はじめに
私は,上海を2015年4月13日から15日まで訪問した。1日目の夜入り,2日目ほぼABACEの会場にいて,3日目は会場に2時間弱いただけで帰国したので,上海の街については余り観察する機会がなかった(こう書くと,移動が簡単だったようだが,実は私が搭乗したANA機は浦東国際空港を発着する便で,そことABACEの会場の虹橋国際空港とは,宿泊したGRAND HYATTホテルを挟んで,電車で1時間半以上かかるぐらい離れている。だから移動中の時間は余りあるほどあったが,タクシーや電車で高速移動中に観察できる対象は限られる。)。だからあまり確かとはいえない与太話に過ぎないかもしれないが,上海で考えたことを少し書いて見よう。
高層ビル
宿泊したGRAND HYATTは,ジンマオタワーという88階建て(421 m)の高層ビルの上部にあるが,その近くには更に101階建ての上海環球金融中心(森ビル:492m),そしてできたばかりの128階建て(632m)の上海中心がある。日本では最近横浜ランドマークタワーを抜いたあべのハルカスが60階建て(300m)なので圧倒されてしまう。少し古いがウイキペディアによれば,2010年8月現在、上海には高さ60m以上の高層ビルが8000棟近く存在し,これは日本全国を合わせた約2000棟の4倍に匹敵する規模となるそうである。またビルの中も随分と豪華で,高層ビルではないが,2日目の夜に食事に行ったホテルの近くのビルの中は,高級ブランド店が目白押しで,その構造,内装もきらびやかで,日本では見ることのできない超高級レベルであった。私は横浜に住んでいてランドマークタワーのショッピングスペースを,どこにもない優れものだと胸を張っていたが,あれれ。一体誰がこんな所でショッピングをするのだろう。
人口
当然ながら上海には,これらを需要する人も,そしてそういうレベルにはない貧しい人もウジャウジャいる。もっとも,世界の都市圏人口の順位でいえば,1位は東京(3800万人)で,上海は8位(2400万人)だそうだ。ただ,人口密度は,東京(4400人/㎢)の方が少ないが10位までで上海(6100人/㎢)は,5番目なので,客観的にはそんなにウジャウジャいるわけではないようだが,どこへいっても人は多いと思う。中国の人は声が大きくて活動的なので目立つのかな。
中国経済論
今は中国(上海)の所得は日本の何分の1かだけれど,上海のように活発な経済活動をしていてGNPの伸びが7,8%というような地域では,早晩,ほぼ日本と同じレベルになる。これは中国だけではなくて東南アジアも同様だ。中国は,漢字という使用言語の壁を超えることのできる奇跡的なコミュニュケーションツールによって膨大な周辺地域を取り込み,絶えず政治,経済,文化のすべての面で,世界の最先端を走っていた。たまたま欧米が帝国主義的な武力による世界進出を図った18世紀以降は,中国は巨大過ぎたり古い因習や文化に固執しすぎたりして的確な対応ができない国家だったので,一敗地にまみれたが,共産主義革命という権力集中と貧しさを堪える政治経済過程を経て,再び,最先端に飛び出したというのが実態であると思う。一時的な没落期を経てまた文明発祥以来の元の状態の戻りつつあるというのが客観的な評価だろう。とはいっても,まだ経済的にはわが国とは,20~30年の差があるから,そのころの日本人と同じよう行動をしている面もあるが,これも時間の問題だろう。ただどうも「不動産バブル」がGNPにの伸びを支えているところもあるようで,日本のようにならないようにというのが,おせっかいな隣人のアドバイスである。
日本経済論
ところで利益を上げる基本は「サヤ取り」だが,中国や東南アジアの国が経済成長をして経済状況が均衡状態になるとそれがだんだん難しくなる。そうなってくると一体どうすればわが国の経済発展ができるのか。
問題はここからで,だから企業,政府はこうすべきだということを「提言」してもほとんどはずれだし,意味はない。「わが国の経済発展」というような視座ではなく,要するに自分は何をするかを考えた方がいい。世界の中でどうすればまっとうな利益が得られるビジネスができるのか,問題はそれに尽きる。
余談-上海の移動
上海のタクシーの値段は高くないので,外国人はほとんど移動手段にほとんどタクシーを使う。だが車の質は余りよくなく,運転手さんは猛スピードで車の間をぬうように飛ばすので,正直言って怖い。しかも,「英語」を一切受けつけない。
それで,帰国するとき,会場の虹橋国際空港から浦東国際空港まで電車(地下鉄)で一本のように見えたし,前日タクシーを拾うために歩き回っていて,駅もあったように思ったので,電車(地下鉄)を利用してみることにした。ただ下調べが不十分で,昨日見た駅は違う線の駅だったとか(これはたまたまABACEへの道を聞かれた人に,浦東国際空港に行く線の駅を聞いたら,ここで乗って一駅戻ればいいとアドバイスされた。)いろいろと「トラブル」があったが,とにかく,電車(地下鉄)に2時間近く乗っていて,無事,浦東国際空港に着くことができた。でも,途中の駅で逆に走り出したときはびっくりした。同じ線だが,乗り換えなければならなかったのだ。いろいろあるとだんだん慣れてくるので,次回上海に来るときは,地下鉄で移動してみよう。