「裁判と事実認定を考える」を作成しました

裁判と事実認定を考える

「裁判と事実認定を考える」の固定頁の第1稿を作りました。大項目の「裁判」の「裁判制度について」(以下に,引用します。)に続いて「日本の民事裁判制度」,「弁護士業務から見た民事裁判制度」を検討し,大項目で「事実認定」を取り上げています。「法を問題解決と創造に活かす」ために,立法のあり方(「立法と法解釈を考える」)と並び,私が最も力を入れて考察したいところです。固定頁の「裁判と事実認定を考える」は適宜改定されますので,そちらをご覧下さい。

立法と法解釈を考える」「法制史・外国法」にも手を入れました。

裁判を考える

裁判制度について

裁判は,古来からかなり普遍的に見られる制度であるが,その具体的な内容は,地域,時代によって相当に異なる。これらは法制史として検討されている,ただし,現在,その差異は,相当程度,縮まっていることは間違いないが,それでも他国の裁判制度を,そこで適用される法令も含めて理解することはそう簡単ではない。

ただ裁判制度のように,関係者に対して具体的な影響があることを理解しつつ,その方法を意識して事実を認定し,判断する機会(制度)は多くはないから,それなりに優れた制度として検討の対象となることが多いのは,理解できる。ただ裁判制度を論じる人はどうしても「焦点効果」にとらわれ,たかだか政府の1部門である司法機関が,持ち込まれた案件についての対応の問題であることを見失い,過大評価することが多い。確かにしっかりした法制度,裁判制度が機能していることが秩序維持や経済発展のために重要であることが指摘されているが,裁判所が世の中をよくしたり,経済発展させたりするわけではない。

裁判制度を考察する視点で重要なのは,その論理性と科学性である。参考本として次の2冊を挙げておこう。

「法廷に立つ科学 「法と科学」入門」(著者:シーラ・ジャサノフ) (Amazon・本の森)

「武器化する嘘 情報に仕掛けられた罠」(著者:ダニエル・J・レヴィティン) (Amazon本の森

一般に刑事裁判の方がなじみがあるが,これには複雑な要素・考慮が含まれるので,まず民事裁判を取り上げよう。

(以下,省略)

 

 

 

行政書士さんがする仕事の分野のお勧め本

行政書士さんの仕事

行政書士の業務は,行政書士法第1条の2,3に規定されているが,私は運転免許も持っていないので,これまで接触したことはなかった。ただ,業法の免許について細かい処理をしているのだろうということは想像していた。

行政書士のための法律実務書2冊を読む

最近,「要件事実」について若干調べていると,Kindle本に日本行政書士会連合会中央研修所編の「行政書士のための要件事実の基礎」という本があることを見つけた。「民事訴訟編」と「行政訴訟編」に分かれていて,「行政訴訟」についての要件事実を検討しているという内容なので購入してみた。目を通すと「民事訴訟編」はやけに分かりやすい。「行政訴訟編」はこれで要件事実の検討として充分なのかは今後検討したい。

さらに同じ編者の「行政書士のための行政法」というKindle本もあり,「総論」で行政法総論,行政手続,行政不服審査,行政事件訴訟等を取り上げているほか,「各論」で「道路運送法」,「道路運送車両法」,「土地利用関係法」,「廃棄物処理法」,「建設業法」,「出入国管理及び難民認定法」,「農地関係法」,「風営法」を取り上げている。各論は,司法書士が現に行っている許認可手続の分野の法令について,その概要,判例等で問題となった紛争事例を取り上げて説明しており,その分野の全体像の把握に最適だ。

両書ともお勧めしたい。

「行政書士のための要件事実の基礎」(日本行政書士会連合会中央研修所) (Amazon・本の森)

「行政書士のための行政法 第2版」(日本行政書士会連合会中央研修所) (Amazon・本の森)

 

 

形に走る私-中身と形の相克

中身

暑いから自然好きの私も家にこもり,このWebをいじって時間をつぶすことが多くなる。もちろん,記事の充実を目指すべきだ。

このWebをだれが見に来るんだろう。数はどれだけかわからないが,法律について知りたい,弁護士に困り事を依頼した方がいいかと思ってたどり着く人もいるだろう。そういう人のために,「弁護士業務の基本」,「弁護士業務の展開」の項目(メニュー)に,せっせと役に立つ記事を作って載せよう。自分のためにもなる。

弁護士業務の基本」の「法律相談と弁護士への依頼」には一応記事が揃ったが,もう少し読みやすくしよう。「市民の法律問題」,「中小企業の法律問題」の充実はこれからだ。

弁護士業務の展開」の「新しい法律問題」には,当面「ジュリスト」を読み込んで,参考になる記事を紹介しよう。「分野別法律問題の手引」もおおよそ項目は揃ったが,内容はこれからだ。「法を問題解決と創造に活かす」では,まず「裁判と事実認定」に取り掛かろう。

そういう分野よりも「問題解決と創造の頁」に興味のある人もいるだろう。でも,やることは無限だ。次は,「動物と植物」,「地方政府」,「分業:国際経済」あたりから取り掛かろう,それにしても暑いなあ。

でも,形をいじるのも面白い

私はエイヤッと「レイアウト」を変えてから,どんどんこのWebの形をいじり始めた。

とりあえず,固定頁や投稿のカテゴリーとタグがグチャグチャになっていたので,固定頁やカテゴリーをドラッグ・アンド・ドロップで並び替え,整理できるプラグインを使い,整理した。タグはこれからだ。

サイドバー(画面の大きいパソコンだと右側)の最上部に検索を,次いで翻訳を置いた。Google翻訳は,本当にたくさんの言語についてあっという間に翻訳できてすごいなあ。でもこの機能は誰が使うんだろう。

検索は一般的なものを置いていたが,使っても何が何だかわからないので,キーワードで検索すると,選択によって関連性,新しい順,古い順に並び,それぞれのカテゴリーの記事数も表示されるウィジェットを置いた。しかも,検索されたキーワードは黄色でハイライトされる。これまではどこに検索したキーワードがあるのか分からなかったので,これは画期的だ。

ついでに今日は悪乗りして,サイドバーの一番下に「ラジオ体操」の動画を配置した。少しは体を使おう。

といっても私が何か特別なことをするわけではなく,WordPressに用意されたウィジェットや公開されているプラグインだけでできるのだから,びっくりだ。おもしろいよね。

このWebは工事中です→完了

この3連休(2018/7/14~16),孫娘と海に行こうと思っていたが,彼女に少し咳が出るのでやめ,猛暑なのでクーラーをかけた部屋に閉じこもり,本を読んだり,パソコンでこのWebをいじっていたりしていた(孫娘はおもちゃのピアノを弾いたり,メルちゃんを見ていたりしていた。)。

知的生産の本(知的生産とその技術 Classic 10選)を紹介している倉下忠憲さんに「ドラッカーに学ぶブログ・マネジメント」というKindle本があったので目を通してみると,なるほどということが書いてある。

そこで早速このWebサイトの目的を考え直し,構成を見直す作業に着手したが,自宅のパソコンは安物なので,画面が小さく遅いので作業が進まない上,夕方には孫娘と庭でバーベキューをして一杯やったので,作業中止。

結果,このWebサイトは工事中で,見苦しい状態になっている。速やかに手を加えますので,ご容赦を。ということで翌火曜日(7/17)に手を加え,おおむね,何とか見ることができる状態となった(だろう)。

ところでWordPressの固定ページの構成を見直す時ネックになるのが「順序」の番号を書き直す必要があるということだ,実はこれがとても面倒くさい。

そこで固定ページの「順序」を書き直すプラグインがないかと検索してみると「Intuitive Custom Post Order」というものがあった。これは,固定ページの並び順をドラッグ&ドロップで任意の順に変更ができるプラグインということだ。投稿・カテゴリー・タグの並べ替えもできるようだ。

固定ページの「順序」との関係が分からなかったが,どうもドラッグ&ドロップで並び替えると「順序」も書き直されるようだ。なかなか思いどおりにならないこともあるが,そういうときは,「順序」を書き直す方が早いようだ。カテゴリーの順序も入れ替えられるので,もとからのプラグインはいらなくなった。

 

注目

ようこそ−このサイトの紹介

法と弁護士業務について紹介するWebサイト「弁護士村本道夫の山ある日々」のTOP PAGEへようこそ。

Ⅰ 弁護士に相談・依頼した方がよさそうなことがあるが,まず自分で少し調べてからどうするか決めたいという市民,中小企業の方は「弁護士業務の基本」(こちらでリンク)をご覧ください。

Ⅱ 個人や会社・組織が直面しているビジネスや社会,政治的な問題に,法律や行政処分・裁判等が絡んでいるが,それらをうまく処理したい,活用したいと考える市民,企業や組織のマネジメントをされている方は「弁護士業務の展開」(こちらでリンク)をご覧ください。

私に相談,依頼しようと思う方は,私が在籍する「カクイ法律事務所」の電話(03-5298-2031)やFAX(03-5298-2032),または下記の「お問い合わせ」フォームを利用して,ご連絡・ご相談ください(事務所の所在と地図はこちらです。)。

「お問い合わせ」フォーム(クリックしてください。)

Ⅲ 更に現在,将来の社会が抱える様々な問題を解決し,価値を創造するにはどうすべきなのか,その中で法やルールはどうあるべきなのか等について「問題解決と創造の頁」で考察し,情報提供します(こちらでリンク)。

これらを構成,補完する記事や私の日常を綴った記事を投稿する「ブログ山ある日々」(こちらでリンク)は,「 投稿 SITE MAP」(こちらでリンク),あるいは「最近の投稿」から順次「過去の投稿」に遡るか,アーカイブ,メニュー等を利用してご覧ください。なお最新の投稿は,この記事の次(下)の記事からになります。

これらのもう少し詳しい内容は,固定ページの「ようこそ」(こちらでリンク)をご覧ください。

 

 

新しい法令の成立を調べる

この投稿は,固定ページ「新しい法令の成立を調べる」の記事の一部を投稿したものです。固定ページの方はその内容を,適宜,改定していきますので,この投稿に対応する最新の内容は,固定ページ新しい法令の成立を調べる」をご覧ください。

最新の法令の成立状況を知る方法

新しい法律問題を検討する場合,それに関連する最新の法令の成立状況を検討することが必須である。今は,ネットで,ほぼ最新の状況を知ることができて本当に便利だ。その方法の概要をまとめておく(成立後は,「e-Gov法令検索」で検索可能である。)。

重要な法律は内閣提出法案が多いから,「内閣法制局の資料(Web)」を検討するのが,成立の有無の記載(少しずれるが)や主管官庁の作成資料へのリンクもあり,便利だ。下記に最近の4会期の資料を掲載する(第193~196回国会。投稿では省略)。

これでカバーできない情報は,衆議院のWeb,及び参議院のWebを検討してみる。衆議院議員提出法案(衆法),参議院議員提出法案(参法)の状況や,内閣法制局資料で成立になっていなくても,その後の成立の有無や,審議状況が確認できる。以下,衆議院の「立法情報」,参議院の「議会情報」を掲記しておく。

衆議院の立法情報

参議院の議会情報

内閣法制局資料

第196回国会

内閣法制局の各国会会期の法令情報の冒頭は,次のようなものだ。

第196回国会での内閣提出法律案(件名)(平成30年6月22日現在)

法律案名をクリックすると、提出理由が表示されます。

内閣提出法律案の具体的内容をお知りになりたい場合は、主管省庁のホームページに掲載されているものがありますので当該主管省庁のホームページをご覧ください。

  • 【成立】欄に★印が記載された法律案は、第196回国会で成立したもの
  • 【主管省庁】欄からのリンクは各主管省庁のホームページにリンクされています。

以下省略。

 

秘密情報をめぐる法律問題の検討

はじめに

最近,通訳,翻訳を業とする会社から,業務上取り扱う秘密情報に関する法律問題について相談を受け,その前提となる「秘密情報をめぐる律問題」を概観するペーパーを作成した。簡単なものではあるが,他の業種,業態の会社にとっても参考になると思われるので,掲載する。

なお,参考までに,通常,用いることのできる「秘密保持契約書」のモデル案を,顧客企業にとって受け入れやすいと思われる経済産業省「秘密情報の保護ハンドブック ~企業価値向上にむけて」に掲載されている「参考資料2 各種契約書等の参考例」「第6 業務委託契約書(抄)」を基に作成し,後記した

1 前提

近時,NDA(秘密保持契約書)の締結は普通に行われ,秘密とされるべき情報についての法律関係も複雑化している。本書では「秘密情報」を次項のⅠないしⅤの5つのレベルに整理して考察する。一般の通訳,翻訳については,法律上,守秘義務の定めはないが,通訳,翻訳は文字どおり他人の秘密を取り扱うことも多く,職業倫理上,秘密保持が強く要請される。そのようなケースは他にもあると思われる。守秘義務が及ばない社は,そこは省いて理解されたい。なお業務従事者は外注を想定しているが,自社従業員の場合は,御社に含めて考えればよいであろう。。

2 秘密情報をめぐる法律問題

 Ⅰ 守秘義務の対象となる「秘密」

特定の職業,職務につき,刑法,その他の法律によって,「業務上取り扱った(職務上知り得た)人(企業も含む)の秘密を漏らしてはならない」とされていることがある。「守秘義務」である。これに違反したときは刑罰が科されることがあるし,不法行為として損害賠償の対象にもなる。

「守秘義務」は,当該職業や職務の遂行に公的な資格(弁護士)や立場(公務員等)を必要とする場合に規定されているが,御社もその職務の内容からすれば「守秘義務」の対象となってもおかしくないものの,業務遂行に特段の資格を要せず,また職務も様々な形態で行われるので,その対象にはなっていないと解される。ただし法的義務はなくても,後述するように「職業倫理」が問題になると考えられる。

Ⅱ 不正競争防止法により保護される「営業秘密」

不正競争防止法により「窃取,詐欺,強迫その他の不正の手段により取得した,あるいは営業秘密を保有する事業者からその営業秘密を示された場合において不正の利益を得る目的で又はその保有者に損害を加える目的で,当該営業秘密を使用し,若しくは開示する行為」等(法2条)が禁止され,処罰,あるいは損害賠償の対象となる。このような仕組みで保護されているのが,「営業秘密」である。「営業秘密」は,「①秘密として管理されている,②生産方法,販売方法その他事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって,③公然と知られていないもの」をいうが,このように「営業秘密」について法律上の絞りがある上,対象となる行為が通常人でも違法性があることが分かりやすいものなので,御社においてはこれが問題になることは考えにくいであろう。ただし,業種,業態によっては,「営業秘密」を厳密に管理することが必要なのに,それを怠っている場合も多い。

 Ⅲ 個人情報ないし秘密情報

個人情報保護法は,「個人情報」の取得や「個人データ」の第三者提供を規律しているが,御社や業務従事者は,業務遂行の過程で顧客企業から提供された「個人情報」を取得するので,原則として取得について法律上の問題は生ぜず,また,その「個人情報」を「個人データ」として保管し第三者提供する場合もほとんどないであろう(仮にあれば,同意が必要である。)。なお個人情報保護法の基本については,本webの「基本から考える個人情報保護法(その1)」を参照されたい。

また企業は,上記の「営業秘密」,それ以外の営業情報や技術情報,個人情報も含めて「秘密情報(機密情報)」と定義して,その漏洩,流出を防止しようとし,これをNDAの対象にすることが一般的に行われている。御社が,顧客企業からNDAによって定義された「秘密情報」(機密情報)の漏えい,流出をしないように求められることも多いであろう。

 Ⅳ インサイダー取引

金融商品取引法166条1項は,「会社関係者」であって,上場会社に係る業務等に関する「重要事実」を知った者は,その事実が公表された後でなければその会社の有価証券等の売買等をしてはならない旨を規定し,秘密である「重要事実」が濫りに利用されないように規制している。御社もこれに該当することがあり得る(なお相談を受けたケースは,これを含む相談であったので,より詳しい内容を後記する。)。

 Ⅴ 契約による規制

ⅠないしⅣの法律関係について,法律上の要件を加重,減少し,あるいは新しい規定を設ける契約(特にNDA)が締結されることが多い。

通常,顧客企業との間で「業務契約」及び「機密保持契約」を締結し,業務従事者との間で「業務委託契約」及び「秘密保持契約」を締結する。

 3 基本的な考え方

(1)業務従事者が順守すべき秘密保持についての基本

上記のⅠないしⅤに関し,本件で重要なのは,御社の業務従事者は,法律上はⅠの「守秘義務」は課せられていないもの,「職業倫理」に基づきこれと同等の「業務上取り扱ったことについて知り得た人や企業の秘密を漏らしてはならない」という秘密保持義務を負って行動するのが妥当と考えられるということである。

この場合,保持すべき秘密の中には,Ⅱの「営業秘密」やⅢの「個人情報等ないし秘密情報」も含まれるし,それに止まらず,刑法の秘密漏示罪(134条)の解釈に準じ,本人の秘密にする意思が想定される情報であれば,すべて秘密に含まれるといえよう。

実際,例えば,業務に従事したその内容のみならず,その日時,その当事者,業務に従事したこと自体についても秘密とさるべきことが妥当なことが十分に考えられる。

そしてこの秘密保持義務は,顧客企業に対してのみならず,業務に関連,登場する全関係者に及ぶと解すべき場合もある(法律上の「守秘義務」も依頼者に対してのみ,負うものではない。)。

このように考えると,顧客企業やその他の関係者(以下「顧客等」という。)の利益を守るために,業務従事者は,その関与した業務に関する一切の情報について,公知となった場合,あるいは,正当な事由がある場合以外は,これを何人に対しても開示せず,利用しないという原則に従って行動することが望ましいと思われる。

(2)顧客企業,御社,業務従事者の間の契約関係の検討

ア 概説

ところで,御社の秘密情報に関する契約関係は,通常,顧客企業と御社,御社と業務従事者の間に存在している。顧客企業が,業務従事者に,直接NDAの締結を求めることはまれであると思われる。

この場合,業務従事者は,御社に対して負った契約上の義務を,顧客等に対して直接負うわけではない。御社が顧客企業に対して負う義務の一内容として業務従事者が御社に対して負う義務が組み込まれるだけである。

ただし,業務従事者の行為が,直接第2項に挙げた法令等に該当,違反することがあるし,そうでなくても,「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した」ときの故意・過失の内容として,業務従事者が御社に対して負った契約上の義務が考慮されることはあり得る。

イ 顧客企業と御社間の契約関係

顧客企業が御社(例外的に業務従事者)に締結を求めるNDAの対象は,Ⅱの「営業秘密」か,これを拡大したⅢの「個人情報等ないし秘密情報(機密情報)」であることが普通で,「守秘義務」や「職業倫理」の「秘密」より範囲が狭い。また契約当時者双方が,相手方に対してほぼ同等の義務を負うとされることが通常である。

これについて,顧客企業がその企業固有のルールに基づいて用意したNDAを使用することが,顧客企業にとって安心・安全であり顧客企業と御社の円滑な業務関係の形成に役立つこと,顧客企業と御社との間で万が一紛争になったときは,秘密が「営業秘密」か「個人情報等ないし秘密情報(機密情報)」に限られていた方が御社としても対応しやすいことから,顧客企業と御社の間のNDAについては原則として顧客企業が用意したものを使用すべきであり,またこれが不適切な場合は,後記の「秘密保持契約書」を使用すればよい(顧客企業が用意するNDAの中には,損害賠償義務等について非常識な規定を設けているものもあるので,契約締結にあたって御社として精査する必要がある。)。顧客企業の要求がない限りわざわざ業務従事者の「守秘義務」を盛り込むことは適当ではないであろう(顧客企業の要求がある場合も,「一切の情報」とすることは適切ではない。)。

ウ 御社と業務従事者間の契約関係-「秘密保持条項」

業務従事者の秘密保持については,次の条項を規定するのが,適切である。

「①受託者は,本契約及び個別契約履行上知り得た,または受領した弊社の顧客等に関する一切の情報(以下この項において「本件情報」という。)について,本契約及び個別契約履行以外の目的に使用,利用してはならず,また第三者へ提供,漏洩等してはならない。②ただし,弊社の書面による承諾を得た場合,本件情報が公知となった場合,又は正当な理由がある場合はこの限りではない。

③本件情報の不測の漏洩を防ぐため,受託者は善良な管理者の注意義務をもってこれを保持,保管,管理する責任を負う。本契約及び個別契約終了後,弊社から要求があれば,受託者は本件情報すべてを弊社に返還し,又はこれを廃棄しなければならない。

④受託者がこれらの約定に違反したことによって顧客等に損害が生じ,弊社が顧客等に損害賠償義務を負うときは,受託者は弊社に対し,当該賠償額を補填する義務を負う。

⑤本条の定めは本契約及び個別契約終了後も効力を失わない。」

①は,情報の目的外使用,利用,及び第三者へ提供,漏洩等の禁止を規定した。②顧客等の情報を利用,開示していい場合として,御社の書面による承諾がある場合,公知となった場合,又は正当な理由がある場合とした。

③業務従事者が善良な管理者の注意義務をもって情報を保持,保管,管理する責任を負うを明示した。また御社の要求がある場合の,返還,廃棄義務を規定した。

④そして,故意や,③の過失による漏洩の場合で,弊社が顧客に損害賠償義務を負うときの補填義務を規定した。

なお,①について顧客等の承諾がある場合について検討したが,これについては御社と業務従事者の関係として御社がコントロールできた方が望ましいと考えた。

(3)業務従事者と顧客企業の秘密情報の使用,利用についての検討

業務従事者は顧客企業に対し,「業務上取り扱ったことについて知り得た人や企業の秘密を漏らしてはならない」義務を負うことに加え,当該顧客企業の秘密情報の使用,利用についても,差し控えるべき義務があると解すべきであろう。

これについて上述した条項は,秘密情報について,目的外の使用,利用を禁止している。

その内容については,顧客企業の製品・サービスや株式の購入や,顧客企業に対する雇用等の働き掛けが考えられよう(ただし,雇用等については,「直接交渉の禁止」の延長とも考えられ,ここでは検討しない。)。

製品・サービスの購入については,通常の消費者としての購入には特段の問題はないであろうが,製品・サービスに希少性がある場合や,利益を得ることを目的とする大量売買等は,秘密情報の使用,利用した場合はもちろん,そうでなくても,当該企業からそのように解される可能性がある場合は,差し控えるのが適当である。

これは株式の売買も同様である。上述したように,インサイダー取引は,「重要事実」を知った上での売買であるが,業務従事者は,定型的ではない「重要事実」に関わる機会が多いから,「重要事実」を知っているか否かに関わらず,当該企業の翻訳・通訳業務が開始してからこれが完全に終了して1年後までは(「重要事実」を知った者は,その事実が公表された後まで),株式売買は差し控えるべきであろう。

以上

続きを読む “秘密情報をめぐる法律問題の検討”

「ビジネスツールとしての知的財産」を読む

~ストーリー漫画でわかる 作者:大樹七海,監修:杉光一成

知的財産についての入門の入門として

理系の大学を経て,国立研究機関に在籍したあと弁理士資格を得て人生で初めて漫画を描いたという,非常に勉強家であることがうかがわれる作者の作品である。

ストーリー漫画で描かれた「ビジネスツールとしての知的財産」という触れ込みであり,碁のソフトをめぐる様々な紛争,日米対決等が描かれている。漫画は中の中程度の面白さか。

知的財産について入門の入門として読む分にはいいだろうが,今後も知的財産分野を漫画で描くのであれば,もう少し突っ込んだ内容が望まれるだろう。漫画を描く苦労は分かるが,このような作品を読む読者はそこをあまり評価しない。

重要な用語

各章の漫画の後に,簡単な知的財産についての説明記事が載っている。その中で重要と思われる用語だけピックアップして掲載しておく。

パテントロール

「コストセンター」「プロヒフィットセンター」から「ビジネスツール」へ

SWOT分析(プラス/マイナス,内部/外部環境),ファイブフォース分析

特許権…技術的アイデア,意匠法…工業的に量産できる物品のデザイン,商品名やサービス名称等…商標法,(実用新案権…物品の形状,構造の考案),著作権法…アイデアや感情の表現,不正競争防止法

国際特許…PCT

ブランド…商標の中でも品質保障機能を持ち,」顧客吸引力を化体資産としての価値を得たもの

特許出願しないという選択肢

弁理士と知的財産管理技能士

IT企業のスタートアップに必要な人材

経営 ハスラー,開発 ハッカー,デザイン ヒップスター
製品の「外観」という意味での製品デザインは,意匠法

デザインドリブンイノベーション(手段)とブルーオーシャン戦略(目的)

知的財産法でデザインはどこまで保護されるか

ビジネスモデル/操作性/素材/外観/アイコン/音/店舗

特許法,商標法,意匠法,不正競争防止法

IPランドスケ-プ

市場参入抑制機能,市場排除機能

オープン&クローズ戦略

詳細目次

続きを読む “「ビジネスツールとしての知的財産」を読む”

「創造はシステムである」を読む

~「失敗学」から「創造学」へ 著者:中尾政之

原因,結果,因果関係

ある分野の学問的な解明は,ある事象(ものごと)についてなぜその「結果」が生じたのか,「結果」に因果関係のあるその「原因」は何かという形をとることが多い。著者の「失敗学」も,その典型であろう。

しかしこれをひっくり返して,ある「結果」を生じさせるためにはどのような「原因」を設定し,実行すればよいかを考察するのが,著者の「創造学」である。ただ著者は,機械工学畑のエンジニアなので,話題は,モノ作りの話が中心になるが,それに限られているわけではない。

著者は,創造(著者の定義は「自分で目的を設定して,自分にとって新しい作品や作業を,新たに造ること」)の過程を,「思い」(願望)→「言葉」(目的)→「形」(手段)→「モノ」(アクションプラン)ととらえ,まず「目的」を言葉として設定することが重要だとする(これが「出力」となる「結果」である。)。そしてその「原因」となる「入力」を<「形」(手段)+「モノ」(アクションプラン)>と捉え,その具体的な内容を「思考演算子」を適用して検討していく。

本書の概要

筆者の言葉を借りれば本書は,①「いつもと違うことを何かやってやろう」と勇んで創造するために,「その〝何〟とは何なのか」を考えることで要求機能を列記し(なお環境に制約されるので仕方なく達成しなければならない消極的要求機能を「制約条件」という。),②次にその〝何〟を実現するための設計解を,「いつものワンパターンの思考演算」を使って創出し,③さらに「あちらを 叩けばこちらが立たず」の干渉が生じる要求機能を整理することで,互いに独立で最少の数の要求機能群を設定し,④最後に,複雑な状況下で創造するとき,どのように組織(モジュラーとインテグレイテッド)を構築すれば成功率が高まるかを検討するという内容である。

①③の目的の設定,整理,②の設計解を求める思考演算が,二つのポイントである。そしてまず頭に叩き込むべきことは,②の思考演算である。

設計解を求める思考演算

筆者は,旧ソ連の特許を解析して発明者の頭の動きの共通性を抽出したと言われているTRIZ(トゥリーズ)という技法の「教科書を読んで簡単な思考演算子をいくつか覚える」と,容易に新しい設計解を導くことができという。

そして筆者は,ある調査により全体の98%を占めた技法のトップ12を紹介し,1から5までについて詳細に説明している(第2章)。

1.挿入付加(20%),第3物質,第3機能,複合物質
2.分割(19%),機能分離,並列化,オフライン化,副次排除
3.変形(13%),回転,相似,対称,交互,ベクトル分割
4.交換(9%),反転,内外,前後,左右,入出力,因果,動静
5.流線(8%),アナロジー,等角写像,駄肉そぎ,デッドスペース
6.合体(5%),集合,一体化,付加,加算,乗算,相乗効果
7.変換(5%),作用変換,時間関数化
8.電磁場(4%),場の挿入
9.相変化(4%),凍結化
10.表面改質(4%),表面処理
11.独立化(3%),非干渉化
12.冗長化(3%),市販品利用,安全対策

著者は,「設計解は必ず存在する」とし,これらの技法がうまくいかない場合の二つの原因として「自分の課題を一般化・抽象化できない」,「一般的な設計解が提示されたのにその知識を自分の課題に特殊化,具体化して適用できない」ことを指摘する。

とにかく本書の第2章は,特に「文科系」のひとはあまり目にしないことなので,よく読んで頭に叩き込むのがよい。

システムは可視化できる

しかし,要求機能を列記しこれを満足する設計解を求めてもうまくいかない場合に「自分が何をやりたいのか,何を作りたいのかがよくわからず,考えが整理されていない」ことがある。どうやって整理するか。

要求機能はいくらでも列記できるので,まず下位の類似機能を上位の概念でくくって上位機能に合体する,機能が実現すると従属機能と効果も自動的に成立する,上位の設計解が決まると下位機能が決まるということで,整理すると,要求機能を半数から4分の3程度には,減らすことができる(要求機能が漏れている方が気づくのが大変である。)。その上で,要求機能と設計解の関係を示すとすっきりするが,設計解が別の要求機能に干渉して,達成できないものも存在する。

日本では「すり合わせ生産は日本の強み」などといって「干渉設計」が好まれてきたが,「干渉」は失敗の原因の多くを占める。要求機能が干渉している場合,設計行列は非対角成分が存在する行列になるので,すべての解が一括して定まり,設計条件がひとつ変更されても,設計解がすべて変わることになる。トラブルを起こさないようにしたいのなら,干渉が起きないような「独立設計」を目指すべきだ。

ここまでが,「問題解決の創造と方法」の基本である。

著者は日本の現状を踏まえ,「干渉設計」とそれを支える「インテグレイテッド」組織について考察を進めるが,それは別の「問題解決」であろう。

なお以上の紹介は,大雑把すぎるので,今後,適宜,増補していきたい。

それと,以上の考察の目的(要求機能)は,対象が自分自身に向いていない。自分が何かを達成したい(ダイエット),何かをやめたい(酒,たばこ等々)という場合は,どう考えればいいのだろうか。例を酒をやめるということにして,「習慣の力」や「仕事・お金・依存症・ダイエット・人間関係 自分を見違えるほど変える技術 チェンジ・エニシング」等を参考にして考察してみよう。 

詳細目次

続きを読む “「創造はシステムである」を読む”

安くなった時にKindle本を買うのは快感だ

未読・半読・一読の本 4 (180708)

Kindle本は時々安くなる。特にIT系や自然科学系の比較的高価な本,あるいは新書類は,数か月から1年に1回くらいは,ほぼ4分の3から半額になるセールがあるような印象だ。

私は,すぐに読みたかったり必要となったりしたわけではないが,興味を惹かれたKindle本は,サンプルをダウンロードしておく。そして時間を置き,購入する気になった本を購入する。もちろん購入しないままで終わる本も多い,ただ半額になるセールがあると,購入しようという気になることも多い。

半額になったのでここ何日かで購入したKindle本

➀「Pythonゲームプログラミング 知っておきたい数学と物理の基本」(著者:田中 賢一郎)

②「人狼知能で学ぶAIプログラミング 欺瞞・推理・会話で不完全情報ゲームを戦う人工知能の作り方」(著者:狩野 芳伸)

③「人工知能プログラミングのための数学がわかる本」(著者:石川 聡彦)

④「弁護士が教える IT契約の教科書」」(著者:上山 浩)

⑤「知財戦略のススメ」(著者:鮫島 正洋)

⑥「実践フェーズに突入 最強のAI活用術」(著者:野村 直之)

⑦「マンガでわかる神経伝達物質の働き ヒトの行動、感情、記憶、病気など、そのカギは脳内の物質にあった!」(著者:野口 哲典)

⑧「勉強の技術 すべての努力を成果に変える科学的学習の極意」(著者:児玉 光雄)

 

このうち➀~④は,サンプルをダウンロードしてあって,機会があればと思っていた本である。②は,私が,ゲーム制作会社の社外監査役となったのでぜひ勉強したいと思った本,④は仕事の参考になると思っていた本ではあるが,少し高額だったので,セールがあれば購入しようと思っていた。➀③は,半額になったので,その気になった。

⑤は,仕事で探していて内容が優れておりしかも半額だったので即決で購入した。

⑥は,ITとビジネスを考えるうえで参考になりそうだったので,半額につられて購入した,

⑦⑧は,半額になる新書があったので面白そうなものを探して購入した。

Kindle本の値引きについて

安くなった時にKindle本を買うのは快感であることは間違いない。ということは,高い値段で購入した本が半額になったのを見ると,なんとも悔しい気がする。しかしそういう経験を多く重ねてきたので,後者はあまり気にならなくなった。半額を生かす方が生産的だ。でも,未読・半読・一読の本が増える一方だ。困ったもんだ。