方法論の基礎

問題の所在-方法論の基礎

「問題解決と創造の方法」(原因,結果とその因果関係の記述,モデル化に基づく入力(働きかけ)により,目標とする結果を実現する)を支える(基礎となる)方法論とは何であろうか。

人は,➀世界(事象)の関係を(実験によって)観察・把握し,②論理的に思考・分析し,③原因と結果と因果関係を評価・表現・モデル化することで(ただしこの過程には,様々な誤りが紛れ込む。その原因は,人間が進化の過程で得た認知,意思決定のありようそのものにある。),④「問題解決と創造」につなげる。

①が自然科学,社会科学だとすれば,②③について,問題解決基礎論,思考とアイデア論,行動分析学,システム思考,哲学,言語・論証,論理学・数学(確率・統計),CS・IT・AI,進化論・脳科学・認知科学・心理学,ゲーム理論・経済学,複雑系科学,その他(失敗学,選択の科学等)が方法論となる。ただしあまり深入りはできないので,関係する重要部分についての,紹介と備忘がメインとなろう。

なお当面「CS・IT・AI」は,「方法論の基礎」の下位メニューとしてから独立させて扱うこととする。。

考察-方法論の出発点となる4冊

各論的考察は,おって準備するが,ここでは,各論の総論として,人の知能・思考が世界をどのようにとらえるのか,世界をとらえる正しい方法論は何かについて,類似した視点と方法にたつ「総論」とのいうべき,「知ってるつもり 無知の科学」(著者:スティーブン スローマン, フィリップ ファーンバック)(Amazonにリンク・本の森の紹介)と「各論」ともいうべき「武器化する嘘 情報に仕掛けられた罠」(著者:ダニエル・J・レヴィティン)(Amazonにリンク・本の森の紹介)を紹介し(この2冊は,「問題解決と創造の方法」でも「危機的な現代の思考」にも取り上げた。),さらに「原因を推論する:政治分析方法論のすすめ」(著者:久米郁夫)(Amazonにリンク・本の森の紹介)と「物事のなぜ 原因を探る道に正解はあるか」(著者:ピーター・ラビンズ)(Amazonにリンク・本の森の紹介)を紹介する。

追ってその詳細な紹介をしたいと思っているが,ここではさわりだけ紹介する。

「知ってるつもり 無知の科学」について

「知ってるつもり 無知の科学」のポイントは,「The Knowledge Illusion」であるが,これを「知能の錯覚」と訳されても,あまりピンとこない。人の知能は,複雑な世界から行動(繁殖と生存だろう。)するために必要なもの,重要なものだけを取り出すように進化した。その知能のあり方が,「The Knowledge Illusion」である。そして行動するために重要なのは,原因と結果の因果的推論である。これには2種類ある(システム1とシステム2,あるいは直観と熟慮)。しかし人は,因果システムを自分が思っているほど理解していない(説明深度の錯覚)。直観は個人の頭にあり,熟慮は知識のコミュニティの力を借りている。後者がコミュニティの問題であるというのは,重要である。すなわち人は,体と世界,他者,テクノロジーを使って考える。そして賢い人を育て,賢い判断をするための方法(ナッジ)がある。後半は,行動経済学と重なっている。この本の構成は英書の方がわかりやすそうだ(上記記事に掲載した。)。

「武器化する嘘 情報に仕掛けられた罠」について

「無知の科学」で分かるように,人の知能・思考は「The Knowledge Illusion」にあるから,これを悪意を持って利用しようとする人も多い。それをどのように批判的に吟味するかという観点からまとめたのが「武器化する嘘」である。「数字を吟味する」,「言葉を吟味する」,「世の中を評価する」から構成されている。認知科学,論理学,自然科学等を踏まえている。ベイズ確率が重視されている,ただ体系的にまとめたというより,事例集という面があるので,記述相互の関係が分かりにくい。これを参考にしながら,どのように正しく考えるのかを,まとめていく必要があるだろう。これも内容は,英書の目次の方が分かりやすそうだ(上記記事に掲載した。)。

「原因を推論する」と「物事のなぜ」について

「原因を推論する:政治分析方法論のすすめ」(著者:久米郁夫)は,政治(公共政策)を主たる対象とするが,方法論について意識的で,内容もしっかりとした客観的なものなのであり,安心して読むことができる。本書を基盤として広がりもある。「ただし,人間の認知の限界」という視点は乏しいようである。

一方,「物事のなぜ 原因を探る道に正解はあるか」(著者:ピーター・ラビンズ)「原因,結果とその因果関係」を主題とし,古今の哲学者,科学者の主張を様々な事象に適用して網羅的に検討し,因果関係の論理を表す3つの概念モデル(断定型,確率型,創発型),原因の4つの分析レベル(発生を促す原因,発生させる原因,プログラム上の原因,意図による原因),原因を得るための3つの論法(検証型,叙述型,信仰型)にモデル化する。興味深いし,最後で行っている「HIV/AIDS」,「米国法」,「うつ病」の分析も優れていると思うが,信仰型の記述は若干疑問であるし,他者の諸書評によると,科学事象の記述に不正確なものがあるとのことで,有益なところだけ抜き取るというがいいのかもしれない。

方法論の基礎各論

上記4書は,あくまで出発点であり,問題解決基礎論,思考とアイデア論,行動分析学,システム思考,哲学,言語・論証,論理学・数学(確率・統計),CS・IT・AI,進化論・脳科学・認知科学・心理学,ゲーム理論・経済学,複雑系科学,その他(失敗学,選択の科学等)等々を十分に検討する必要がある。なかなか大変だ。

方法論の基礎(投稿)について

下位メニューの「方法論の基礎(投稿)」には,「方法論の基礎」に関連する投稿が時系列順に掲載されている。

書庫

参考本は,順次「書庫」にまとめる。