「問題解決と創造」を見直しています

「問題解決と創造の頁」を「問題解決と創造を学ぶ」として内容を見直しました。できるだけ,幅広い観点から,「問題解決と創造」について考えようと,あれこれ本を物色してきましたので,それをそろそろ反映したいと思っています。

これまで「システム思考」について全く取り上げていなかったので,これを複雑な問題についての「問題解決と創造の方法」の柱の一つとして取り上げること,個人の「問題解決と創造」については,行動改善として捉えること,「方法論の基礎」を整理すること等について取り組んでいきますが,今日の時点では全く反映されていません。

なお以下の投稿は,固定ページ「問題解決と創造の頁」を「問題解決と創造を学ぶ」として書き直して投稿したものです。固定ページの方はその内容を,適宜,改定していきますので,この投稿に対応する最新の内容は,固定ページ「問題解決と創造を学ぶ」(固定ページにリンク)をご覧ください。

「問題解決と創造を学ぶ」の紹介

まず,「問題解決と創造を学ぶ」の全体の構成や内容を紹介する。

なぜ「問題解決と創造」なのか

私たちは,日々,自分に関わる様々な問題の解決を迫られ,また思いついては新たな価値の創造を試みているが,なかなかうまくいかない。もう少し遠くを見ると,世界中に解決困難な問題や新しい問題が集積しているが,世界も日本もその政治過程の愚かさには辟易するだけで,当面政府がこれらの問題を解決することは当てにしない方がよさそうだ。

そこで私たちは自ら解決に乗り出すべく,「問題解決学」とか「創造学」といわれる分野をのぞいてみたくなるが,百花繚乱で,何を頼ればいいのか,迷うばかり,さてどうしよう。それにビジネス分野から発信される「問題解決と創造」は,いかにも軽率なものが多く,どうなんだか。一方,学問分野からの発信は,重くもたもたと構造の記述にとどまるものが多く,なかなか「問題解決と創造」の実践に届かない。

要は,私たちが「問題」だと捉えることを「世界」の中に位置づけ,何をすればいいのかの道標が得られればいいわけだから,「世界」に関する知識と「問題解決と創造の方法」を結びつけることが必要となる。

「問題解決と創造を学ぶ」には,このような観点から,私自身が「問題解決と創造」を実行するために(皆様にもその手助けになるように),本を読み,Webを見つけ,自分の頭で考察した内容の記事を蓄積していきたい。目的は「問題解決と創造」の実行だから,「問題解決と創造の方法」はできるだけプラグマティックな内容になるように心がける一方,「世界」はますます拡大していくから,「世界」に関する知識はできるだけ範囲を広くとり,わかりやすく整理していきたい。

なお,プラグマティックというと,役に立たないものは排除するという印象だが,論理的,科学的な学問がいつどこで役に立つかは予測できないし(特に数学ではよく言われることだ。),物語や哲学等々の人文畑も,人のイメージを沸き立たせ,新たな思考を導く役に立つ。役に立たないと断言できるのは,古い発想に固執する「営み」だけだ。

問題解決と創造を定義する

まず問題解決と創造を定義しよう。

「創造」は後記するように「問題解決」の一場面として位置づけられるので,まず「問題解決」とはどういうことかについて検討する。

「問題を解決する」場合の「問題」は,普通,私たちが存在する現実の世界における「目標と現状のギャップ」と定義されることが多いようだ(後記の「佐藤:問題解決入門。これは,ハーバート・A. サイモンが,言い出しっぺらしい。)。

では,「世界」はどのような要素から構成されているのか。経済学等では,個人(家計),企業,政府の3主体を想定するのでこれを借用し,これに自然・生態系・人工物からなる環境を加えて4要素とする。そうすると,これらの4要素の活動と相互作用(普通,これは「システム」と呼称される。)によって,各要素及びこれらの複合体の「世界の社会・経済・歴史」等の現実の「世界」が作られるということになる。

ただ,私は概念分析がしたいわけではなく,「問題解決と創造」のためには,対象となる「世界」をこのような観点から考えるのが「実用的」だろうという「仮定」を設けただけである。

「問題解決と創造を学ぶ」の構成

概要

そこで「問題解決と創造を学ぶ」の最初に,問題解決と創造のための基本的な手段となる「問題解決と創造の方法」を紹介することとし,「基本4書」及び「システム思考」を取り上げる。

これに続いて問題解決と創造の対象となる「世界」の4つの要素とその主たる問題(「個人:生活と仕事・文化」,「企業:経営と統治」,「政府:権力と政策」,「自然・生態系・人工物(環境)」,及びこれらの複合体である「世界の社会・経済・歴史」について,検討する。

個人,企業,政府,環境には,それぞれ固有の問題があり,「世界の社会・経済・歴史」の問題(これらは複雑な「システム」と考えられよう。)を,個人,企業,政府,環境をすっ飛ばして考察しても,思い付きに止まるだけだというのが,ポイントになるであろうか。

最後に,「問題解決と創造の方法」及びその対象となる「世界」を考察するための「方法論の基礎」を検討する。ここでは,システム思考,哲学,言語・論証,論理学・数学(確率・統計),CS・IT・AI,進化論・脳科学・認知科学・心理学,ゲーム理論・経済学,複雑系科学,その他(失敗学,選択の科学等)を検討する。ここで重要なのは,「問題解決と創造」につながる記述とモデル化である。

その他,本,Web等を集める「書庫」を設ける。

構成

まとめれば,次のようになる。

  • 問題解決と創造の方法
  • 個人:生活と仕事・文化
  • 企業:経営と統治
  • 政府:権力と政策
  • 自然・生態系・人工物
  • 世界の社会・経済・歴史
  • 方法論の基礎
  • 書庫

「問題解決と創造を学ぶ」の補足

以下,各項目について,補足して説明する。

「問題解決と創造の方法」の「基本4書」と「システム思考」

問題解決と創造のために,どのように頭と心を働かせるべきなのか,まずその方法を整理する。

基本4書

最初に「新版[図解]問題解決入門~問題の見つけ方と手の打ち方」(著者:佐藤 允一)(Amazon・本の森)を,取り上げる。

これは「問題」を「目標と現状のギャップ」ととらえ,原因となる「入力」,「制約条件」,「外乱(不可抗力)」による「プロセス」を経て,「出力(現状)」が生じるという「問題構造図式」を提示する。「入力」,「制約条件」をコントロールすることで,「出力(現状)」を変え,問題解決を考えようというのである。これだけでは単なる枠組みの整理に過ぎないが,それだけに様々な問題解決の手法を整理して位置づけるのに便利である。

次に同書は,「問題」を,発生型(既に起きている問題),探索型(今より良くしたい問題),設定型(この先どうするか)に分類しており(これは「時間型」といえよう。),これも有用である。

さらにこれは私見ではあるが,「問題」を,システム型,個人型,人工物型に大別することも有用である(「対象型」といえよう。)。「世界」の大部分の問題は,「システム思考」が対象とすべき複雑な「システム型」の問題であるが,個人型の問題の多くは,個人の意思決定と行動改善の方法として捉えることが適切であるし,人工物(多くは商品であろう。)型の問題は,人より物の振る舞いが前面に出る設定型,探索型の問題であるから,別に検討したほうが良さそうだ。ただし,それぞれの知見を谷応用することは有益である。

2書目として「創造はシステムである~「失敗学」から「創造学」へ」(著者:中尾政之)(Amazon・本の森)を取り上げる。

これは「創造」(自分で目的を設定して,自分にとって新しい作品や作業を,新たに造ること)の過程を,「思い」(願望)→「言葉」(目的)→「形」(手段)→「モノ」(アクションプラン)ととらえ,まず「目的」を言葉として設定することが重要だとする(これが「出力」,「結果」である。)。そしてその「原因」となる「入力」「プロセス」等を<「形」(手段)+「モノ」(アクションプラン)>と捉え,その具体的な内容を「思考演算子」を適用して検討していく。

これは,人工物型,さらに個人型にも適用できる。ただ個人型については,必ずしも上記の方法ではうまくいかないことが多いであろう。それは人の行動の特性をふまえた「行動改善」についての配慮が不十分だからである。

この2書を,「問題解決と創造」のための一つの基本的な方法として運用することができそうだ。

さらに問題解決の方法を置く取り上げている「問題解決大全」(Amazon・本の森),多様な思考を促す「アイデア大全」(Amazon・本の森)を併せ,「基本4書」とする。

システム思考

ただ解決すべき多くの問題(特に,企業や政府等の組織が直面する社会・経済・経営等の問題)は,各要素の複雑な行動と相互作用によりもたらされるシステムの問題であろう。これに取り組む手法がシステム思考(システムダイナミックス)だ。

これについて私は,ドネラ・メドウズの本は読んでいるはずなのに,「問題解決と創造」を考える際,ほとんど頭に浮かばず,いま大慌ててフォローしているところだ。とりあえずここでは「システム思考―複雑な問題の解決技法」(著者:ジョン・D・スターマン)(Amazon・本の森),「学習する組織 システム思考で未来を創造する」(著者:ピーター・センゲ)(Amazon・本の森)を挙げるにとどめよう。

4つの要素と世界

私は,「問題解決と創造」の対象となる「世界」について,その内容によって複数の領域を設定し,領域ごとにその特質を踏まえながら「問題解決と創造」を考えていくのが適切であろうと考えている。その領域として,個人と組織(企業,政府)の3主体及び自然・生態系・人工物からなる環境を加えて4要素とし,これらの4要素の活動と相互作用(普通,これは「システム」と呼称される。)によって,各要素及びこれらの複合体として「世界の社会・経済・歴史」等の現実の「世界」が作られるとりいう仮説は上記した。それぞれについて,より具体的に検討してみよう。

個人の生活と仕事・文化の問題

私たちは,ふと,「いったい私は何をしているのか,何をしたいのか」という思いにかられることがあるが,私たちがしたいことは,端的にいえば,充実した生活をし,仕事と文化において創造することであろう。

私たちの生活と仕事・文化は,走ることによって人類に進化した(これは仮説である。)後の,道具,火,言語の使用等々に支えられた長い長い狩猟採集生活を経て,わずか1万年の間の農業革命,科学革命,産業革命,情報革命等々によって劇的な変動を経験しつつある。

生活は,「食動考休」にまとめることができる。現代の食動考休は,狩猟採集生活時代のそれから大きく変容している。その充実を考える場合は,その変容を視野に入れることが必須である。

人が生活の中で展開してきた文化(芸術,芸能)は,「人のつながりの表現」である。

仕事は,生活と文化の基盤に立つ分業による価値創造である。「苦役」というイメージでとらえるべきではない。

ところで人の生活と仕事は・文化,進化論(繁殖,生存に有利な形質が自然選択される)を踏まえて考えるべきである。ただ繁殖,生存の根底に性的な衝動や自然選択(競争)があるとしても,人はいつもそれに振り回されているわけではない。他者と接するソフィストケートされたレベルでは,人の生活は,日々の充実した,健康な活動を支える「食動考休」であり,仕事・文化は,生活の応用としての他者との分業による価値創造とつながりの表現であるとまとめることができる。

なお文化(芸術・芸能・文化)については,一連の考察とは別に独立させて検討する。アイデアを活性化させ,結露したものといえる。

政府と企業の問題

農業革命以前,人の生活と仕事は,ほとんど分化していなかったと考えていいだろう。人は,家族,あるいはもう少し規模の大きい共同体に属し,その中で仕事をし,共同体同士で抗争し,死んでいった。

しかし農業革命により人の生活と仕事が分化し,その余剰生産物を収奪する「権力集団」(政府)が生じた(もっとも現代のほぼすべての政府は,民主制(支配者と被支配者が同一)に基づくと主張しているが。)。そして,分業の進展によって,更に「産業革命」によって決定的に,人の仕事の領域から分化した「企業」が大きな勢力となり,現在に至っているとまとめることができよう。政府と企業は,個人とは別の次元に存在する「組織」である。

なお成立は政府が先行するが,考察する順番としては,個人,企業,政府という方が分かりやすいであろう。

組織のうち企業の問題は,利潤追求を目標とする企業の活動により,たとえ「見えざる手」によって資源の最適配分が図られるとしても,様々な立場の人々(消費者,取引先,株主,経営者,従業員,政府等々)に,様々な利害得失を与えるから,その活動が適切に制御されなければならない。「経営と統治」を考察する必要がある。

組織のうち政府の問題は,民主制のもとでは個人の政治参加(投票)により選出された代表者(政治家)が組織する集団による権力行使(法・実力)と政策の実行及びその制御の問題である。ただし,政府を主導する政治家,官僚は,政策に失敗することがあるのみならず(悲惨な被害が生じる政策の失敗は戦争であろう。),その権力を冒用し私的利益を図ろうとする強いインセンティブがある。それが問題を複雑にしている。主たる問題を,「権力と政策」としてとらえることとする。

なお組織には,地域共同体,宗教団体,学校,NPO等々も含まれるが,企業,政府に準じて考えればいいであろう。いずれにせよ,個人から独立した存在として迷走する組織の行動について理解するためには,複雑系ネットワークの観点が欠かせない。家族は,人の生活と仕事・文化の領域の問題として考えれば」よいであろう。

自然・生態系・人工物(環境)の問題

個人の生活と仕事・文化及び企業や政府の活動は,環境の中で(自然及びテクノロジーを利用して)展開される。生活と仕事,企業や政府の問題解決のためには,自然とテクノロジーの機能,動きを理解し,これを利用,制御することが必須である。

世界の社会・経済・歴史の問題

人はともすると,共時的及び通時的な社会や経済の問題に素手で入り込み,全体の構造を離れてその問題の一部を撫ぜ,あれこれ論じてきた。しかし,それでは決定的にうまくいかない。社会は,人の生活・文化・仕事,企業,政府,環境の複合体であり,社会,経済はその一側面である。ここでは,「システム思考」なしでは「問題解決」は不可能であろう。

方法論の基礎

ところで基本4書の内容は,経験の集積という方が正しく,問題解決と創造にあたっては,KKD(勘,経験,度胸)が大事だなどともいわれるので,それだけでは心もとない。これを論理的,科学的に捉え返す必要がある。

そのため「問題解決と創造の方法」及びその対象となる「世界」を考察するための「方法論の基礎」では,システム思考,哲学,言語・論証,論理学・数学(確率・統計),CS・IT・AI,進化論・脳科学・認知科学・心理学,ゲーム理論・経済学,複雑系科学,その他(失敗学,選択の科学等)を検討する。あまり深入りはできない。

まとめ

このように現在,私あるいは現代の「世界」社会が直面している多くの問題について,個人,企業,政府,環境の4要素(更には,その複合する「世界の社会・経済・歴史」も含めて)から,分析,考察を巡らせ,私たちにとって最も重要で切実な問題である日々のあり方(生活と仕事)を充実,活性化させること,人から独立した存在として迷走する組織(企業と政府)を適切に制御,運営する企てに参加すること,更にはこれらの活動の環境,場となる自然とテクノロジーを理解し,制御し,利用することによって,社会・経済の問題を順次解決していくことができれば,結果的に「新しい社会と経済を創る」という価値創造に結実するであろう。

最後に

私が今,最も取り組みたいことは,弁護士として「法を問題解決と創造に活かす」活動であり,「問題解決と創造を学ぶ」は,そのための,事実と論理を踏まえた準備作業,基礎作業となることを志している。このWebサイトも,やっとそういう情報発信ができるような準備が整いつつある気がする。ただまだ各メニューの内容はバラバラだ。それにITやAI,科学についての新しい知見・動向を知るには,英語文献の読解が必須である。その意味で内容が整うまでには今しばらく時間がかかりそうだ。