政府:権力と政策

問題の所在-「政府:権力と政策」や「政治」が注目される理由

政府と国家

農業革命以前,人の生活と仕事や文化は,ほとんど分化していなかったと考えていいだろう。人は,家族,あるいはもう少し規模の大きい共同体に属し, その中で生活・仕事をして子孫を設け,死んでいった。

しかし農業革命により人の生活・仕事・文化が分化し,余剰生産物を収奪する「権力集団」(政府)が生じた(もっとも現代のほぼすべての政府は,民主制(支配者と被支配者が同一)に基づくと主張しているが。)。一方,徐々に分業が進展し,更に「産業革命」によって決定的に,個人から分化した「企業」が出現し大きな存在となって現在に至った。政府と企業は「組織」として,個人とは別のレベルの要素として存在する。特に「組織」という複雑系ネットワークシステムを背景として,その迷走が止まらないという観点は,重要である。

なお政府は,ある領域(領土)に存在する人(国民)を基盤として成立するので,政府,国民,領土から構成される社会(の「一部)を国家と呼称することもあるが,問題を解決するうえで,「国家」概念は有益でないか,むしろ問題の所在を覆い隠すことが多い(国家という用語は多義的であり,4要素により構成される社会と同視として使用されることもあり,その場合,すべての問題が,国家(政府)の問題に含まれることになる。)。

政府の問題はやっかいである

政府の問題は,民主制のもとでは個人の政治参加(投票)により選出された代表者(政治家)が組織する集団が行使する権力(法・実力)と公共政策の実施及び国民,市民によるその制御の問題である。

ただ本来的に政府は実力で成立してきたものであり,個人が政府を構成する代表者を選出するというのは擬制であるが,その擬制の運用は,我が国を含む多くの国ではほぼ定着している。ただ時おり,政治家,官僚はこれを失念し,権力を冒用して私的利益を図ろうとする強いインセンティブがある。それが問題を複雑にしている。

私は,現代社会が抱える様々な「問題解決と創造」を,個人,企業,政府,環境の4つ要素から考えているが,私たちは,普段,4要素の何が重要だと考えているだろうか。普通に考えれば,個人の生活とそれを支える仕事であり,更にはこれらの活動の場となる企業,環境となるであろう。しかし,私たちが一番興味を持つのは(あるいは持たされるというべきか),政府を支配する「政治家」の選定とその行動に係わる「政治問題」であろう。

そうなるのは,ひとつは,上記したように「国家」を4要素により構成される社会と同視し,ないしその上に立つとする錯視によるのだと思う。まつりごとには,本来そういう性質がある(「共同幻想」)。

もうひとつは,民主制を支える国民,市民として,多大な資金(税金)を収奪し,権力を行使して支配する政府の支配者の選定とその行動についての正当な関心に基づくものである。しかし支配者側の専門性,秘密性,権威性を盾にした「権力の壁」は厚く,国民,市民はほとんどすべての面で情報操作されているという方が実態に近いだろう。その結果,政府は,国民全体の代表を名乗って,外交の失敗の延長上に戦争を企て,実行する。戦争は,生活領域に近接ないし生活領域内で行なわれれば,生活・仕事・文化・企業・環境のすべてを破壊しかねない行為である。そんなことは分かっているはずだが,戦争が実行された後に,それに気付くというのがお決まりの「歴史」である。政府の財政,社会福祉制度が破たんしようと,円が大暴落してハイパーインフレになろうと,立ち直る方法はあるが,現代の戦争は立ち直り至難な問題である。だから私は,戦争だけには入り込まない「政府」を選定するのが,最低限の国民,市民の良識だと思う。こんなことを考えなければならないこと自体,今の「政府」にはいい加減にしてもらいたいと思うが,どこの国の「政府」もレベルはあまり変わらないようだ。このような問題が浮上したのは,サイバー空間(サイバー扇動)が大きいが,それは別途,考察しよう。

「政府:権力と政策」各論

政府の問題は,権力(政治)の行使と公共政策の実施が基本的な問題であるが,これを,「現状分析」,「権力」,「政策」,「政策情報」に分けて考察,検討する。

現状分析

<コメント>

「現状分析」は,「現状分析とその方法」と「情報公開-政府の透明性」に分け,当面,この分野の何冊かの本を掲記しておこう。後者は,私の仕事にとっても重要な問題であるから,速やかに<この項目に関連する記事>を作成する必要がある。

現状分析とその方法

<検討すべき何冊かの本>

  • 「政治学の第一歩」(著者: 稗田健志, 多湖淳,砂原庸介)(Amazonにリンク
  • 「啓蒙思想2.0」(著者:ジョセフ・ヒース)(Amazonにリンク
  • 「民主主義の死に方-二極化する政治が招く独裁への道」(著者:スティーブン・レビツキー)(Amazonにリンク
  • 「情報隠蔽国家」(著者:青木理)(Amazonにリンク
  • 「崩れる政治を立て直す-21世紀の日本行政改革論」(著者:牧原出)(Amazonにリンク
  • 「政治を再建する、いくつかの方法-政治制度から考える」(著者:大山礼子)(Amazonにリンク
  • 「原因を推論する-政治分析方法論のすゝめ」(著者:久米 郁男)(Amazonにリンク
  • 「哲学と政治講義-よみがえる古代思想・宗教と権力の政治」(著者:佐々木毅)(Amazonにリンク

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作成中

情報公開-政府の透明性

<検討すべき何冊かの本>

  • 「武器としての情報公開」(著者:春日部聡)(Amazonにリンク)
  • 「公文書問題 日本の「闇」の核心」(著者:瀬畑源)(Amazonにリンク)
  • 「国家と秘密 隠される公文書」(著者:久保亨, 瀬畑源)(Amazonにリンク)
  • 「公文書問題と日本の病理(著者:松岡資明)(Amazonにリンク)
  • 「現代思想2018年6月号 特集=公文書とリアル]」(著者:望月 衣塑子, 瀬畑 源, 布施 祐仁, 斎藤 貴男, 武田 砂鉄)(Amazonにリンク)

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作成中

権力

<コメント>

権力論は,要するに政府権力の制御論,ガバナンス論であるが,今,これまでその手段としてもっとも有効であると考えられた「憲法」による「法の支配」及び「情報公開-政府の透明性」が次々とないがしろにされているから,政府権力の暴走はしばらく止まらないだろう。一市民としては,激変する世界状況の中で政府権力の暴走を止めるなどという古典的な問題ではなく,政府ができることとできないことに敏感になって,できることの範囲で,必要十分,かつ合理的な政策実行に取り組んでもらいたいと思うのだが,サイバー空間が迷走・沸騰している状況では,しばらく無理かな。

これまでこの分野では山のような議論が繰り返されてきたものの,今後,政府権力の制御論,ガバナンス論としてどのような手法が有効かはなかなか見えてこないが,率直に言って国民から信託を受けお金をもらっている政治家と官僚が考えろよと言いたくもなる。私は,最低限のところから出発してみよう(この分野は,「権力・行政」,「司法」,「立法」,「地方政府」に分類できようが,ここでは「権力・行政」の最低限の3冊のみ,紹介することにする。そうする本当の理由は,リストが消えたから。追って用意しよう。)。「現状分析とその方法」に掲記した本も参照されたい。

<検討すべき何冊かの本>

  • 「権力-社会的威力・イデオロギー・人間生態系」(著者:山本 耕一)(Amazonにリンク
  • 「シンプルな政府:“規制”をいかにデザインするか」(著者:キャス・サンスティーン)(Amazonにリンク
  • 「未来政府-プラットフォーム民主主義」(著者:ギャビン・ニューサム, リサ・ディッキー)(Amazonにリンク

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政策

<コメント>

政府の政策は,資金,人は国民から調達して,法という制裁付きルールによって実行するし,その影響も大きいのだから,しっかりと事前に検討し,事後も検証するという過程が不可欠だが,実際は,政府関係者も,国民サイドも,そのようなことをせず,決定過程の「政治」にしか興味が向かない。これは,私が,Netflixでドキュメントを見ずに,アニメばかり見ているのと同じである?

それでもうまく運用できる仕組みを考え出すしかない。

<検討すべき何冊かの本>

  • 「入門 公共政策学-社会問題を解決する「新しい知」」(著者:秋吉 貴雄)(Amazonにリンク
  • 「リスク・マネジメントと公共政策-経済学・政治学・法律学による学際的研究」(著者:高橋 滋, 渡辺 智之)(Amazonにリンク
  • 「公共政策を学ぶための行政法入門」(著者:深澤 龍一郎他)(Amazonにリンク

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政策情報

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