AI時代の弁護士業務(試論)

2019年10月21日,今進めているDX Projectの会合で,「AI時代の弁護士業務(試論)」について話をします。普段,口にしないことなので,少し詳細なレジュメを用意しました。それをそのまま掲載します。なおこれがこのWeb「弁護士村本道夫の山ある日々」への最後の投稿です。今後は,これまでのこのWebの記事全部を移動している「未来の法律事務所」をご覧ください。

「DXの世界に,知ら無くていい知識は無い! 関係しない業界は無い!」に励まされて

1.私とIT,AIとの関わり

(1)弁護士になりたての頃,マッキントッシュ,ハイパーカードにはまる。裁判所が一太郎を採用したこと等から,Windowsに転向。

(2)「ITが弁護士業務にもたらす影響」執筆(「いま弁護士は,そして明日は?」(日弁連弁護士業務委員会編 2004年12月 第一法規))→別添資料

(3)ゲーム制作受託会社の監査役をし,開発契約,運用契約等のレビューもしている→後掲「ゲームAI技術入門」(著者:三宅陽一郎)

(4)「AI時代の弁護士業務(試論)」執筆中(「法と支配」(日本法律家協会)2020年4月号掲載予定)

(5)別添資料を読み返してみると,そこに指摘した弁護士業務に関わる状況はほとんど変わっていないことが分かる。

2.「ITが弁護士業務にもたらす影響」における弁護士業務の分析

(1) 前提…弁護士業務の紹介とDX

ⅰ DXの対象を「a顧客体験,b業務プロセス,cビジネスモデル」とする(「一流ビジネススクールで教えるデジタル・シフト戦略-テクノロジーを武器にするために必要な変革」(著者:ジョージ・ウェスタ―マン等))

ⅱ 弁護士業務は,①法律問題(生じた事実への法とルールの適用)の検討と,助言・文書作成,及び②「裁判」(法的手続)への代理人・弁護人としての参加,に大別できる。②には①がその要素として含まれ,②は①の総合的な応用型といえる。弁護士業務の改革は,a顧客体験を踏まえたb業務プロセスの改革の問題といえよう。しかし, a顧客体験を良好化することは,弁護士のb業務プロセス固有の問題ではなく簡単ではない。

ⅲ 「裁判」(法的手続)は,権利を発生させる根拠となる「法とルール」(主張)を提示し,主張に該当する事実が存在するとして証拠を提出(立証)することによって判断権者を説得し当該主張・立証を認めさせて権利を認定させるという過程である。相手方から見れば反論し,反証し,権利を認めさせないという過程である。このような制度,経験は日常的にも,社会的にも類例が乏しい特殊なものである。

また「法とルール」の設定,「裁判」(法的手続)は,それぞれ歴史的に形成された現代社会の重要な政治「制度」(三権分立)であり,当該「制度」を主催し,担当・運用し(改革を拒む)組織があるし,その目的は,適切な「法とルール」の設定・解釈と「正しい」事実認定に基づき,適切な権利者の適切な権利を認定することである。

自分の主張・立証が認められなかったことに不満を持つ顧客が発生することは当然であるが,顧客は,より早く,より安く,より便利に,より分かりやすくというようなことはいえても,その本質的な部分,法とルール(の設定・解釈)のあり方はそれでいいのか,事実認定の方法は正しいのかという部分については,批判が及びにくい。また「裁判」に顧客を代理して参加するのが弁護士であるが,弁護士は「制度」内で業務を行うだけで,「制度」そのものを改善できるわけではない。これは基本的には別ルートの問題である。

それでも法とルール(の設定・解釈)は,憲法論,政治的価値という限られた範囲ではあるものの問題にされるが,事実認定はほとんど批判されない。当事者以外には,個別事件の事実認定の問題は把握しがたいのだが,現在の裁判所の事実認定の情緒性(非科学性)は,問題が多い(とりあえず,要件事実と主観的に争点設定した判決様式の事実摘示の分裂の影響も大きい。)。

ⅳ 以下「ITが弁護士業務にもたらす影響」の要旨を紹介するが。「ⅱ 弁護士に求められるもの」が,「AI時代の弁護士業務」改革論である。

 

(2) ITが弁護士業務にもたらす影響」の要旨

ⅰ 弁護士がITに求めるもの

「➀裁判所は,全ての判例を電子データベースとして公開すべきだ。②裁判所や検察庁における書面の授受を,Eメールを利用し電子情報で行いたい(注:市民からいえば,電子申請)。③裁判所や検察庁の尋問調書,供述調書等を電子情報で交付すべきだ。さらに,④証人尋問を含む法廷でのやりとりや被疑者,被告人との接見を,インターネットを利用したテレビ会議システムを利用して行うようにすることが大切である」等の指摘がなされ,費用と熱意の問題であるが,私は早晩,実現するとしたが,現在も概ね課題にとどまっている(後記5(2)ⅰ)。メディアで(外国の動向として)報じられ,求められのも,このレベル+αである。これは便利ではあるのだが,「裁判」でのやり取りは,センシティブで秘密性の高いものが多く,オンラインはセキュリティの面から,どうだろうか。

ⅱ 弁護士に求められるもの

➀弁護士業務の中核は大きな意味での情報処理であり,その過程は,情報の収集(インプット)一情報の処理(記憶一演算)一情報の表現(アウトプット)から構成されている。

②「情報の収集(インプット)」を,I.生の情報(事情聴取,尋問,契約書やその他の文書,その他生のデータから得られる情報)の収集に関わるスキル(以下「I生情報スキル」と呼ぶ。),Ⅱ.法関連情報(法令,判例,文献,その他)の収集に関わるスキル(以下「Ⅱ法情報スキル」という。)に分け

③「情報の処理(記憶一演算)一情報の表現(アウトプット)」をひとまとめにして,Ⅲ.収集した情報に基づく判断,表現(以下「Ⅲ判断スキル」という。)と分類してみる。このように分類したとき,今後弁護士に求められる「知」は何であろうか。

④「Ⅱ法情報スキル」は広く行き渡っている。「I生情報スキル」と「Ⅲ判断スキル」が専門性の成立根拠であると次のように一応はいえる。

「問題は,収集,整理した生情報と法情報を,頭(主記憶装置+演算装置)に入れ,筋道立てて思考,判断し(プログラムの実行),その結論を表現(アウトプット)することである。これが判断スキルである。弁護士の頭の中で実行される「プログラム」は,入力された生情報,法情報を,法実務経験のエッセンスを踏まえ筋道立てて思考,判断し,結論を得て表現する過程を実行するものである。このように考えれば,実は弁護士の「専門性」が,この判断スキルにあるのは,明らかである。そして一人の弁護士が情報収集に割ける時間も,運用できるプログラムの種類(法分野)も頭の容量も限られているから,他の弁護士と区別される「専門性」成立の根拠がある。さらに生情報スキルは,弁護士の一般的な人間的としての実力が問われているといってよいであろう。人間に対する興味と洞察,そして経済や経営,社会の動き,歴史,自然科学等々に対する充分な知見があってはじめて有効な生情報の収集ができるのである。」。

⑤「しかし,これは,ITは知らないが,判断スキルにも生情報スキルにも長けていると自己評価し,かつ「有能」と自負している弁護士にとっては何らインパクトはないであろう。法情報スキルに代替性があるということは,その能力を備えた者を雇用し指揮命令すればいいのだから。

しかし,実は,生情報スキルも,判断スキルも,今後激しいIT化の波にさらされると予想されるのであり,特にIT化された判断スキルについては,代替はむつかしく,さらにIT化された全ての過程を代替させるような弁護士は,そもそも手間がかかりすぎて,実務的にはつかいものにならないといえよう。

生情報スキルについては当面,音声情報,活字,筆記の文字情報のデジタル化が実用化されるであろう。なお,生情報に分類した個別事件を離れた一般分野の情報については,法情報スキルと同じ問題状況になる(注:現在のレクシスネクシスの「Lexis Advance」(https://www.lexisnexis.jp/global-solutions/lexis-advance)等)。

そして,デジタル化して収集した生情報,法情報を,弁護士の頭の替わりに(ないしこれに加えて)パソコンで稼働させるプログラムによって整理,思考,判断し,結論を表現することを可能とするIT技法の開発が急務である。

例えば,弁護士が全ての証拠を踏まえて論証する書面(弁論要旨や最終準備書面)を作成するとき,必要な証拠部分を探して引用するのには膨大な時間がかかり,しかもなお不十分だと感じることはよくあるのではないだろうか。あるいは供述の変遷を辿ったり,証拠相互の矛盾を網羅的に指摘したりしたいこともある。このような作業(の一部)は,パソコンの得意な分野である。また少なくても,当方と相手方の主張,証拠,関連する判例,文献等をデジタル情報として集約し,これらを常時参照し,コピー&ベイストしながら,書面を作成することは有益であるし,快感さえ伴う。…目指すIT技法は,当面は進化したワードプロセッサー,データプロセッサーのイメージであるが,データ処理自体に対する考え方の「革命的変化」(注:AI)があることも充分にあり得る。」。

⑥「デジタル化して収集した生情報,法情報を,パソコンで稼働させるプログラムによって整理,思考,判断し,結論を表現することを可能とするIT技法の開発」が重要であるとの指摘は,その後15年が経過してますます意味を持つ現実的な課題である。

ただ法とルール,裁判制度の捉え方は国により,また社会の進展具合により異なり,IT分野における日本語市場の狭さ,その中での弁護士市場の狭さにより,やるなら弁護士がやるしかないという状況だ。ただイギリスやアメリカで開発された技法が移植される可能性はある。

3.AI論…AIをどう眺めながら問題に向かうのか

(1)私は,日本で法律分野のエキスパートシステムを開拓するとの動きがあったことも何となく記憶しているし,ITについては強い興味を持った。以降,パソコン,ネット,周辺機器の性能は飛躍的に向上し,「ITが弁護士業務にもたらす影響」起案後15年たった今のAIブームを支える基盤となっている。ITは自分が使いこなすというイメージだったが,AIは勝手に何かをするというイメージもあるが,AIとどう向き合うべきなのか。

私の現状は座学にとどまっているので,ここでは最近目にした3冊のAI本を紹介して私の考えに代えたい。結論をいえば,Aiは楽しい,AIを考えいじっていると人間の認知,思考,行動の優れた点,劣った点,不可解さが浮かび上がってくる。汎用型AIが実現するかどうかの予想は,「わからない」。

 (2)「人類の歴史とAIの未来」(著者:バイロン・リース)「The Fourth Age」(by Byron Reese)

これを基に考えると落ち着く。1 第一の時代:言語と火(10万年前),2 第二の時代:農業と都市(1万年前),3 第三の時代:文字と車輪(五千年前),4 第四の時代:ロボットとAIと分ける。3を細かく(印刷,産業革命等)分けないところが面白い

5 3つの大きな問い ➀宇宙は何からできているのか 一つの物質原子(一元論),二元論(物理的なモノ+スピリチュアル,or+精神的なモノ),②私たちは結局何なのだろう 機械,動物,人間(私たちの中に機械,動物とは違う何かがある),③「自己」とは何だろう 脳の巧妙なトリック,創発する心,魂。強いAI論は,これらの問いにどう答えるかに密接に関連しており,これに答えられるまで強いAI論(汎用型AI論)は横に置く。ただし,テクノロジーの指数関数的進化は,現実だ。

(3)「スーパーインテリジェンス 超絶AIと人類の命運」(著者:ニック・ボストロム)

真正面から人工知能に向き合いたいときに,お薦め。Amazonでの紹介「・AIについての最も重要な命題=人類はAIを制御できるか、という「AIコントロール問題」と真正面から格闘した本命本。・近未来においてスーパーインテリジェンスは実現する可能性はあるのか? どのようなプロセスで実現されるのか?スーパーインテリジェンスはどのような種類の能力をもち、人類に対してどのような戦略的優位性をもつのか? その能力が獲得される要因は何か? 人類が滅亡する危機に直面するリスク、人類との共存の可能性についてどう考えるべきか? これらAIをめぐる真に根源的な問題について著者は、類書をはるかに超えた科学的、論理的な考察を徹底して慎重に積み重ね、検証する。」。

法とルール論として,次の記述は参考になる。

「超絶知能AIエージェントが社会全体で行う行動の作為や不作為は、ルールとして定めることができるのであろうか。おそらく、それにもっとも近いのは、われわれ人間が社会で生活を送る上での行動基準を定めた法律制度ということになるかもしれない。しかし、既存の法律制度は、人類の長年の試行錯誤の末に実現されたものである。なおかつ、変化の速度が比較的ゆっくりした人間社会を対象としている。しかも、法律というものは、内容が現実に合わなければ、必要に応じて個別規定を改めることもできる。そして、もっとも大事な点は、法律制度には、裁判官や陪審員といった人たちが法の番人として存在していて、しかも、彼らは、論理的に可能な解釈であっても、人間の一般常識や普遍的良識という尺度に照らして、法文の解釈が立法者の意思に反することが分明である場合は、その解釈を強いて適用するようなことはしない、ということだ。つまり、詳細なルールからなる非常に複雑なシステム(制度)を綿密に構築し、しかも、完全完璧なシステムを最初の試みで成功裏に完成させて、非常に多様な状況に適切に対応可能なシステムとして誕生させるような所業はおそらく人間の力を超えている」

(4)「ゲームAI技術入門」(著者:三宅陽一郎)

ゲーム開発を通じ,人間の人間の認知,思考,行動とゲームAIを対比する。取り急ぎ次のインタビュー記事を見ると見通しがつく。

・「「シンギュラリティの理論は崩れている」三宅陽一郎が語るAIの社会実装」(https://ainow.ai/2019/07/02/170473/#i-7

「問い:ゲームの人工知能は現実に応用できますか?

三宅氏:難しいと思います。仮想空間ではAIの研究が、かなり加速的にできます。そこでわかってきたことは、仮想空間というのは、ノイズがないということです。センサーで完全に情報が取れ、完全に行為を実現できます。それは現実世界の知能に似ているかというと実はあまり似ていません。本物の知能は常にノイズとか不確定性の中で動いているので、そこが知能の本質だったりするんですね。つまり、人間の感覚や行動は100パーセント信用できません。現実世界でAIを動かすときは、ゲーム空間の純粋なロジック空間で培った人工知能はあまり役に立たないんです。」

「AIのみが加速的に進化して、人間の知能を超えた力を持つとされるシンギュラリティ。しかし、実際は特化型AIを人間がまとうことにより、人間の知能も拡張されていくのだ。AIの発展と人間の知能の拡張が同時に起きることにより、人間とAIの関係性もより進化していくと考えられる。AIの社会実装に向けて、単体のAIの発達だけでなく、人間の1つの機能としてのAIの発達が進むことを期待したい。」。

4.15年間の「空白」を踏まえた弁護士業務の分析-DX論とプロフェッショナル論

(1)DXからみた弁護士業務の分析視角

ⅰ DXの対象は「a顧客体験,b業務プロセス,cビジネスモデル」とする(「一流ビジネススクールで教えるデジタル・シフト戦略」(著者:ジョージ・ウェスタ―マン等))。DXの意義は,「ヒトではなく,電子を走らせろ。電子は疲れない」(「Why Digital Matters?-“なぜ”デジタルなのか」(プレジデント社 企画編集部「経営企画研究会,SAP」)。

分析手法として,顧客体験はデザイン思考,全体を通じてシステム思考(「システム思考がモノ・コトづくりを変える」(著者:稗方 和夫)。が有効である。同書に「DXが注目されるこの時代、時には「AIを使えば問題は解決できる。とにかくAIを入れろ」という乱暴な話を聞くことがあるかもしれない。しかし、AIは魔法の杖ではない。現実には限りある予算や資源を用いて、AIやその他の新技術を活用して目標を達成するには、「どこに(どの業務に)」「何の目的で(どんな効果のために)」導入すればよいのかを見極めなければならない。そのためには、当事者の「人」まで含んだ大きなシステムとして検討対象を認識し、問題設定することが必要である。このような問題設定を本書で紹介したシステム思考に基づいて行い、さまざまな施策・シナリオについてシステム・ダイナミクスを用いて比較検討をすることで、ステークホルダーは主体的に、自信を持って、認識の共有を維持しながら、施策の選択と実行のリードができるだろう。」。

ⅱ 検討

弁護士業務のDXについては上記した「デジタル化して収集した生情報,法情報を,パソコンで稼働させるプログラムによって整理,思考,判断し,結論を表現することを可能とするIT技法の開発」が核心部分だが,百年河清を待っていても仕方がないので,とりあえず身近なIT技法を習得しよう。次の2書がある。

「法律家のためのスマートフォン活用術」(平成25年)

「法律家のためのITマニュアル新訂版」(平成27年)

「法とルール」のあり方については,上記した「スーパーインテリジェンス」での指摘を踏まえて考えていこう。もう少し分析的に考えれば,法律が自然言語によるルール設定であることから,①文脈依存性が強く適用範囲(解釈)が不明確なことや,②適用範囲(解釈)についての法的推論について,これまでほとんど科学的な検討がなされてこなかったことを指摘しておこう。さらに行為規範と評価規範の区別,複雑性への理解の欠如も看過できない。

事実認定については「要件事実と主観的に争点設定した新様式判決書の事実摘示の分裂の影響も大きい」と指摘したが,要は,新様式判決書は,権利の発生,消滅に係わる要件事実を論理的の構成するのではなく,主観的な争点を挙げて,それに沿って一気に(「経験則」によって)「事実認定」をして結論を出すという,情緒的,主観的かつ非科学的な手法になっている。これが「役人根性」と結び付くと何が起こるかは容易に想定できる。

(2) プロフェッショナル論

ⅰ 「プロフェッショナルの未来 AI、IoT時代に専門家が生き残る方法 」(The future of the profession)(著者:リチャード・サスカインド, ダニエル・サスカインド)を検討する。

「これまでの専門職は、社会において知識の管理・活用を任された「門番」のような存在であったと位置付けられている。人間が一人であらゆる知識を頭に詰め込み、活用するなどということはできない。そこで私たちは、専門家に個々の専門領域における知識の管理を任せ、その役割に見合う特権的な地位を与えた。しかしいま、社会は「印刷を基盤とした産業社会」から、「テクノロジーを基盤としたインターネット社会」へと変貌を遂げつつある。変化はまだ完了しておらず、移行期特有のさまざまな弊害が表れているものの、「テクノロジーを基盤としたインターネット社会」においては、知識の生産・流通のあり方が大きく変わる。専門家の役割もきく変わる。その仕事は細かなタスクに分解され、他の人々に任せることができるものは委託され、一部は高度に進化した機械によって置き換えられるだろう。こうして知識を生産・流通する新たなモデルが生まれ、専門職に携わる人々も、その中で新たな役割(それは従来の「専門家」とはかけ離れたものになるかもしれない) を見出すようになると考えている。」。

これについては一度Webで論じたことがある。

「専門知識を提供する仕事の明日はどうなるか そのような仕事に携わるすべての人に一読をお勧めする…この本の著者のサスカインド親(リチャード・サスカインド)は,イギリスの法律家で,かねて「The End of Lawyers?: Rethinking the nature of legal services 」や「Tomorrow’s Lawyers: An Introduction to Your Future」を書いて,ITが法律業務をどう変えるのかということに論陣を張っていたが,この本は,子のダニエル・サスカインドとの共著で,視野を専門職一般に広げ,ITとAIがこれらの専門職のありかたをどう変えるかを,詳細,緻密に論じている。しかし問題は専門職に止まらず,必要としている者にまともな「知識」を提供することを生業とする仕事は,明日はどうなるかと捉え返すことができる。専門職として取り上げられ(第2章)当該業務へのIT・AIの浸透状況が検討されているのは,医療,教育 ,宗教,法律,ジャーナリズム,経営コンサルティング,税務と監査,建築である。この章だけでも,IT・AIについて,まっとうな観点からの新しい情報として一読に値する。特に医療は,今後完全にIT・AIに制覇されるし,それが必要不可欠なことがよくわかる。その他の業務については,内容も方法も,凸凹がある。

もともとサスカインド親は,80年代に法律のエキスパートシステムの開発を志し,上記の2著作もまさに法律業務をターゲットにしている。したがってこの本が順を追って専門職の業務内容を分析し,いかにその業務の多くがIT・AIによって置き換えられるかを懇切丁寧に論じているのは,主として頑として動かない法律家を対象にしていることは明らかである。

ところで,専門職で使う分析手法を,定性的,定量的と分ければ,定量的な部分が大きいものは,文句なしに,IT・AIになじむし,そちらの方が効率的だから,その仕事の一部がIT・AIに置き換えられていくのは当然だろう。実際上記であげられた専門職の中でこれまでの仕事のありかたを変えることに抵抗があるのは,法律と教育ぐらいではなかろうか。しかも教育は予算が付けば 柔軟に変わるだろうし(宗教,,ジャーナリズムは,その業務内容もIT・AIの利用方法も意味合いが違うだろう。)。したがって,著者の論述の限りで,専門職や,それに止まらず「専門知識」を提供するすべての仕事にとって,この本の分析が核心を突き,大いに参考になるのは間違いない。」。

ⅱ 弁護士業務でのAIの利用についての諸外国の実情

5の第2,2 弁護士業務での利用について,及び同第3,5 ABA TECHSHOW

「Artificial Intelligence and Legal Analytics」(by Ashley, Kevin)

「The End of Lawyers?: Rethinking the nature of legal services 」

「Tomorrow’s Lawyers: An Introduction to Your Future」

5 2019年9月7日 弁護士業務改革シンポ 第2分科会「やっときた!もうすぐ実現,e裁判。次はAI考えよう。

(1)目次

第1 裁判のIT化について   1 諸外国の現状について 2 日本の現状について

第2 AIについて   1 AIの現状 2 弁護士業務での利用について

第3 シカゴ調査報告   1 イリノイ州上訴裁判所 2 シカゴ弁護士会  3 カークランド&エリス法律事務所での意見交換  4 本人訴訟団体との意見交換  5 ABA TECHSHOW6 終わりに

(2)裁判のIT化について

ⅰ 日本の現状について…「未来投資戦略2018」

司法府による自律的判断を尊重しつつ,民事訴訟に関する裁判手続等の全面IT 化の実現を目指すこととし,以下の取組を段階的に行う。

・ まずは,現行法の下で,来年度から,司法府には,ウェブ会議等を積極的に活用する争点整理等の試行・運用を開始し,関係者の利便性向上とともに争点整理等の充実を図ることを期待する。

・ 次に,所要の法整備を行い,関係者の出頭を要しない口頭弁論期日等を実現することとし,平成34 年度頃からの新たな制度の開始を目指し,法務省は,来年度中の法制審議会への諮問を視野に入れて速やかに検討・準備を行う。司法府には新たな制度の実現を目指した迅速な取組を期待し,行政府は必要な措置を講ずる。

・ さらに,所要の法整備及びシステム構築などの環境整備を行い,オンラインでの申立て等を実現することとし,法務省は,必要な法整備の実現に向け,来年度中の法制審議会への諮問を視野に入れて速やかに検討・準備を行う。

・ また,法務省は,オンラインでの申立て等の実現に向けたスケジュールについて,司法府の環境整備に向けた検討・取組を踏まえた上で,来年度中に検討を行う。

ⅱ 裁判のIT化について  諸外国の現状について

6 AI・IT法務

・「ロボット・AIと法」(宍戸常寿編)

・アジャイル開発と契約

・持続可能性を組み込む

サイトのデザインを改善する-備忘録

サイトのデザインを改善する4つの方法

 この記事は,今実行しつつあるWebサイトの移行の際に,サイトのデザインを改善する方法を,備忘のためにまとめたものである。参考になる人もいるだろう。

 WordPressのサイトのデザインを改善する方法として,大別して4つの方法がある。

 ① エディターによる

 ② 「カスタマイズ」する

 ③ CSSを編集する

   ④ テンプレートを編集する

①のエディター

 ①は,そのページの文書に手を入れるというワープロレベルの文字の装飾作業なので,誰でも多少なりともしていることだろう(プラグイン「TinyMCE advanced」を導入するとできることが少し増える。なおこのプラグインの高度なオプション「Keep paragraph tags in the Classic block and the Classic Editor」をチェックしておくと,ビジュアルとテキストを行き来するときに起こる整形崩れを防止できる。)。エディターをGutenbergにすると更にいろいろなことができそうだが,その分,混乱しそうだ。Gutenbergへの移行は,後日とする。「TinyMCE advanced」は,Gutenbergにも対応している。

②の「カスタマイズ」

②の「カスタマイズ」には,WordPress本体,テーマ(私は,今は,Lightning Proを使用している。これにデザインのための専用のプラグインが二つ付加される。VK ExUnitとLightning Fortである。),そしてプラグインによって設定できる項目の大部分が集まっている。「カスタマイズ」に表示される項目は,使用するテーマによって全く異なっているようだ。WordPress本体やプラグインでの設定との関係が分からない点もある。これらのプログラム全体は非常に複雑になっているので,当然,バグもある。したがって「正解」を求めてその解明にこだわるのはあまり生産的ではない。触って少しずつ理解し,できる範囲で設定するのがいいのだろう。
因みに私の上記の環境での「カスタマイズ」項目は,「サイト基本情報,メニュー,ウイジェット,ホームページ設定,追加 CSS ,関連記事,Lightningライセンスキー」,「Lightning font awesome」,「Lightningヘッダー上部設定」,「Lightningデザイン設定」,「Lightningトップページスライドショー」,「Lightningトップページ PR Block」,「Lightningページヘッダー設定」,「Lightningコピーライト設定」,「Lightningアーカイブページレイアウト」,「Lightningフォント設定」,「Lightningモバイル固定ナビ」,「Lightning Google タグマネージャー」,「ExUnit設定」である。
ウイジェットと「ExUnit設定」の詳細が今ひとつピンとこない。Lightning ProかLightning Fortは,最初からサイドにウイジェット設定しているのか,あるいは原因は他にあるのか,今のところ,投稿画面でずらずらと並んだアーカイブが消せない(→そのとおりだと,サイドバー(投稿)のウイジェットに説明があった。おやおや。)。その他にも今一つ分からないものがある。それはどうでもよさそうだ。

③のCSSの編集

これは今までもやってきたことだが,改めてやろうとすると,混乱してしまう。

要は,CSSを書ける場所を探し(今の私の環境では「カスタマイズ」の「追加 CSS」),そこにセレクタとCSSを書けばいいだけだ。CSSの書き方と種類はいろいろな情報をみていくとどうにかなるが,問題は,セレクタだ。特にClassセレクタ(.)とidセレクタ(#),子孫セレクタ(半角スペース),複数セレクタ(,),疑似クラス(マウスが載っている場合は :hover)の書き方は,すぐに忘れてしまう(「WordPress はじめてのデザイン&カスタマイズ入門」の222頁以下参照)。

 さらに問題は,CSSを適用したいセレクタの見つけ方だ。これもやり始めると嫌になるが,とにかく,「①変えたい場所を右クリック,②「検証」をクリック,HTMLがElements,CSSがStyles,③「4角で左上矢印の記号」をクリック,変えたい場所にマウスを持って行く(変えたい場所とElements,Stylesの色が変わる),④そこで該当すると思われるElementsを右クリック,でてくるCopy1,Copy selectorをクリックすると,該当するセレクタがコピーされるので,貼り付ける」という手順だ。シミュレートもできる(上掲書228以下参照)。

④のテンプレートの編集

これは時間があったらどうぞということだが,これはやめて発信する情報に専心することが大事だと思う。

 

サイト移行記 中間報告Ⅱ Terrible!

軽率さを噛みしめる

2週間前の前回の「中間報告」(2019年8月18日)で,今後の課題は,「データの移転,閲覧者のRedirection,誘導,これまでの利用システム等の縮小,解約等の技術的な問題が残っている。もちろんコンテンツの内容のブラシュアップ,デザインの改善等々,ずっと続く課題である」と記載した。

データの移転は,ひとつずつ手作業のコピペでやることを,いっぺんに移転できれば便利だねというレベルの問題なので,ついつい気が緩んでしまった。サイトの記事の移転というネット記事に何個か目を通し,そんなもんねと,どう移転されるのかという「結果」の確認を怠ったまま,サイト全部の移転のプラグインを利用し「実行」してしまった。結果,作成中の「未来の法律事務所」の多くの個所が「弁護士村本道夫の山ある日々」で上書きされてしまい,しかも文字コードもおかしかったようで,手の施しようがない状態になってしまった。Give Up!

最初から(すなわち,サーバーにWordPressをインストールところから)やり直しをした!

復習と思えばいいのだが,あれあれというところもあったし,一番堪えたのは,新しく何個か作った固定記事について,途中からWordPressのエディターで仕上げていったので,それが消えてしまったことである。一度完成させた原稿をほぼ最初から作り直すのは疲れる。

そうこうしているうちに,仕事の起案に手が取られるようになり,渋滞気味である。

でも再現しつつあれこれ考えていると,違うアイディアもでてきて,それはそれなりに楽しい。でもこれは「趣味」の世界だ。

現状報告

現状であるが,やり直しの地点は大分過ぎたし,「弁護士村本道夫の山ある日々」の投稿記事は,あれこれ手を加えなければならないが,別のプラグインを利用し,一応,一括移転ができた。

あとは固定記事であるが,これは全体のメニュー構成との関係もあるので,必ずしも一括移転する必要はないかもしれない。

今日は8月の最終日。「この夏の課題-「未来の法律事務所」へ」と華々しく宣言をしたが,今日は公開できなかった。ただcom.の「ビジネスコース」が10月何日かで終了するので,公開は9月半ばをめどとしよう。

「持続可能な世界」,「DX,AI,IT」と新しく作ろうと思っている項目の内容を考えるのは楽しい。「老後の楽しみ」ではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイト移行記 中間報告

現状

前回の投稿「この夏の課題-「未来の法律事務所」へ」に記したように,2019年のお盆休みを利用して,Wordpress.orgに「未来の法律事務所」を作成し,Wordpress.comからこのWebを移行する作業に取り組んでいる。

サイト全体の単なる引っ越しではなくて,構成,内容も見直しつつなので,始める前は,深淵に引きずり込まれるような「徒労感」があったが,やり始めると,あれこれつまずきながらであるが,現状,ほぼ目的地が見えてきた。備忘をかねて,中間報告をしよう。

備忘-様々な問題

今回の作業は,「弁護士村本道夫の山ある日々」がいつまでたっても仕事のサイトと見てもらえないので(原因は,ひとえに作成者にあるわけだが),内容を見直そうと思ったのが動機なので,最初からOrgに移行すると決めていたわけではないが,やり始めてみると何とかなりそうなのでOrgに移行することにした(レンタルサーバーは,Comのビジネスプランより安価でMS Officeが5セット利用できるサービスがあったので,早晩移行しようと思い2年前に加入していたが,そのままになっていた。)。

今の   WordPressの最大の問題は,エディターをGutenbergにするか否かであるが,所詮エディターの問題なので,移行後の課題とした。WordPressを利用し始めた最初の頃,エディターの自動整形機能には凝りていたし,英語圏でも評判が悪すぎる。

WordPressのテーマは,和製のLightning Proとその機能を拡張するプラグインであるLightning Fortの組み合わせとした。7000円弱である。

ところがLightning Proが共用サーバーにインストールできない。あれこれ調べると,インストールできるデータ容量の上限の問題であることがわかり,おまじないのようなiniファイルを作成して FTPでサーバーにインストールした。これだけでも結構ストレスだ,同じく容量の問題が,このWebのデータ全体の移行でも生じている。

テーマのLightning Pro+Lightning Fortのカスタマイズ画面は,今までのComのビジネスプラン+Lovecraftのものと全く違っていてかなり戸惑った。というより,インストールした時点でサンプルがあるのだが,それがトップページ(フロントページ),固定画面,投稿画面,ウィジットとどういう関係があり,どこをどうやって自前のWebを作っていけというのか,根本的なナビゲーションが欠けている。私は,一応,Comでのテーマの入れ替えの経験があるので,あれこれ触っているうちに大体理解できたが,細かい部分に手を入れるのは,これからだ。大雑把にいえば,トップページ(ホームページの表示)は「最新の投稿」にし(「固定ページ」にするとどうなるのかよく分からない。Lovecraftではそれが簡単だったのだが),ヘッダーとトップページ・スライドショー,PRエリアを作成し(pixabayやfont awesomeの使用法も試行錯誤だ。),あとはウィジットで調整すればいいのだろう。

私がComで使用していたウィジットに「人気の投稿とページ」や「翻訳」があるが,これはComのプラグイン「JETPACK」の機能のようだが,Orgではどうか。Orgでも「JETPACK」は無料で利用できと聞いていたが,インストールしようとすると有料画面が出てくる。頑張って有料を押さないで先に行くと,無事無料版がインストールできた。しかし,上記のウィジットが見当たらない。無料版ではだめなのかとググってみると,デバック画面から設定できるらしい。無事設定完了。

新しいコンテンツとして「持続可能性」と「DX・AI・IT」を始めることにしたが,トップページ・スライドショー,PRエリアでの表示内容を考えながら,今までどおりの固定ページの内容を考えているうちに大分かんがえがまとまってきた,今まで,「問題解決と創造」であれこれ考えていたからだが,2015年のSDGs,足下のAIブームを考えると時宜にかなっているし,私の残された人生を託すに値する重要な問題である。

本の森は,書評ではなく,私が設定した問題(法とルール,持続可能性,DX,問題解決のヒント)に関連する情報として,大げさでなく取り上げていこう。

残された問題

SSLの設定(その後完了。適切な説明がないが,とにかくサーバーサイドで無料SSLの設定をし,WordPress側の一般設定で,ドメインをhttpsに書き換えてなんとかなった。慎重にやらないととにかくお金を取られる方に誘導されてしまう。),データの移転,閲覧者のRedirection,誘導,これまでの利用システム等の縮小,解約等の技術的な問題が残っている。

もちろんコンテンツの内容のブラシュアップ,デザインの改善等々,ずっと続く課題である。

この夏の課題-「未来の法律事務所」へ

このWebを「未来の法律事務所」と改題し内容を見直します

これまでこのWebは「弁護士村本道夫の山ある日々 法を問題解決と創造に活かす」として運用してきました。Web作成の最初期は,確かに私自身が山行に明け暮れた「山ある日々」と重なっていましたが,100名山を完登したあとは次第に山から遠ざかり,名前倒れになっていました。愛着はあるのですが,このままでは相変わらず趣味のWebのように見えて中身が伝わりにくいので,未来を見据えた弁護士活動をするという趣旨で「未来の法律事務所」に改題します。この夏の間に必要な手を加えます。

未来?

ただ私にとって未来というのは,なかなか微妙です。昔ならそろそろ「引退」を考えてもいい年になり,心身共前途多難だろうと思う一方,今私が考えていることは,2052年に持続可能な世界を創る活動に弁護士として参画し,これを見届けたいということです。

「2052」というのは,1972年にローマクラブから委託され,ドネラ・メドウザ,デニス・メドウザさんらと一緒に「成長の限界」を書いたノルウエーのヨルゲン・ランダースさんという科学者が,2012年に,その間の40年の地球の劣化を振り返り,40年後の2052年を予測した「2052 今後40年のグローバル予測」という本が予測対象とした年です。そのとき地球は,何とか破滅は逃れるだろうが,その後は決して甘くないという見通しです。

2052年は33年先ですが,平均余命が20年くらいなので,私が2052年を見届けるのはだいぶ苦しい。ただメドウザさんらの本を翻訳したシステム思考家の枝廣淳子さんに「人生のピークを90代にもっていく!」という本があって,これに倣って生きていけば大丈夫。でも枝廣さんには,「朝2時起きでなんでもできる!」という本もあって,徹底の仕方が半端ではない。

「未来の法律事務所」の内容

未来の法律事務所は,「持続可能な世界」を創造するための「法律サービス」を提言,実行することを主目的とします。

「持続可能な世界」を創造するためには,企業は,「持続可能な世界」という枠組みの中で,財の生産・消費と投資をすべきですし,投資家はESG投資という観点からこれを評価します。政府も,「持続可能な世界」を創造するために,立法,政策実行をすべきです。弁護士はそのための企業,政府の活動を,支援し,監視し,是正します。

「法律サービス」には,もちろん,個人や企業の価値・権利を擁護する通常の弁護士としての活動内容も含まれますが,価値・権利も「持続可能な世界」という枠組みの中に位置づけられるべきです。

「未来法律事務所」はこのような観点から「法律サービス」と「持続可能な世界」についての情報を提供し,実行します。

また「DX」もそのための方法として考察し,さらには,「問題解決」に遡って考察します。

「DX」については,プロジェクトに参加する予定があります。「AI時代の弁護士業務」という論考も作成します。

これらの記事については,これまでの記事が生かせるものもありますが,相当部分を新たに書き下ろし,修正する必要があると思っています。

技術的な問題

技術的な問題については,出来るだけ負担を軽くしたいと思います。

Webのベースは今までどおりWordPressで何の問題もないのですが,comのままにするか,orgにするかという問題があります。自分でサーバー管理をすると余計な問題が生じる可能性もありますが,orgの「自由」は魅力的です。だいぶ手を加えるとすると,新たにorgにしたい気もします。新しいEditorのGutenbergをどうするかという問題もあります。少し考えましょう。

テーマは,Lightningにしようと思っています。写真も利用しやすい環境になりましたが,私は写真を撮るのが致命的に下手なようです。だから見栄えはあまり変わらないかもしれません。

なお「未来の法律事務所」はWebの題名です。私はこれまでどおり「カクイ法律事務所」で弁護士として執務しています。

 

 

Amazon雑感…複雑すぎるシステム

英字新聞の配信が途絶えたこと

最近はネットで英文の情報があふれているので,英字新聞を読む人も減ったのではないかと思う。日本のAmazon(Kindle)では,英字新聞の配信サービスはなさそうだ。

私は,まだ日本でAmazonのサービスが始まる前にアメリカのAmazon.comに加入し,Kindle機も「輸入」し,Kindle本(英語の本しかないが)を購入していた。そのとき,英字新聞(Mainichi)も自動継続で購入し(月額10ドル程度だったと思う。),毎日,配信されていた。やがて日本のサービスであるAmazon.co.jpが始まり,「アカウント結合」をすると,アメリカのAmazon.comで購入した本も読め,英字新聞(Mainichi)の配信も継続していた。ただし「アカウント結合」には問題が多く,その後いろいろと悩まされたが。

それが,1年くらい前に何かの通知が来て英字新聞(Mainichi)が配信されなくなったので,継続の手続だったのかと思い,あれこれやってみたが,配信を再開できなかった。基本的に,Amazon.co.jpからは,Amazon.comのサービスは購入できないということのようだが,同時に購入を始めたNewsweekの配信は継続されているのでよくわからない。「アカウント結合」や「居住国」の設定(これは何が起こるか分からないので,私は触らない)も関係ありそうだ。結論は,「どうすればいいかわからない」である。Amazonに聞いてみればいいだろうと思われるだろう。しかし経験者はわかるだろうが,Amazon.co.jpは,Amazon.com,あるいはアメリカのAudibleに関わる問題は「うちではわからないので,そちら聞いてくれ」と,必ず対応する。おかしいと思うが,それぞれのサービスの関係,Kindle機,Fire機のハード,ソフトの進展,「アカウント結合」,それに電子書籍以外の膨大な業務等を考えると,正確に回答できる者を探す方がむつかしいのだろうと考えることにしている。

英字新聞の配信を受けたい

英字新聞(Mainichi)の配信を受けているときは,時折目を通すぐらいたったのだが,全くなくなると妙に気になる。何とか安価な英字新聞(Mainichi)の配信を再開させたいと,ときどき思うようになった。

ところで先週,プライムデーという,プライム会員用のバーゲンがあった。特に何かを買おうとは思っていなかったのだが,タイムセールで最新のFire 7の32Gが5000円台であるのを見かけ,これで新しいAmazon.comのアカウントを作成すれば,英字新聞(Mainichi)の配信を受けられるのではないかと思い付き,購入して実行してみた。

「出来た!」。2019年7月19日号から配信されている。今は無料期間だが,多分,月額10ドルくらい(5ドルという表示も見かけたような…)。

様々な問題とImmersion Reading

Fire 7でAmazon.comに加入するために,言語を英語にして,居住国をアメリカにし,カード情報を記入する。それでAmazon.comが利用できるようになり,英字新聞(Mainichi)が購入できた。

そうすると,Fire 7の上部のメニューに,「Books」等に加え,Amazon.co.jpにはない「Audible」,「Newsstand」が表示される。英字新聞(Mainichi)は,「Newsstand」で管理することになる。

興味深いのは「Audible」だ。私は,最初にAmazon.comに加入したときにアメリカの「Audible」(英書の朗読データの販売)の会員となり,それはAmazon.co.jpで購入したFireでは聞けたのだが,Amazon.co.jpが日本の「Audible」を始めたときから,その後,Amazon.co.jpで購入したFireでは聞けなくなってしまった。スマホでは聞けるのだが。もうその状態が何年も続いており,Amazon.co.jpは変える気はないようだ。

それともう一つの問題は,アメリカの「Audible」ではKindle英書とその朗読データを購入すると,Immersion Reading(読み上げている個所をKindle英書にハイライトする機能)が利用できるとあるのだが,日本ではそれが不可能だった(今回の方法をとればできたのかもしれない。)。

それで「Audible」という表示を見たときに,Amazon.comでKindle英書を,「Audible」でその本の朗読データを購入すると,Immersion Readingが利用できるのではと思い付き,Kindle英書とそれに対応する朗読データを購入してみた。

「出来た!」。それにこのように購入すると,「Audible」で朗読データが安くなることも多い。

今回購入したFire 7を「英語学習機」と考えれば,このような機能に加え,Kindleでは多くの辞書や無料本が利用できるし,使い出がある。

なお,不思議なことも多い。居住国をアメリカに設定し,アドレスに日本の住所を記入したが,これはカード情報だけの問題なのだろうか。今回購入したFire 7だけかどうかわからないが,英語表示を日本語表示に変えるとそのまま「オーディブル」とか「ニューススタンド」と表示される。アカウントをAmazon.co.jpのものに切り替えれば,この表示はされないのだろう。アメリカで購入するFire 7はどうなっているのだろうか。「Video」には,日本のプライムが表示されているが,なぜだろう。

1か月の間が空いた!!

この記事は前回の投稿から1ヶ月間が空いてしまった。大した理由もなくて,最初の2週間ぐらいは,「生産性」の本を読みつつ,このWebも焦点を絞ろう等と考えているうちに,長い書面書きが3本重なってしまい,こちらに手が付けられなくなった。一応終了したので,これから焦点を絞ってWeb記事を作成しよう。

 

 

 

 

「Think clearly」を読む

「Think clearly 最新の学術研究から導いた,よりよい人生を送るための思考法」(著者:ロルフ・ドベリ)(Amazonにリンク
「The Art of the Good Life: Clear Thinking for Business and a Better Life by Rolf Dobelli」(Amazonにリンク

自分の生活と仕事を見直すために

丸善も薦める本

東京駅近くの丸の内オアゾに丸善の本店がある。そこの1階から2階,2階から3階へのエレベーターの脇に,同じ本の大きなポスターが何枚も張ってある。気が付くと最近は,「センスメイキング」,「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」と,いずれも私が先にKindleで購入し評価していた本だったが,今は(2019年6月中旬),本書「Think clearly」のポスターが張ってある。私は本書もポスターの張り出しに先行してKindleで購入し,前2書以上に評価していた。取り急ぎ紹介したい。なお本書は「連休を振り返る」「仕事について考えよう」で書名だけだが挙げておいた。

本書は52の論考からなっており,著者はその内容を,よりよい人生を生きるための「思考の道具箱」(Thinking for Business and a Better Life)とまとめている。

著者はスイス人生まれでドイツ語でこの本を書いているが,もちろん英訳されている。ドイツ語からの邦訳,英訳時にどちらかに(どちらも?)若干の編集が行われているようで,論考の並べ方が異なっている。

よりよい人生を生きる?

「よりよい人生を生きる」といわれるとこそばゆいが,著者は次のようにいう。
「よりよい人生を手にするのは,けっしてたやすいことではない。賢いといわれている人たちでさえ,人生でつまずくことがは多いのは,人間は,自分たちがつくりあげた世界を,もはやわかっていないからだ。いまや人間の直観は,信頼できるコンパスではない。そして,私たちはこの不透明な世界を,別の世界のためにつくられた脳を駆使して生き抜こうとしている。別の世界とは石器時代である。私たちに搭載されているソフトウェアもハードウェア(つまり私たちの脳)も,マンモスが草を 食んでいた時代のままだ。文明の発展が速すぎたために,脳の進化はそのスピードに適応できていない。だからいつでも使える「思考の道具箱」を用意しておけば,世界をより客観的にとらえ、長期的によい結果をもたらす行動ができるようになる」。

この状況認識-(私の言葉でいえば)言語とテクノロジーの蓄積,交錯によって世界は劇的に複雑化しているが,(目的手段推論付き)オシツオサレツ動物である人間はこれに適応できていない-から,「思考の道具箱」を用意したというのである。

思考の道具箱

著者が用意する「思考の道具箱」の出典は,「ひとつ目は,過去四〇年にわたる心理学研究の成果だ。精神心理学,社会心理学,ポジティブ心理学,ヒューリスティックスおよびバイアス研究,行動経済学,臨床心理学,それに,認知行動療法の中でも特に効果の高いものも取り入れてある」と説明される(まとめて「行動経済学と呼ぼう)。ふたつ目は,ストア派の思想,三つ目は,「投資関連書籍だ。ウォーレン・バフェットのビジネスパートナーであるチャーリー・マンガーは,世界でもっとも成功しているバリュー投資家のひとりだが,現代に生きる偉大な思想家のひとりでもある」とされる。

このポジションの取り方がなかなか素晴らしい。人の誤りやすさに焦点を当てた科学である心理学(行動経済学)は,広くいきわたりつつあるが,どうしても人はこんなにも誤った思い込みをしているという「アンチテーゼ」に力点が置かれ,「そのあとどうするの」という点で説得力に欠けがちだ。しかし本書は心理学(行動経済学)に加え,権勢の中で質素に生きることの誇りを説くストア派,長期間にわたって成功し続けている投資家と,いずれも迫力あるただならぬ気配を漂わせる言説を加えることで,「今からどうするの」に応えている。

私はこれまでチャーリー・マンガー(+ウォーレン・バフェット)は全く視野に入っていなかったが,著者の本書での紹介に加えて「完全なる投資家の頭の中-マンガーとバフェットの議事録」(著者:トレン・グリフィン)(Amazonにリンク)を読むと,人の行動がどういうものであり ,成功する企業がどういうものであるかについての「メンタル・モデル」は確かに卓越している。

いずれにせよ,上記の状況認識の中で,誤りやすいことを充分に理解して前に進もうとすることで,よりよい人生を切り開こうとする著者の「思考の道具箱」には,リアリティがある。

3点支持

そこで,直ちにわかるのは,この「思考の道具箱」は思考するためにあるのであって,「信仰」の対象ではない。マンガーに関する本書か,上掲本のどこかに,マンガーが,「メンタル・モデル」の総数はせいぜい80か90だといったら,それを教えてくれという問い合わせが殺到したということが書いてあった記憶があるが,そういうことがだめなんだろうなと思う。

山登り(岩登り)の基本技法に3点支持がある。四肢(手足)のうち三肢で体を支える,一肢を自由にして次の手がかり・足場へ移動する技法だ。3点支持,3点支持と唱えるだけで岩場ではずいぶん落ち着く。

私には,この3点支持という言葉が,著者やマンガーの流儀にふさわしい気がする。3点というのは,上記の本書の3点の出典という意味も含んでもよいが,それに限らず「思考の道具箱」,「メンタル・モデル」を利用しつつ,出来るだけ自分の頭で確実な支点を確保して(せいぜい3点だろう),そこから次の地平を自由に目指すが,確保した3点も確実ではなく,たえず行動は試行錯誤に晒されるという意味も含むだろう。

本書の使用法

本書の使用法というのも変ないい方かもしれないが,本書の52の論考を,最初からずらずらと読んで理解し,ここはいいなあ,これはなんだというような反応をしていただけではあまり役には立たないだろう(上述したように,邦訳,英訳で順番が違う。後掲する)。

本書はの読み方として一番いいと思うのは,まず52の論考を,自分なりのカテゴリーを作って(例えば,「行動することと考えること」,「人生哲学」,「複雑な世界」,「日常のあり方」,「ビジネス」とぢてみたが,うまくいっていない),並び替え,相互の関係を検討してみるということである。本書が素晴らしいのは。その8割方はきわめてまっとうなことが書いてあることで,全体の構成についてあまり不安に陥らず,これは良さそうだが,これらは矛盾している,共通する点があるとすればそれは何だろう等々と,思考実験を含め,自分にとって確実な支点を確保することで,自分がこれから何をやるかに,役立てることができそうなことだ。ついでに邦訳と英訳をランダムに読んでみるといろいろと発見もある。ただ金科玉条にするものではなく,突っ込みどころ満載だ。

私が気に入った点

私が本書で気に入った点は,何点かあるが,まず「複雑な世界」のことは分からないから「複雑すぎる質問」の収納箱を作って入れて置こうということであろうか。私はどちらかといえば「複雑な世界(システム)」の全体像を解明しようと思ってきたが,できないことはできないので,自分が手に負えることだけすればよいという「道具箱」は救われる。私は,制度(システム)全体をにらみつつ,そのなかで,ルロール(法)の機能と制御を考えて行けばいいのかなと改めて思った。そんなに時間もないし。

でてくる人,本も,「幸せな選択,不幸な選択」(ポール・ドーラン ),「失敗の科学 失敗から学習する組織,学習できない組織」(マシュー・サイド),ダニエル・カーネマン,ファインマン,バートランド・ラッセルと等々と,常識的で好感が持てる。

フォーカスイリュージョンの指摘も重要だし,出来るだけ試した方がいいということで,秘書(の面接)問題の指摘もある。ひとりの秘書の採用に100人のの応募があったとき,面接と決定はどうすればよいか。「「最初の37人」は、面接はしても全員不採用にして、ひとまずその37人の中でもっとも優秀な女性のレベルを把握する。そしてその後も面接を続け、それまでの37人のうちもっとも優秀だった人のレベルを上回った最初の応募者を採用する」というのが「唯一の正解だそうだ。数学的な説明は例えば「高校数学の美しい物語」「秘書問題(お見合い問題)とその解法」(外部サイトにリンク)にある。

その他「生き方」というレベルでの対応や,「ビジネス」についての言説も鬼気迫るものがあるが追って紹介しよう。

一方,デジタル関係は苦手なようだ。著者は。静かな生活を送るには退けるというが,好きで飛込みたい人もいるだろう。読む本も1年20冊という。これで済めばいいが,私もあれこれ追いかけはやめよう。

次に,邦訳の順番に,英訳を付加して,52の論考を並べる。

 

「高齢者の法律相談に回答する-私たちの生活と終活-」を作成する

-高齢者の法律相談に回答する1-

何をしたいのか

「高齢者の法律相談に回答する-私たちの生活と終活-」という項目を作ってみようと思う。

私も一歩を踏み入れつつある「高齢者」の「生活と終活」についての(私自身も関係する)様々な問題について,「法律問題」を主軸にしながら,もう少し視野を広げて,回答,調査,説明することにしてみたいと思う。

最近は「高齢者」に関する本も多く出されており,参考になるが,一番の問題は,高齢者として,あるいはその家族として,何から手を付ければいいのか,何が問題なのかが,いくら本に囲まれても,それだけでは分からないということであろう。もちろん,地域,職場には相談に乗って下さる方もいるであろうが,この複雑な社会の当事者の状況も千差万別である中で,公私の制度をにらみつつ,様々な問題に適切に回答するのは簡単ではない。

それは私にとっても同じだが,弁護士という立場から検討できることと,私にとっても切実な問題なので,ある水準は確保できるであろう。

当面,次の2冊をとっかかりにしよう。いずれも「辛口」の本である。

超高齢社会の法律,何が問題なのか」 (著者:樋口範雄)

超高齢社会の基礎知識」(著者:鈴木隆雄)

構成

高齢者にとってもっとも切実な問題である「居場所と食動の確保」を柱としよう。その次は,いわゆる終活である。そしてこれらを円滑に進めるためには,現況を記録することが重要だ。これらについて弁護士へ相談したりとホームロイヤーを依頼することも考えよう。

加えて,毎日を充実させるために,「健康」,「生活の彩り」,「高齢者を論じた本を読もう」を取り上げよう。

今考えている構成は,次のとおりだ。

  • 居場所と食動の確保
    • 基本的選択
    • 介護と医療
    • 意思決定と遂行-管理者・補助者の依頼
    • 資金手当
      • 資産
      • 仕事と事業
  • 終活
    • 遺言
    • 終末医療
  • 現況を記録する
  • 相談とホームロイヤー
  • 健康
  • 生活の彩り
  • 高齢者を論じた本を読もう
    • 超高齢社会の基礎知識
    • 日本人の勝算
    • ライフシフト(LIFE SHIFT)
    • ケアを問いなおす
    • 超高齢社会の法律、何が問題なのか
    • 東大がつくった高齢社会の教科書: 長寿時代の人生設計と社会創造 東京大学高齢社会総合研究機構
    • 東大が考える100歳までの人生設計 ヘルシーエイジング 東京大学高齢社会総合研究機構
    • 未来の年表1,2

次の「項目」に関連する記事が載っている。

私が考えること

ここで私が取り上げていることは,主として高齢者個人から見た「問題解決」である。だが高齢者にとっても社会における「価値創造」,社会への「参加」が重要である。それがたとえほほえみであっても。それが生きるということだろう。

 

様々なる意匠

未読・半読・一読の本 6 (19/06/10)

「様々なる意匠」を思い出す

ここ最近,某市がした公文書非開示処分についてその取消し,及び文書の開示を求めて提訴した行政訴訟の準備書面を書いていて時間がとられ,併行してあれやこれやの本に目を通しているものの,記事の投稿はできなかった。

そういうあれやこれやの中で「人類が永遠に続くのではないとしたら」(著者:加藤典洋)(Amazonにリンク)を読んでいで,ふと「様々なる意匠」という言葉が頭をよぎった。

小林秀雄の本はとっくに処分していたので,Kindle本で探すと,「Xへの手紙・私小説論」(著者:小林秀雄)(Amazonにリンク)に収録されていることがわかったので早速購入して読んでみた。このようなことができるので,Kindle本(電子書籍)はたまらない(青空文庫には,収録されていないようだった)。

「様々なる意匠」は,率直にいって今読み直すと無内容というしかない「文芸批評」だが,その「表現」レベル‐レトリック‐は今も新鮮で卓越している(末尾で紹介しよう)。内容と関係なく表現だけで人を圧倒できる領域が確かに存在する(ただ,「様々なる意匠」が世にもてはやされたのは,当時の「マルクス主義文学」に異を唱えたという,文脈的な意義も大きい)。

ところで「様々なる意匠」を読んでいて改めて思ったのだが,小林秀雄がこれを書いた当時,「知識人」が知的作業の対象とするのは,「文芸」がほとんどだったということである。自然科学もあったろうがその存在はわずかであり,社会,人文,哲学等々に係る言語表現は,「文芸」が扱っていたといえるのではないか。

マルクス主義は,今考えても,経済思想,政治思想として,当時,もっとも「科学」に近かったといえるであろう(ミクロ,マクロの経済学が確立されるのはずっと後である)。「文芸」しか知らなかった知識人にとって,「社会科学」と称するマルクス主義が登場したのだから,圧倒されたのも無理からぬものがある。それは,1960年代まで続いたような気がする。それももう5,60年も前の話だ。

思想とそれがもたらすことのある害悪

上述したように,私が,「様々なる意匠」という言葉を思い出したのは,「人類が永遠に続くのではないとしたら」(著者:加藤典洋)(Amazonにリンク)を読んでいた時のことである。加藤さんの「思想」は,「様々なる意匠」だなあと思ったのである。

思想というのは多義的だが,ある問題について多面的に十分に調査された資料に基づく論理的な言説(≒科学)が成立していない(あるいは成立しづらい)問題について,ある恣意的な観点と様々な抽象度から,ある資料をつなげ,ある「未熟な言説」を提示することだとしよう。

これは決して「思想」の悪口ではなく,科学が成立していない(しづらい)(古くて)新しい問題について,新しい方法,新しいとらえ方,要は,仮説を提示し,新しい行動を促すという意味で,価値あることであるが,害悪がもたらされることもある。

「思想」の内容によっては(場合によっては「思想」ともいえないような「価値観」であることもあるだろう),その「思想」こそ真実だとし,それを奉じる(実質は単なる錦の御旗にすることも多い)小集団が集団全体を「制圧」しようとする行動の中で,暴力,脅迫,威迫等々がなされることがある。小集団側は「制圧」を目的とすることについて自覚的であるのに対し,残余の多数派は往々にして「善意」である。

マルクス主義は,「思想」を奉じる小集団による集団全体の制圧が悲惨なものになることに洞察を欠き,当然のように悲惨な歴史を生んだ(マルクスの政治的言辞がその素地である気もする)。

この「思想」を奉じる小集団による集団全体の制圧という現象は,実は,史上広くみられるところであり,現代日本でも,政治運動,労働運動,宗教,任意の集団等を問わず,依然として広くみられる。次のような本がある。

  1. 「暴君:新左翼・松崎明に支配されたJR秘史」(著者:牧 久)(Amazonにリンク
  2. 「オウム真理教事件とは何だったのか? 麻原彰晃の正体と封印された闇社会」(著者:一橋 文哉)(Amazonにリンク

ⅰはマルクス主義労働運動についてだが,保守的な立場から対立勢力に暴力をふるい,相手方を蹴落とす労働運動が展開された塩路一郎の日産の労働組合も同様である。

またわが国では,宗教勢力が政治過程,地域社会に進出し,大きな力をもつことが多い。戦前の我が国も,全体としてそうだったととらえることもできよう。もっとも世界の政治は,キリスト教とイスラム教が支配していると考えれば,特異ではないのかもしれない。

オウム真理教もそうだが,かつて宗教団体の「勧誘」の問題が大きな批判を浴びたことから,行動は自重され,問題は沈静化していたと思う。しかし,私の印象だが,最近,某宗派が,政権党になったということから,公私の組織,集団に浸透し,宗教問題というより,実利的な問題について力をふるおうとすることが,私の経験する領域でも起こっている。

「人類が永遠に続くのではないとしたら」を読む

話が横にそれてしまったが,「人類が永遠に続くのではないとしたら」(著者:加藤典洋)(Amazonにリンク)は,豊かさを目指す経済派と,環境,資源の限界を唱える経済派が,相互に無関心であることを「現代社会の理論-情報化・消費化社会の現在と未来」(著者:見田宗介)(Amazonにリンク)を媒介にして,相互浸透させようとする試みのようだ。

「ようだ」というのは,この本は典型的な「思想書」だなあと思いを致したそこから「思想」に関心が移動し,先に進んでいないからである。上述した,論理的な言説(≒科学)が成立していない(あるいは成立しづらい)問題について,ある恣意的な観点と様々な抽象度から,ある資料をつなげてある「未熟な言説」を提示することこそ,まさにこの本の評価にふさわしい。加藤さんは,保険とは何か,原子力の危険性は何か,福島の回復にどれだけの費用がかかるか等について素人として手探りを進め,それを「現代社会の理論-情報化・消費化社会の現在と未来」に落とし込むことは,思想家にしかできない。ここから先には,柄谷行人,吉本隆明が待ち受けているらしい。小林秀雄の舞台は,「文芸」だったが,現代の思想の舞台は,人間の滅亡にまで及ぶ。

次のような本も関係する。

  • 「現代社会はどこに向かうか‐高原の見晴らしを切り開くこと」(著者:見田宗介)(Amazonにリンク
  • 「ポスト資本主義-科学・人間・社会の未来」(著者:広井良典)(Amazonにリンク
  • 「ポストキャピタリズム-資本主義以後の世界」(著者:ポール・メイソン)(Amazonにリンク
  • 「デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか-労働力余剰と人類の富 」(著者:ライアン エイヴェント)(Amazonにリンク

ビジネス・フレームワークを学ぶ

次は,ビジネスだ。

先日,デジタルDSの会合の「ビジネスモデルキャンパス」を使ったワークショップに参加した。何が行われるか知らずに参加したのだが,若い人と酒も飲まずに話したのは久しぶりだ。

いずれにせよビジネスで自立するには,体力も知力も感性も必要だ。「ビジネス・フレームワーク」については,次の2冊の本が参考になる

  • 「ビジネス・フレームワーク図鑑すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70」(著者:株式会社アンド)(Amazonにリンク
  • 「ビジネス・フレームワークの落とし穴」(著者:山田 英夫)(Amazonにリンク

デジタルについては,まだ次の本を検討していない。

  • 「デジタル ビジネスモデル 次世代企業になるための6つの問い」(著者:ピーター・ウェイル, ステファニー・L・ウォーナー他)(Amazonにリンク

このビジネスの前に目の前にあるPC・IT環境を整えたいと思ったのだが,ここでは更にその前の話となる「ネットカルマ 邪悪なバーチャル世界からの脱出」(著者:佐々木 閑)(Amazonにリンク)の出来栄えを吟味したい。

ネットという苦界から,仏教は救いとなるか。

地方自治を適正化する

ビジネスは,他人からいかに自分の活動(商品提供)の対価としてお金をもらうかという問題だが,そのような意識なく,天からお金が降ってくることを前提に活動するのが,中央政府,地方政府である。

政府のことを考えるとそのあまりの醜態に冷静ではいられなくなるが,ここでは最近入手した地方政府について考えるツールを書き留めておこう。

  • 「情報公開事務ハンドブック」(著者:松村 享)(Amazonにリンク
  • 「地方自治法講義」(著者:今井照)(Amazonにリンク
  • 「指定管理者制度のすべて  度詳解と実務の手引」(著者:成田頼明)(Amazonにリンク
  • 「自治体議員が知っておくべき新地方公会計の基礎知識 ~財政マネジメントで人口減少時代を生き抜くために~」(著者:宮澤 正泰)(Amazonにリンク
  • 「実践必携地方議会・議員の手引」(著者:本橋謙治,鵜沼信二)(Amazonにリンク
  • 「地方議会を再生する」(著者:相川俊英)(Amazonにリンク
  • 「地方創生大全」(著者:木下 斉)(Amazonにリンク
  • 「地方創生の正体―なぜ地域政策は失敗するのか」(著者:山下祐介,金井利之)(Amazonにリンク
  • 「地方自治論」(著者:北村亘,青木栄一,平野淳一)(Amazonにリンク
  • 「自治体訴訟事件事例ハンドブック」(著者:特別区人事・厚生事務組合法務部)(Amazonにリンク
  • 「はじめての自治体法務テキスト」(著者:森 幸二)(Amazonにリンク
  • 「事例から学ぶ 実践!自治体法務・入門講座」(著者:吉田勉)(Amazonにリンク
  • 「第3次改訂 法政執務の基礎知識-法令理解、条例の制定・改正の基礎能力の向上-」
    (著者:大島 稔彦)(Amazonにリンク
  • 「改訂版 政策法務の基礎知識 立法能力・訟務能力の向上にむけて」(著者:幸田 雅治)(Amazonにリンク
  • 「自治体政策法務講義」(著者:礒崎 初仁)(Amazonにリンク
  • 「自治体環境行政法」(著者:北村 喜宣)(Amazonにリンク
  • 「まちづくり条例の実態と理論-都市計画法制の補完から自治の手だてへ」(著者:内海 麻利)(Amazonにリンク
  • 「行政法講座1・2」(著者:櫻井敬子)(Amazonにリンク
  • 「行政紛争処理マニュアル」(著者:岩本 安昭)(Amazonにリンク
  • 「法律家のための行政手続ハンドブック 類型別行政事件の解決指針」(著者:山下清兵衛)

高齢者の法律問題

依然として「高齢者の法律問題」という記事は作成できていないが,その中には,健康管理も含まれる。

「スロージョギングで人生が変わる」を読む」という記事を作成したが,日々の調子が悪いとか,時間がとりにくい場合は,もう少し別の簡易なアクセスが必要だ。その場合,「姿勢」はどうだろう。実はいま私はあまり体調がよくないが,それはほとんど事務所で座って作業しているからのような気がする。姿勢を考えたい。姿勢もどうもというひとは,指ヨガとスクワットはどうだろう。

それと,高齢者になるとあれこれ医療情報に左右されてしまうが,目の前の医療情報に飛びつくのは,往々にして賢明ではない。危険な医療が行われたのは,決して昔のこととではないことについて,次の本の記述を読んでみるのがよい。

  • 「世にも危険な医療の世界史」(著者:リディア・ケイン, ネイト・ピーダーセン)(Amazonにリンク

法とルール論

弁護士である私の最大の関心事は,今,原則なくその場しのぎでつぎはぎを重ねて複雑化し(批判を恐れ,原則を定立せずに最初から必要以上に場合分けして無意味に複雑にしたものもある),崩壊一歩手前にあるものも含む法というルールがどうあるべきか,立法はどうあるべきかということであり,それはルールの科学的な探求,研究に基づくとは思うものの,その作業をどう進めればいいかは暗中模索であった(「法とルールの基礎理論」,「「ルールを守る心」を読む」,「「SIMPLE RULES」を読む」)。

これについて,前々から,ゲームをデザインする上でルールは極めて重要であるから,「ゲーム」の研究者がゲームという世界における,ルールの機能を科学的に探求しているのではないかという思いがあった。

今回,「Rules of Play: Game Design Fundamentals (The MIT Press)」 by Katie Salen Tekinbas,Eric Zimmerman(Amazonにリンク)を翻訳した「ルールズ・オブ・プレイ‐ゲームデザインの基礎」(著者:ケイティ・サレン, エリック・ジマーマン)(4分冊になっている。Amazonにリンク)があるのを見つけた。

内容は,「核となる概念」,「ルール」,「遊び」,「文化」の4ユニットに分かれ,「ルール」」を,「構成のルール」,「操作のルール」,「暗黙のルール」の3つの水準に分け, . 創発システムとしてのゲーム,不確かさのシステムとしてのゲーム,情報理論システムとしてのゲーム,情報システムとしてのゲーム,サイバネティックシステムとしてのゲーム,ゲーム理論システムとしてのゲーム,対立のシステムとしてのゲーム,ルールを破るということという順序で考察は進む。

今のデジタルゲームは,ルールを自然言語で記述しないという問題はあるものの,とてもも参考になりそうである。今後取り組みたい。

本書が参考として挙げる本も魅力的に思える。ここでは2書あげよう。その後は備忘のための関連図書だ。

  • 「文法的人間―Information,entropy,language,and life (1984)」(著者:J.キャンベル)(Amazonにリンク
  • 「複雑性とパラドックス-なぜ世界は予測できないのか?」(著者:ジョン・L. キャスティ)(Amazonにリンク
  • 「Legal analysis by David S. Romantz,Kathleen Elliott Vinson」(Amazonにリンク
  • 「The legal analyst by Ward Farnsworth」(Amazonにリンク
  • 「Artificial intelligence and legal analytics by Kevin D. Ashley」(Amazonにリンク
  • 「遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況講義」(著者:株式会社モバイル&ゲームスタジオ)(Amazonにリンク
  • 「ゲームデザイン」(著者:渡辺訓章)(Amazonにリンク

「様々なる意匠」のさわり

「様々な意匠」からさわりの部分を抜き出してみよう。

「吾々にとって幸福な事か不幸な事か知らないが,世に一つとして簡単に片付く問題はない。劣悪を指嗾しない如何なる崇高な言葉もなく,崇高を指嗾しない如何なる劣悪な言葉もない。而も,若し言葉がその人心眩惑の魔術を捨てたら恐らく影に過ぎまい。私は,ここで問題を提出したり解決したり仕様とは思わぬ。「自分の嗜好に従って人を評するのは容易な事だ」と,人は言う。然し,尺度に従って人を評する事も等しく苦もない業である。常に生き生きとした嗜好を有し,常に溌剌たる尺度を持つという事だけが容易ではないのである」。

「批評の対象が己れであると他人であるとは一つの事であって二つの事でない。批評とは 竟 に己れの夢を懐疑的に語る事ではないのか!」。

「私は「プロレタリヤの為に芸術せよ」という言葉を好かないし,「芸術の為に芸術せよ」という言葉も好かない。こういう言葉は修辞として様々な陰翳を含むであろうが,竟に何物も語らないからである」。

「人はこの世に動かされつつこの世を捨てる事は出来ない,この世を捨てようと希う事は出来ない。世捨て人とは世を捨てた人ではない,世が捨てた人である」。

「人は芸術というものを対象化して眺める時,或る表象の喚起するある感動として考えるか,或る感動を喚起する或る表象として考えるか二途しかない」。

「人間は生涯を通じて半分は子供である。では子供を大人とするあとの半分は何か?人はこれを論理と称するのである。つまり言葉の実践的公共性に,論理の公共性を附加する事によって子供は大人となる」。

いかにも魅力的な言説である。冒頭で記した「今読み直すと無内容というしかない「文芸批評」だが,その「表現」レベル‐レトリック‐は今も新鮮で卓越している。内容と関係なく表現だけで人を圧倒できる領域が確かに存在する」ということが了解いただけるだろうか。

「このような魔境から距離を取ることを自立という。いや自立とは,精神が魔境を球状に構成することというべきだろう」というように,表現が自然に小林節に飲み込まれてしまうが,飲み込まれないように距離を取れることが自立であることは間違いない。

 

 

日本文化論への助走

深層日本論-ヤマト少数民族という視座

「深層日本論 ヤマト少数民族という視座」(著者:工藤 隆)(Amazonにリンク)の著者の工藤さんは旧知の人で,若いころは古代に舞台をとった「黄泉帰り」等の演劇の上演活動をしていたが,その後,上代口承文芸の研究をして大東文化大学の先生をしていたようだ,Wikipediaを見ると,古事記,古代歌謡,神話,大嘗祭等に関する本を多く書いており,この本はそれらの集大成ということかもしれない。

この本は,日本文化の基層を「アニミズム・シャーマニズム・神話世界性とムラ社会性・島国文化性」とし,その世界が文字で確認できる歌垣としての記紀歌謡・万葉歌と,工藤さんが辛くも実地調査できた中国雲南省の少数民族らの歌垣との共通性を紹介する。そして中国漢民族との対比でのヤマト(少数民)族が(一方で,アイヌ民族,沖縄民族を吸収し),「国家」を形成し,白村江の敗戦,明治維新,敗戦の3つの文明開化において基層と表層の2重構造を乗り切ってきたとする。

神話,神道等の世界を嫌う人も多いから,工藤さんは,慎重に概念規定をした上で,上述した観点等を踏まえ,政治,社会を含む,日本文化論を展開する。記紀歌謡,万葉集で挑む文化論だから,「敗戦と原発事故」を論じ,「日本文化のなにを誇り,なにを制御するか」は,いささか背伸びした議論にも感じるが,しかし不快さは感じない。ただし,「伊勢神宮論」や「大嘗祭論」は,私にはあまり興味がわかない。特に,後者の「サカツコの復活が望まれる」はどうなんだろう。

このように,話を現代に持ってくるのはどうかということの他に,文字で確認できる記紀歌謡・万葉集が出発点とし,それはどのように形成されたのというそれ以前の話がなくていささか気持ちが悪い。これについては,「「問題解決と創造」を予習する」であげた「日本文化」の項目の,「ヒト 異端のサルの1億年」(著者:島泰三)(Amazonにリンク)が3万年前以降繰り返されたホモサピエンスの日本列島への流入,諸地域に分散する,人種と言語の近親性を挙げている。それと本書の間,縄文時代,弥生時代,古墳時代を埋めることが必要だろう。とりあえずKindle本で,次のような本がある。ゆっくり目を通していこう(その後は,「漢文の素養~誰が日本文化をつくったのか?~」(著者:加藤徹)(Amazonにリンク)に続く)。

  1. 「日本人の起源 人類誕生から縄文・弥生へ (講談社学術文庫) 」(著者:中橋孝博)
  2. 「海の向こうから見た倭国 (講談社現代新書)」(著者:高田貫太)
  3. 「弥生時代の歴史 (講談社現代新書) 」(著者:藤尾慎一郎)
  4. 「縄文時代の歴史 (講談社現代新書) 」(著者:山田康弘)

ⅰを少し読んだが,そういえば日本の考古学会は大変だたなあということを思い出した。

文化論とは

ところで工藤さんは「日本人は日本人論,日本文化論がとても好きだ。その多くは,日本人あるいは日本文化は世界でも特殊な存在だという認識が前提として置かれている。実のところ,私もそう思っている。ではいつ,どのような理由でそのような特殊性を得たのか。その特殊性が現在もあるとすればなぜなのか。本書はこうした疑問に対して「ヤマト少数民族」という視点を導入することで、大きな回答を示そうという試みである」とするのだが,文化論は,何を論じているのか,そのような対象が実在するのかという,反省的観点が必須である。そうしないと単なる酒場の与太話になってしまう。

ただ私は「文化」を,「ある集団の,ある場での,環境(地理)と歴史によって形成された言動のパターンや特徴」と定義するので,集団,場の抽象度や限定された具体的な内容がしかkりしていれば,ある種の議論は可能だと思っている。ただ「日本人は…だ」というような抽象度が高い無限定な言説はがほとんど意味がない。

仏教には何の意味があるのか

ところで日本文化論というとき,私は記紀,万葉より,仏教論に親しみを感じてきた。ただ,空,中観,密教,唯識と,面白いといえば面白いが,最近は,一体,何の意味があるのだろうという思いが強く遠ざかっていた(そういえば,「仏教は本当に意味があるのか」(著者:竹村牧男)という本があったことを思い出したが,これは事務所移動時に「寄贈」している)。

ただそれでも仏教書には時おり目を通していたが,最近,「別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教 こうしてブッダの教えは変容した」(著者:佐々木 閑)(Amazonにリンク)を読んで,改めて,仏教はせいぜいこんなもんだが,それはそれですごいなあと思い返している(佐々木さんは,2年前の年賀状で,「我が国には,視点は大分違いますが「真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話」という本があります。超弦物理学の大栗さんと仏教学の佐々木さんの対談で,題名を見ると?ですが,科学対科学を侵犯しない仏教との対話とでもいうべきもので、内容は意外にまっとうで面白い」として紹介していた)。

その佐々木さんに,昨日,「ネットカルマ 邪悪なバーチャル世界からの脱出 (角川新書) 」(著者:佐々木 閑) (Amazonにリンク)という本があることを発見したので早速購入した。私もネットが「邪悪なバーチャル世界」であると思っているので,佐々木さんはここで本当に仏教を活かせているか,少し読み込んで紹介しよう。