問題解決と創造の方法と技術

問題の所在➀-基本となる方法

出発点

問題解決と創造のために,どのように頭と心を働かせるべきなのか,まずその➀基本となる方法について,問題解決については「「新版[図解]問題解決入門~問題の見つけ方と手の打ち方」(著者:佐藤 允一)を(「本の森」では未紹介),創造については,「創造はシステムである~「失敗学」から「創造学」へ」(著者:中尾政之)を(本の森の紹介)を出発点としたい。なお次に問題解決と創造の②基本となる技術について,「知的生産の技術」として議論されてきたこととその現時点での発展形を視野に入れて検討する。更にこれらの応用として,③「アイデア・デザイン・イノベーション」を検討する。③では,人の仕事や企業の経営として論じた方が適当と思われることも入れ込み,多様な問題を検討したい。

 

問題解決入門」は「問題」を「目標と現状のギャップ」ととらえ(後記「問題解決大全」によると,これは,ハーバート・A. サイモンが,言い出したらしい。),原因となる「入力」,「制約条件」,「外乱(不可抗力)」が影響する「プロセス」を経て,結果となる「出力(現状)」が生じるという「問題構造図式」を提示する。これをふまえ「入力」,「制約条件」をコントロールすることで,問題解決を考えようというのである。

「創造はシステムである」は,「創造」(自分で目的を設定して,自分にとって新しい作品や作業を,新たに造ること)の過程を,「思い」(願望)→「言葉」(目的)→「形」(手段)→「モノ」(アクションプラン)ととらえ,まず「目的」を言葉として設定することが重要だとする(これが「出力」となる「結果」である。)。そしてその「原因」となる「入力」「制約条件」等を<「形」(手段)+「モノ」(アクションプラン)>と捉え,その具体的な内容を「思考演算子」を適用して検討,選択し,「目的」を実現していく(本の森にリンク)。

なおこれに止まらず「問題解決と創造」を実現する観点から考え出された様々な技法がある。それらの主要なものが「アイデア大全」,「問題解決大全」で,丁寧に検討されている。上記2書にこの2書を加えた4書を基本となる方法としよう。そのためまず4書の詳細目次(問題解決と創造の方法」基本4書の詳細目次)を作成した。これを見ているだけでも頭の整理になる。

特に「「問題解決大全」では,問題解決の手法をリニア(直線的) な問題解決とサーキュラー(円環的) な問題解決の2つに大別して取り上げた上,問題解決の過程を大きくは4段階,詳細には14段階に整理し,それぞれに該当する技法を紹介している。①問題の認知(目標設定,問題察知,問題定義,問題理解),②解決策の探求(情報収集,解の探求,解決策の改良,解決策の選択),③解決策の実行(結果予測,実行計画,進行管理),④結果の吟味(結果の検証,反省分析,学習・知識化)である。上記2書を十二分に補完する内容となっている。

ただ最初から「あれもこれも」は失敗に直結だ。方法は一つに絞り,それで行き詰ったときに他の方法を参考にするのがよい。だから当面,佐藤-中尾路線を取ろう。

領域によって方法を深化させよう

ところで上記2書,4書の内容は,経験の集積という方が正しく,「方法論の基礎」,「IT・AI」で,論理的,科学的に捉え返す必要がある。具体的には,論理学・数学・統計学,哲学・自然言語学・外国語,認知科学・脳科学・心理学,進化論,経済学・行動経済学,ゲーム理論,経営学,社会学,複雑系科学,複雑系ネットワーク等々が組み合わせて利用される。

問題解決と創造の対象となる「人の生活・文化・仕事」「企業」「政府」「環境」「社会・経済・歴史」の5つの領域・要素では,それぞれ少しずつ異なった科学的な方法(あるいは経験論に科学的手法を組み込んだもの)が活用されている。「環境」では自然科学的な方法が,「社会・経済・歴史」や「政府」(公共政策)では,社会科学的な方法が用いられてきたが(当面,「創造の方法学」,「原因を推論する」,「原因と結果の経済学」,「計量経済学の第一歩」,「社会科学の考え方」,「ゲーム理論による社会科学の統合」等の書名だけを挙げておく。),進化論,行動経済学,ゲーム理論,複雑系科学,複雑系ネットワーク等が新しい分析を試みている。。

人間の行動(生活や仕事)についての問題解決はどうしようか

ところで人間の行動,とりわけ自分自身の行動を対象とする場合に「問題解決」についてどのような方法が最適かということが問題となる。経営分野も上記の方法だけでは済まない。「問題解決入門」は経営マターを,「創造はシステムである」は,モノの設計,製作を,主たる対象としているが,もちろん,他への応用を意図している。しかし,多少「応用」する必要がある。したがって生活と仕事については,上記2書を基本としつつ,もう少し,方法の範囲を広げたい。

生活と仕事について,私は「充実」という言葉を使ってきたが,それを「幸福」とし,「幸福」とは「experiences of pleasure and purpose over time」(快楽とやりがいの持続)と定義して考察している「幸せな選択,不幸な選択~行動科学で最高の人生をデザインする」(著者:ポール・ドーラン)(Happiness by Design: Finding Pleasure and Purpose in Everyday Life :Paul Dolan)を取り上げて,検討しよう。

いささか恥ずかしい題名だし,著者の論の進め方,表現に読みづらい点があるのだが(どうも翻訳はしっくりこない。例えば,原書の第2部「Delivering happiness」は,「Deciding happiness 」「Designing happiness」,「Doing happiness」,「Decide,design,and do」,「Conclusion」という構成で,とても分かりやすいのだが。),行動科学(行動経済学)を踏まえ,しかもカーネマンの序文までついていたので,急遽これをメインにしようと乗り換えてみた(なおカーネマンは,「幸福」→「主観的幸福感」,快楽とやりがい」→「よろこびとやりがい」としていていて,はるかに受け入れやすい。)。つかえるといいのだが。

ただチャールズ・デュヒッグというジャーナリストの,「習慣の力」(The Power of Habit)(「アルコール依存症が治せるようになったのも、まったく売れなかった「ファブリーズ」が突然ヒット商品になったのも、スターバックスがスタッフを責任感の強いリーダーに育て上げるプログラム開発に成功したのも、全部「習慣」がカギになっていた!人間の行動の4割は「習慣」でできている。「良い習慣」を増やし、「悪い習慣」を減らせば、人生は知らず知らずに好転する!」と紹介されている。)や「あなたの生産性を上げる8つのアイディア」(SMARTER FASTER BETTER)(本の森にリンク)は,「問題解決と創造」から発想したわけではないかもしれないが,結果的にこの分野の優れた書になっている。

あとこれも少し恥ずかしい書名だが「仕事・お金・依存症・ダイエット・人間関係 自分を見違えるほど変える技術 チェンジ・エニシング」等もとりあげたいと思っている。このようないわゆる自己啓発本まで手を広げれば範囲は無限に広がるだろう。

問題の所在②-基本となる技術(知的生産の技術)

「知的生産の技術」で論じられてきた基本となる10冊を紹介したKindle本に「知的生産とその技術 Classic10選」がある。

その発展形にはいろいろあるので今後,詳細に紹介したい。とりあえず「ライフハック大全」を紹介しておこう。

流れは,デジタル情報の処理にいくのだが,どうも手書きのメモが,本の理解にも,記憶にも有効なのではないかという流れもある。そういう気もしている。

問題の所在③-応用としてのアイデア・デザイン・イノベーション

ここでは,人の仕事や企業の経営として論じた方が適当と思われることも入れ込み,多様な問題を検討したい,なすべきことは山のようにある。どういうふうに整理していくかは,今後検討していきたい。

考察-問題解決と創造の方法と技術

以上を踏まえて考察を深化させていきたいが,ここではこれまで作成した「問題解決と創造の方法」に関係する投稿記事を紹介しておこう。

問題解決と創造(投稿)について

下位メニューの「問題解決と創造(投稿)」には,「問題解決と創造の方法」に関連する投稿が時系列順に掲載される。大切なのは,森羅万象について次々に起こりつつある自然科学,社会科学の知見を,美的感覚を研ぎすましてアイデアや「問題解決と創造」に結びつけることであろう。

参考本

ところで,アイデアの湧出を活性化するアイデアツールを集めた本を整理した「アイデア倉庫」を作成している(内容によって「アイデア・デザイン編」,「IT・AI編」,「経営編」,「心身の向上技法編」,「世界の構造と論理編」,及び「冷水編」に分けている。)。「方法論の基礎」,「AI・IT」との関係もあるが,当面, ここに載せておく。重要な本については,「本の森」で紹介していきたい。