とする最初の一冊として適当なものが見当たらなかった。それでも洋書(翻訳本)には,概してアイデアに満ちたものも多いのだが,立論の基本や全体の構成がよくわからないか,翻訳の問題もあるのだろうが,個々の記述の趣旨が汲み取れないものが多い。

そういう中で,「行動」,「行動」と呟いているうちに,ふと昔,「行動分析学」の新書を何冊か読んで興味を引かれたことを思い出し,Kindle本を探してみた(R本は事務所移転時に,とっくに処分していた。)。前読んだことがあってすぐに手に入ったのが,「行動分析学入門-ヒトの行動の思いがけない理由」(著者:杉山尚子)(Amazonにリンク・本の森の紹介),「メリットの法則 行動分析学・実践編」(著者: 奥田健次)(Amazonにリンク・本の森の紹介)である。更に杉山尚子さんが監修をしているという「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(著者:舞田竜宣)(Amazonにリンク・本の森の紹介)には,ビジネスについての具体例が記述されていると思い購入した。

「行動分析学」は(その内容については追ってその概要を説明するが),上記の新書等を読む限りでは,人間の行動について核心をついている部分がある一方,上記の新書等の説明では全体の体系や個々の概念が,曖昧かつ穴だらけと思えて,これでは「使えない」という印象であった。しかし念のため有斐閣アルマとしてでている「行動分析学 行動の科学的理解を目指して」(著者:坂上貴之, 井上雅彦)(Amazonにリンク・本の森の紹介)に目を通してみたところ,上記の不満は一気に解消した。行動分析学は,心理学の中では異端の一派というイメージがある(?)一方,知的障害者らの療法において自らの実用性を証明し続ける責務を課されているからだろうか,著者たちは,学問における行動分析学の位置づけと自分らの記述の意味合いについて厳密,緻密に対処しようとしており,本書は,私の好みにも合う。その分,もともと行動分析学は相当概念を特殊な意味合いで使用し造語も多い上,本書はそれに屋上屋を架す部分があり,読み通すのに苦労する。

そうではあっても行動分析学は,個人の問題解決に向けての「仮説」としては,充分な科学的内容を備えている。ただ,専ら動物や,知的障害者らにおける,実験,実践を通じて発展してきた「学問」だから,個人の行動改善に,直接,本書を当てはめようとすると,戸惑ってしまう。そこで,厳密性には欠けるが実用的な場面を想定している「使える行動分析学: じぶん実験のすすめ (ちくま新書)」(著者:島宗 理)(Amazonにリンク・本の森の紹介)や,上記した「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(著者:舞田竜宣)(Amazonにリンク・本の森の紹介)等で具体的な問題を想定し,その解決策を立案,実行し,疑問があれば本書に戻って基本から考えるという作業が有用だろう。

文化随伴性から政策行動科学へ

本書の最後の部分に,個人の問題を超える社会の問題解決について本書の意気込みが表れているので,長くなるが紹介しよう(文化随伴性という用語も追って紹介する。)。いきなりこの「行動分析学」の世界に入るのはなかなか大変だが。

 動物個体のオペラントに代表される,環境に直接働きかける行動において,その環境とは,もっぱら物理的化学的生物的な性質を有する自然や人工の環境を指していた。しかし,同じオペラントである言語行動の働きかける環境は聞き手であり,この聞き手の行動を通して従来の環境の変化を生み出す点に,この言語行動の特徴があった。文化随伴性は,これをさらに系統立って拡張していく仕組みを用意したといえる。たとえば,さまざまな教育機関は,国や政府,特定の集団のルールに対して,特定の反応を自発することを推奨し,そのルールに従う行動を強化する。こうした教育機関が組織的に強化する教育行動は文化を効率的に伝承する機能を持っている。
 しかし,文化随伴性の最も重要な部分は,それがHN性(注:「今ここ性」 [to be here now]) を超えることを可能にする仕組みを持っている点にあると思われる。さまざまな制度,機関,規範などの文化的装置を作り出すことで,多数の個体に対して,過去から未来にわたる時間と地球規模の空間に接近をすることを可能にさせるとともに,これらの文化的装置を通じてHN性を大きく改善させることが可能になったと考えられる。たとえばネットワーク環境に検索を通じてアクセスすることで,私たちはこれまでに考えられなかった「記憶」の拡がりを体験することができるようになった。
 しかし,HN性から自由になって時空の拡張が可能となる一方で,私たちはその見返りに,未来の予期,過去への悔悟,そこには存在しないが空間的な距離を隔てたものからの脅威といった,HN性のみの世界であれば,存在しえなかった新たな行動の創出を余儀なくされており,そうした新しい行動はヒトに「ストレス」や「不安」と呼ばれるような新しい問題行動を生み出すに至っているようにも思われる。仕事の効率化や交通の高密度化が次々と生み出す苛立ち,うつ,不安の症状に,現代の私たちは苛まれている)。
 いわゆる「文化」というものが,特定の共同体の行動傾向や,それを規定する強化子や弁別刺激からなる随伴性として捉えられるのであるなら,その変容も可能なはずである。ただし,これまでに述べてきた学習性行動に関わる随伴性と異なり,文化随伴性は長い年月をかけて幾重にもある種の安全装置が掛けられており,慣行のシステムのなかには,変化させやすいものとさせにくいものがある。会社組織の改革と比較して,宗教の戒律や法律のなかの憲法や教育制度は変革させにくいし,変革に対しては多くの不安や抵抗を伴う。しかも私たちはこれらの変革に伴う結果について,たしかな科学的根拠を持たずに議論している。
 会社組織のなかの行動システムの変更は,売上や利益という明確な価値の基準が適用可能であり,組織や制度改革の影響としての効果が測定しやすい。しかし,教育や憲法の場合は,その効果指標が複雑であったり,測定に時間がかかりすぎたりしてしまう。ましてや宗教の戒律となると,それに従うことによる「価値」が形成されているために,変更には強い抵抗が生じるであろう。何より私たちは,「自然に」変わることは受け入れても,政治や教育によって意図的に変容させられることを好まない。
 しかし現在,私たちは少子高齢化や環境問題といった長期的な取組みのもとで意図的に変わることを求められている問題に直面している。文化随伴性に関わる行動分析学は,ある政策やルール変更が人々の行動にどのような変容をもたらし,引き続いて長期的な変容を維持しうるかを科学的に分析する政策行動科学という領域を発展させることで,今後もその存在価値を見出すに違いない。

個人の問題解決 番外編…行動分析学が面倒な人へ

私は個人の問題解決には「行動分析学」に添って解決策を実行することが適切だと思うが,要はダイエットして,勉強すればいいんでしょう,あれこれ面倒くさいことを言われなくても実行しますよと言える人には,「ペンタゴン式目標達成の技術 一生へこたれない自分をつくる」(著者:カイゾン・コーテ) (Amazonにリンク・本の森の紹介)をお勧めする。呼吸,瞑想,認知,知識,健康,自律,時間についの,無理でない実践法が紹介されている。

複雑な問題の解決 システム思考

システム思考へのアクセス

システム思考は,恐らく「行動分析学」よりよく知られてだろう。特にシステム思考の応用形である「学習する組織」や「U理論」は,最近,割とよく目にする。システム思考そのものの紹介も追ってすることにして,ここでは,システム思考へのアクセス方法を紹介しよう。

システム思考の前史となる一般システム理論,サイバネティックスは置き,システム思考は,MITのジェイ・フォレスターさんが,経営や社会システムにフィードバック制御の原理を適用してはじめた「システム ダイナミクス」(システム内でつながり合う要素同士の関係を、ストック・フロー・変数・それらをつなぐ矢印の4種類で表し微積分やコンピュータソフトによって定量分析する)について,これは専門的でわかりにくいので,「因果ループ図」を用いて,変数のつながりやフィードバック関係を直感的にわかりやすく説明し,複雑な事象の振舞いについてその特徴を把握し定性的な分析を行う「システム思考」が提唱された。システム思考は,「学習する組織-システム思考で未来を創造する」(「The Fifth Discipline」。初版は「最強組織の法則」)(著者:ピーター・センゲ)(Amazonにリンク・本の森の紹介)で,ポピュラーになった。

MITの「システムダイナミクス」の研究グループや連携する研究者には,ピーター・センゲさんの外,ジョン・スターマンさん,デニズ・メドウズさん,ドネラ・メドウズさん,ヨルゲン・ランダースさんらがいる。彼らの業績や日本での紹介等をふまえ,「システム思考」を3つに分けることができるだろう。

システムダイナミクスに基づいた「成長の限界」の考察

上記のグループには,システムダイナミクスを踏まえ地球の持続可能性を真正面から検討したローマクラブの「成長の限界」(1772),これに続く「限界を超えて 」(1992),「人類の選択」(2005),さらにヨルゲン・ランダースさんの「2052」(2012)(Amazonにリンク・本の森の紹介)がある。

既に亡くなられたドネラ・メドウズさんの「地球のなおし方 限界を超えた環境を危機から引き戻す知恵」(2005)(Amazonにリンク・本の森の紹介)もある。

世界の社会,経済や地球の自然,生態系の今後を検討するうえで,必読の文献だ。

システム思考を社会,経営に適用する

システム思考は広く複雑なシステムの問題に適用できるが,その基本として「世界はシステムで動く- いま起きていることの本質をつかむ考え方」(著者:ドネラ・H・メドウズ)(Amazonにリンク・本の森の紹介)や,「システム思考―複雑な問題の解決技法」(ジョン・D・スターマン)(Amazonにリンク・本の森の紹介),更には,「学習する組織 システム思考で未来を創造する」(著者:ピーター・センゲ)(Amazonにリンク・本の森の紹介)は,重要だ。

なお上記したように「システム思考」には,「因果ループ図」を用いるが,その作画ができるソフト(Vensim)が無料で提供されている。

システム思考の日本での展開

日本では,前項の本を翻訳している 小田理一郎さん,枝廣淳子(チェンジ・エージェント社を作り,わかりやすい記事を提供している。)が書いた「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方」(Amazonにリンク・本の森の紹介)や「もっと使いこなす!「システム思考」教本」(Amazonにリンク・本の森の紹介)がある。たしかにわかりやすいが,前項で紹介した本も十分にわかりやすい。

その他にも日本で書かれた本はいろいろあるが,ここまでの紹介で十分だろう。

なお,システム思考を紹介する活動として,日本未来研究センターシステムダイナミックス日本支部システム思考・デザイン思考で夢をかなえる/(株)Salt,,慶應義塾大学大学院ステムデザイン・マネジメント研究科,,慶応丸の内シティキャンパス(慶応では思考デザイン×システム思考が追求されている。このシステム思考は,広義のシステム思考だという説明をどこかで見た。)等があり,参考になる。日本未来研究センターは,上記の「Vensim」のマニュアルの翻訳,紹介をしている他,代表者が英文で長大な「貨幣とマクロ経済ダイナミックス−会計システムダイナミックスによる分析」を表しているが,読みきれない。

とにかくシステム思考が,今と将来の世界を考えるために重要な方法(技法)であることは間違いない。ビジネス書にあれこれ目を通す暇があったらこれに習熟したほうが良さそうだ。ただ日本での普及は今ひとつのようだ,欧米でもあまり歓迎はされていないか?

 

 

問題解決と創造の<現場と思考>を考える

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問題解決と創造の<現場と思考>

問題解決と創造の方法と技術を身につけ実践する前に,実践する現場(環境:自然とテクノロジー)について大まかに理解し,かつ創造の方法と技術を操作する主体である個人と組織の思考の特質(非合理性と合理的な推論と意思決定)について理解しておくことは意味あることだろう。もっともここに深入りすると,現場での問題解決と創造に至る前にそこをぐるぐる回りするけで終わってしまうということは,「知識人」,「教員」だけでなく「科学者」にもありがちなことだ。

現場(環境:自然とテクノロジー)を知る

現場(環境:自然とテクノロジー)を知るには,まず中学,高校レベルの「教科書」に目を通すのもよいが(ブルーバックスに「新しい高校の…教科書」シリーズ(Amazon)や,「発展コラム式中学の理科の教科書」シリーズ(Amazon)がある。),理科が苦手な大人向けに雑多な知識を集めたより読みやすい「入門書」に目を通すのがよいだろう。

そのような本はたくさんあるだろうが,たまたま私が最近購入したというだけだが「もう一度学びたい科学」(Amazon)からはじめてみよう。PART.1の「科学の大原理・大法則」は何とか分かるかな。PART.2の「ニュースがわかる科学の基本」の「生命の科学」,「気象の科学」,「エネルギーと環境の科学」,「宇宙の科学」だけでは全く物足りない。

まず1点目に「化学」分野はまったく抜けているので,ここは私の本棚にあった「ぼくらは「化学」のおかげで生きている」(著者:齋藤勝裕)(Amazon)でカバーすることにしよう。実際私たちの生活では「物理」はテクノロジーとして商品に封じ込められているので商品の使用法さえ分かればよいことが多いが,私のような「化学音痴」は,身の回りの物質のこと,食品のこと,生物の体のこと等々,なかなか理解するのが困難だ。炭素と水素が分かればまあいいか。

2点目に生命の歴史もない。そこで「系統樹をさかのぼって見えてくる進化の歴史 僕たちの祖先を探す15億年の旅」」(著者:長谷川政美 )(Amazon)の写真と曼陀羅図を楽しもう。ホモサピエンス代表は,著者のお孫さんだ。もっとも,本書には,真正細菌,古細菌ドメインには触れられておらず,最初の分岐は「シャクナゲとヒトの共通祖先」からだ。それについては,「たたかう植物 仁義なき生存戦略 」(著者:稲垣栄洋)(Amazon)の「植物vs.病原菌」に「トコンドリアと共生した生物の一部が,次にシアノバクテリアと共生して葉緑体を手に入れた。こうして,ミトコンドリアのみを持つ動物と,ミトコンドリアに加えて葉緑体を持つ植物が誕生したのである」とあり,イメージしやすい。もっともこの本の内容は豊富であり,植物,いや生命を理解するためにぜひとも一読すべきであるので追って紹介しよう(ただ類書は多い。)。

3点目に「地球の歴史,自然」もまったく不十分だ。これについては「地球とは何か 人類の未来を切り開く地球科学」(著者:鎌田 浩毅)(Amazon)が,まだ速読しただけだが,網羅的でよさそうだ。ただ過去の地震歴から,」2020年から2030年にかけて「関東中央圏での直下型地震」,「南海トラフ巨大大地震」が起こる可能性があるとしていて衝撃的だが,どうなんだろう。もう少し読み込んでみよう。

さて,以上に加えて「眠れなくなるほど面白い図解物理の話」(著者:長澤 光晴)(Amazon) ,「眠れなくなるほど面白い図解科学の大理論」(著者:大宮 信光 )(Amazon) には,もう少し突っ込んだ内容が記述されており,これらに親しみ,科学全体を通観できれば,しろうと科学者の端くれになれよう(なおこのシリーズには,化学,生物,宇宙等もあるが,内容,レベルはまちまちのようだ。)。

科学分野にはこれに引き続いて読むべき興味深い本は多い。「環境:自然とテクノロジー」(固定記事にリンク)に,少し紹介している。

個人と組織の思考の特質(非合理性と合理的な推論と意思決定)について知る

「不合理~誰もがまぬがれない思考の罠100」(著者:スチュアート・ サザーランド)

ここでは問題解決と創造の方法と技術を検討する前に,ヒトと組織(の中のヒト)の思考の特質(不合理性)について,丁寧にきちんと整理して論じている「不合理~誰もがまぬがれない思考の罠100」(著者:スチュアート・ サザーランド)(Amazon) をあげておきたい。著者は,サセックス大学の心理学教授であったが1998年に亡くなっており,本書の刊行は1992年で30年近い前である(しかしKindle本の刊行,翻訳等は最近行われているようだ。)。しかし内容は非常にしっかりしており,かつ著者の表現は機知に満ちていて,読んでいて楽しい。本書刊行後,ネットの普及等でヒトと組織(の中のヒト)の思考の不合理性は強まっているが,ネット普及前の「原型」はどうだったのかという観点から捉え,現状をその「変容」と見ればいいだろう。本書は近々「本の森」で紹介したいが,著者が「序章」で本書の構成について述べている部分だけも紹介しておきたい。

「こうした本では,序章の締め括りで,各章の要約を述べるのが約束事になっている。読者が本書を読まないでもすむように,ここで内容を要約するほど私は親切ではないが,全体の構成だけ簡単に説明しておこう。2章(誤った印象)では,人が判断ミスをおかす最もありふれた原因を述べる。その後に詳しく見ていく不合理な思考の多くにこの原因が絡んでいる。続く七つの章(服従,同調,内集団と外集団,組織の不合理性,間違った首尾一貫性,効果のない「アメとムチ」,衝動と情動)では,不合理な判断や行動をもたらす社会的要因と感情的要因を見ていく。10章から19章まで(証拠の無視,証拠の歪曲,相関関係の誤り,医療における錯誤相関,因果関係の誤り,証拠の誤った解釈,一貫性のない決断・勝ち目のない賭け,過信,リスク,誤った推理)は,事実をねじ曲げてしまうために陥る誤りを扱い,それに続く二つの章(直感の誤り,効用)では,手元にある情報の範囲内で,少なくとも理論上は最善の結論を出せるような方法を述べ,そうした方法で出した結論と直感的な選択とを比較して,直感がいかに当てにならないかを示す。22章(超常現象)では,それまでに述べてきた誤りのいくつかを振り返り,超常現象やオカルト,迷信がなぜ広く信じられているかを考える。最終章(合理的な思考は必要か)では,ヒトの進化の歴史と脳の特徴から,不合理な思考をもたらす根源的な素地を考え,併せて合理的な判断や行動を促すことが果たして可能かどうかを考える。そして最後(合理的な思考は必要か)に,「合理性は本当に必要なのか,さらには,合理性は望ましいのか」を考えてみたい。」。

なお著者は合理性について次のように言っている。

「合理性は、合理的な思考と合理的な選択という二つの形をとる。手持ちの情報が間違っていないかぎり、正しい結論を導き出すのが、合理的な思考だと言えるだろう。合理的な選択のほうはもう少し複雑だ。目的がわからなければ、合理的な選択かどうか評価できない。手持ちの情報をもとにして、目的を達成できる確率が最も高い選択が合理的な選択と言えるだろう。」。

「思考と推論: 理性・判断・意思決定の心理学」(著者:ケン マンクテロウ)

「思考と推論: 理性・判断・意思決定の心理学」(著者:ケン マンクテロウ)(Amazon) は,人間の実際の思考を踏まえて,合理的な推論と意思決定について検討した本である。著者は,イギリスの心理学者である。少し前に入手していたが,古典的三段論法,「ならば」,因果推論,確率的説明,メンタルモデル理論,二重過程理論,帰納と検証,プロスペクト理論等,感情,合理性,個人差や文化の影響がもたらす複雑さ等,幅広く検討していて,「思考と推論」を考える上では必須の本であると思っていた。ただ問題はここに入り込むと,出てこられなくなることである。ほどほどが大事だ。

問題解決と創造への出発

以上を踏まえた上で,問題解決と創造のために,どのように頭と心を働かせるべきなのか。

以下,「問題解決と創造の方法と技術」の「固定ページ」に続く。

 

 

「読解力」から見えるAIと人を分かつもの

読解力ブーム?

「読解力」がブームである。 といっても,それはもっぱら私の読書範囲に限られるのかもしれないが,私は,最近,「国語ゼミ―AI時代を生き抜く集中講義」(著者:佐藤 優)(Amazon),「大人のための国語ゼミ」(著者:野矢 茂樹)(Amazon),そして「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」(著者:新井 紀子)(Amazon)に目を通した。

前二書は,文字どおり,国語(要約力や読解力)の重要性を説き,新井さんの本は,柱となる主張の一つとして,中高生は各学科の学力以前に,教科書の説明や問題を問う文が理解できていないのではないかということを指摘している。

大体,学者や知識人は,年をとると,国語や国が大切だと言い始めるので,その意味では珍しくないともいえるし,私の中で「読解力」とは,できの悪い日本語の文章を何とか理解するためのやむを得ない技術という思いもあって,「読解力」を持ち上げることには抵抗もあったのだが,新井さんの本が参戦したことにより,ずいぶんと違った景色が見えてきた。

新井さんは,人工知能(人の知能と同等の機能を有するもの)と,それを実現するためのAI技術を区別し,AI技術がそこそこ進展しても,人工知能はできない,なぜなら,AI技術を支えるものは,加算と乗法の数学だから,それでできることは限られる,人間の脳,自然言語の機能を,数学がカバーすることはおおよそありえないと,明快に断言する。

一方,新井さんは,AIによる東大入試合格を目標とする「東ロボ」プロジェクトをプロデュースしたことでAI讃美派と見られているかもしれないが,実はこれは最初から「東ロボ」は東大に合格できないということを明らかにするためのプロジェクトであった,ただ多くの人の知恵と協力によってAI技術を駆使してMARCH入試の合格のレベルに達したが,これ以上は無理ということのようだ。

そして人間の知能は,数学に支えられたAI技術ではとてもカバーできないが,MARCH入試の合格レベルの仕事であればAI技術が到達したから,「コンピュータが仕事を奪う」(Amazon)。これは新井さんが最初に言い出したことだとしている。そしてそれにつけても,中高生は(したがって多くの大人も),教科書の説明や問われている問題文が理解できていないので,暗記で表面を繕っても,AI技術に代替されることになる,だから「読解力」…という議論の運びになる。

AIと自然言語による論証

私はこれまで,そこそこAI論に目を通してきたが,新井さんの本は今回はじめて読んだ。最初からこういう見取り図が得られていれば,全体の動きや今後の方向性に関する理解がずっとはやかったなと思った。AI技術を支えるプログラミングが,数学による計算によっている以上,それがAI技術にできる限界であることに疑問の余地はない。ただ数学が適用可能な分野では,今のAI技術が,圧倒的なスピードで量を処理できることには日々驚かされる。ここらあたりは「数学の言葉」(Amazon)を含めた新井さんの3册の本と,もう少し技術的な本でフォローすればよいだろう(例えば「新人工知能の基礎知識」(著者:太原 育夫)(Amazon)。

一方,自然言語で主力となるのは,帰納的論証だ。これまで読んだ「論理学」の本は,演繹的論証(記号論理学)について書いているだけで,帰納的論証は飛躍があって,あまり使えないよねという記述しか目に入ってこなかったが,今回,自然言語による論証は,そのほとんどが帰納的論証であることに気がついてみると,これが「読解力」,そして「表現力」の本丸だということがわかる。

論証というと,相当以前から,上記の野矢さんの「新版 論理トレーニング」(Amazon)という本があり,私も購入していたが,接続詞を入れさせようとするところで嫌になった。接続関係と,接続詞は違う。野矢さんにはどうもその感覚がないようだ。接続詞の機能は複雑である(「文章は接続詞で決まる」(著者:石黒圭))(Amazon)。

そこであれこれ探していると,「論理的思考の最高の教科書」(著者:福澤一吉)(Amazon)という本が紹介されていることを見つけたが,なんと私はこれを既に購入していた。そのときは一瞥してあまり感心しなかったが,今回読み直してみると,論証の全体を網羅しているわけではないが,部分的にはとても優れた考察がなされていることが分かった。同著者のKindle本には他に,「文章を論理で読み解くための クリティカル・リーディング 」(Amazon),「新版 議論のレッスン」(Amazon)がある。これらはそれぞれに優れているが,著者の欠点は,それぞれに小出しして全体を網羅しないこと,あるいは体系性への情熱が欠けていることだ。

ところで福澤さんの論証論を一言でいえば,根拠(Data)→論拠(Warrant)→主張(Claim)ということだが,ほぼ同じことを英文読解の場面で横山横山雅彦さんがいっている(「ロジカル・リーディング」(Amazon),「「超」入門! 論理トレーニング 」(Amazon))。これらは,ディベートでも強調されていることだ。

そしてこれらのバックになるのが「議論の技法」(スティーヴン・トゥールミン)(「The Uses of Argument by Stephen E. Toulmin)(Amazon)だ。ただ翻訳書は絶版でずいぶん高い値段がついている。

論理的な論証を心がけるには,これらの議論のポインを押さえる必要がある。追って要約して紹介したい。

論理的に論証してどうなるのか

ところで論理的な論証はそれ自体はいいことであることに間違いはないが,問題はそのような論証による結論が,どう「問題解決と創造」の役立つかだ。でたらめな論証による結論が役立つことだってありうる。役立つためには,論証過程だけではなく,その前提となる根拠(Data),論拠(Warrant)が重要だ。これらは,適切な手続きによって導かれた「世界」に関する科学的な知識といっておくが,それがどのようなものであるかについては,どうも分析哲学を一瞥する必要があるかもしれないと思っている(「現代存在論講義ⅠⅡ」(著者:倉田剛)(Amazon)。

こんなことをしていると,いつまでたっても「問題解決と創造」にたどり着かない。いやほぼ「問題解決と創造の方法と技術」にたどり着きつつあると言っていいだろうか。ここからが長いか?

 

 

「創造はシステムである」を読む

~「失敗学」から「創造学」へ 著者:中尾政之

原因,結果,因果関係

ある分野の学問的な解明は,ある事象(ものごと)についてなぜその「結果」が生じたのか,「結果」に因果関係のあるその「原因」は何かという形をとることが多い。著者の「失敗学」も,その典型であろう。

しかしこれをひっくり返して,ある「結果」を生じさせるためにはどのような「原因」を設定し,実行すればよいかを考察するのが,著者の「創造学」である。ただ著者は,機械工学畑のエンジニアなので,話題は,モノ作りの話が中心になるが,それに限られているわけではない。

著者は,創造(著者の定義は「自分で目的を設定して,自分にとって新しい作品や作業を,新たに造ること」)の過程を,「思い」(願望)→「言葉」(目的)→「形」(手段)→「モノ」(アクションプラン)ととらえ,まず「目的」を言葉として設定することが重要だとする(これが「出力」となる「結果」である。)。そしてその「原因」となる「入力」を<「形」(手段)+「モノ」(アクションプラン)>と捉え,その具体的な内容を「思考演算子」を適用して検討していく。

本書の概要

筆者の言葉を借りれば本書は,①「いつもと違うことを何かやってやろう」と勇んで創造するために,「その〝何〟とは何なのか」を考えることで要求機能を列記し(なお環境に制約されるので仕方なく達成しなければならない消極的要求機能を「制約条件」という。),②次にその〝何〟を実現するための設計解を,「いつものワンパターンの思考演算」を使って創出し,③さらに「あちらを 叩けばこちらが立たず」の干渉が生じる要求機能を整理することで,互いに独立で最少の数の要求機能群を設定し,④最後に,複雑な状況下で創造するとき,どのように組織(モジュラーとインテグレイテッド)を構築すれば成功率が高まるかを検討するという内容である。

①③の目的の設定,整理,②の設計解を求める思考演算が,二つのポイントである。そしてまず頭に叩き込むべきことは,②の思考演算である。

設計解を求める思考演算

筆者は,旧ソ連の特許を解析して発明者の頭の動きの共通性を抽出したと言われているTRIZ(トゥリーズ)という技法の「教科書を読んで簡単な思考演算子をいくつか覚える」と,容易に新しい設計解を導くことができという。

そして筆者は,ある調査により全体の98%を占めた技法のトップ12を紹介し,1から5までについて詳細に説明している(第2章)。

1.挿入付加(20%),第3物質,第3機能,複合物質
2.分割(19%),機能分離,並列化,オフライン化,副次排除
3.変形(13%),回転,相似,対称,交互,ベクトル分割
4.交換(9%),反転,内外,前後,左右,入出力,因果,動静
5.流線(8%),アナロジー,等角写像,駄肉そぎ,デッドスペース
6.合体(5%),集合,一体化,付加,加算,乗算,相乗効果
7.変換(5%),作用変換,時間関数化
8.電磁場(4%),場の挿入
9.相変化(4%),凍結化
10.表面改質(4%),表面処理
11.独立化(3%),非干渉化
12.冗長化(3%),市販品利用,安全対策

著者は,「設計解は必ず存在する」とし,これらの技法がうまくいかない場合の二つの原因として「自分の課題を一般化・抽象化できない」,「一般的な設計解が提示されたのにその知識を自分の課題に特殊化,具体化して適用できない」ことを指摘する。

とにかく本書の第2章は,特に「文科系」のひとはあまり目にしないことなので,よく読んで頭に叩き込むのがよい。

システムは可視化できる

しかし,要求機能を列記しこれを満足する設計解を求めてもうまくいかない場合に「自分が何をやりたいのか,何を作りたいのかがよくわからず,考えが整理されていない」ことがある。どうやって整理するか。

要求機能はいくらでも列記できるので,まず下位の類似機能を上位の概念でくくって上位機能に合体する,機能が実現すると従属機能と効果も自動的に成立する,上位の設計解が決まると下位機能が決まるということで,整理すると,要求機能を半数から4分の3程度には,減らすことができる(要求機能が漏れている方が気づくのが大変である。)。その上で,要求機能と設計解の関係を示すとすっきりするが,設計解が別の要求機能に干渉して,達成できないものも存在する。

日本では「すり合わせ生産は日本の強み」などといって「干渉設計」が好まれてきたが,「干渉」は失敗の原因の多くを占める。要求機能が干渉している場合,設計行列は非対角成分が存在する行列になるので,すべての解が一括して定まり,設計条件がひとつ変更されても,設計解がすべて変わることになる。トラブルを起こさないようにしたいのなら,干渉が起きないような「独立設計」を目指すべきだ。

ここまでが,「問題解決の創造と方法」の基本である。

著者は日本の現状を踏まえ,「干渉設計」とそれを支える「インテグレイテッド」組織について考察を進めるが,それは別の「問題解決」であろう。

なお以上の紹介は,大雑把すぎるので,今後,適宜,増補していきたい。

それと,以上の考察の目的(要求機能)は,対象が自分自身に向いていない。自分が何かを達成したい(ダイエット),何かをやめたい(酒,たばこ等々)という場合は,どう考えればいいのだろうか。例を酒をやめるということにして,「習慣の力」や「仕事・お金・依存症・ダイエット・人間関係 自分を見違えるほど変える技術 チェンジ・エニシング」等を参考にして考察してみよう。 

詳細目次

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「問題解決と創造の方法」基本3書の詳細目次

「問題解決と創造の方法」基本3書

詳細目次

新版[図解]問題解決入門~問題の見つけ方と手の打ち方 著者:佐藤 允一

目次

はしがき

1 問題とは何か

1 見える問題と見えない問題 /2 問題意識はどこからくるか /3 問題をとらえるものの見方 /4 目標と現状のギャップが問題 /5 「問題がない」という問題 /6 問題と問題点は異なる

2 問題を見つける

1 問題解決の当事者は誰か /2 問題はどのように確定するか /3 問題には三つのタイプがある /4 「すでに起きている」という問題 /5 「今より良くしたい」という問題 /6 「この先どうするか」という問題

3 問題を組み立てる

1 問題の「仕組み」を考える /2 問題は環境変化から /3 方針は目標達成の方法論 /4 目標を具体的な課題とする /5 課題達成の手段と活動 /6 課題達成を妨げる条件

4 問題点を挙げる

1 見える障害と見えない障害 /2 突然発生した不可抗力的な障害 /3 「打つ手がまずかった」という問題点 /4 「やり方がまずかった」という問題点 /5 「自分の手に負えない」という問題点 /6 できる範囲とできない範囲

5 解決策を考える

1 対策はアイデアではない /2 目標を修正する必要はないか /3 応急処置としての当面策 /4 戦術レベルの根本策 /5 戦略レベルの根本策 /6 解決策に優先順位をつける

[事例研究]急激な円高! 売上減少

 

創造はシステムである

~「失敗学」から「創造学」へ」 著者:中尾政之

第1章 創造は要求から

1 試しに創造してみよう

2 思いを言葉にしよう

3 創造を言葉で示すのは難しい

4 日本の企業は以心伝心が大好きだった

5 夢を言葉にして語れば,必ず実現する

6 目的を定量的に設定しよう

7 明治以来,要求機能も輸入してきた

8 リサーチとソリューションを分離してみょう

9 要求機能を列挙してみょう

10 不況時に研究室をどうやってサバイバルさせるか

11 目的を持つには,生きる力が必要である

第2章 思考方法はワンパターン

1  簡単な思考演算を用いると,新たな設計解か導ける

2 「凍結させる」の思考演算を使う

3 思考演算子を用いるには,思考の上下運動が不可欠である

4 TRIZを用いて思考を上下運動させる

5 頻繁に用いる思考演算子にはどのようなものがあるのか

6 挿入付加の思考演算子の応用-第3物質の挿人

7 分割の思考演算子の応用-機能分離,並列化,副次排除

8 変形・交換・流線の思考演算子の応用-逆さにする

9 困ったときは,思考演算をやってみよう

第3章 システムは可視化できる

1 要求機能を整理しないと,創造したいものの全体像がわからない

2 ジャガイモ皮剥ぎ器の要求機能をあげよう

3 干渉を逆手にとって成功させよう

4 組織間で干渉が生じて,コミュニケーションエラーが起きる

5 いまどきの干渉管理をやってみよう

第4章 真似ができない創造化

1 干渉設計よりもわかりにくい複雑設計が続々と生まれた

2 人智を超えるような複雑な設計で失敗する

3 モジュラーとインテダレイテッドで戦わせてみよう

4 干渉が大好きな日本の大企業はどうやって失敗を減らすか

5 外見は面倒,中身は単純,真似ができない創造化

6 インテグレイテッドな頭の使い方が中小企業の武器である

7 高級レストランは インテグレイテッドである

8 世の中には インテグレイテッドとモジュラーの両方が必要である

おわりに

 

問題解決大全

~ビジネスや人生のハードルを乗り越える37のツール 著者:読書猿

まえがき 問題解決を学ぶことは意志の力を学ぶこと

本書の構成について

第Ⅰ部 リニアな問題解決

第1章 問題の認知

01 100年ルール THE 100-YEAR RULE 大した問題じゃない

02 ニーバーの仕分け NIEBUHR’S ASSORTING 変えることのできるもの/できないもの

03 ノミナル・グループ・プロセス NOMINAL GROUP PROCESS ブレスト+投票で結論を出す

04 キャメロット CAMELOT 問題を照らす理想郷という鏡

05 佐藤の問題構造図式 SATO’S PROBLEM STRUCTURE SCHEME 目標とのギャップは直接解消できない

06 ティンバーゲンの4つの問い TINBERGEN’S FOUR QUESTIONS 「なぜ」は4 種類ある

07 ロジック・ツリー LOGIC TREE 問題を分解し一望する

08 特性要因図 FISHBONE DIAGRAM 原因と結果を図解する

第2章 解決策の探求

09 文献調査 LIBRARY RESEARCH 巨人の肩に乗る

10 力まかせ探索 BRUTE-FORCE SEARCH 総当たりで挑む万能解決法

11 フェルミ推定 FERMI ESTIMATE 未知なるものを数値化する

12 マインドマップ® MIND MAPPING® 永遠に未完成であるマップで思考プロセスを動態保存する

13 ブレインライティング METHODE635 30分で108のアイデアを生む集団量産法

14 コンセプトマップ CONCEPT MAP 知識と理解を可視化する

15 KJ法 KJ METHOD 混沌をして語らしめる、日本で最も有名な創造手法

16 お山の大将 KING OF THE MOUNTAIN 比較で判断を加速する

17 フランクリンの功罪表 MERIT AND DEMERIT TABLE 線1 本でつくる意思決定ツール

18 機会費用 OPPORTUNITY COST 「選ばなかったもの」で決まる

19 ケプナー・トリゴーの決定分析 DECISION ANALYSIS 二重の評価で意思決定する

第3章 解決策の実行

20 ぐずぐず主義克服シート ANTI-PROCRASTINATION SHEET 先延ばしはすべてを盗む

21 過程決定計画図 PROCESS DECISION PROGRAM CHART 行動しながら考える思考ツール

22 オデュッセウスの鎖 CHAIN OF ODYSSEUS 意志の力に頼らない

23 行動デザインシート BEHAVIOR DESIGN SHEET 過剰行動の修正は不足行動で

第4章 結果の吟味

24 セルフモニタリング SELF MONITORING 数えることで行動を変える

25 問題解決のタイムライン PROBLEM SOLVING TIMELINE 問題解決を時系列で振り返る

26 フロイドの解き直し SOLVE AGAIN FROM SCRATCH 解き終えた直後が最上の学びのとき

第Ⅱ部 サーキュラーな問題解決

第5章 問題の認知

27 ミラクル・クエスチョン THE MIRACLE QUESTION 問題・原因ではなく解決と未来を開く

28 推論の梯子 THE LADDER OF INFERENCE 正気に戻るためのメタファー

29 リフレーミング REFRAMING 事実を変えず意味を変える

30 問題への相談 CONSULTING THE PROBLEM ABOUT THE PROBLEM 問題と人格を切り離す

31 現状分析ツリー CURRENT REALITY TREE 複数の問題から因果関係を把握する

32 因果ループ図 CAUSAL LOOP DIAGRAM 悪循環と渡り合う

第6章  解決策の探求

33 スケーリング・クエスチョン SCALING QUESTION 蟻の一穴をあける点数化の質問

34 エスノグラフィー ETHNOGRAPHY 現場から知を汲み出す

35 二重傾聴 DOUBLE LISTENING もう1つの物語はすでに語られている

第7章 解決策の実行

36 ピレネーの地図 A MAP OF THE PYRENEES 間違ったプランもないよりまし

37 症状処方 PRESCRIBING THE SYMPTOM 問題をもって問題を制する

問題解決史年表

 

 

「あなたの生産性を上げる8つのアイディア」を読む

著者:チャールズ・デュヒッグ

興味深い「物語」で構成された生産性を上げるために役立つ(かもしれない)優れた本だ

原書は,「SMARTER FASTER BETTER」であるが,著者も,「本書は,生産性を高めるのに最も重要な8つのアイディアを提案し,探求する」といっているので,題名はこれでいいのだろう。

著者は,生産性を高めるのに必要なのは,もっと働もっと汗を流すことや,長時間デスクにしがみつき,仕事以外を犠牲にすることではなく,「いくつかの方法を用いて正しい選択をすることである」と述べ,その方法が8つの章にまとめられているわけだ。著者は「生活のすべての面において,より賢く,より早く,より良くなるためにはどうしたらいいのか,その答えを提供する」という。

8つの章は,「やる気を引き出す」「チームワークを築く」「集中力を上げる」「目標を設定する」「人を動かす」「決断力を磨く」「イノベーションを加速させる」「データを使えるようにする」と,一見すると代わり映えのしない通俗ビジネス書のごときタイトルだが,本書が優れているのは,平凡な章名の元に,非常に優れた「物語」が,序破急の構成で紹介されていること,そして,著者がこれらの「物語」から読み取った,生活,仕事の生産性を高める「教訓」を,「付録 本書で述べたアイディアを実践するためのガイド」にまとめていることである。そしてこのガイドは,抽象的とはいえ,十分に実用的で魅力的なガイドとなっている。


各章の「物語」

ガイドを紹介する前に,各章の「物語」に一言しよう。

各章の「物語」はとても興味深い。著者は多岐にわたる「物語」を収集し,そこに道筋をつける優れた才能を持っているようだ(著者は,これも評判高い「習慣の力」の著書もある。同書では「習慣がどのように働いているかがわかれば(きっかけ,ルーチン,報酬を特定できれば),習慣を支配する力を手に入れることができる」とする。)。

各章の「物語」は,詳細目次各省の副題を見てもらってもある程度わかる。

ブートキャンプ改革,老人ホームの反乱,グーグル社の心理的安全と「サタデー・ナイト・ライブ」,墜落したエールフランス機,と第4次中東戦争,リーン-アジャイル思考,GMを変えた「トヨタ生産方式」,ベイズの定理で未来を予測(して,ポーカーに勝つ方法),「アナと霊の女王」を救った創造的絶望,ウェスト・サイド物語,情報失明,エンジニアリンング・デザイン・プロセス等々,そのほかにもたくさんの「物語」が含まれている。

「本書で述べたアイディアを実践するためのガイド」の紹介

やる気

(やる気を引き出す方法)  
・自分は自分の意志で行動しているのだと思えるような選択をすること。メールの返事を書くときは,自分の意見あるいは決断を表明するような最初の一文を書くこと。厄介な問題について話し合わなくてはならないときは,それをいつにするかを決める。やる気を引き出すには,何を選択するか,よりも,選択することそれ自体のほうが重要だ。
・その課題が,自分が大事にしていることといかに深く結びついているかを理解すること。どうしてこの下らない仕事をすることで,意味ある目標に近づけるのか,自分に対して説明すること。どうしてこれが大事なのか,それを自分に説明できれば,仕事を始めるのがずっと容易になる。

目標設定

やる気だけではだめで,大きな野心に火をつけるようなストレッチゴールと,具体的な計画を立てるのに役立つようなスマートゴールが必要である。
両方を区別して含む,TO DO LISTが必要だ。なおスマートゴールのSMARTとは,Specific(具体的に),Measurable(測定可能な),Achievable(達成可能な),Related(経営目標に関連した),Time-bound(Time-Line)(時間制約がある)である。

(目標を設定するには)
・ストレッチゴール,すなわちあなたの大きな野心を反映しているような目標を設定する。
・次いでそれをサブゴールに分割し,スマートゴールを発展させる。

焦点

(主旨を見失わないために)
・自分が何を見たいのかについて,繰り返し自分に物語を聞かせることで,メンタルモデルを構築する。
・これから何が起きるかを思い描く。最初に何が起きるか。どんな邪魔が入る可能性があるか。いかにしてそれを阻止するか。何が起きてほしいかについての物語を自分に聞かせることで,計画が現実と衝突したときにどこに重きを置けばいいかという判断が,はるかに容易になる。

決断

ストレッチゴールもスマートゴールもちゃんと設定し,焦点を見失わないためのメンタルモデルも構築し,やる気を引き出す方法も見つけたが,それでも頻繁に邪魔が入り,入念に築き上げた私のモデルをぶちこわそうとする。

(よりよい決断をするためには)
・(確率論的アイディアを参照し)複数の未来を思い描き,どの未来が最も実現性が高いか,それはなぜかを考える。
・複数の未来を思い描く。無理してでもさまざまな可能性を想像することによって(そのいくつかはたがいに矛盾しているかもしれない),より賢い選択ができるようになる。
・さまざまな経験や視点や他の人びとの意見を集めることで,ベイズ理論的直感を研ぎ澄ますことができる。情報を集め,じっくりその情報を分析することで,選択はより明確になる。

ビッグ・アイディア

最後に,著者自身の日常生活において重要な意味をもついくつかのキー概念をざっと概観する。

(チームワークをより効果的にするには)
・誰がチームに加わるかではなく,どのようにチームを運営するかのほうが重要だ。全員がほとんど平等に話ができ,チーム全員が「私は他のメンバーがどう感じているかを気にしていますよ」と表明することができるときにはじめて,心理的な安心感が生まれる。
・もしあなたがチームのリーダーだとしたら,自分の選択がどのようなメッセージを発しているかを考えるべきだ。みんなが均等に話すことを推奨しているのか,それとも声の大きな人を優遇しているのか。誰かの発言を繰り返し,質問に答えることで,「私は聞いていますよ」ということを伝えているか。誰かが動揺していたり不満を抱いていたりするときに,すぐに反応することで,自分の感受性を証明しているか。他のメンバーたちが見習えるようなお手本を示しているか。

(まわりの人の生産性を高めるには)
・柔軟で機敏なマネジメント技術によれば,社員たちは,自分にはより大きな決定権が与えられているのだと感じ,かつ,同僚たちは自分の成功を支援してくれていると信じることができたとき,より効率よく,より速く,働く。
・問題のいちばん近くにいる人に決定を委ねることによって,経営側は,各社員の専門知識を活用することができ,改革を促進することができる。
・自分で自分をコントロールしているという意識がやる気を引き出す。だがその意識が洞察や解決策を生み出すためには,自分の提案が無視されないことや,失敗しても罰が与えられないことを知っている必要がある。

(改革を促進するためには)
・しばしば創造性は,古いアイディアを新しい形で組み合わせることから生まれる。そのとき,「イノベーション・ブローカー」の存在が重要になる。自分自身がブローカーになり,組織内の流動性を高めることだ。
・自分の経験に対して敏感になること。自分はどうしてこんなふうに考えるのか,感じるのかに対して敏感になると,月並みなアイディアと真の洞察とのちがいが見えてくる。自分の感情的反応を詳しく分析することだ。
・創造プロセスで生じるストレスは,すべてが悪い方向に向かっている兆候ではない。むしろ想像上の絶望的な状況は,驚くような結果を生むことがある。不安のせいで,古いアイディアに新しい光をあてられるようになることもある。
・最後に,創造的突破に伴う安堵感はたしかに快いが,他の可能性を見えなくすることもある。自分たちがすでに成し遂げたことを批判的に振り返り,別の視点から見て,まったく新しい人に新たな権限を与えることで,眼の曇りを防ぐことができる。

(データをより良く吸収するためには)
・新しい情報に出合ったら,無理にでもそれを使って何かをやってみることだ。自分が学んだことを説明するノートを作るとか,そのアイディアを検証する方法を考え出すとか,データを紙の上に図示してみるとか,友人にそのアイディアを説明してみるとか。私たちが人生においておこなうすべての選択は実験である。大事なのは,その決断の中に含まれているデータが何であるかを見極めることだ。それができれば,そこから何かを学ぶことができる。

これらすべてのうちで最も重要なのは,これらの教訓に共通している根本的な理念だ。それは「生産性が上がるかどうかは,他の人びとがしばしば見落としている選択を見抜けるかどうかによる」という発想である。アイディアに全身全霊を捧げることが世界を変えるという教訓は,私が説明したかった別の考え方に比べると,それほど普遍的でも重要でもない。

長い目で見てより賢く,より速く,より良くなるためには,他の人には見えないような選択を見抜くことである。

 

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「政府の政策」を読み,活用する

 アイデアをカタチにする

「政府の政策」を読み,活用するという「アイデアをカタチに」しようと思っています。これは今後,固定ページで展開していきますが,その最初の投稿です。最新の内容は,固定ページで確認してください。

「政府の政策」を読み,活用する

政府は,必要と判断する多くの「政策」を実行するために,国民・企業から資金(税金)を吸い上げ,罰則を伴う「ルール」を設定して,モノ,カネ,ヒトを投入する行政活動を行っている。国民・企業は,生活・存続のための財の取得活動にその労力の大半を費やすが,政府は国民・企業の資金で政策実行のために自由な活動を行い,国民・企業への規制,影響はますます強まっているから,立法府,裁判所はその活動を合理的なものに事前・事後に規制し,国民・企業はその活動を把握,監視してこれをコントロールすると共に,自分たちのための政策だからこれを有効に活用すべきだろう。

ところで現在の政府の政策・活動は,社会の多様化,グローバル化,科学技術の進展,コンピュータやインターネットの常態化等によってきわめて複雑化・多様化しているが,政府はその政策・活動の多くをインターネットで公開するという方針が推進されているし,その内容も,各省庁ともWebサイトの作成に多くのカネ,ヒトを投入し,競って網羅化,精緻化し,かつ各省庁で横断化されている(これらによってますます細かい政策が生み出される)ように見受けられ,一昔前のお粗末なWebサイトとは全く異なっている。ただ国民・企業は,まだその利用に十分習熟しておらず,ウオッチし続ける活動にも慣れていない。特に通常,インターネットでの情報収集は,検索して必要な情報を得て終わりということが大部分だから,膨大な政府の政策情報の全体像を把握し,これを整理し,必要な情報を抜き出して自分に役立つように有効活用することは,直ちにできるわけではないだろう。特に政府の政策は「ルール」(法律,規則等の法令)に基づいて実施されているから,その解読も必要だ。

そこで「法令」を扱うことを業としIT・AIが大好きな弁護士である私として,「政府の政策を読み,活用する」という「アイデアをカタチにする」ために何ができるか,少し考えてみたい。まず,政府のWebサイトの全体像を把握してみよう。

そのうえで,今後,これから必要な情報を整理して抜き出し,国民・企業が有効活用できる方法を模索してみよう。

以後は,固定ページに。

アイデアをカタチにする・各論

この記事は,「アイデアをカタチにする」の各論にあたる「商品・サービスを創る」,「健康になる」,「学ぶ・学習する」,「社会制度を改革する」の最初のたたき台として作成したものを投稿したものです。内容は今後順次,充実,改定していきますので,「アイデアをカタチにする」の該当項目を参照してください。

商品・サービスを創る

これから様々な「アイデアをカタチにする」商品・サービスを創り出す仕事に関与していきたいと思う。

すべて今後の課題だが,これまでに関与した一事例を紹介したい。

国際医療搬送事業(エアー・アンビュランス・サービス)の計画に関与したとき,個人についてどうすれば当該サービスを提供できるかという課題があった(料金を採算ベースで徴収すれば,一回最低2000万円程度になる。)。

これについて,個人に有償で効果的な健康管理アプリを利用してもらい,海外滞在時に病気となった会員の共済として必要性の高い順に,当該サービスを安価ないし無償で提供することを企画したことがある。これ自体は,運営会社,代表者の不祥事で立ち消えになったが

そのラフな試案を紹介しておく。具体的な事業化には着手していない。

健康になる

健康になる方法と理論

ここでなすべきことは,「健康になりたい」という「思い」を,できるだけ容易に継続して「実現できる」スキームを創りだすことである。

そのスキームは,抽象的には「食動考休」であるが,その内容を具体化するにあたって,科学的でなければならない。

そのために,健康・医療に関わる本,資料を十分に検討する必要がある。とりあえず人間の心身が複合的なシステムであることを前提とする「ジエンド・オブ・イルネス」を,出発点にしてもよい。

各論的には,「代謝」,特にATPとミトコンドリア,「DNAとエピジェネティクス」,「腸内細菌」あたりを研究する必要がある。

これらを踏まえ,「特別問題」として,「肥満とダイエット」及び「老化」を検討する。

食動考休

食については,「多様なものを,新鮮なうちに(特に野菜・果実),腹八分で」,という以上になすべきことはないであろう。

動(運動)は,有酸素運動(エアロビクス),筋肉トレーニング,ストレッチを万遍なくこなすことだが,これではやりきれないので,簡易な運動+ウオーキング,あるいは「多動」でもいいだろう。

考は,「学ぶ・学習する」の活性化である。

休は,体の弛緩,瞑想及び睡眠である。

改めて思うが,私には知識だけあって実践していない「ヨガ」に取り組めばこのうちの多くがカバーされる。一方で,日本のヨガ指導者の多くが早死しているという事実も忘れるわけにはいかない。

学ぶ・学習する

「学ぶ・学習する」方法と理論

「学ぶ・学習する」方法と理論として,「使える脳の鍛え方」(Make it Stick),「脳が認める勉強法(How We Learn)あたりを出発点にするのがよいだろう。

この分野は,やたらと「ノウハウ」の多い分野であるから,その有効性を見極める必要性がある。

各分野の学習法

読書

数学

英語

ビジネス

学習する手段

ここでは,例えば,MOOC,Podcast,iTunes U等を検討していきたい。

社会制度を改革する

社会制度の改革

私が若いころは,「過剰」な政治が時代であり,私は一時期から「政治」と弁護士の仕事と関係する限りで関わりそれ以上にはみ出さないこととし,以後,基本的にそのようにしてきた。もちろん,投票はしている。

ただ最近は,「政治」の変質が目に余るようになったので(「啓蒙思想2.0」参照),私は改めて「政治」を含む社会制度の改革について,提言・実現する必要があるのではないかと考えるようになってきた。「遅れてきた元青年」である。とはいえ,すぐに用意できる現実的な提言があるわけでもないので,しばらく準備をしたいと思っている。

私がこれまで何らかの関与をしたのは,せいぜい次のとおりだ。

政治資金規正法の改正提言をした。「その内容は,「自由と正義」の論文を参照されたい。同時に,公職選挙法の改正提言もした。

太陽光発電設備を規制する条例策定に関与した。

ジェフリー・サックスの「貧困の終焉」を高く評価した。

「社会制度を改革する」方法と理論

これについては数理的な分析を含め,非常に有効な方法と理論が生み出されつつあると理解している。ゆっくりと整理していきたい。

アイデアをカタチにする・総論

アイデアをカタチにする仕組み造り

プラットフォーム

最近私は,アイデアをカタチにする仕組み造りに取り組もうと思っています。「アイデア」は,「思い」,「発想」,「夢」,「目標」等とも言えますし,「カタチにする」は,「実現する」,「解決する」,「創造する」とも言えるでしょう。もともと発明分野で使われていたものが,ビジネスの分野でも使われるようになったものですが,さほど一般的な表現ではないでしょう。ただビッグバン・セオリーの登場人物ハワード・ウォロウィッツが自分のエンジニアという仕事を「アイデアをカタチにするものだ。」と言っている場面をどこかで見かけたので,それなりに使われているのでしょうか。

最初は,ブランディングをしている年若のデザイナーの友人と共同で取り組めないかなと考えていたのですが,すぐには準備が整いそうにないので,まず私がWeb上で,そのプラットフォーム造りをしようと思います。

今考えていること

ところで今,私が考えていることは,クライアントが「アイデアをカタチ」にする新しい商品,サービス,システム,事業等を創造,起動することを,法務面から支援することです。

創造,起動の対象は,①Things(モノ),②IoT,③サービス,④システム,⑤事業(組織)のブランディング,⑥事業(組織)のスタートアップ,⑦表現等々に分別することができるでしょう。

共同事業者のデザイナーもいない状態では,「アイデア」はクライアントから持ち込まれるしかありませんが,態勢が整えば,自分でもアイデア造りに取り組もうと思います。

あらゆることの複雑化に伴い,ビジネスのみならず科学分野でも様々なアイデアも又,加速度的に生み出されていますが,カタチになるのはごく一部です。大部分はそれでいいのでしょうが,でも「あのアイデアがGoogleに!アーア」ということもありますよね。もっともカタチになったもののうち,ヒット,大ヒットするのはごく一部でしょうが,でもカタチにしないと消え去るだけ。今のビジネスは,数撃つしかないベンチャーキャピタルの投資と似通っています。結果はどうなるにせよ,少しでも充実したカタチを造ることが重要でしょう。

アイデアをカタチにする仕組みの方法・システム

アイデアをカタチにする仕組みの方法・システムを5W1Hの観点から検討すれば,WHEN,WHERE,WHOが,「今,ここで,私たち」であることは明らかですから,WHY,WHAT,HOWを検討することになります。

ところで,「アイデアをカタチにする」ということは,見方を変えれば,マイナスの「問題」であればその「問題を解決する」またはプラスの「価値を創造する」ということです。そこで,アイデアをカタチにするWHY,WHAT,HOWについて,従前「問題解決学」(佐藤允一さん)ないし「創造学」(中尾政之さん)として議論されてきたことを,その方法の中心として検討したいと思います。さらにその源泉には発明的な問題の解決手法である「TRIZ」があります。

ビジネスを支援する法務

アイデアをカタチにする事業について,さて弁護士は何ができるでしょうか。

調査

まず弁護士としては,持ち込まれたアイデアをよく理解する必要があります。そして特にそのアイデアがこれまでの歴史や経緯の中で,どう位置づけられるのか,新規性があるのか,関連分野でどのような研究が進展しているのか,そのアイデアと他の権利との関係はどうか,そのアイデアをカタチにするために必要となる技術や知財は何か等々を,調査する必要があります。

起案

対象事業の進展に応じて弁護士がすべきことは,ルール化,制度化でしょう。

①ルール(外部ルール(法令等)や外部との合意,内部ルール)の設定,及び当該ルールによって展開するビジネス(ゲーム)の追跡,ルール逸脱への対応等に係る実行態勢の確立と整備,運用

②内外の情報流通へ対応とコントロール

③当事者についての合理的な契約関係による規律の設定

④これらに係る法務全般

プラスαとして。

⑤資金調達のアシスト

⑥人材確保のアシスト

⑦必要となった技術・知財の獲得のアシスト

⑧多言語対応

⑨事業進展に応じた関与者の心身の健全性への留意

分業と全体の把握・統括

これらは,少し事業の規模が大きくなると,一人の弁護士ができるようなことでありませんから,適宜分業しなければなりませんが,全体は一人の弁護士が把握し統括しなければなりません。

これからの準備

まず調査方法を具体化し,「アイデアをカタチに法務」については典型的なケースをモデル化する必要があります。

アイデアをカタチにする対象

私が考えている,アイデアをカタチにする創造・起業の対象である「商品・サービス・組織」等は上述のとおりですが,でも考えてみれば,私たちの身の回りには,「アイデアをカタチ」にしたいことが,山のようにあります。

それを「健康」,「学習」,「社会制度」に分けて検討したいと思います。

アイデア倉庫

ところで,アイデアの湧出を活性化するアイデアツールを集めた本(内容によって「アイデア・デザイン編」,「IT・AI編」,「経営編」,「心身の向上技法編」,「世界の構造と論理編」,及び「冷水編」に分けています。)を整理した「アイデア倉庫」を作成しました。

重要な本については,具体的に紹介していきたいと思います。